オビドス旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 リスボンからナザレに行く途中のハイウェーから、とても気になる城塞都市が目に入りました。<br /> ぐるりと堅固な城塞に囲まれて、なぞめいています。<br /><br /> 地図で調べると、オビドスという町らしい……<br />

オビドスのバカヤロウ油足

19いいね!

2002/01/14 - 2002/01/29

63位(同エリア263件中)

0

30

ちびのぱぱ

ちびのぱぱさん

 リスボンからナザレに行く途中のハイウェーから、とても気になる城塞都市が目に入りました。
 ぐるりと堅固な城塞に囲まれて、なぞめいています。

 地図で調べると、オビドスという町らしい……

交通手段
レンタカー
航空会社
KLMオランダ航空

PR

  • 心残りが……<br /><br /> その2年後、ポルトガルにまた来てしまいました。<br /> われながら物好きだと思う。<br /> オビドスは、リスボンから北に70kmほどのところにあります。<br /><br /> 気になると、ずっと考えている。<br /> あの重苦しい城壁に囲まれた世界には、何があるのか。<br /> 次第に、どうしても行きたくなる……<br /><br /> リスボンで借りたレンタカーでオビドスに近づくと、町を取り囲む威圧的な城壁が視界を妨げ、その中にあるはずの桃源郷を覆い隠している。<br /> ここもローマ時代から城塞が建っていたという。<br /><br /> いつ襲ってくるか分からない外敵から身を守るためには、当然の厳めしさなのかも知れない、と思いました。<br /> 日本人である自分は、外部に対するよほどの恐怖がなければ、これほどの建造物は造らないように思うのです。<br /> たとえば、並外れた巨人であるとか……<br /><br /> リスボンからのハイウェイを下り、城の入り口近くの駐車場に車を停めると、城壁はいよいよ存在感を放っている。<br /> <br /> 車一台通れるかという狭いくねくねした通用口が誘う城門を、車を避けつつ不安な気持ちで通り抜けると、目の前には中世の町がそのまま姿を現しました。<br />

    心残りが……

     その2年後、ポルトガルにまた来てしまいました。
     われながら物好きだと思う。
     オビドスは、リスボンから北に70kmほどのところにあります。

     気になると、ずっと考えている。
     あの重苦しい城壁に囲まれた世界には、何があるのか。
     次第に、どうしても行きたくなる……

     リスボンで借りたレンタカーでオビドスに近づくと、町を取り囲む威圧的な城壁が視界を妨げ、その中にあるはずの桃源郷を覆い隠している。
     ここもローマ時代から城塞が建っていたという。

     いつ襲ってくるか分からない外敵から身を守るためには、当然の厳めしさなのかも知れない、と思いました。
     日本人である自分は、外部に対するよほどの恐怖がなければ、これほどの建造物は造らないように思うのです。
     たとえば、並外れた巨人であるとか……

     リスボンからのハイウェイを下り、城の入り口近くの駐車場に車を停めると、城壁はいよいよ存在感を放っている。
     
     車一台通れるかという狭いくねくねした通用口が誘う城門を、車を避けつつ不安な気持ちで通り抜けると、目の前には中世の町がそのまま姿を現しました。

  •  小さな丘陵をそっくり城壁で囲んで、町を営んでいる。<br /> はやる心を抑えて門の上に登ると、街を概観することが出来ました。<br /><br />

     小さな丘陵をそっくり城壁で囲んで、町を営んでいる。
     はやる心を抑えて門の上に登ると、街を概観することが出来ました。

  •  かわいらしいおもちゃのような家が、狭い城域にひしめきあっている。<br /> ここから、歩いて城壁をぐるっと巡ることも出来るようです。<br /> 

     かわいらしいおもちゃのような家が、狭い城域にひしめきあっている。
     ここから、歩いて城壁をぐるっと巡ることも出来るようです。
     

  •  こんなふうになっていたのか……貧弱なる想像力の結果を裏切られる心地よさ。<br /> 小さな町を夢中で歩いてみる。<br /><br /> 平日だから、観光客もちらほらとしかいません。<br /> まちの営みも、おき火のように、ついているのやら消えているのやら。

     こんなふうになっていたのか……貧弱なる想像力の結果を裏切られる心地よさ。
     小さな町を夢中で歩いてみる。

     平日だから、観光客もちらほらとしかいません。
     まちの営みも、おき火のように、ついているのやら消えているのやら。

  • お妃様の宝石箱<br /><br /> この小さなかわいい町は、歴代ポルトガル王妃の所領にされたといいます。<br /> きっかけは13世紀、ここを訪れてすっかり気に入ったイザベラに、王様が町ごと王妃様のウェディングプレゼントにしたんだとか。<br /><br /> 「気に入ったのなら、この町あげるよ。」<br /> 「まあうれしい!!」<br /><br /> いらい習わしとなって、このオビドスはお妃様のお部屋の宝石箱のように、姑の手から嫁の手へと受け継がれてきたのでしょう。<br /><br /> ロマンチックな、映画のようなお話ですが、住民にとってはどうだったのだろうか。<br /> けっこう迷惑な話だったりして。<br /> 大事にしてもらったのかなあ。

    お妃様の宝石箱

     この小さなかわいい町は、歴代ポルトガル王妃の所領にされたといいます。
     きっかけは13世紀、ここを訪れてすっかり気に入ったイザベラに、王様が町ごと王妃様のウェディングプレゼントにしたんだとか。

     「気に入ったのなら、この町あげるよ。」
     「まあうれしい!!」

     いらい習わしとなって、このオビドスはお妃様のお部屋の宝石箱のように、姑の手から嫁の手へと受け継がれてきたのでしょう。

     ロマンチックな、映画のようなお話ですが、住民にとってはどうだったのだろうか。
     けっこう迷惑な話だったりして。
     大事にしてもらったのかなあ。

  •  ここを「谷間の真珠」と、だれかが呼んだとか。<br /> そういうロマンチックな町ですが、ちょっと裏路地に入れば、生活のにおいがあります。<br /> あたりまえか……。<br /><br /> 朝のうちに干した洗濯物が、風に揺れています。<br /><br /> の〜んびりとした時間が流れている。<br /> とてもきれいな町ですが、この時期この小さな街に一日いたら、退屈するだろうか。<br /><br /> そう考えている自分に気がついて、つくづく自分は落ち着きがないなと、なさけない気分になりました。

     ここを「谷間の真珠」と、だれかが呼んだとか。
     そういうロマンチックな町ですが、ちょっと裏路地に入れば、生活のにおいがあります。
     あたりまえか……。

     朝のうちに干した洗濯物が、風に揺れています。

     の〜んびりとした時間が流れている。
     とてもきれいな町ですが、この時期この小さな街に一日いたら、退屈するだろうか。

     そう考えている自分に気がついて、つくづく自分は落ち着きがないなと、なさけない気分になりました。

  •  金のなる木。<br /> 英語の「ダラープラント」を金のなる木と訳したとか。<br /><br /> 日本ではもともと花月というらしい。<br /> 枝を五円玉に通して縁起物とするのは、いかにも俗物でばかげていておもしろいですが、最近見かけなくなった。<br /><br /> ポルトガルの金のなる木は花盛りを迎えていました。

     金のなる木。
     英語の「ダラープラント」を金のなる木と訳したとか。

     日本ではもともと花月というらしい。
     枝を五円玉に通して縁起物とするのは、いかにも俗物でばかげていておもしろいですが、最近見かけなくなった。

     ポルトガルの金のなる木は花盛りを迎えていました。

  • カステッロ・ド・オビドスを包む炎<br /><br /> 小さなオビドスのまちの一番奥に、いかめしい表情のお城が建っています。<br /> そのお城に通じる門がありました。<br /> 覗いてみても、人の気配がしない……お城。<br /><br /> その門の先に、たぶんアロエだと思いますが、植物の真っ赤な花が満開でした。

    カステッロ・ド・オビドスを包む炎

     小さなオビドスのまちの一番奥に、いかめしい表情のお城が建っています。
     そのお城に通じる門がありました。
     覗いてみても、人の気配がしない……お城。

     その門の先に、たぶんアロエだと思いますが、植物の真っ赤な花が満開でした。

  •  誰もいないカステッロ・ド・オビドスの城壁の周りにびっしりと咲いています。<br /><br /> 狭い門をくぐって、とつぜん目に飛び込む紅蓮に咲く無数のアロエの花は、一瞬何事が起こったかと驚かされます。<br /> 初めてアロエの花を見ましたが、まるで、城に放たれた炎のようだと思いました。<br /><br /> 静かなカステロの中庭に、静かに燃え立つ紅の花。<br /><br /><br />

     誰もいないカステッロ・ド・オビドスの城壁の周りにびっしりと咲いています。

     狭い門をくぐって、とつぜん目に飛び込む紅蓮に咲く無数のアロエの花は、一瞬何事が起こったかと驚かされます。
     初めてアロエの花を見ましたが、まるで、城に放たれた炎のようだと思いました。

     静かなカステロの中庭に、静かに燃え立つ紅の花。


  • ポルトガル定番料理<br /><br /> ここはポウザーダといってお城がホテルになっています。<br /> そして、レストランも評判だと言うことです。<br /> わたしらはここで昼食にし、「馬鹿ヤロー、油足」という料理を頂きました。<br /><br /> 「馬鹿ヤロー、油足」というのは本当はバカリャウ・ア・ブラスといいまして、干しダラを使った家庭料理です。<br /> ものの本で、このように言えば通じると書かれていました。<br /> 何の本だったかなあ。<br /><br /> ちょっと勇気が無くて言えなかった。<br /> ポルトガル語というのは、妙に通じにくい言語ですが、「バカヤロウ……」の力を借りなくてもオーダーできました。<br /><br />

    ポルトガル定番料理

     ここはポウザーダといってお城がホテルになっています。
     そして、レストランも評判だと言うことです。
     わたしらはここで昼食にし、「馬鹿ヤロー、油足」という料理を頂きました。

     「馬鹿ヤロー、油足」というのは本当はバカリャウ・ア・ブラスといいまして、干しダラを使った家庭料理です。
     ものの本で、このように言えば通じると書かれていました。
     何の本だったかなあ。

     ちょっと勇気が無くて言えなかった。
     ポルトガル語というのは、妙に通じにくい言語ですが、「バカヤロウ……」の力を借りなくてもオーダーできました。

  • 老執事の世話する古城レストラン<br /><br /> 料理は重々しいお城の一室で頂きましたが、人気レストランとある割にはレストランの客は私らだけのようです。<br /><br /> 重々しい感じのウェイター(というよりお城の執事)が注文を取りに来てくれます。<br /><br /> その時なんと、ワーグナーのワルキューレ序曲がなっていまして、これはちょっとはまりすぎていて……。<br /> 彼の趣味かな。<br /> 重々しいなあ。<br /><br /> 白髪の紳士である彼に、料理のことやこのホテルのことをあれこれ説明聞いていると<br /> 「日本のガイドブックに私の写真が載っているものがあるんですよ。あなたはどんなガイドブックを持っていますか?」<br /> と言われ02〜03年版の地球の歩き方を一緒に見ましたが、残念ながら彼の写真を見出すことはできませんでした。<br /><br /> 「今晩はどちらにお泊りですか?」<br /> と聞かれましたので、<br /> 「まだ決めてません。でも、ここは高いんでしょうねエ。」<br /> と返すと<br /><br /> 「はい。高いです。でも、びっくりするほどではありませんよ。」<br /> 彼から聞いた値段は確かに<br /> 「泊まってみようかな。」<br /> と思わせるような値段でしたが、午後はもうひとつどうしても気になっている町に行こうと思っていたので断念。<br /><br /> ちなみに、干しダラはポルトガルでは非常にありふれた食材です。

    老執事の世話する古城レストラン

     料理は重々しいお城の一室で頂きましたが、人気レストランとある割にはレストランの客は私らだけのようです。

     重々しい感じのウェイター(というよりお城の執事)が注文を取りに来てくれます。

     その時なんと、ワーグナーのワルキューレ序曲がなっていまして、これはちょっとはまりすぎていて……。
     彼の趣味かな。
     重々しいなあ。

     白髪の紳士である彼に、料理のことやこのホテルのことをあれこれ説明聞いていると
     「日本のガイドブックに私の写真が載っているものがあるんですよ。あなたはどんなガイドブックを持っていますか?」
     と言われ02〜03年版の地球の歩き方を一緒に見ましたが、残念ながら彼の写真を見出すことはできませんでした。

     「今晩はどちらにお泊りですか?」
     と聞かれましたので、
     「まだ決めてません。でも、ここは高いんでしょうねエ。」
     と返すと

     「はい。高いです。でも、びっくりするほどではありませんよ。」
     彼から聞いた値段は確かに
     「泊まってみようかな。」
     と思わせるような値段でしたが、午後はもうひとつどうしても気になっている町に行こうと思っていたので断念。

     ちなみに、干しダラはポルトガルでは非常にありふれた食材です。

  •  表紙の写真と同じですが、町の真ん中辺りの路地です。<br /><br /><br />名物「ジンジャー」<br /><br /> ここに、この町の名物のジンジャーという甘い果実酒が売られています。<br /> この町にきたら是非買ってみたいと思っていました。<br /><br /> これを初めて飲んだのは、やはり2年前のリスボン・ロシオ広場でのこと。<br /> 夕暮れ時に、広場の一角にある立ち飲み屋の前には黒山の人だかりで、びっくりするような数の黒人がたむろしていました。<br /><br /> ようは甘ったるい果実酒なのですが、クセが無くて飲みやすい。<br /><br /><br /> おしゃれな細長い角ビンのものを一瓶買って日本に持ち帰り、オビドスの思い出話を語り合いつつ飲み干しました。

     表紙の写真と同じですが、町の真ん中辺りの路地です。


    名物「ジンジャー」

     ここに、この町の名物のジンジャーという甘い果実酒が売られています。
     この町にきたら是非買ってみたいと思っていました。

     これを初めて飲んだのは、やはり2年前のリスボン・ロシオ広場でのこと。
     夕暮れ時に、広場の一角にある立ち飲み屋の前には黒山の人だかりで、びっくりするような数の黒人がたむろしていました。

     ようは甘ったるい果実酒なのですが、クセが無くて飲みやすい。


     おしゃれな細長い角ビンのものを一瓶買って日本に持ち帰り、オビドスの思い出話を語り合いつつ飲み干しました。

  • ユーラシア大陸のはずれ<br /><br /> ユーラシア大陸最西端ロカ岬の北に、大西洋に向かって下唇とを突きだしたような地形があります。<br /> ロカ岬よりもとんがったその地形に、地図を見ていて思わず目が行きました。<br /> 地名は、Peniche(ペニシェ)とあります。<br /><br /> オビドスの西15kmほどの大西洋岸です。<br /><br /> ポルトガル語はほとんど分かりませんが、英語でペニンシュラといえば岬のことだとですから、その名も「岬町」(多分)。<br /><br /> ロカ岬よりずっと岬々しているのに、わずかに「西」という条件で負けてしまったがゆえに、<br /> あるいは、沢木耕太郎がユーラシア大陸の果てと呼んだサグレスの岬ほどには窮まっていないゆえに、ほとんど知られていない。<br /><br /> 餅が焼けてふくらんだようにも見える岬の地図を見ている内に、なんだか妙に行ってみたくなりました。<br />

    ユーラシア大陸のはずれ

     ユーラシア大陸最西端ロカ岬の北に、大西洋に向かって下唇とを突きだしたような地形があります。
     ロカ岬よりもとんがったその地形に、地図を見ていて思わず目が行きました。
     地名は、Peniche(ペニシェ)とあります。

     オビドスの西15kmほどの大西洋岸です。

     ポルトガル語はほとんど分かりませんが、英語でペニンシュラといえば岬のことだとですから、その名も「岬町」(多分)。

     ロカ岬よりずっと岬々しているのに、わずかに「西」という条件で負けてしまったがゆえに、
     あるいは、沢木耕太郎がユーラシア大陸の果てと呼んだサグレスの岬ほどには窮まっていないゆえに、ほとんど知られていない。

     餅が焼けてふくらんだようにも見える岬の地図を見ている内に、なんだか妙に行ってみたくなりました。

  • 警察官に止められる<br /><br /> オビドスを後にして、地図とにらめっこしながらペニシェを目指すものの、実におおざっぱな地図ですから、けっこう迷ったりします。<br /> しまいに、どこを走っているのかも分からなくなってきます。<br /><br /> かなりのド田舎道が続いた後、へんてつのない道端にいたパトカーに止められました。<br /> 若い警察官が二人、免許書を調べた後、どこから来てどこに行くのかと運転していた妻に根掘り葉掘り質問。<br /> 妻はニコニコしながら答えていましたが、開放されたとたん<br /> 「用も無いのに止めるな!」<br /> と憤慨していました。<br /><br /> 片田舎を車で走る不審な東洋人を見て職務質問するのは、無理のないことかと思いますが……<br /><br /> 地図を見るのが私で、ハンドルを握るのが妻という双方納得の役割分担なので、妻は嫌いな運転をしなければならない。<br /> ストレスもたまるか。<br /><br /> さらに道を行くとやがて海辺に出て、浜ではおじさんたちがのんびり釣りをしています。<br /> 妻の父親も、こんな感じで鮭釣ってます。<br /> もちろん趣味です。<br /> とつぜん大きな鮭が宅配で届いたりします。<br /> だいぶさばくの慣れました……<br /><br /> しばらく進めば次第に地形が荒々しく変化してきます。<br /> ペニシェは文字通り大西洋に向かってこぶしを突き出したような岬で、その岬に向かってのこぎりのような断崖が続いています。<br /><br /> 天気は良かったのですが、岸壁には激しい波が打ち寄せていて、20メートルくらい波しぶきが上がってすごい迫力。<br /> 岬の先端には展望台があって、大西洋をぐるりと望むことができます。<br />

    警察官に止められる

     オビドスを後にして、地図とにらめっこしながらペニシェを目指すものの、実におおざっぱな地図ですから、けっこう迷ったりします。
     しまいに、どこを走っているのかも分からなくなってきます。

     かなりのド田舎道が続いた後、へんてつのない道端にいたパトカーに止められました。
     若い警察官が二人、免許書を調べた後、どこから来てどこに行くのかと運転していた妻に根掘り葉掘り質問。
     妻はニコニコしながら答えていましたが、開放されたとたん
     「用も無いのに止めるな!」
     と憤慨していました。

     片田舎を車で走る不審な東洋人を見て職務質問するのは、無理のないことかと思いますが……

     地図を見るのが私で、ハンドルを握るのが妻という双方納得の役割分担なので、妻は嫌いな運転をしなければならない。
     ストレスもたまるか。

     さらに道を行くとやがて海辺に出て、浜ではおじさんたちがのんびり釣りをしています。
     妻の父親も、こんな感じで鮭釣ってます。
     もちろん趣味です。
     とつぜん大きな鮭が宅配で届いたりします。
     だいぶさばくの慣れました……

     しばらく進めば次第に地形が荒々しく変化してきます。
     ペニシェは文字通り大西洋に向かってこぶしを突き出したような岬で、その岬に向かってのこぎりのような断崖が続いています。

     天気は良かったのですが、岸壁には激しい波が打ち寄せていて、20メートルくらい波しぶきが上がってすごい迫力。
     岬の先端には展望台があって、大西洋をぐるりと望むことができます。

  • 地の果ての醸し出す寂寥感<br /><br /> 地図で見た地形の突端のカルヴォエイロ岬には、トーチカのような展望台がある他はなにもない。<br /> カフェもなければおみやげ屋もない。<br /> あるのは、ただただ海、水平線まで続く果てしない海が広がっているだけです。<br /><br /> 思ったのは、大陸の西の果てで見る海は、やはり明るい色をしているということ。<br /><br />

    地の果ての醸し出す寂寥感

     地図で見た地形の突端のカルヴォエイロ岬には、トーチカのような展望台がある他はなにもない。
     カフェもなければおみやげ屋もない。
     あるのは、ただただ海、水平線まで続く果てしない海が広がっているだけです。

     思ったのは、大陸の西の果てで見る海は、やはり明るい色をしているということ。

  •  いつもそうなのか、ダイナマイトのような音を立てて波が砕ける。<br /> 波のしぶきは、信じられない程の高さまで駆け上がります。<br /> <br /> そろそろ今宵の宿を決めないといけないのを思い出し、強風にあおられるように岬を後にしました。<br /> 今来た道を折り返してしばらく進むと、ペニシェの港町に出ます。 

     いつもそうなのか、ダイナマイトのような音を立てて波が砕ける。
     波のしぶきは、信じられない程の高さまで駆け上がります。
     
     そろそろ今宵の宿を決めないといけないのを思い出し、強風にあおられるように岬を後にしました。
     今来た道を折り返してしばらく進むと、ペニシェの港町に出ます。 

  •  日の傾きかけた港には、大勢の客を乗せた船が次から次に帰ってきていました。<br /> 聞くところでは、ここから船に乗って近海のベルレンガという島にゆけるらしい。<br /><br /> 釣り支度の人がいるから、釣りも出来るのでしょうが、島全体が要塞になった独特の景観が人気らしい。<br /> 岬の雰囲気と違い、意外に賑やかな町であることに驚かされます。<br /><br />

     日の傾きかけた港には、大勢の客を乗せた船が次から次に帰ってきていました。
     聞くところでは、ここから船に乗って近海のベルレンガという島にゆけるらしい。

     釣り支度の人がいるから、釣りも出来るのでしょうが、島全体が要塞になった独特の景観が人気らしい。
     岬の雰囲気と違い、意外に賑やかな町であることに驚かされます。

  •  港の道ばたで、屋台が焼き栗とピスタチオを売っていました。<br /> おとといリスボン近郊で、焼き栗を買ったのを思い出します。<br /><br /> ベレンでは、極東から来た旅人である我々に、興味を示して近づいてきた人がいました。<br /> 「地の果て」から来た異国人に、なにかを感じたのでしょう。<br /><br /> わたしは、このペニシェの無口なおじさんから、一袋買いました。<br /> おじさんが無口なのは、珍しい東洋人の客に人見知りをしたせいかもしれない。<br /> ポルトガルの人は、そういうところがあるのを、この短い旅からも感じ取っていました。<br /><br /> このたび買ったのはピスタチオです。<br /><br /> 扱い慣れない1ユーロを不器用に受け取り、確かめるように手のひらの上のコインを見ると、おじさんは初めてにこりと笑いました。<br /><br />

     港の道ばたで、屋台が焼き栗とピスタチオを売っていました。
     おとといリスボン近郊で、焼き栗を買ったのを思い出します。

     ベレンでは、極東から来た旅人である我々に、興味を示して近づいてきた人がいました。
     「地の果て」から来た異国人に、なにかを感じたのでしょう。

     わたしは、このペニシェの無口なおじさんから、一袋買いました。
     おじさんが無口なのは、珍しい東洋人の客に人見知りをしたせいかもしれない。
     ポルトガルの人は、そういうところがあるのを、この短い旅からも感じ取っていました。

     このたび買ったのはピスタチオです。

     扱い慣れない1ユーロを不器用に受け取り、確かめるように手のひらの上のコインを見ると、おじさんは初めてにこりと笑いました。

  • ホテル バスコダガマ<br /><br /> 町の中心の広場には「バスコダガマ」という小さなホテルがありました。<br /> 料金は朝食込みで一部屋25ユーロ(3000円)という。<br /> 部屋を見せてもらうと、あまり広くは無いけど清潔です。<br /><br /> バスコ・ダ・ガマという名前も気に入ったので今夜の宿はここにします。<br /> わたしらの部屋は、写真二階の左の部屋です。<br /><br /> 案内してくれた中年のご婦人は、二階の海側にあるレストランに案内し、明日の朝食の説明をしながら、しきりにわたしの顔をのぞき込んでいました。<br /> やはり、「地の果て」から来た旅人が珍しいのだろうか。<br /><br /> バスコダガマが発見した喜望峰は、ユーラシア大陸の西と東を海でつなぎましたが、どちらかといえばそれは、アジアにとって不幸の始まりだったかな。<br /><br /> 我々は、飛行機に乗ってビューンと北海道からひとっ飛びでオランダに来ましたから、とくに感傷はないなあ。

    ホテル バスコダガマ

     町の中心の広場には「バスコダガマ」という小さなホテルがありました。
     料金は朝食込みで一部屋25ユーロ(3000円)という。
     部屋を見せてもらうと、あまり広くは無いけど清潔です。

     バスコ・ダ・ガマという名前も気に入ったので今夜の宿はここにします。
     わたしらの部屋は、写真二階の左の部屋です。

     案内してくれた中年のご婦人は、二階の海側にあるレストランに案内し、明日の朝食の説明をしながら、しきりにわたしの顔をのぞき込んでいました。
     やはり、「地の果て」から来た旅人が珍しいのだろうか。

     バスコダガマが発見した喜望峰は、ユーラシア大陸の西と東を海でつなぎましたが、どちらかといえばそれは、アジアにとって不幸の始まりだったかな。

     我々は、飛行機に乗ってビューンと北海道からひとっ飛びでオランダに来ましたから、とくに感傷はないなあ。

  • カリオストロ城の爆風井戸<br /><br /> 先ほど、街の手前にお城があるのを確認していたので、部屋を決めてから再び出かけて見ました。<br /><br /> 少し坂道を上がると城門があり、だれでも無料で入れるようです。<br /> 前庭の方に回ると、お城は海にせり出すように作られているのが分かりました。 海側の城壁から下を見下ろすと、海面まで20メートルほどもあり、時折激しく砕け散った波が上まで襲い掛かってきます。<br /><br /> なにやら先ほどから後ろの方で、地下鉄が通り過ぎるような音がしています。<br /> 何だろうと音のする方に近づくと、その音は庭の中ほどにある井戸の中から聞こえてくるんです。<br /><br /> 恐る恐る井戸の中を覗くと、下はなんと海に繋がっていました。<br /> 海から続く洞窟の真上にこの井戸が作られていて、激しく押し寄せた波に行き場を失った洞窟の空気が、いっせいにこの井戸から抜けてゆく音だったのです。<br /><br /> まるでジェット気流のような風が吹き上げて、手をまっすぐにかざすこともできないほどの風圧。<br /><br /> 隙を見て下を覗くと、青々として波のうねりが見えます。<br /> お城の地下から直接海に出られるような構造になっているのでしょうか。<br /> <br /> この秘密の通路のほかにも、写真のような海に通じる門が開かれた場所があり、堅固な城壁に守られたお城から自由に行き来できる道を、海上に求めていた時代がうかがい知れます。

    カリオストロ城の爆風井戸

     先ほど、街の手前にお城があるのを確認していたので、部屋を決めてから再び出かけて見ました。

     少し坂道を上がると城門があり、だれでも無料で入れるようです。
     前庭の方に回ると、お城は海にせり出すように作られているのが分かりました。 海側の城壁から下を見下ろすと、海面まで20メートルほどもあり、時折激しく砕け散った波が上まで襲い掛かってきます。

     なにやら先ほどから後ろの方で、地下鉄が通り過ぎるような音がしています。
     何だろうと音のする方に近づくと、その音は庭の中ほどにある井戸の中から聞こえてくるんです。

     恐る恐る井戸の中を覗くと、下はなんと海に繋がっていました。
     海から続く洞窟の真上にこの井戸が作られていて、激しく押し寄せた波に行き場を失った洞窟の空気が、いっせいにこの井戸から抜けてゆく音だったのです。

     まるでジェット気流のような風が吹き上げて、手をまっすぐにかざすこともできないほどの風圧。

     隙を見て下を覗くと、青々として波のうねりが見えます。
     お城の地下から直接海に出られるような構造になっているのでしょうか。
     
     この秘密の通路のほかにも、写真のような海に通じる門が開かれた場所があり、堅固な城壁に守られたお城から自由に行き来できる道を、海上に求めていた時代がうかがい知れます。

  • ベルギーのビール<br /><br /> 部屋に戻って、冷蔵庫で冷やしてあった4日前のベルギービールを飲んでいると、いつしか街には灯が灯り始めました。<br /><br /> ビールはレッフェという銘柄で、上面発酵のフルーティな飲み口です。<br /> おまけに付いていた大きなグラスで頂きました。<br /><br /> こんなものを4日も持って歩いたのは、車で移動している気安さから。<br /> ビールを飲んだら、フランダースの犬を思い出しました。

    ベルギーのビール

     部屋に戻って、冷蔵庫で冷やしてあった4日前のベルギービールを飲んでいると、いつしか街には灯が灯り始めました。

     ビールはレッフェという銘柄で、上面発酵のフルーティな飲み口です。
     おまけに付いていた大きなグラスで頂きました。

     こんなものを4日も持って歩いたのは、車で移動している気安さから。
     ビールを飲んだら、フランダースの犬を思い出しました。

  •  窓から隣の建物を望んでいます。<br /><br />

     窓から隣の建物を望んでいます。

  •  おなかがすいたので、おいしい店を求めて街を歩くと地元の人であふれかえっている「サルディーニャ」その名も「いわし」というレストランを見つけました。<br /><br />

     おなかがすいたので、おいしい店を求めて街を歩くと地元の人であふれかえっている「サルディーニャ」その名も「いわし」というレストランを見つけました。

  •  山盛りの焼きいわしとジャガイモのサラダ、豆のスープ2杯、ワイン1本で12.87(1500円ほど)ユーロでした。<br /><br /> わたしら二人には、十分に満腹になれる量です。<br /><br /> こういう、何気ない街で過ごすひと時は妙に記憶に残るものと知りました。

     山盛りの焼きいわしとジャガイモのサラダ、豆のスープ2杯、ワイン1本で12.87(1500円ほど)ユーロでした。

     わたしら二人には、十分に満腹になれる量です。

     こういう、何気ない街で過ごすひと時は妙に記憶に残るものと知りました。

  • ポルトガルの江ノ島<br /><br /> 翌日、ホテルの簡単な朝食をとった後、車に乗って近くのビーチを散策します。<br /> 場所は、ペニシェの西隣にあります。<br /><br /> 満潮の時には海の下に消えてしまいそうな道路を渡ると、写真の奥に見えるバレアルという小島に渡れます。<br /><br /> 島には古びた、Casa das Maresという趣のある小さなリゾートホテルが建っています。<br /> きっと海水浴シーズンにはにぎわうのでしょう。<br /><br /> 泊まる気もないのに酔狂で値段を聞いてみましたが、ホテルを出る頃には忘れてしまいました。

    ポルトガルの江ノ島

     翌日、ホテルの簡単な朝食をとった後、車に乗って近くのビーチを散策します。
     場所は、ペニシェの西隣にあります。

     満潮の時には海の下に消えてしまいそうな道路を渡ると、写真の奥に見えるバレアルという小島に渡れます。

     島には古びた、Casa das Maresという趣のある小さなリゾートホテルが建っています。
     きっと海水浴シーズンにはにぎわうのでしょう。

     泊まる気もないのに酔狂で値段を聞いてみましたが、ホテルを出る頃には忘れてしまいました。

  •  バレアルにて

     バレアルにて

  • 旅の果て、人生の果て<br /><br /> 浜辺の駐車場に戻ると、中年夫婦がポンコツのバンにキャンプ用品(というか野宿用品)を満載した脇にパイプ椅子を並べて、ぼうっとしていました。<br /> きっとここで夜明かしをしたのでしょう。<br /><br /> 旅の疲れか、人生の疲れか、二人の顔には生気がありません。<br /> その物憂げな目を私らに向けるでも無く、どこと無く不機嫌そうにいつまでも朝の海を見つめているのでした。<br /><br /> 私たちは、その夫婦から逃げるように車に乗り込み、次の目的地であるアルコバサへハンドルを向けたのです。

    旅の果て、人生の果て

     浜辺の駐車場に戻ると、中年夫婦がポンコツのバンにキャンプ用品(というか野宿用品)を満載した脇にパイプ椅子を並べて、ぼうっとしていました。
     きっとここで夜明かしをしたのでしょう。

     旅の疲れか、人生の疲れか、二人の顔には生気がありません。
     その物憂げな目を私らに向けるでも無く、どこと無く不機嫌そうにいつまでも朝の海を見つめているのでした。

     私たちは、その夫婦から逃げるように車に乗り込み、次の目的地であるアルコバサへハンドルを向けたのです。

この旅行記のタグ

19いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

ポルトガルで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ポルトガル最安 353円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

ポルトガルの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP