1994/04/14 - 1994/04/22
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kojikojiさん
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ローマでの週末の食事会の翌日はアエロフロートで知り合った長野の女性と郊外の日帰り旅行に出掛けました。彼女はイタリア人の恋人を追いかけてローマに来たと言っていたが一緒に遊んでいて良いのだろうか心配になりました。待ち合わせのテルミニ駅に時間通りに集合して、最初はオルテに向かいます。中世の山岳都市として学術的には貴重な城砦都市ですが、観光的には何も無いに等しい所でした。駅前からバスも無く、駅員さんに尋ねると親切に知り合いのタクシーを呼んでくれました。あても無く町を散歩して帰りの時間になり、バールに行くと違うおじさんが迎えに来ていました。タクシーの運転手は都合が悪くなったようです。駅に戻ると運転手さんも戻ってきてオルヴィエートに行く列車まで見送って握手までくれました。町より人々の優しさが印象に残ったオルテ訪問でした。毎日ローマ市内を歩き詰めていた後にこのような出会いはホッとします。
オルテを出て30分程でオルヴィエートに到着しました。以前の旅で通りかかっていつかは訪問したいと思っていた山岳都市です。駅前から山頂までのケーブルカーは混んでいましたが、そこから中心地までのバスは空いていました。天候はあいにくの小雨でしたが、小さな町なので観光に支障はありませんでした。ちょうどフィガロでローマ周辺の特集が組まれていたのでその情報が役に立ちました。ちょうどお昼時で入ったレストランは美味しい上に店の主人も親切でした。オルヴィエートの白ワインを飲んで、ラベルを剥がしてと頼んだら新しい物を2枚持ってきてくれた上に、地下にあるエトルリア時代の洞窟まで見せてくれました。
面白かったのはF1の岡山のグランプリが開催された日で、バールに立寄って地元の人と一緒に観戦しました。シューマッハが1位、ベルガーが2位でした。イタリアの片田舎で日本で開催されているレースを見るというのも不思議な気分でした。
午後はオルヴィエート名産のエトルリアスタイルの黒い陶器を見に工房巡りをしました。家族で経営している窯元が気に入って数点購入しました。ここも地下に作業場とワインセラーになっているエトルリア時代の洞窟があって、中を見せてもらったりワインをいただいたり楽しい時間を過ごしました。夕食もオルヴィエートで食べて、店にタクシーを呼んでもらって、何とか日付が変わる前にローマに戻れました。本当に楽しい郊外の一日旅行でした。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 航空会社
- アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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ローマの輝美に駅から電車に乗って、オルテという小さな村に行きました。ただでさえ観光するものは何もない村の日曜日は更に静まり返っていました。
駅員さんも日本人が2人何しに行くのだろうと思ったに違いありません。駅前にタクシー乗り場もバス乗り場も無く、親切に知り合いのタクシーを呼んでくれました。 -
町には小さな広場とバールが1軒、レストランも無いようなところです。ただ、誰もいない美しさを満喫しました。同行した女性はイタリアについても詳しく、アンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」という映画を観て、サンガルガーノの廃墟になった修道院にも行っていたほどです。
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そんなタルコフスキー好きの2人には小雨の降るイタリアの小さな山岳都市は、そこにいるだけで大満足できることでした。ハリウッド映画も好きですが、他にも良い映画はたくさんあり、浅学でもいろいろなことを知っていると旅の楽しみは広がるなとつくづく思います。
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モスクワ郊外を旅していると「アンドレイ・リュブロフ」が頭に浮かび、北極海近くを飛行機で飛んでいても「惑星ソラリス」の海に見えてくるし、今日のような湿度の中でこんな場所にいると「鏡」や「ノスタルジア」を語るにはもってこいの場所です。
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帰りのタクシーの待ち合わせまで時間があったのでバールでお茶をしていると教会から沢山の人が出てきました。結婚式だったようです。どうりで道を歩いていても人に出会わない訳です。迎えに来てくれた運転手は行きと違う人でした。
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オルテの駅ではお世話になった駅員さんとタクシーの運転手さんとおじさんに見送られてオルヴィエートに向かいます。いつも不思議に思いますが、旅先で出会う人のすべてが親切な方なのは何故だろうと思います。そんな星の下に生んでくれた両親に感謝します。
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オルヴィエートの駅はフィレンツェとローマの間にあるので、何度か通過したことがありました。いつかはと思いながらようやく来ることが出来ました。鉄道駅からはケーブルカーで山麓まで登り、中心部まで行くバスに乗り換えます。
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大聖堂を見ているとローマよりフィレンツェの文化圏に近いような気がします。オルヴィエートはローマ時代より古いエトルリアの都市があったところで、今でも地下に遺跡がたくさん残っています。個人の家で倉庫やワインセラーに使っているのが面白い所です。
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丘の上のオルヴィエートの大地から周辺を見渡します。美しいウンブリアの景色が広がります。古くからエトルリア人が住んでいましたが、紀元前280年ごろにローマ人に攻め落とされ近隣に散逸してしまいます。
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以来この街を「ウルブス・ウェトゥス 」(ラテン語で「古い町」の意)と呼びましたが、訛ってオルヴィエートと呼ばれるようになったといわれている。 「ウルブス・ウェトゥス 」なんて、「天空の城ラピュタ」の呪文のようにも聞こえます。
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オルヴィエートは路地が楽しい街で、関節の動く陶器製のボディに美しいレースの洋服を着せた小さい赤ん坊の人形とか可愛らしいものが売られています。エトルリア時代のデザインを真似た黒色の陶器も素晴らしいです。
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轆轤の技術の高さが気に入った一軒の工房にお邪魔しました。家族4人で経営しているとの事で長男が作品を造っていました。
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地下に工房があるので見せてもらいました。大皿が当時で40,000リラ(2,500円)と破格の安さだったので、真っ黒い大皿を2枚とゴブレットの大きい物を買いました。日本だと軟陶(なんとう)と呼ばれるような陶器なので、割れないか心配でしたが、無事ローマまで持って帰り、日本でも現在まで割れずに使えています。
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工房の更に地下は自家製のワイン貯蔵庫になっていました。これもエトルリア時代の遺構です。この後みんなでワインを飲んで歓談したのは言うまでもありません。オルヴィエート産のワインを日本で飲む機会もありますが、この時のことを思い出します。
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小さい町なので直ぐに大聖堂に出てしまいます。13世紀末から14世紀半ばにかけて建造され、着工当初はロマネスク様式でしたが、最終的にゴシック様式の教会として完成します。その後も増改築が続けられた。ファサードはモザイクで描かれた「聖母の戴冠」と破風(はふ)と繊細な彫刻が施されたバラ窓の美しさで知られ、イタリアでも屈指のゴシック建築の傑作とされます。子のファサードはシエナの大聖堂と双璧の美しさだと思います。
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二重螺旋構造になっているので上り下りがスムーズに出来る「サン・パトリッツオの井戸」です。イタリアの諺では浪費家のことを「サン・パトリツッオの井戸のようなポケットを持つ」と言うそうです。信じられないほどの深さで息が詰まりそうになります。 直径13メートル深さ62メートルという大きな井戸で、下まで降りると息が詰まりそうな気がします。
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二重螺旋構造はレオナルド・ダ・ヴィンチが発明したと言われ、フランスのロワール渓谷の古城を十数か所廻った旅ではシャンボール城で螺旋階段を見たときにこの井戸のことを思い出しました。
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お昼を食べたレストランも夕食のレストランも地下はこんなワイン貯蔵庫になっていました。この中全部がオルヴィエートのワインと言う訳です。
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どこの店も気持ち良く地下を見せてくれます。というかご自慢のようでした。
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昼からずっと酔っ払ったままのオルヴィエートの旅でした。どこのレストランも美味しいこの町にはいつか宿泊もしながら再訪したいと思っています。そんなことを考えながらレストランでタクシーを呼んでもらい、店の人に見送られながら駅まで戻り、ローマにたどり着いたのは深夜でした。駅の東口まで彼女を送り、自分の泊っているホテルに着いたら日付が変わっていました。その彼女とは帰国の便も同じでした。何年か手紙のやり取りをしていて、ある年の正月に成田空港の出発ロビーでバッタリ再会したことがありました。彼女はロンドンで私はコルチナへのスキーでウィーン経由ヴェネツィアでした。最終の塔定口まで見送りましたが、その後はどうされているか分かりません。フリーのジャーナリストの方とは25年年賀状の交換は続いています。
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