2010/06/22 - 2010/06/22
622位(同エリア846件中)
極楽人さん
オルヴィエート滞在の最終日に、チヴィタを訪ねました。
正式名は、チヴィタ・ディ・ヴァニョレージョ (Civita di Bagnoregio)、
「バニョレージョにあるチヴィタ」でしょうか。
CIVITA という場所が他にもあるので、区別するためでしょう。
FRANKFURT AM MAIN や ROTHENBURG OB DER TAUBER と同じです。
チヴィタは、天を突いて聳え建つ姿から『天空の町』と呼ばれています。
外界とは一本の橋だけで繋がる『陸の孤島』であり、
風化による侵食が今も進む『死にゆく町』でもあります。
多くの人々は他の土地に移り住み、現在の住民はわずか20人とか。
哀しい末路を待つ、掛け値なしの"絶景"です。
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- 中国国際航空
-
オルヴィエートからチヴィタ方面へ行く路線バスは、
旧市街(丘の上)にあるカーエン広場から出発します。
停留所は、フニコラーレ駅を背にして右前方、駐車スペースの横にCOTRAL社の青いバスが止まります。
チケットは中央通りのタバコ屋で、片道2.4ユーロ/人。面倒なので、二人の往復分計4枚を買っておきました。 -
路線バスはチヴィタまでは行かず、
『バニョレージョ(Bagnoregio)』という町が終点です。そこからは歩きか、別のバスで向かいます。
12:45発のバスは、お客4人を乗せて出発しました。
オルヴィエート鉄道駅を経由し、
城壁下の道から一路バニョレージョへと方向を変えます。
バスの本数は少なく、
特に『日帰り観光』に使えそうなのは、
往路が、07:50、12:45、13:55、
復路は、14:25、17:25 くらい。日曜日は運休です。 -
行程は約1時間。
直線距離なら10数キロと思われますが、いくつかの丘と谷を曲がりこんで進むので、時間がかかります。
バスはウンブリア州から南側のラツィオ州に入りますが、景色はそんなに変わりません。
ゆるい傾斜の、畑や牧草地が続きます。 -
崖沿いの停留所。
突然、視界が開けて『チヴィタ』が顔を見せました。
あっ、と思う間にバスは動き出し、この写真が精一杯。石の手すりの向こうを覗きたかったのですが・・・
ここは、バニョレージョのひとつ手前の町でした。 -
このあと道は崖の内側に入り込んで、
チヴィタは姿を見せません。
ずっとカメラを構えていましたが、
チャンスはとうとう来ませんでした。
見たいものが、なかなか見られない"じれったさ"。
今度はトラクターが邪魔をして、バスはノロノロ運転になります。
チヴィタの思わせぶり、なかなかやります。 -
バニョレージョに着きました。
路線バスはここまでです。
右下の平屋が、インフォメーションを兼ねた売店です。
立ち寄ると「日本の旅行者には特別に10%オフ」と。
ためしに「韓国からなんですが」と言うと、
「同じだよ」の返答でした。
気に入った絵葉書を2枚、10%OFFで買いました。
道は、右側の一段高くなった家並みに入って、街の中心へと続きます。 -
5分ほど歩くと、バニョレージョの広場に出ます。
ここが町の中心と思われます。
人通りがなく、道を尋ねることも出来ませんが、
標識が出ていて助かりました。
ここを真っ直ぐ、で間違いないようです。 -
更に歩くこと10分、突き当りの黄色い教会の横に、また標識がありました。
道を右に折れて、下ってゆくようです。
指示に従って、崖際の道を辿ってゆくと・・・ -
こんな景色が眼に飛び込んできました。
まさに『天空の町』です。
写真下の屋根はバニョレージョ側の民家です。
その向こう、深くえぐれた町を形成しています。 -
チヴィタを外界と繋いでいるのは、この一本の橋だけです。
文字どおり、『陸の孤島』ですね。 -
これはお店で買った『絵葉書』です。
数年前、はじめてこの町のことを知ったのも、
こんな"古い写真”からでした。 -
私の写真を一枚、モノクロに加工して比較すると・・・
橋が新しくなって、ちょっと風情がなくなりました。
建物も、きれいに手入れされたようです。
全体に"ふっくら"感がなくなって、痩せた感じです。
風化が進み、今では『死にゆく町』とも言われているそうです。住人は20人までに減ったとか。 -
新しい橋を渡ります。
きっと予算が足りなかったのでしょう。
日本の街の"歩道橋"に似た味気ない造りですが、
安全は保たれているようです。
橋の長さは300m、幅2.5mくらい。
こちらからは急な上り勾配になっています。
住民は、買い物に出るのもたいへんでしょう。
煙草は、買い置きしかないでしょうね。 -
ここが入口。
他の旧市街と同じく、町は城壁に囲まれています。 -
これは、城門を町の中から見たところ。
人影はまばらで、欧米系の観光客がそぞろ歩く程度。
観光客には、やはり、ちょっと不便ですか。 -
城門の内側には、町にただひとつの広場があります。
自慢のドゥオーモは鋭意"修復中"。
一応、夏の本格観光シーズンに備えているのでしょう。
お土産屋さんと食堂が数軒だけの町。
細々とした観光が頼みになっているようです。 -
ドゥオーモ広場を、別の角度から。
一本橋は車が通れません。
町で、自動車を見かけることはありませんでした。 -
散策するといっても、
百メートルも進めば、町はずれの壁にぶつかります。 -
ひっそりとした路地には、かすかな生活の匂いも・・・
-
きれいに暮らしている様子がうかがえます。
-
観光といっても、町の中はこれくらいです。
-
猫も、手持ち無沙汰で・・・
-
町のあちこちに自然の"展望台"があって、周囲の谷が一望できます。
この一帯の地層はもろい凝灰岩でできていて、雨や風に侵食されやすい・・・
と、これはガイド記事の説明です。 -
一見、のどかなで美しい風景ですが、
住民にとっては死活問題の『風の侵食』。
静かな崩壊が、今この間にも進んでいるのです。 -
崖下へ続く道、
ここはもう通れなくなっていました。 -
広場から少し歩いたところに、一軒のオリーブ農家があります。
「3000年前の洞窟で、500年前からオリーブ油を作っている」そうで、内部にはロバに引かせたという石臼(写真)が残っています。
ここで、軽い食事がとれます。 -
地元の、少し黄味がかった白ワインをいただきます。
石の床にテーブルが少しガタつきますが、
それより隣席のドイツ人グループがやかましくて気になります。
蝋燭照明だけの、せっかくのいい雰囲気だったのに。 -
料理の注文は、妻の担当です。
トリュフのなんとかとチーズのなんとか、
どちらにも、自家製オリーブオイルをたっぷりかけて食べます。 -
こっちが、チーズのなんとか。
それにしても、面倒な料理の名をよく覚えるものです。
乗り継ぎ駅やホテルの場所など一切覚えないというのに。
ガイドブックではいつも、
私が"読み飛ばす"部分が、妻の"気になる"部分です。 -
ワインをお代わりすると、
洞窟の隅の樽から、ご主人が汲んできてくれます。
お店を紹介した、日本の古い雑誌も見せていただきました。
ここは、ご夫妻と息子さん夫婦の4人でやっているお店です。 -
最後にお土産、これも妻の担当です。
ビンより安全だからと、
"缶入り"の自家製オリーブオイルを数缶いただいて、
運ぶのはもちろん私の担当です。
いつの場合も、"重さ"は考慮されていません。 -
午後4時過ぎ、
そろそろ帰ろうかと城門まで来たところで、
なんと、日本のツアーが到着しました。
静寂の町が、時ならぬ賑わいに満たされます。
「貸し切りバス」の威力は絶大です。
不便も面倒も関係なく、
何処へでも軽々と入り込んできます。
皆さんに軽くご挨拶して、一本橋を下り始めました。 -
ところが、
橋の中ほどでもう、今のツアーに追い越されます。
歩きながらお話を伺うと、
バニョレージョ側の橋のたもとでバスを降ろされ、
「10分で戻って来てください」と言われたとか。
「ここだけではない!」という慌しさに、相当ご不満の様子でした。
メニューの多いツアーは"旅館の夕飯"と同じで、
お皿の数だけで勝負する傾向があるようです。
街から街へと大急ぎで駆け抜ける素通りツアーは、
"カタログの実写版”だと割り切った方が無難でしょう。 -
さて、これはバニョレージョの高台からのショットです。
雲が陽射しをさえぎると、
チヴィタは一瞬、寂しげで孤独な表情を見せます。 -
季節ごとの草花は変わっても、
滅びゆく宿命は変えられません。
時間の経過とともに近づく崩壊の日を、
ただ静かに待つばかりです。
この絶景ポイントは、丘の上のレストラン。
チヴィタへ向かうとき右折した黄色い教会の道を、
真っ直ぐに進めばここに到達します。 -
これはチヴィタで買った、もう一枚の『絵葉書』。
冬の朝でしょうか、
雲の上に孤高の島が浮かび上がっています。
通りがかりの旅人にはまず見ることが出来ない、
『天空の町・チヴィタ』の雄姿です。 -
丘からは、隣町の崖が見えています。
往路、一枚だけ写真を撮った停留所の崖です。
一本前のバスであそこまで、とも考えましたが、
バスはもう最終便しかありません。
絶景は、いつもつれないものです。 -
COTRALのバス停まで歩いて戻りました。
チヴィタを往復するというバニョレージョの市内バスは、
とうとう見かけませんでした。 -
最終バスは17時25分発。
我々を入れた三人の乗客を乗せて、バニョレージョの町を定刻に出発しました。
これからオルヴィエートの丘に戻り、
予約しておいたトラットリア『ラ・パロンバ』で"最後の晩餐"をします。
ここまで一緒だった妻は、今日が旅行の最終日。
明日の夜、ひと足先に日本へ戻ることになっています。
明日はいったんローマに出て、今度は一人旅を始めます。
(完)
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