2010/11/15 - 2010/11/26
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りょしゅうさん
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旧暦の10月は「神無月」。
しかし出雲では全国から八百万(やおろず)の神々が集まり、男女の縁などについて神議り(かむばかり・会議)が行なわれることから、古来より「神在月(かみありづき)」と呼ばれる。
故にラフカデオ・ハーン(小泉八雲)は出雲を「神々の国の首都」と比喩したのであろう。
【神迎祭】11月15日(旧暦10月10日)午後7時より出雲大社の西方約1キロの稲佐の浜で全国の神々をお迎えする古式豊かな「神迎(かみむかえ)神事」が執り行われた。
【神等去出祭(カラサデサイ)】11月26日(ここは新暦です)午後5時過ぎ万九千(まんくせん)神社にて執り行われる土着性の強い神立ちの神事で目の前でつぶさに見ることができた。
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1時間前・・・「稲佐の浜」の神迎神事の会場入り口はもう超満員。
2列に並んで・・・・ -
このような高さ30cmくらいの小さな御幣をいただきました。 -
神事の行なわれる場所まではムシロが敷いてありました。
これは神様の通られる道なので決して踏んではいけません。 -
海岸に近づくにつれ神様の通られる道の周りはもう人でいっぱいです。
去年は失敗したけど今年はなんとかカメラに収めないとと思い焦ってしまいました。 -
人波をかき分けてなんとか前へ・・・・
そして千葉県から家族連れで来たという信者の人の協力もあって2列目に陣取ることができました。 -
国譲り神話の舞台となった「稲佐の浜」に、しめ縄を張り巡らし、祭壇が設けられ、かがり火が焚かれています。 -
15分くらい前になると神職の方々もお集まりになりました。 -
先程から降りだした雨もだんだん強くなり「大丈夫かいな」という声があちこちから聞こえましたが、千葉から来た信者の方が「神事が始まるときはどんなに雨が降っていても止むそうですよ」とおっしゃっていました。
-
午後7時。
神職の笛の音と共に「神迎え神事」は始まりました。 -
千葉の信者の方がおっしゃたように雨は止んでいました。
「不思議ですね」 -
神の奇跡とはこのことでしょうか? -
祝詞をあげて海から神々をお迎えになっていらっしゃるところです。 -
神秘的な光景は約1時間続き・・・ -
ご一行は龍蛇神を捧げ持つ神官を先頭に「ウオー!!」という何かの遠吠えのような声を発してから出雲大社へ・・・ -
白い布で囲まれた中には八百万の神々が乗り移った「ひもろぎ」と呼ばれるサカキが隠されています。
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稲佐の浜での神事が終わったとたん、人々は争うように注連縄を紐解いてもって帰ります。
魔除けになるそうです。 -
龍蛇神を先頭に出雲大社に向かっているところです。 -
その後を信者たちが続きます。
行列は数百mは続いています。
決して神様を追い抜いてはいけません。 -
旧参道の要所であった「浜の四つ角」には、ご一行を待ち構えている人々がいます。
僕も神様を追い抜かないように、1本道をはずして、ここまで先回りをしました。、 -
流石に神様を目の前にするとカメラを持つ手も震えます。
(もちろん神様に向かってのフラッシュは厳禁) -
チラッと神様が見えました。 -
ご一行は正門大鳥居(通称木の鳥居)から神域に・・・
ここでも「ウオ〜!!」という一声が・・・ -
神様の後に続く信者たち・・雨の中・・足元の暗い中・・
黙々と付いて歩きます。 -
八百万(やおろず)の神々は出雲大社の隣、日本一の大注連縄で有名な「神楽殿」にお着きになりました。
ここはもう人でいっぱい・・
ほとんどが県外からいらっしゃった信者の方々です。 -
神楽殿では千家国造(宮司様)により神迎祭が営まれています。
中に入れなく、横から覗く信者の人も・・・ -
神々の宿舎となる「十九社」
東西にあります。
いつもは閉じている扉も開き、用意は整っているようです -
神官も一人立っていらっしゃいました。 -
神楽殿での奉迎の神迎祭が終わったと見え、白い布で取り囲まれた神々が「十九社」にやってまいられました。
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このとき午後九時過ぎ、神々が「十九社」にお入りになるところです。
これから長い旅路の疲れを癒すため、明日からの神議り(かむばかり・会議)に備えるため、眠りに着かれることでしょう。 -
翌朝9時より、まず出雲大社本殿にて神議り(かむばかり)のお願いをする祝詞があげられます。
-
お仮殿の隣に「龍蛇(りゅうじゃ)神」の奉拝所が設けられていました。
どんなものかと中に入ってみるとお神輿がおいてありました。
(中は撮影禁止です) -
「十九社」の扉は開けっ放しになっていました。 -
「十九社」の内部です。
お供えしてあるのは・・・神様のお食事かもしれません。 -
「上の宮(かみのみや)」
稲佐の浜のすぐ近く、この神社で八百万の神々の「神議(かみはかり)」が行われます。
そして以後連日、最終日までこの祭事が行われます。 -
境内の外では植木屋さんが店を出していました。 -
ここへお参りする人は地元の人がほとんどです。
祭りの最中でも出雲大社と違って観光バスが来ることはまずありません。 -
“神々の国の首都”の王宮が出雲大社なら、こちらの社が国会議事堂に当たるかもしれません。 -
内部を除いてみました。
現代において英語が世界共通語のように、ここでは“出雲弁”で「神議り」が行われていたに違いありません(笑) -
1週間の期間中はお神酒もいただけます。
人々の“しあわせ”の御縁を結ぶ会議、「神議り」がなされるお宮ですから、本当はここにお参りしないとご利益はないと思いますが・・・ -
【神等去出祭】は、ご出立される神々をお送りする神事です。
出雲大社では11月22日に終わり、神様方は大社をおたちになりましたが、しばらくは出雲近辺に留まっていらっしゃるそうです。
本当に出雲をお立ちになるのは11月26日。
斐伊川に架かるこの「神立橋」あたりからです。 -
神立橋の東詰めを北へ5分ほど行くと「立虫神社」があります。
その境内社の万九千社は神々が諸々の神儀が終りいよいよ出雲をお立ちになる前に集まる社です。
そして「直会(なおらい)」という神宴をこの社で行った後各地に旅立たれます。
この神事をカラサデ(神等去出)祭といい、この辺りの地名を「神立ち」といいます。 -
境内の外周りは露店が取り巻いています。
地元の人々は万九千社を親しみを込めて「まんくせんさん」と呼び、ここでの行事が本当の神等去出祭だと信じています。 -
境内の中、社殿の周りまでも露店が・・・
こんなことは出雲大社では考えられないことです。 -
午後五時過ぎ、「立虫神社」の拝殿には信者の人が・・・
目の前の「万九千社」に向き合っています。
どちらも注連縄の向きは出雲大社と反対です。
拝礼も「二拝ニ拍手一拝」と違います。 -
手水舍はないので神職は桶の水で・・・
-
出雲大社は国造以下20名くらいの神職で執り行いますが、ここは3人だけ。
ほんの目の前で神事をつぶさに見ることができました。 -
御簾を下ろし、扉を閉め、その扉を梅の小枝で3回叩き・・・「お立ち〜」と言われるそうですが、声だけは聞こえませんでした。
そして神官の「うお〜!」「ウオ〜!」「うお〜!」と3回の雄叫び(?)の後、八百万(やおろず)の神々は出雲をお立ちになります。
(因みに出雲大社では雄叫びは1回です) -
神官が信者にお祭りが滞りなく終わったことを告げました。
出雲大社の厳粛さ故にどこか近寄りがたい神事とは異なり、庶民的で地元密着型のお祭りにたいへん親しみを感じました。
この後、神職・関係諸氏は神饌(しんせん)をいただき「直会」をされることでしょう。
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この旅行記へのコメント (3)
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- 前日光さん 2010/12/18 11:57:25
- 神事
- おはようございます。
神在月の神事をご紹介くださいまして、ありがとうございます。
この神事については、以前にNHKBSで1時間半に渡って放送されたことがあり、その時に「万九千神社」とか「神等去出祭」のことを知りました。
この神代からの神事が、二十一世紀の現在でも執り行われているという所に出雲の魅力を感じます。
なんでも合理的、機能的になってしまったこの時代に、「国造」という地位というか名称と言いますか、そういったゆかしいものが未だ息づいている出雲、大好きです!
退職後の夢は、まず出雲大社本殿遷座祭を見ること、これが5月ですからその年の11月には、神迎祭と神等去出祭をぜひとも見たいと思っています。
そのために、今から長期計画を練っております。
貴重な神事の様子、興味深く拝見させていただきました。
ありがとうございます。
前日光
- りょしゅうさん からの返信 2010/12/18 15:32:57
- RE: 神事
- > おはようございます。
>
> 神在月の神事をご紹介くださいまして、ありがとうございます。
>
> この神事については、以前にNHKBSで1時間半に渡って放送されたことがあり、その時に「万九千神社」とか「神等去出祭」のことを知りました。
>
> この神代からの神事が、二十一世紀の現在でも執り行われているという所に出雲の魅力を感じます。
> なんでも合理的、機能的になってしまったこの時代に、「国造」という地位というか名称と言いますか、そういったゆかしいものが未だ息づいている出雲、大好きです!
>
> 退職後の夢は、まず出雲大社本殿遷座祭を見ること、これが5月ですからその年の11月には、神迎祭と神等去出祭をぜひとも見たいと思っています。
>
> そのために、今から長期計画を練っております。
> 貴重な神事の様子、興味深く拝見させていただきました。
>
> ありがとうございます。
>
> 前日光
我が家はBSの受信設置はしていないので見ていませんが、「万九千神社」とか「神等去出祭」のことなどは、地元民でもひと年取った者でないと知らないと思います。
それがTVなどで全国に紹介されますから、僕ら以上に詳しい人たちがいても当然ですね。
2012年の古事記編纂1300年、2013年の出雲大社の本遷宮は、きっと全国から今までにないような人出が予想されます。
それに備えて僕も時おり古事記の読み下し文をながめていますが(読まずにながめるだけです)・・・(笑)
そのころまでには、記紀の出雲神話の部分だけでも間違いなく説明できるようになりたいと思っています。
ブログの内容でも、勘違いで間違いを記載していることもあるかもしれません。
そんなときには遠慮なく指摘していただければ喜びます。
ここで1つ訂正させていただきますが、8月21日の前日光さんの書き込みの返事で、須佐神社の宮司さんが素戔男尊の直系だと記しましたが、僕の勘違いで、本当は稲田姫の両親である足名椎命・手名椎命の直系だそうです(このことは須佐神社のガイドさんに教えていただきました)。
訂正させていただきます。
りょしゅう
- 前日光さん からの返信 2010/12/18 23:01:22
- RE: RE: 〜していただければ喜びます。
- りょしゅうさん、この間「秘密のケンミンショー」で島根についてやっていたのですが、その時はたまたま島根県民の言葉遣いについてだったのです。
で、今回りょしゅうさんのコメントを読んでいましたら、本当にそうだったので驚いたり感動したりして、ひとことコメントいたします。
その「言葉遣い」というのは、ここです!
> ブログの内容でも、勘違いで間違いを記載していることもあるかもしれません。
> そんなときには遠慮なく指摘していただければ喜びます。
この「指摘していただければ喜びます。」
という部分は、一般的には「指摘していただければ幸いです」という言い方になるので、テレビで取り上げられたのだと思います。
島根県庁の方が電話の取り次ぎをしている所を中継していたのですが、みなさん「〜喜びます。」と本当におっしゃられていて、へぇ〜と思いつつも、いやいや、テレビのためのヤラセだろうと思っていたのですが、りょしゅうさんが本当に「〜喜びます」と書いていらしたので、妙に感心してしまったのです。
すみません!
言葉に、とても興味関心のある人間ですので、ついついつまらぬことに反応してしまいました。
お気を悪くなさらないでくださいね。
言葉の使い方の習慣って、所変われば。。。ですよね!
前日光
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