2008/12/20 - 2008/12/20
357位(同エリア1292件中)
まゆままさん
淡路島の平焼を継承したというタイルメーカーの淡陶社(現ダントー(株))は日本で最初にマジョリカタイルを製造した会社。
前回、多治見の笠原のモザイク浪漫館
http://4travel.jp/traveler/mayumama/album/10292406/へ訪れた時、館長さんより、淡路島のダントーにもマジョリカタイルが残っている、というのお聞きしてた。
調べたところ、福良にあるダントーの工場は現在、研究所として残されていて、そこで数枚のマジョリカタイルが保存されているというのを知り、見学のお願いをし、見せていただくことに。
一観光客であるにもかかわらず、快く了承してもらい、説明を受けつつ平焼のやきものとマジョリカタイルを鑑賞。
更にはタイルの工場見学までさせていただけた。
そして前半は淡路島の老舗蒲鉾店、オキフーズの工場見学、
淡路島の三原地区で生まれたという淡路人形浄瑠璃の資料館へも訪れる。
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ダントーへ到着・・
電話で応対していただいた方に研究所の一室へ案内してもらい、説明を受けながら平焼のやきものとマジョリカタイルを見せていただいた。
ショーケースの中にはマジョリカタイルがズラリと並ぶ・・
どれもこれもすばらしく美しい色合いのもので大興奮・・
釉薬には今は使われていない金属や鉛などの成分が入っているため、今では出すことのできない色が美しく発色している。 -
この週末は風邪気味でいまいち体調不良・・
が、ダントー(株)でマジョリカタイルを見せていただくお願いをしていたので、なんとしてでも行かねば!ってことで出かけた。
車に乗ってる間はほとんど爆睡状態で
観光→爆睡→観光→爆睡を繰り返してなんとか淡路島を日帰りで観光したのだった。
明石海峡大橋を渡り、いざ淡路島へ
南淡路のダントーの研究所がある福良を目指す。 -
明治26、7年頃のもの。
明治25年に淡陶社がタイルの生産を始めたので初期のもの。 -
明治35、6年頃
別の色の釉薬との境界線が少し雑な感じ?! -
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明治41年に初めて乾式成形を完成させた頃のタイル。
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模様がとても素敵な深いブルーのタイル。
明治41年の乾式成形品。 -
これは明治35,6年に作られた湿式タイルの裏側。
接着強度を強めるために竹串で引っかき、縦横にくし目がつけられている。
タイルの裏を見れば湿式か乾式か?更には作られた年代も分かるのだそう。 -
明治41年の乾式成形品のタイルの裏側
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このカラフルな急須は海外輸出用のもの
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あ・・こんなところにも私が真似たタイル発見〜
違うメーカーだが、デザインは同じというものもあったという。 -
昭和初期のもの
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昭和初期のもの
こんな風に四枚のタイルを繋いでひとつの模様ができあがるタイルもあって、とても美しく、とても迫力がある。
真ん中は蜘蛛の巣をイメージか?! -
昭和初期。
二つを繋いで竜 -
昭和初期。
同じデザインのようで・・少しパターンを変えたものも。 -
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ボーダーのマジョリカタイルも色とりどり〜
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昭和初期。
淡いけれども深みのあるピンク、水色、薄緑、黄色の色の取り合わせがたまらん感じのタイル。 -
明治42年。
単色だけれど色の濃淡が美しい〜 -
この釉薬の色合い、バラのモチーフのデザインも渋くていいなあ・・
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昭和初期。
桃、ブドウ、ザクロ?とフルーツ盛り沢山でカラフル。 -
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下の帯状のタイルはたしか、京都の銭湯をカフェに改装した「さらさ西陣」で見たのと同じデザイン・・
さらさ西陣のタイルは淡陶社のタイル?!
違うメーカーでもデザインは同じというものもあったのだそうだが・・ -
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次の写真はこのタイルの金型。
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マジョリカタイルの金型。
金型が残っているのはこちらの会社だけだそう。
この金型は表側と裏側の両方から押して作られるもの。 -
このタイルは裏側からも型押ししたため、裏はこんな風にくぼんでいる。
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こちらは淡陶社で作られていたタイルの見本帳。
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同じデザインでもこんな風に色合いを変えるだけでまるで違うタイルのようにガラッと雰囲気が変わるものか・・
このタイルの見本帳もほんとはなめ回すように見たかったのだが・・
子どもがすでに飽きていてうるさくなってきたので切り上げる・・ -
そして、この淡陶社の前身となった平焼のコレクションの中から・・
賀集平という人が京焼の陶工尾形周平と出会い、この淡路島の洲本で白土を発見、京都で修行をした後、尾形周平を淡路島に招き、教えを請うたところから平焼というのが本格的に始まったのだそう。
現在ではもう白土は取れなくなり、継承者もいないということで平焼は廃れている。
平焼ではお茶道具なども作られていたそうで、このお茶碗は色絵がびっしり、丁寧に描かれていて京焼風だ。 -
そして平焼の特色はこの鮮やかな黄色の釉薬だそう。
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水指いろいろ
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細かく手書きで描かれたような模様もこんな石こう型で模様を型押ししたものがほとんどだそう。
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こちらは現在ではもう製造されていない銅版転写の印刷によるタイル。
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そして、たしか残っていたはず、ということで探してきてきてくださった銅版転写の専用の紙。
銅版転写での製造がなくなったため、専用のこの紙も現在では作られていない。
柔らかい紙なので曲面にも簡単に模様を転写することができるという。 -
この紙を素焼きのタイルに載せて紙の上から水を吹き付けると、こんな風にしっかりと模様が写り込むのだ。
やはり現在のプリントでの模様の印刷よりも銅版転写の方がより細かい濃淡などが出て味わいがあるそう。 -
そして、今は試験的にタイルを作られているという工場へも案内していただいた。
これは乾式タイルを作る時にプレスする機械。 -
原石を粉砕、微細化して液状にしたものを乾燥、粉末化したもの。
これを高圧で圧縮し、成形する。
明治41年にこの画期的な製法である乾式成形タイルが完成したという。 -
これは圧縮成形後のタイル。
乾式タイルってどんな風に作るんだろう?とちょっと疑問だったのだが、これらを見せていただいてよく分かった。
しかしプレスするだけであんな粉がこんな風に固まるとは・・ -
こちらは土を作る機械。
タイルの土は稚内の珪藻土が使われてるそう。
稚内の珪藻土で作った素焼きのタイルなどは備長炭のように湿度を調節する効果もあるそう。 -
タイルの印刷はイタリア製の凸版印刷
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CGで作られた凸版
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この機械で大量印刷
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こちらのスクリーン印刷は一枚ずつ
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こちらへ訪れる前に唯一この近くのT邸のお風呂場には現役でマジョリカタイルが使われているとお聞きしていた。
頼めば見せてもらえるのでは?とのことだったが個人宅で、しかもお風呂場なので・・と躊躇していたら、持ってきてくださった本。
この表紙になっているタイルがT邸のお風呂場のタイルで明治37年に作られ、石風呂を配した内壁はしっくい仕上げで、その上に色鮮やかな青、黄、茶、白の単色のものと、マジョリカ風のあざやかな模様が描かれた八寸角のタイルが張られているという。
この本は淡陶社発行の非売品の本ということだったが「差し上げます」
と言われ、有難く頂戴した。
最近人から物をもらうことが多いような・・?!
(結局T邸には悩んだ末、せっかくなので教えていただいてた電話を掛けてみると、タイルは保管してるがお風呂はもう改装してしまったとのことだった〜残念;)
すばらしいタイルの数々を見せていただき、興味のあったタイルの工場も案内してもらえ、大満足でダントー(株)を後にした。
淡路島まで来てよかった・・ -
これはタイルをベルトコンベアーに載せて焼く機械。
1200度で約80分かけて焼きあがる。 -
ダントーでマジョリカタイルを見せていただけ、興奮冷めやらぬ私だったが、実は満足していたのは私だけでその他の家族は皆退屈し、更にお腹をへらせていた。
そういうこともあるだろうかとこの後の行程に練り物製品を製造販売するオキフーズの工場見学を予定していたのだ。
オキフーズは明治40年創業の老舗蒲鉾店。
こじんまりとした工場だったが、工場見学にやって来た、と言うと気軽に中へ入れていただけた。
大体午前中に製品が作り終わるようで、「今製造中なのはちくわだけ」ということでちくわの出来上がるまでを見せていただいた。 -
これはちくわの原料のすり身。
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すり身がくるくる回りながら串に巻きつけられてベルトコンベアーで流れていく。
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最初は15分くらい時間をかえじっくりと火を通していく。
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白いままじっくり焼かれたちくわがここに来て最後に一気にこんがりと焼き色がつけられる。
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焼かれてパンパンになっていた皮も空気に冷やされ、いつものちくわのようにシワっとなって出来上がり。
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最後に検品され、手作業で箱に詰められるちくわ。
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ここで出来立てのちくわを試食に頂く。
まだほんのり温かくて美味しかった〜 -
そして、もう既にお昼になっていたので、オキフーズの方に教えてもらったおすすめ店「万代」にランチへ。
おまかせ定食1000円。
お味噌汁のわかめに至るまで全て福良で取れたものでまかなっているという。
キスのフライやサワラの焼物も新鮮で美味しい! -
そして福良港へ行ってみる。
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ここにはこんな無料の足湯もある。
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福良港にはオキフーズのショップがあり、ここでお土産購入、そしてこの日は特別セールでてんぷらが全て100円というラッキーな日だったようで・・思わず又買ってしまった。
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そしてあわじ市の三原地区は人形浄瑠璃の発祥地。
ということで「淡路人形浄瑠璃資料館」へ訪れてみる。
ここではかつて三原地区で活躍した市村六之丞一座が使っていたという人形や道具類を展示されている。 -
実際に目、眉、口などを動かせるあやつり体験台も。
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遣唐使によって中国から伝来した人形繰り、それが淡路島に伝わったのは江戸時代以前、西宮戎神社に使える傀儡師(人形遣いのこと)が淡路・三原郡三条村の引田家に留まり、人形遣いを伝えたという説が最も有力だそう。
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野がけ舞台。
淡路人形芝居では行く先々で「野がけ」と呼ぶ小屋をかけて芝居をしたのだそう。
こちらではほんものの芝居は見ることはできなかったがビデオを上映していただけ、三人で人形を動かすという裏舞台なども見れた。 -
淡路島の人形は大阪の文楽人形と比べ、巡業が主だったため「野掛け」舞台で人形が映えるよう、大阪のよりも大きく作られている。
又庶民にもわかりやすいように喜怒哀楽、大胆な表現を多用。 -
この見台に浄瑠璃の本を置き、太夫が語る。
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淡路人形は衣装の美しいことでも有名。
市村六之丞座は立派な衣装が多く、芝居の途中、舞台で「衣装山」といって人形の衣装を見せたそう。 -
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人形の命とも言われる頭は年齢や表情を巧に表現している。
からくりに寄ってひとつの人形でもすごく表情が変わるのが面白い・・
人形浄瑠璃資料館を後にし、淡路島後半へ。
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この旅行記へのコメント (10)
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- あんみつ姫さん 2009/01/15 13:55:38
- マジョリカタイルのとりこになりそう…
- まゆままさん、こんにちは!
マジョリカタイルの数々。とてもステキでした。
作られる工程も見せていただきありがとうございます。
実際に使われているところは、なかなか見つかりませんが、
旅行などに行った際は、このタイルが使われていないか
気に止めて見学したいです。
それと、ちくわのできる工程も楽しかったです。
出来たてのちくわ…。ごっくん…。
- まゆままさん からの返信 2009/01/15 21:50:49
- RE: マジョリカタイルのとりこになりそう…
- あんみつ姫さん、こんばんは!
マジョリカタイル、いいですよね〜
私も街中で実際に使われているものを見たことがないので
ぜひこれから発見してみたいなあ〜と思います。
なかなかないだけに見つけることができればきっと感激もひとしおでしょうね。
タイルの工場の方は今現在作られてるタイルの製造工程で
マジョリカタイルの製造とは違うのですが、
乾式製法で作られたタイルの土台は同じようなものだと思うので興味深かったです。
ちくわも面白いですよね〜
やっぱり工場見学は出来立てを味わえるのが最高に良いですね。
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- スーポンドイツさん 2009/01/15 08:26:20
- タイル博士(^_^)v
- 館長さんのお話から福良へ飛ぶとは、さすがまゆままさん、面目躍如♪
淡陶→ダントーとは考えましたね。バスの車体に広告があったような・・。
非売品の本までいただいくなんて、まゆままさんは研究家のお一人と認められたんだわ!
おやおや、思わぬところにすーぽん2号登場(#^.^#)あのときはマジョリカタイルを知らなかったんですよー。昔はきれいな色を出すのに人体に毒な物質を使っていたんですねぇ・・・(☆。☆)
でも私はまゆままさんの色使いの方がたまらんわぁ〜♪
福良からこの船に乗って渦潮観光しましたよ〜春にまた・・
すーぽん
- まゆままさん からの返信 2009/01/15 21:49:14
- RE: タイル博士なんてとんでもないです・・
- 実は館長さんに福良のダントーと教えて頂いたもののダントーのHPにはもう工場は閉鎖されていて載っておらず・・
しかし、諦め切れず淡路島の陶芸館や兵庫県立陶芸美術館に問い合わせてみたのです。
そして県立美術館におられた方が福良のダントーで見せていただいたことがある、と連絡先教えてもらえました。
我ながら執念?!
研究家などとはとてもとても・・
見れたらもうそれで十分満足してしまう私には、踏み込みが足りません。
でも好きなものについてはやっぱりいろいろ知りたいのですが。
誰か教えてください〜って感じです。
そうですよね、タイル、昔は今ではもう使えない有毒なものが釉薬に使われてたようですね。
スーポン2号さんが張られたというこだわりのキッチン、すごいですよね、拝見してみたいものです〜。
私たちは福良まで来て渦潮観光せず引き返したので、旦那、子どもからブーイング出ました;
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- たらよろさん 2009/01/12 23:16:56
- マジョリカタイル
- こんばんわ〜〜
マジョリカタイルって本当にいろいろな種類があって
どれも独自の趣があって素敵ですね。
先日おみやげに購入されてましたが
失礼でなければ一枚いかほどで売っているんですか??
ちょっと欲しいななんて思ったりして・・・
先日、イギリスの有名陶器のウェッジウッド社が破産なんていう話も
ありましたよね〜〜
どれほど素晴らしくても老舗でも売れない時代なんでしょうか。
何だかよきものがどんどん無くなっていってしなうのは寂しいな。
続きも楽しみにしていますね。
たらよろ
- まゆままさん からの返信 2009/01/13 15:38:15
- RE: マジョリカタイル
- たらよろさん、こんにちは!
マジョリカタイル、ダントーさんのところで思ったよりたくさん見せてもらえてとても感激しました。
淡路島まで行った甲斐があったなあ〜と。
先日のタイルは買ったものじゃなく、自分で作ったものです。
なので値段はつけられません(笑)
ネットなどでも大正から昭和初期に作られたアンティークのマジョリカタイルが売られてるようです。
この前のタイルよりもう少し大きく、厚みもあると思いますが、
私が見たのは大体1枚4000円弱くらいでした。
今は製造されてなく、手間のかかったものなのでやっぱりちょっとお高め?
昔は日本からアジア方面へたくさん輸出されていたそうなので
向こうの骨董屋さんなどで見つければ、日本よりお安く手に入るかも?!
旅費がかかるけど。
あっ、そういえばスーポンドイツさんがこの前のお店の近くでドイツのタイルを売るお店があって以前に購入されたとか言っておられました。
ご主人が買ったタイルを加工してはめられたそうです。
もしご興味があれば、聞いてみられては?!
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- ウェールズさん 2009/01/10 22:42:39
- こんばんは。
- 今日はありがとうございました。
タイルの旅、すごいですね。
そして、今日見せていただいたタイルもものすごく感動しました。
素晴らしかったです。
ウェールズ。
- まゆままさん からの返信 2009/01/10 22:56:52
- RE: こんばんは。
- ウェールズさん、こんばんは!
今日はどうもありがとうございました〜
お隣で、少しお話することができてよかったです!
タイルの旅、見ていただきありがとうございます。
タイル、MILRLORESさんに無理やり押し付けて迷惑だったろうな〜
とちょっと反省・・
また今後ともよろしくお願いします〜!
-
- ぬいぬいさん 2009/01/07 22:00:09
- きれいなタイル
- まゆままさん こんばんは
仕事柄ダントーのタイル良く使っていますが、ダントーってこんなきれいなタイルも作っていたんですね。
漢字で淡陶、淡路島の会社だったことも始めて知りました。
思わず欲しくなってしまうようなきれいなタイルに 1票
神戸女学院 トラックバックさせてもらいました。
- まゆままさん からの返信 2009/01/07 22:36:12
- RE: きれいなタイル
- ぬいぬいさん、こんばんは!
そうですか、お仕事でダントーのタイルよく使われてますか。
マジョリカタイルは違う色の釉薬を手作業で色づけするという手間ひまのかかるタイルで、
作られていたのは昭和初期の頃までで今はもう製造されてないようです。
私も作りましたが、確かに手間ひまかかりました。
こんなきれいな色合いも釉薬の成分により今ではもう出せないそうで、
すごく素敵なタイルなのに残念ですよね・・
トラックバックありがとうございました。
私もTBした為か?メイン画面に載ってきたからか?
見てもらう機会が増えたようで・・
旅行記もたまには昔のを掘り起してシャッフルするのもいいなあとか思ってしまいました〜
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