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2010年8月6日(金)<br /><br />静かだったパン屋は、急に客が入って来たので、賑やかになる。<br /><br />一人しかいなかった娘さんはパニック状態、と思いきや、ニコニコ、テキパキ対応している。<br /><br />その応対の切れの良さを見ていると気持が良く、偉いものだと感心する。<br /><br />この辺り大学に観光学部が出来たりして、観光客の受け入れに力を入れていると聞くが、その雰囲気が市民全体に広がっているように感じる。<br /><br /><br />私は、ここでパンを買い、隣の部屋にある椅子席でいただこうと、サンドイッチとビールを注文する。<br /><br />「とりあえず席について、お待ちください」<br /><br />と言うので、いったん外に出て隣の部屋に入ると、数人の常連らしい客がいて、落着いた雰囲気だ。<br /><br />天井は漆喰が綺麗に塗られているが、アーチになっていて、その形の美しさに歴史を感じる。<br /><br /><br />運ばれてきたビールは、冷えていて美味しかった。<br /><br />グラーツには美味しいビールの醸造所が二つあると聞いていたが、恐らくその内の一つだろう。<br /><br />サンドイッチの調理を待つ間、再びハプスブルク家のことを思い出す。<br /><br /><br />ハプスブルク家が長く、幅広く存在を続けた第二の理由は、多様な文化に対する理解の深さだったのだろう。<br /><br />ハプスブルグ家は、外国の王家と積極的に婚姻関係を結んだ結果、超民族的な血統を強めた。<br /><br />だが血統だけにとどまらず、多様な民族文化を同化し、自らの文化の幅を広げたのである。<br /><br /><br />ゲルマン、ラテン、スラブ、アジア系と、多くの文化を消化吸収包含し、民族の壁を越えた新たな文化さえ醸成する。<br /><br />マクシミリアン二世(1564~76在位)のごときは、ドイツ語のほかに、ラテン語、イタリア語、フランス語、スペイン語、チェコ語、ハンガリア語に通暁したという。<br /><br />その一方ではしっかりしたオーストリア官僚や軍隊を育て、帝国全体を支える柱を育てたことも見逃せない。<br /><br /><br />横道にそれるが、戦い合ったオスマントルコも、他文化の包含という点では負けていなかったと思う。<br /><br />ただオスマントルコとハプスブルグ家の二大文化の対立が、宗教問題も含めて根強く醸成され、今日に至っていることは残念だ。<br /><br /><br />(この稿は、加藤雅彦著「ハプスブルク帝国」(河出文庫)および倉田稔著「ハプスブルク歴史物語」(NHKブックス)を参考に書きました)<br /><br /><br />写真は「ソフィーさんのマイページ」(訪問54カ国、文章1,590件 写真6,770枚)、にあります。<br />http://4travel.jp/traveler/katase/<br /><br />スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)<br />http://4travel.jp/traveler/takafumi/<br /><br />ブログの作成日順に並んでいる、文章主体の「片瀬貴文の記録」(文章1,650件)<br />http://blog.alc.co.jp/d/2001114<br /><br />(片瀬貴文)<br />

世界遺産の街グラーツ【14】ビールを飲みながらハプスブルグ文明を考える

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2010/08/06 - 2010/08/06

153位(同エリア195件中)

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5

ソフィ

ソフィさん

2010年8月6日(金)

静かだったパン屋は、急に客が入って来たので、賑やかになる。

一人しかいなかった娘さんはパニック状態、と思いきや、ニコニコ、テキパキ対応している。

その応対の切れの良さを見ていると気持が良く、偉いものだと感心する。

この辺り大学に観光学部が出来たりして、観光客の受け入れに力を入れていると聞くが、その雰囲気が市民全体に広がっているように感じる。


私は、ここでパンを買い、隣の部屋にある椅子席でいただこうと、サンドイッチとビールを注文する。

「とりあえず席について、お待ちください」

と言うので、いったん外に出て隣の部屋に入ると、数人の常連らしい客がいて、落着いた雰囲気だ。

天井は漆喰が綺麗に塗られているが、アーチになっていて、その形の美しさに歴史を感じる。


運ばれてきたビールは、冷えていて美味しかった。

グラーツには美味しいビールの醸造所が二つあると聞いていたが、恐らくその内の一つだろう。

サンドイッチの調理を待つ間、再びハプスブルク家のことを思い出す。


ハプスブルク家が長く、幅広く存在を続けた第二の理由は、多様な文化に対する理解の深さだったのだろう。

ハプスブルグ家は、外国の王家と積極的に婚姻関係を結んだ結果、超民族的な血統を強めた。

だが血統だけにとどまらず、多様な民族文化を同化し、自らの文化の幅を広げたのである。


ゲルマン、ラテン、スラブ、アジア系と、多くの文化を消化吸収包含し、民族の壁を越えた新たな文化さえ醸成する。

マクシミリアン二世(1564~76在位)のごときは、ドイツ語のほかに、ラテン語、イタリア語、フランス語、スペイン語、チェコ語、ハンガリア語に通暁したという。

その一方ではしっかりしたオーストリア官僚や軍隊を育て、帝国全体を支える柱を育てたことも見逃せない。


横道にそれるが、戦い合ったオスマントルコも、他文化の包含という点では負けていなかったと思う。

ただオスマントルコとハプスブルグ家の二大文化の対立が、宗教問題も含めて根強く醸成され、今日に至っていることは残念だ。


(この稿は、加藤雅彦著「ハプスブルク帝国」(河出文庫)および倉田稔著「ハプスブルク歴史物語」(NHKブックス)を参考に書きました)


写真は「ソフィーさんのマイページ」(訪問54カ国、文章1,590件 写真6,770枚)、にあります。
http://4travel.jp/traveler/katase/

スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」(文章625件 写真2,400枚)
http://4travel.jp/traveler/takafumi/

ブログの作成日順に並んでいる、文章主体の「片瀬貴文の記録」(文章1,650件)
http://blog.alc.co.jp/d/2001114

(片瀬貴文)

旅行の満足度
3.5
グルメ
3.5
  • 道幅いっぱいに<br />テーブルを並べている

    道幅いっぱいに
    テーブルを並べている

  • この建物も<br />装飾が見事だ

    この建物も
    装飾が見事だ

  • グラーツ市役所の<br />立派な屋根は<br />街の景観を惹きたてている

    グラーツ市役所の
    立派な屋根は
    街の景観を惹きたてている

  • ハウプト広場に驟雨がやって来た

    ハウプト広場に驟雨がやって来た

  • エッケンベルク城に向け<br />トラムに乗る<br />トラムの内装デザインも<br />なかなか凝っている

    エッケンベルク城に向け
    トラムに乗る
    トラムの内装デザインも
    なかなか凝っている

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