スペンサーのサンフランシスコ 2009年3月13～3月16日

2009/03/13 - 2009/03/16

スペンサーの恋人スーザンが、シリーズ第11作目『告別』の冒頭で、唐突にも「わたし、サンフランシスコで就職することにしたの」と告げ、サンフランシスコでの住所も言わないままボストンのスペンサーから離れて行ってしまいます。

（何のこっちゃ『スペンサー』で面食らった方は、前ブログ『スペンサーのボストン Boston -1- 2008年6月25～7月1日』を是非ご覧ください。）

そして、スーザン不在の『告別』後、スーザンから救出の依頼が来るのが12作目『キャッツキルの鷲』で、かくしてスペンサーはホークと共に、スーザン救出にサンフランシスコに赴くのです。

ちなみに、どの航空会社を利用したかは書いてないのですが、ボストンを朝9時45分の直行便で発つと、サンフランシスコに1時に着くと言っています。所要時間6時間15分ですから1985年としては、これは相当に早いです。現在の直行便の所要時間はＡＡもＵＡも6時間30分以上かかります。

表紙の画像はスペンサーとは何の関係もなく、ベタにフィッシャーマンズワーフの夜の蟹のサインボード。

スペンサーに興味をお持ちの方は、私のスペンサー系ブログ『Study of Spenser』にもお訪ねください。
URL: http://blog.goo.ne.jp/alohamahalo101

エリア サンフランシスコ(アメリカ)

• 航空会社: ユナイテッド航空

ミル・リヴァ（架空の町で、サンノゼの南と思われる）の刑務所からまずはホークを脱獄させ、第6章で夜明け前にサンフランシスコに戻って来るのですが、この時借りているレンタカーはハーツのビュイック・スカイラーク。

お財布に200ドルしか入っていない（口座はこれで全額だったらしい）探偵としては豪気です。ハーツは少々高めですからね。これはアメックスで支払ったと思われます。

そして、101号線を北上し、右手にキャンドルスティック・パークを見ながら市内に入ります。
それから、「サンフランシスコのスカイラインの上にトランザム・タワーが見える」と言っています。

トランザム・タワーとは、現在トランスアメリカ・ピラミッドと呼ばれている260メートル、48階建てのタワー。
建設は1968年から始められ、3200万ドルを投じて1972年に完成しました。建物の周りを覆っているのは、粉砕された白いクオーツです。

Transamerica Pyramid
600 Montgomery St. San Francisco 94111
URL: http://www.transamerica.com/

スペンサーとホークは、101号線から降り、ゴールデンゲイト・アヴェニューを左折してヴァン・ネスに入り、5ブロックほど北のギアリイ・ブルーバードのホテルの24時間駐車場にスカイラークをパークします。

空が明るくなり始め、スペンサーとホークがギアリイからヴァン・ネスを渡る時、バスがポスト・ストリートの角で停まるという箇所があるのですが、画像のここがヴァン・ネスとポストのコーナーです。

で、「バスから降りた東洋人がカテドラル・ヒル・ホテルの前を通って行った」とあります。

画像のトミーズ・ジョイントの後方に見えるのが、カテドラル・ヒル・ホテルです。
バス停の近くだしお手頃なプライスのホテルです。
（スタンダードのお部屋で19平米なのでちょっと手狭ではありますが）

Cathedral Hill Hotel
1101 Van Ness Ave San Francisco, CA 94109
URL: http://www.cathedralhillhotel.com/

スペンサーとホークは、ドーナツショップでドーナツ2個づつ食べ、ぶらぶらユニオンスクエアに向かいます。

恐らくギアリイ・ブルーバードを下っていったのだと思われます。

「朝7時。ポーク通りに並んでいるバーやブティックがシャッターを上げ始めた。」

とありますが、う〜む、バーやブティックって、そんなに早く開くものでしょうか。
ちょっと疑問でもあります。

画像はヴァン・ネスから1本下ったポーク・ストリートの手前、ユニオンスクエアまでは7ブロックです。

「ユニオンスクエアでパーウェル・ストリートの角を曲がり、セントフランシス・ホテルの前を通る」というのですが、左の建物がユニオンスクエアに面したセントフランシス・ホテルです。

ケーブルカーがいる通りがパーウェル・ストリート。
ちょうどケーブルカーで隠れたあたり、パーウェルとクロスする通りがポスト・ストリートで、ボーダーズ（右の建物）の手前で綺麗な顔の女の子2人と合流します。
イワユル外娼なのですが、朝の7時半からお仕事探し（つまり、女の子2人にとってはネギを背負ってるカモの物色ってことですね）というのは何ともすごいです。

The Westin St. Francis
335 Powell St. San Francisco, CA 94102
URL: http://www.westinstfrancis.com/

そして、ホテルの前でタクシーを拾い、「ユニオンスクエアを回ってストックトン・ストリートを下り」という箇所があります。

画像の、手前がポスト・ストリート、左右がストックトン・ストリートなので、ここを右に回ってマーケット・ストリートに到ったのだと思われます。

マーケット・ストリートです。

画像のこの場所は、パーウェル・ストリートとマーケット・ストリートが交差するあたりですが、撮影日はセント・パトリック・デイの直前の土曜日だったので、『緑色の何か』を身に付けた人々がパレードをしていました。

スペンサーとホークは、2人の女の子のポン引きから金銭を巻き上げ（ほとんどギャング）、ポン引きが女の子への報復をするであろう事を危惧してポン引きを殺し（間違いなく強盗殺人、しかも過失致死どころか、計画的ではないにせよ故殺）、ポン引きの車を奪って（シルバーグレイのヴォルヴォはポン引きにしては良い趣味です）夕食を食べに行きます。

ホークが「バッファロー・シチュー好きか？」と聞き、2人はトミーズ・ジョイントに行きます。

画像はギアリイとヴァン・ネスの角のトミーズ・ジョイント。
ここで2人は大盛りのバッファロー・シチュー（味はビーフ・シチューとさして変わらないらしい）、サワードウ・ロール、サイドにコールスロー、アンカー・スティーム・ビールを3本づつ飲んでいます。

創業が1947年ですから、スペンサー達が行った1985年はともかく、今もあるのは嬉しいことです。次回はここでハウス・スペシャルのバッファロー・シチューでしょうか。（お値段は7ドル95）

Tommy's Joynt
1101 Geary Blvd. San Francisco, CA 94109
URL: http://www.tommysjoynt.com/

スペンサーとホークは一旦ミル・リヴァに引き返すのですが、体勢の立て直しでサンフランシスコに戻ってきます。

そして夜中の3時にフィッシャーマンズ・ワーフのホリディインに車を停めます。
どうやら部屋は取らなかったようですが、これはケチったわけではなく、強盗殺人を犯して、さらに被害者のヴォルヴォを奪って逃走中という事情に因るためでしょう。

ポン引きという商売が、いくら世の中にとって有害な商売だとしても、そしてスーザン救出というのは、スペンサーにとっては（ホークにとっても）トップ・プライオリティだとしても、相当に過激です。
このあたりの事情は、32作目『冷たい銃声』の第42章にも綴られています。

フィッシャーマンズ・ワーフのホリディインというのは、ジョーンズ・ストリートを隔てて建物が２つあり（画像上下）、さらにホリディイン・エクスプレス・フィッシャーマンズ・ワーフというのもご近所にあったりして、いったいスペンサー達が車で夜明かししたのはどれなんだろうかと思ってしまいます。でも、1985年当時にはエクスプレスはなかったのかも、???

Holiday Inn Fisherman's Wharf
1300 Columbus Ave, San Francisco, CA 94133
URL: http://www.hifishermanswharf.com/

この後で、スペンサーとホークはシアトルの郊外イサクワのホリディインの駐車場で着替えをしています。この時も用心してか、部屋は取っていません。

ホリディインの駐車場で朝を迎え、ビーチ・ストリートとテイラー・ストリートの公衆電話（1985年なので携帯電話は普及していません）から、スーザンがかかっている精神科医（スーザンも精神科医なのですが）であるところのヒリアード博士に電話し、1時間後にスペンサーは博士のオフィスを訪ねることになりました。

ヒリアード博士のオフィスは、「フィルバートの近く、ジョーンズ・ストリートに面している」ということで、要するにロシアン・ヒルですね。探しに行きました。

ロンバード・ストリートのくねくね道を見学に行った帰りに、ロンバードの坂をジョーンズまで下り（画像の一番低いあたり）、右に曲がります。

ジョーンズ・ストリートは、グリニッジ・ストリートと交わるくらいまではわりと平坦なのですが、フィルバートに近づくとけっこうな上り坂です。
特にヴァルパライソ（Valparaiso St.）を超えるあたりからはかなりの傾斜です。

ジョーンズ・ストリートに面し、フィルバート・ストリートの近く（左の角から2軒目）にそれらしい物件を発見です。

柔らかな藤色の大きなビクトリアンハウス（それほど大きくはないけど）という、条件に叶っています。
原文は、a big pastel mauve Victorian house。

まさか本当にあるとは期待していなかったのですけど、ここまで歩いて来た甲斐があるというものです。
（お疲れさまでした）

散歩とも呼べないくらいの散歩はさらに続くのですが、ジョーンズ・ストリートをフィルバートから2ブロックほど上ったあたりからは、アルカトラズ島が正面に見えました。

スペンサーは、ヒリアード博士のにわか患者になり、情報を入手して、マーケット・ストリートのウォールデン・ブックスで地図を仕込みます。

現在、ウォールデンはボーダーズの傘下に入り、エンバカデロ・センターにテナントを構えているようです。

この辺りは20年のうちに都市計画で区画整理されたのでしょう。
画像は多分昔はこのあたりにあったのだろうとおぼしきマーケット・ストリート。

Waldenbooks
4 Embarcadero Ctr. San Francisco, CA 94111-4106

さて、スーザン救出のためにスペンサーに付き合っているホークですが、一流好みのホークは本当ならスタンフォード・コートに泊まって、ルーム・サーヴィスで何か食べるというのがお好みのようです。
第6章にそのようなセリフがあります。

エンバカデロセンターから、ケーブルカーのカリフォルニア線に乗ったので、スタンフォード・コート・ホテルの外観を捉えることが出来ました。
泊まれないほどのプライスではありませんが、その場合お部屋は広くはなさそうです。
場所はフェアモントホテルの向かいです。

The Stanford Court, A Renaiassance Hotel
905 California St. San Francisco, CA 94108
URL: http://www.marriott.com/hotels/travel/sfosc-the-stanford-court-a-renaissance-hotel/

この旅行記へのコメント （2）

• snowy;yukinoさん 2009/05/22 08:58:20

  スペンサー・ファンも飛びつきそうな旅行記でする！

  トラヴェローグを読むのは大好きですが、、
  これは　違った楽しさも兼ねていて良いですね！
  
  アタクシも　好きな作家の小説の中を歩くような
  旅もいいな、と思いました！
  
  パープルのヴィクトリアン、、住んでいる人が
  知っていて　色を変えたのでしょうかねい、、
  すごいです、、
  
  ロバート・Ｂ・パーカーのこのシリーズは　はじめの
  ４，５冊しか読んでないのですが、、
  なんだか懐かしくなりました、、今回の本は初心に帰って？
  少年が出てくるとか聞きましたなり。
  
  サンフランシスコは　さういえば　ミッキー・スピレイン通りだったか
  ダシール・ハメット通りだったか、、そのような名前の通りがあったやに
  記憶しておりまする、、トンネルみたいな所の脇にあって　それらしい
  雰囲気の通りでした。
  
  良い旅と良い本をわれらにｘｘ
  

  Alohamahaloさん からの返信 2009/06/02 13:56:12

  RE: スペンサー・ファンも飛びつきそうな旅行記でする！

  yukinoさん,
  
  お返事遅くなってすみません。
  
  ジョーンズ通りのヴィクトリアン・ハウスは、まさかピッタシのがあるとは思っていなかったので本当に嬉しかったです。ロバート B. パーカー氏は現地取材をしたのでしょうかね？
  知り合いの家だったということもあります。
  彼は時々小説の中に盛り込む名前（レギュラーではなく、レストランなどで会ったというようなシチュエーション）に、チャリティで落札した人の名前を使用するというようなこともやっているようですから。
  
  少年が出てくるのは、7巻目の『初秋』です。
  
  次はしっかり下調べをして、スペンサーのニューヨークというのも考えています。今年中に叶うと良いのですが。。。
  
  ともかくも感想をお寄せくださってありがとうございました。
  
  Alohamahalo