2009/05/01 - 2009/05/06
350位(同エリア1019件中)
山菜迷人さん
○プロローグ
中国で最も貧富の差が大きいといわれる雲南省だが、その最大の理由は文字が読めないことにある。1999年の調査ではあるが、中国全体で文字の読めない人が16%いるといわれている。男女間で有意差があり、男9%に対し、女22.6%と5人に一人以上の女性が字を読めない。雲南省はさらにひどく、25.5%の人が字を読めず、特に女性では34.2%と3分の一以上の人が字を読めないのである。
人は、一般的に文字を利用して思考する。その文字が読めないということは、知識を蓄える手段を持たないということであり、それはそのまま、現代社会を生きていく知恵、豊かな暮らしにつながる知恵を身につけることができないということである。だから、彼らは貧しい。日本の義務教育制度のように、子どもに必要な教育を受けさせる義務を社会的に認めることが必要だと僕は思う。
それでも今、中国は世界経済をけん引している。この底力は何処から出てくるのか・・・。
1.世界遺産「石林」へ
ホテルで石林ワン・デイ・ツアーの観光バスを予約したはずだったのだが、来たのはトヨタのエスティマのようなワンボックスカーだった。通訳をお願いした雲南大学日本語学科のIさんに確認してもらうが、もともとバスではなく、観光タクシーを予約していたという。担当したフロントの女性は、今日、出勤しておらず、確認ができない。
「まあ、良いか。」
「バスより、融通が聞いていいでしょう。」
「Iさん料金を確認してください。」
「今から夕方ホテルに着くまで、高速料金なども含めて800元と言っています。」
日本円に換算すると13千円くらいである。3人分の料金とすれば、一人当たり4千円ちょっと・・・。
「いいでしょう。それでお願いしましょう。」
というような、ひと悶着があったが、車は無事に石林に向かって出発したのである。運転手の20代と思しきお兄さんは、不安そうに成り行きを見守っていたが、お願いすることにしたらにっこり笑って「謝謝!」
片道2時間弱の行程なのだが、例によって、クラクションを鳴らしまくりながら、
「パパパパパパ!(おりゃぁ!どかんかいボケ!)」
「パーーーーーーー!(何モタモタしてんねん!)」
「プップー!(チャンと見とんのか!)」
どうもクラクションの鳴らし方で、何か会話を交わしているようにも聞こえてくる。30分も乗っていると日本で一年間に僕が鳴らす回数くらい、運転手の兄さんはクラクションを鳴らすのだった。
郊外に出ると埃を巻き上げながら行く大型トラック、荷物を満載したスピードの出ない三輪自動車(エンジンは農業用の耕運機のような音がし、荷物を積んでいなくてもスピードが出ないようだった)、軽トラックに乗用車が入り乱れて、騒然とした地道を行く。
「Oさん乗用車で正解だったですね。この道を観光バスで走ってたら大変だったでしょう。」
「そうですねぇ。10年ほど前に行った時より道は多少良くなってますけどひどいですね。」
中国は車が右側を走るのだが、追い越しするときには歩道にはみ出そうが、反対車線にはみ出そうが平気なのだ。こっちは人をはねやしないかとか、対向車と正面衝突しないかと気が気ではない。そんなハラハラドキドキの時間を過ごし、石林に12時前に到着。
まずは腹ごしらえ!雲南省は昆虫食文化の国でもある。店先のショーケースの中にイナゴ、蜂の子、竹虫が大皿に盛られて並んでいる。日本にも昆虫食文化がある。僕の田舎では、稲刈りのころ祖母がイナゴを獲って佃煮を作ったり、蜂の巣を見つけると幼虫だけを取り出して焙烙で炒って食べた。また、薪割をしていると鉄砲虫と呼ぶ白い小指ほどのカミキリムシの幼虫が出てくることがあるが、それも喰ったような気がする。海なし県の長野や群馬ではこれも貴重なタンパク源だったのだ。
OさんやIさんに昆虫食の習慣はなく、したがって、今日のランチは普通にこの辺りでとれる野菜中心となった。
腹ごしらえを済ませ、いよいよ雲南省石林地質公園へ。昆明の南東約82キロ地点にあり、総面積400平方kmのカルスト地形が広がるこの公園は、石の柱が遠くから見ると樹木のように見えることから「石林」と称される。中国の四大自然景観の一つであり、1982年に中国国務院が認可した国家級重点風景名勝地の一つでもある。また、2004年2月には最初の世界地質公園に選ばれている。
地質学者に聞いたところ、石林が形成されるには4つの偶然が一致するというめったに起こりそうもない出来事のおかげだそうだ。一つは、2億5千万年前に海底で形成された石灰岩が間欠性の連続隆起を経て海面に顔を出しさらに高原にまで成長したこと。二つ目、石灰岩が隆起するときに石壁に縦横向きに網状に生じた割れ目に雨水が浸透することによって一本一本独立した石柱となり、早期に石林を形成したこと。三つは、ペルム紀(今から約2億9,000万年前から約2億5,100万年前までを指す地質時代)晩期にこの一帯に火山の噴火が頻繁にあり初期の石林が冷却した火山溶岩の玄武岩に覆われたこと。そしてペルム紀から中生代の長い年月を通し石林は一貫して玄武岩に覆われながら隆起を続け、その過程で玄武岩は浸食されて薄くなっていったものの石灰岩が育まれ保護された。新生代に入るとほとんどの玄武岩は浸食され初期の石林が再度地表に露出し、新たな進化が始まったこと。四に、5千万年前の始新世にヒマラヤ造山運動の影響を受けたことによって、大規模な内陸山間湖が形成され、水の流れが彫刻刀のように天然の芸術的加工を施したこと。
何だかとてもすごい話で感動を実感できないが、さらに驚くべきは、この荒々しい地形に生きてきたイ族の支系のサニ人のたくましさである。こっちはとてもわかりやすい。サニ人のたくましさは、迷路のような石の林を自分の庭のように把握しており、ガイドとして活躍していることに表れている。僕なんか、ほんの2時間ほど石林の中を歩いただけなのに、何度迷子になりかけたかわかったもんじゃない。もちろん、刺繍製品を観光客に売りこむ粘り強さにもね。
公園の中にサニ人の村があり、民族衣装をまとった女性が石林の中から突然現れたり、木立が途切れたと思ったら田んぼがあって、水牛を使って田おこしをしていたり、石畳の道の曲がり角の向こうから、村人が歩いて出てきてフォトジェニックな雰囲気を感じたり、多くの感動をもらった。こういう圧倒的な自然の圧力を前にすると、人間の無力さを感じるなぁ。
午後3時半、名残惜しさを感じながら石林を後にした。
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上段右は蜂の子、真ん中は竹虫、左はイナゴである。中国雲南省は昆虫食という食文化を持つ。
日本でも、長野や、群馬では蜂の子を喰うという食文化がある。僕も群馬県出身であり、季節がくると蜂を追いかけて蜂の子を獲って喰った記憶があるし、イナゴの佃煮や鉄砲虫と呼ぶ大カミキリムシの幼虫なども喰った記憶がある。 -
店先はのどかなもんだ。
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このお姉さんがなかなかのしっかり者で、日本人と見るや日本人価格で説明してきたのだが、Oさんが中国語で反撃。通常価格で食事することができた。
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一品目:白いキノコの入ったスープ
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二品目:ハムと玉ねぎの炒め物
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三品目:高菜の炒め煮かな?
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四品目:キャベツの唐辛子炒め
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五品目:小松菜のような?同じく唐辛子炒め。
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調理を前にご満悦のOさん
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観光客を捕まえてガイドの押し売りをする女性たち。この子たちは意外とあっさり引き下がったけど、しつこく着いて来る子もいて、振り切るのが大変だったりする。
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相変わらず、カラフルな土産物屋の店先。赤が目立つ。
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入場券を買って入場ゲートを通過
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石林公園の解説。石に書かれているところがいかにも石林ですね。
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橋を渡って公園の入り口にあるモニュメントの前で記念撮影
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ガイドの女性。疲れたのかうつむき加減。
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石林公園の全体図。手前の顔が映っているのは、今日のガイドをお願いした雲南大学日本語学科のIさん。
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石畳の道と湖。その向こうには奇岩風景が広がっている。
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木立の中に塔を発見。画面下部に三角形の帽子をかぶった女性が草取りをしている。
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中央に縦長の空洞ができた石の壁
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民族衣装で記念撮影
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公園の中では、広場ごとに少数民族の人たちが楽器を奏で踊る。休憩中に談笑する人たち。
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男性の記念撮影では鳥の羽が冠のように飾られていた。
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こちらの女性は赤い花を背負って記念撮影
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大きな岩の衝立に石林の文字。下から見上げる人の様子からその大きさが分かりますよね。
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よこしまな人の頭上にはこの石が落ちてくるとか・・・
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ホントに落ちて来そうでドキドキ!!
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岩の上にこしらえてある展望台まで登り写真を撮る。奇岩地帯がずっと向こうまで続いているのが分かる。
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上に見えているのが展望台
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岩のトンネルを潜り抜ける
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上を見上げると・・・いくら見ても不思議だね。
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別の広場で楽器を奏で踊る。銜え煙草で三味線の胴の部分が木の筒でできた楽器を弾く。
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踊る姉さんたち。後では観光客も一緒に体を揺らす。
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草笛を吹くおじさんの真似をして一緒に一枚
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踊るお姉さんにカメラを向けたら恥ずかしそうに視線をそらせた。
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「はい、休憩!!」
鼻の頭ににじんだ汗をぬぐう。 -
「ごめんなさい。落ちそうで。」
「下、通って大丈夫?」
「たぶん大丈夫・・・」 -
緑の草原と灰色の石林
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サイクリングの途中か黄色い自転車が見える
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地元の少女
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公園とはいえ、もともとそこには人々の暮らしがあった。今でも、公園の中に、少数民族の村があるのだ。
村の入口あたりで掃除をしながらおしゃべりしている村人。 -
黒ヤギさん
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白ヤギさん
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日本の鶏とは少し色や姿が違う。
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直径1cmに満たない何かの球根。玉葱っぽいのだけれど・・・。篭に入れて天日に干されていた。
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石の林を抜けた。
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良い雰囲気でしょう。顔の表情は見えないけれど、美人に違いない。
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石畳の道
石林公園の中にある集落 -
村では田おこしが始まっていた。大きな水牛を使って働く村人
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水牛が引く鋤の上に上手に飛び乗った。
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田んぼはかなり深いようで、水牛の脛まで沈む。水牛のお尻のあたりの動きを見ると、かなり力が入っているねぇ。
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水牛の動きに見とれてくどいようですがもう一枚。
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茶色に濁った水を跳ね上げながら田んぼを耕す水牛の姿が美しい。
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公園の出口にはまたもや土産物屋が並ぶ。
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何だかわからない食材(?)が売られている。
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最後の〆は美しい写真で!!
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この旅行記へのコメント (2)
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- がんもさん 2009/06/27 19:38:15
- 水牛
- すごい働きっぷりですねぇ。
ただでさえ、足元がぬかるみなのに
人をひとり乗せて引っ張って。
そして物売さんの写真を見て
以前、上海に行った時、観光バスの中まで追っかけて
物売にきた人がいたことを思い出しました。
なんだか不思議な国・・・中国
でも生活が成り立っていくんだなぁ。
がんもより
- 山菜迷人さん からの返信 2009/06/29 18:03:25
- RE: 水牛
- > すごい働きっぷりですねぇ。
>
> ただでさえ、足元がぬかるみなのに
> 人をひとり乗せて引っ張って。
淡々と田んぼを耕していく姿を見ているのは飽きないですね。僕が子供のころ、そう40年くらい前、日本の農村にも同じような姿があったと思います。ものすごく、かすかな記憶で、自分の体験かどうか自信がないところもありますが
(・_・;)
>
> でも生活が成り立っていくんだなぁ。
>
そうなんですよね。食費が安いからだと思いますが、不思議です
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