2009/05/01 - 2009/05/06
223位(同エリア508件中)
山菜迷人さん
1.プロローグ
5月1日、国際的には労働者のお祭り、メーデーが挙行されている。世界各地で労働者の権利を守れと大きなムーブメントが起こっているのかいないのか、そんな事とは無関係に僕の旅が始まるのだ。
中華人民共和国、一般的に中国と呼ばれ、世界4大文明の一つ黄河文明発祥の地でもあり、「中国四千年の歴史」などといわれるように、日本よりもはるかに長い歴史を持つ国である。といっても、最近では4大文明以外にも古代文明が栄えた地域があることがわかってきており、そういう言い方もしなくはなっているのだけれど・・・。それに、中華人民共和国自身は1949年に中国共産党によって建国された新しい国でもある。そんなわけで僕の中では、中国とは古くて新しい国というイメージが出来上がっている。
その中国は雲南省昆明に、僕の10年来の友人であるOさんが「終の棲家を見つけた。」と連絡してきたのはちょうど1年半ほど前のことだった。それがいつの間にやらOさん流の人脈づくりが進み、この8月には日本料理の店を開くのだという。そのOさんからの頼みで、蛇の目傘とキッコーマンの本だし、それに、僕のお袋が作った梅干し、味噌などを持って昆明への旅がスタートしたのだった。
今回の旅は、全くの一人旅で、言葉の問題は多少気になるけれど、いつもの調子で行ってしまえば何とかなるさとばかり、往復の航空券と帰りの上海でのホテルだけ予約して、後は昆明のOさんにおまかせで、とりあえずMendozaのGHQというシリーズの無骨なバックに荷物を放り込んで、岡山空港に向かったのだった。
岡山空港では、思いがけず青木トラベルのA社長が見送りに来てくれた。出発前のわずかな時間だったけれど、A社長の心づかいに感謝。
2.最初の躓き
岡山空港で搭乗手続きをしようと受付に行くと、「(中国東方航空の)担当者を呼びますからしばらくお待ちください。」という。いきなりのことで何が起こっているのか、全く分からないまま、「数々の悪行がばれて中国当局から入国が拒否されたのか。」「否否、入国を拒否されるような悪行を重ねたような事実はないぞ。」「では??」てなことを考えながら待つこと1分28秒(くらいだったと思う)、なかなか美形の女性二人がやってくる。
「Mr.の乗る予定だった上海虹橋空港発MU5810便は飛ばないことになったので、換わりに上海浦東空港19:05発MU748便を確保しました。」という。なるほどそういうことか。有無を言わさず、変更してしまうというのが中国流だ。日本ならば、飛ばなくなった経過が説明され、いくつかの選択肢を示しながら、「MU748便を選ぶのが賢明でしょう。」という気分にさせるよう誘導していく。そのあたりが中国流との大きな違いになるだろうね。
浦東空港から虹橋空港への移動がなくなったのだからかえって好都合だと考えることにしよう。そう言い聞かせたのだけれど、その時は、それがさらなる問題を生むことになるとは考えもしなかったのだ。
3.混迷の昆明「ここはどこだ?」
5月1日、昆明は最低気温14℃、最高気温28℃、平均湿度64%、露点温度13℃、風速15km/h、天候は雨。夜になって、雷雨に強い突風が吹くという荒れ模様だったということは後日判明したことだ。
そんなこととは知らず、岡山から上海までの区間は、機内食が配られたときに目が覚めて、豚肉の入った八宝菜のようなおかずと茹でキャベツがご飯と一緒に盛り付けられたのを肴にビールを飲んだ時間以外はほとんど爆睡状態だった。
また、浦東空港では国内線の待合室はほとんどが中国人で、話し相手もいないから、日本から持っていた旅行に役立つ中国会話辞典を読んで時間を過ごし、たまたま、大阪からシャングリラをめざす6〜7人の団体がいて中に中国語が多少解るらしく、時々、放送内容を通訳しているのに聞き耳を立て、どうやら僕が乗る飛行機と同じ便で昆明に行くらしいということがわかったので、何気なく彼らの近くで行動をチェックしていた。
どうやらフライトの準備ができたようで、彼らが搭乗口に移動し始めたので僕も後に続いてバスに乗り込む。そして、かなり遠くにとまっている中国東方航空MU748便に乗り込んだのだった。
僕の席は12F、翼の付け根あたりの窓側の席だった。隣は中国人の30前後と思しき小柄な男性。独特の体臭があり匂いが鼻についてかなわない。僕は、「戌年なので鼻が良い。」ということではないのだろうが、元来鼻が良く利く。ちょっと辛いね。でも、狭い機内、言ってみたところでどうしようもないので、「我慢我慢」と自分に言い聞かせて、眼を閉じる。
予定通り19時5分に、ヨッコラショと重そうに離陸。15分もするとすぐに機内食が出てくる。キャベツが菜の花芽に変わり辛さが加わったようなメインディッシュにご飯、これを食べてしまう頃には夜の帳に包まれ、窓の外は何も見えない。膝かけをもらって、肩までかけて目を閉じる。
うとうとしていると強い振動で目が覚めた。機内放送でも大気が不安定だから揺れるので注意しろとか言っている。ちなみに、中国語は何を言っているかさっぱりわからないので、英語の方を聞いたんですね。
日本の英語教育は問題だらけで、中学から大学2年まで8年も勉強したけれど、実用的にはほとんど役に立たないのだけれど、さすがに長いことやっていただけのことはあって、何となくわかるから不思議なもんだ。
さらに、気になる一言が・・・どうも着陸できないと言っているのだ。機内も少しざわつき中国語が飛び交う。「どうなっているんだ。航空会社には説明責任てものがあるだろう。経過報告と善後策についてきちんと説明してくれないと困るなぁ。」などと詰め寄られ、「昆明空港は雷雨と突風のため着陸できません。○▽×空港に着陸して様子を見ることになりました。」というような会話が行われているのだろうなということは想像できるのだけれど、これはあくまで想像の世界であり、実際にはどんな会話がされているのかさっぱりわからない。当然のことながら、一人の日本人旅行者のために、ゆっくりと英語で説明してくれるようなことはなく、どうやらどこかの空港に着陸するらしいということが何となく伝わってきただけだった。
そうこうしている間にも機は着陸態勢に入り、あらよっという感じで○▽空港に到着した。着陸途中で見た限り、田舎の空港に見えたが、ここがどこだか全く見当もつかない。ターミナルビルに移動する時に壁面に黄色い字で「黄明」と書かれているような気がした。しかし、そんな地名は聞いたことがない。「ここは何処だ!?」
とりあえず、昆明空港で僕の到着を待っているOさんに何んとか連絡をしなければならないと思い、飛行機が止まってから携帯電話の電源を入れ電話をかけてみた。中国のネットワークは実に不安定で、電話がつながったり、つながらなかったり、こちらかはかけることができてもOさんからはかかってこなかったりしたので、心もとなかったのだけれど奇跡的につながったのだ。
「Oさん、どうも雷と風のため昆明空港に着陸できず、手前のどこかの空港に着陸したようなんですね。僕には黄明と書いてあるような気がしたんですけど、いずれにしても、僕ではよくわからないので、そちらでMU748便の行方を確認してください。ネットワークの具合が悪くて電話はあてにならないのでこの先、連絡が取れる確証はありませんのでよろしくお願いします。」一気にこちらの用件だけは伝えたのだ。Oさんも僕の切羽詰まった事態は認識したようで、「わかりました。こちらでも確認してみます。」と言ったところで電話は切れた。しばらくして外を走っている空港の車のボディに書かれている文字を見て、この空港が雲南省の北東に位置する貴州省にある貴州空港だということが分かった時点で、Oさんに何度も電話をかけるのだけれど、その後、貴州空港にいる間、二度と電話はつながらなかったのである。
4.昆明空港に着いたぞ!!
いったん飛行機の外に出してほしい!そんな要求を突きつけてやりたいくらい同じ姿勢で狭い座席に座っている苦痛が募ってきたころ、機内放送で「23時50分に昆明空港に向けて出発しまーす。」というアナウンスがあった。人間というのは不思議なもので限度がわからないまま拘束されると苦痛が募るのだけれど、見通しが立ったとたんに心に余裕が生まれ、苦痛に耐えられるから不思議だ。
結局、貴州空港に約2時間足止めを食って、再び飛行機は目的地の昆明に飛び立ったのだった。1時間ほどで昆明空港に到着。夜中の1時過ぎ荷物を受け取り外に出ると、Oさんがにこにこしながら手を振って待っていてくれた。「昆明にようこそ!」というOさんの声を聞き、「あー、やっと昆明に着いたぞ!」という思いがこみあげてきて、なんだか嬉しくなったのだった。
5.顛末
Oさんに事の顛末を聞いた。以下は、Oさんの語りである。
Kさんが「黄明(中国読みだとファンミンとなるらしい)」だというから、弁護士先生に電話して調べてもらったら、「そんな空港はない。」というんですよ。そんなはずはない。Kさんがそう言っているんだから調べなおせと言ったんだけど、「ないものはない。」っていうから、空港にも聞いたんですよ。MU748便はどこにいるのかって。そしたら、空港の職員は「行方不明だ!」って言うんですよ。着陸の順番待ちで10数機空港の上を旋回していてMU748はその中にはいない。どこかの空港に着陸しているのかもしれないが確認できないというから、もしかしたら何処かの山の中に墜落したかとか心配しましたよ。
いったん帰宅しようかと思ったら掲示板に到着予定時間が表示されたんで、待合室で仮眠してたんですよ。
でも、階段を下りてくる乗客の中で、Kさんすぐに分かりましたよ。夜中までサングラス掛けているのは中国では映画スターかヤクザしかいませんからね。もちろん、Kさんはスターよりはヤクザタイプですけどね。
久しぶりに会えてうれしいですね。ホントにわざわざ昆明まで来てくれてありがとうございました。
途中、僕は相槌を打った程度で、一気にここまでまくしたてるようにOさんが語った。固い握手と肩をたたきあい、タクシー乗り場に向かう。中国のタクシー乗り場は、夜中とは思えないくらい賑わっており、大きな荷物を押した人の群れが空港から次々に吐き出されてくる。日本のように行儀よく並んでいないし、平気で割り込んでくる。
「マナーが悪いね。」と僕が言ったら、「昆明はまだましなほうですよ。重慶だと乗ろうとしている人の後ろから足を突っ込んできて押しのけて先に乗っていきますからね。日本人のように行儀よくしていたらタクシーには乗れませんよ。」ということらしい。
13時30分に岡山空港を出て、今は、北京時間で深夜1時過ぎである。とにかく疲れた。早くホテルに入って眠りたいというのが僕の本音だ。今日の宿は昆明湞池温泉花園ホテル600元の保証金を払ってチェックイン。ツインの部屋にOさんと一緒に泊まる。時計を見れば2時30分、そのまま泥のように眠りに落ちた。
(「緑色の湖」に続く)
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 観光バス タクシー
- 航空会社
- 中国東方航空
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けっしてキッコーマンのまわし者ではありません。Oさんがこれが欲しいというので・・・
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蛇の目傘
Oさんはこれをランプシェードのように使うとか・・・僕は使わないな。 -
中国には旨い味噌はないだろうなと持っていった一品
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うちのお袋が漬けた梅干し。旨いんだな、これが。
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こっちは、僕の先輩が、外国旅行に行ったらこの味が恋しくなるだろうとくれた市販の梅干し。
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Oさんと一緒に飲もうと、日本酒も持参するのだ。
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過去の中国旅行では、水にやられている。一応持参。
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愛用のサングラス
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中国語の参考書と携帯電話の充電器、それに、筆談用のメモ帳。カメラは、キャノンのG9を連れていくことにした。
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岡山−上海MU0528便の機内食
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上海浦東空港の表示板
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201番搭乗口
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浦東空港−昆明空港MU748便の機内食。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- airpentaroさん 2009/05/28 23:16:49
- 正に混迷の昆明でしたね・・・
- 山菜迷人さん、こんばんは〜
山菜迷人さんの連休は混迷でしたか。
ではなくて昆明でしたね。
中国語は何となく読めそうですけど、聞くのは辛いですよね。
私は学生の頃、第2言語で中国語を勉強しましたが・・・ほとんど覚えていないですね(*^−^)
それにしても、終の棲家に昆明を選んで日本料理店を!
醤油、味噌、梅干・・・と友人の方も喜ばれたでしょう。
昆明シリーズゆっくり拝見していきます。
またお邪魔します☆(^∀^)ノ~~
- 山菜迷人さん からの返信 2009/05/29 10:23:41
- RE: 正に混迷の昆明でしたね・・・
- airpentaroさん おはようございます。
第2外国語で中国語をやってたんですね。僕は、フランス語でしたが、そう書くのもはばかれるくらいのものですね(*^_^*)
中国は上海、大連につづいて3カ所目なんですが、上海も大連も、日本語の達者な方が多いので、そんなに心配いらなかったんですが、雲南省は内陸だということもあり、「日本語はほとんど通じないぞ。」とOさんに言われていたので、少し、勉強していったんですよ。でも、会話は全然ダメでした。結局、いつものように行き当たりばったり、出たとこ勝負みたいな旅になってしまいました(-_-;)
ただ、漢字の読み方が日本語と違って1つしかないので、意外に覚えやすいのではないかというのが印象でした。で、日本人が漢字をどうやって自らのものにしていったのかということに興味が湧いて来まして、現在、岩波新書の『漢字伝来』という大島正二さんの本を読んでいるところです。
何篇かに分けて旅行記アップしますので、またお付き合いください。
では、airpentaroさんも良い旅を!
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