金沢の秋【15】白川郷より白山スーパー林道へ

2009/11/01 - 2009/11/01

2009年11月01日（日）

合掌造りに家々では、主に養蚕が行われていたが、床下では煙硝も作られ、労働集約的複合産業が営まれていた。

合掌造りの力学的合理性、自然順応力、大家族制度との適合など総合して、その文化の高さは素晴らしいと、先祖たちの知恵に感心する。


白川郷で興味深かったのは、合掌造りの背景にある「家族体制」だった。

一家族は三〜四十人で構成されている。

結婚できるのは長男だけで、次男以下は一生家族の一員でありながら、結婚できない。

合掌造りには、そのような構造を要請する社会背景と自然背景があり、建築というハードと生活習慣というソフトが相寄りながら、しっかりした固有の文化を形成した。


1935年にやって来た、名著「日本美の再発見」の著者でドイツ人の建築家ブルーノ・タウトが、「合理的かつ論理的な独特の構造」と称賛したのも、素晴らしい見識だったと思う。


五箇山・白川郷は、今年2009年に初めて発行された「ギド・ミシュラン・ヴェール・ジャポン」（フランス語）の、三つ星となっている。

フランス人もここに、日本文化のユニークな原点の一つを発見したのだろう。


白山スーパー林道は、白川郷のすぐそばから入ることが出来る。

沿道の渓谷美や、白山、立山などの展望が素晴らしく、大阪から日帰りでやってくることも可能となった今、人気の観光地となった。


本日は雲や霧が濃くて、眺望は無理だったが、雨ならではの佇まいを楽しんだ。

しかし、「大切な自然にえらい傷をつけてしまったなぁ」との悲しさも、何度か胸に去来した。

エリア 白川郷(岐阜)

合掌造りの中心
囲炉裏

合掌造りにふさわしい
堂々とした釜

合掌造りの床下では
煙硝も作られた

合掌造りは
しっかり組まれている

合掌造りの生活を支えた
什器類

合掌造りの里の
時雨

合掌造りの
屋根の構造

合掌造りの
一風情

「いろりの喫茶店」

合掌造り
屋根の構造

合掌造りには
柿が似合う

紅葉と
合掌造り

色づいた山々に
静かに時雨が注ぐ

白山スーパー林道
沿線風景

白山スーパー林道
沿線風景
（ふくべの滝）