2008/07/05 - 2008/07/07
908位(同エリア1213件中)
ちゃおさん
「木曽のな〜、 木曽の中乗さ〜ん、木曽の御岳さ〜ん、ナンジャラホ〜イ! 夏でも寒〜いヨイ、ヨイ、ヨイ。」
木曽節に踊らされた訳ではないが、今回の百名山は、この古くから口謡されている中乗さん、即ち乗鞍岳と御岳さん、の2座に連続登頂のツアーである。尤もツアーと言っても先月浅間山(前掛山)と四阿山に一緒に登った、鳥越さん、石坂さん、町村さんに、今回は鈴本さんに代わって菊田さんが新たに加わった総勢5人のメンバーで、こじんまりとしたものである。
前日土曜日(5日)の午後遅い時間に東京を出発し、抜群のテクニックを誇る石坂さんの運転で、予定時間よりも相当に早く松本に到着。取り敢えず駅前のビジネスホテルにチェックインし、鳥越さんが事前に調べてきたという居酒屋に向うが、何故か途中で方向転換し、店の前の看板に惹きつけられて入った飲み屋が最悪。珍しく牛刺を頼んだは良いが、極薄にスライスされた霜降りがたったの5枚。舌の上に転がすほどの厚みもない。1100円も出す位なら、フグだってもうちょっとマシな皿盛りになろうと言うもの。マグロの刺身に至っては、いやはやこれが刺身かといえるほどの干からびた赤身で、使い回しの吉兆など笑えない代物。唯一ヒットしたのがイナゴの甘露煮で、後はまあ、メニューに騙された感じの店だった。
翌日のこともあり早々に引き上げたが、松本のような純朴な町でもこんなことがあるのかと呆れてしまった。その割には客もかなり入っていて、町の人の味覚と値段感覚を疑いたくなった次第の店だった。
今日6日、日曜日。全員4時に起床し、4時半にホテルを出発し、途中松本インター前のセブンイレブンで、後からやってきた町村さんと待ち合わせ、そこで簡単な朝食を済ませ、そのまま乗鞍高原バスターミナルまで向う。
予定通り、ターミナルには6時20分に到着するが、始発のシャトルバスが7時だからまだ40分もある。そうこうする内に乗り合いタクシーが畳平まで行ってくれるという。
聞くと5人合計で7000円とのこと。バス代が一人1200円だから、それぞれ200円余分に出せば済む事。バスを待つこともないし、スピードも速いので、衆議一致してタクシーで畳平へ向うことにする。尤もこれ等の交渉はすべて幹事の鳥越さんが一人でやってくれたので、他の4人は隣りで見ていただけだったのが・・・。
ターミナルから畳平までの約40分、タクシーが高度を上げるに連れ、目の前の乗鞍はより大きく迫り、まだら模様の雪渓が白と黒のコントラストで山肌に輪郭をつけている。思わずフロントガラス越しにシャッターを何枚も切るが、後で確認すると、本当に乗鞍、中乗りさんの鞍上の姿がよく出ている山の容であった。
話し好きの運転手さんのアドバイスにより、畳平より少し手前の県境で下車し、7時15分、登山を開始する。標高は既に2700mを越えている。
歩き始めて5分もしない場所で、雷鳥の子供、多分生まれて間もないヒヨコであるが、数羽道路を歩いている。まだここは舗装道路の上。ヒヨコがその辺を無邪気に歩き回るように、丁度そんな感じで、人間を怖れず、近くまでやってくる。それを知った親鳥が大変な鳴き声を上げ、ヒヨコ達に危険を知らせている。しかしヒヨコは無頓着。母鳥は高さ2mほどの石垣を羽をばたつかせながら、急いで駆け上がり、子供達を人から避難させようとする。母性本能の強さは人と変わらない。よく見ると石垣の下にはまだ数羽のヒヨコが遊んでいる。数えると、10羽以上の数。この辺り、2700mを越える付近には人以外の天敵はいないのかも知れない。ヒヨコ達は本当に怖いもの知らずの様子で遊んでいた。
過去北岳、室堂、五竜等で雷鳥を見たことはあったが、それ等は番の親鳥で、このようにヒヨコの子供を見るのは初めて。他の同行者も同様な様子で、その場を離れがたい雰囲気もあり、町村さんなどこの乗鞍が95座目になるのに、珍しいのか最後までじっと見続けていたが、この先の予定もあり、先行した。
歩き始めて30分、肩の小屋まで来ると、目前に乗鞍のなだらかな山並が斜めに天空を差している。途中の雪渓に取り掛かっている登山者の姿も見える。今日の快晴、頂上の一番先までくっきりと見えている。
肩の小屋では休む時間もいとおしく、すぐさま山頂に向け登山開始。約100mほどの雪渓をこわごわ渡り、漸く頂上直下へ。鳥居の姿まで手に取るように見えてくる。
登山開始から1時間40分、8時45分に乗鞍山頂3026mに到達。百名山第64番目の山として足跡を印す。山頂に鎮座する乗鞍神社奥の院に参拝し、記念の写真を撮る。
佳き日和。木曽の渓谷を挟んで、御岳のどっしりした山容が雲の上に浮かんでいる。独立峰だけあって、絵に描いたという表現がピッタリの、雄大な眺めである。明日は御岳。今日のような好天を願う。
目を転ずると、今度は北アルプスの俊峰が山波を打っている。常念から始まって穂高、槍、その手前の焼岳、又その奥の後ろ立山。大パノラマが目前だ。槍ヶ岳は一際尖った山頂がどこの山よりも特徴的で、その険しさ、厳しさを見せている。
大汗をかき、足を棒にしての今までの苦労はこのためにある。他の見知らぬ登山者と共に今日の至福を分かち合う。彼ら、彼女らの総勢10名ほどは昨日の早朝に高山の朝日村を出発し、10時間かけて途中の避難小屋で一夜を過ごし、今朝は又4時間の登山で、漸く頂上を極めたとのことである。敬服に値する登山グループだ。
頂上で30分程ゆっくりし、鳥越さんの奥さんが用意した赤と黄色のスイカで喉を潤し、9時15分、下山する。名残惜しい山である。後ろを何回も振り返り、下山した。
肩の小屋では先に下山していた愛知県の豊明市からやって来た小学生の一団、30名ほどが休んでいて、聞くと皆、小学1〜2年生とのこと。元気そうな子供達を見ていると、日本の将来も頼もしく思えてくる。
更に下ると、大雪渓のスロープで夏スキーに興じる若者数十名が望遠できる。ここにも又日本の平和、健全な若者の姿があった。
下山は早く、1時間ほどで畳平に到着し、電話で呼び出していた先の運転手のタクシーに乗り、11時、バスターミナルに到着。今日の登山を無事終了する。
< 雷鳥の 親子横切る 中乗さん >
< 正面の 御岳喬し 静座せり >
< 乗鞍に 嬉々こだませり 夏スキー >
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
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乗鞍高原駐車場(バスターミナル)から見える乗鞍岳。これからタクシーで、標高2700mのところにある畳平まで向う。
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タクシーのフロントガラス越しに撮った乗鞍。山はいよいよ迫ってくる。
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歩き始めて数分後、道路を横断する雷鳥の親子。
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雷鳥の子供はヒヨコと同じで可愛い。ヒヨコみたいに掌に載せようと思ったが、親鳥が警戒して出来なかった。
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石垣の下にも、何羽かのヒヨコが遊んでいた。合計すると10羽くらいの数だった。
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高みに登る同行者の一行。
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標高2900m辺り。頂上は真近。
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二つの峰に挟まれた鞍馬、中乗りがよく見える。
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漸く頂上、3026mを極める。
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頂上で寛ぐ皆さん。
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南の方角には御岳が静座している。
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北の方角には、北アルプス、槍ヶ岳、奥穂高、その奥の後ろ立山等の峻峰が波打っている。
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雪渓越しに見える北アルプス。
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頂上での同行者。
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豊明市からやてきた小学生の一行。皆、元気だ。
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夏スキーに興ずる若者達。
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畳平にある乗鞍神社、中の院。標高1万尺の地なり。
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