2008/06/16 - 2008/06/17
151位(同エリア219件中)
山菜迷人さん
「孺子の牛」の名で、いろんなテーマで文章を書いている文筆家でもあり、私が若いころ労働運動に身を置いていた時にお世話になった先輩でもある。もっといえば、早稲田大学の文学部出身で魯迅の研究家でもある。中高年と呼ばれる年齢になってから始めた登山も、どうしてなかなかのアルピニストぶりである。また、紙や土でできた郷土玩具(人形といったらいいのか・・・)の収集家でもあり、大人の家には1,000点くらいは飾られている。切手に造詣が深く、読書家であり、毒舌家でもある。今年、大病を乗り越えて元気に定年退職を迎えた先輩と飲むために、徳島のKの家に出かけたのは6月16日のことだった。
実は出張で高松まで行くことになったので、ついでに、ちょいと足を伸ばして、徳島まで行こうと思い立ったのだった。Kに連絡すると、
「わかりました。その日に一緒に飲めるように、調整してみましょう。」
と二つ返事で引き受けてくれて、大先輩との酒宴が具体化したのだった。
せっかく讃岐に行くので、ミニうどんツアーを敢行しようと決意し、少し早めに事務所を出て、水島インターチェンジから瀬戸中央自動車道に乗り坂出で降りる。11号線を高松に向かって走る。やがて右手に綾川の土手が見えるようになったらローソンを左折するとがもううどんなんだけれど、今日は、休み・・・残念。そういえば、時々(月1くらい)月曜日を休んでいるように聞いていた。それが当たるなんて、なんと運がいいんだ・・・。
気持ちを切り替えて、近くの山下うどん店へ向かう。綾川の土手の下にその店はある。セルフのうどん店なんだけれど、讃岐うどんらしいコシのある手打ちうどんなのだ。今日は、冷たいうどんに、冷たい麺つゆをかけていただきました。旨い。
会議の場所は栗林公園の近くなので、もう一軒「あたりや」に寄ろうと決めて、行けるかなと少しドキドキしながら向かう。とういのも、この店はジョイフィット高松というスポーツクラブの駐車場を通り抜けて下に降りたところにあるので、非常にわかりにくいのだ。案の定、通り過ぎてから気がついて、もう一度回りなおしてやっとたどり着いたのだ。
こちらの店は初めて入る。どんな味なのか楽しみだったのだ。店内では放送局が取材に来ており、テーブルにうどんを置いて撮影したり、レポーターの女の子がうろうろしていた。
「へぇー、そんなに旨いんか。こりゃあ期待できるぞ。」
とうどんと鰯の天麩羅をいただいた。ところが・・・なんだか麺汁が塩辛い、こりゃあいかんという感じでがっかりしたのだ。
会議が終わって、高松自動車道に乗り、白鳥まで行く。途中津田の松原のサービスエリアでKへの土産を買う。17時過ぎにK宅に到着。
「いきなりでなんだけど、とりあえず、風呂に入って!飲んだら面倒になるから。」
遠慮なくお風呂をお借りして、風呂上りにビールまでいただき、待つことしばし。Kの奥方がA大人を迎えに行き連れてきた。
「ご無沙汰しております。お元気そうで。」
「あなたも、元気そうで何より。」
「では、では。」
「まず、まず。」
「こりゃ、こりゃ。」
「まっ、ビールで。」
というような具合に、なし崩し的に飲み会に突入するのだった。
「これからどうなさるんですか?まだ若いし元気だし、何かせんといかんでしょう。」
「いや、何もしない。」
「何もですか?」
「そう、何もしない。」
「ほんとに?」
「本当です。」
僕は、てっきりご自身の趣味やライフワークなど頑張るのかなと思っていたのだが、少し拍子抜けした。でも、ずっと一線で頑張ってきた人だから少し充電期間がいるのだろうな。
少し遅れてWがやってきて、やっと4人全員そろった。しかし、風呂上りのビールから始まってかなり飲んでおり、このころから記憶があやしくなっているのだ。
ちなみに、A大人には御前酒のナインという酒を手土産に持って行った。9人の蔵人のチームで作っている酒で味ののった旨い酒なのだ。
人生を語り、仕事を語り、趣味の世界に遊び、日本酒を飲む。まったり、ゆったり、ぐったり、酔いが深まり、気づいたら夜中に布団の上にいた。
山に登ったりしながらのんびりしているうちに、おそらく何もせずにいるという事が出来ず、先輩らしく何かをやり始めるのだと思う。いずれにしても、後期高齢者医療制度に象徴されるように、日本の政治は高齢者に決して優しくはない。むしろ、長きに渡って日本社会を作ってきた諸先輩に対して、
「はいご苦労様でした。役割が終わりましたら出来るだけ早くあちらの世界に行っていただきますと、財政逼迫のわが国にとってとても助かります。それが、最後の仕事ですよ。」
てなことを言われているような気がして、なんと冷たい政治なのかと思わざるを得ないのだが、そんな世の中を、笑い飛ばし、
「生きていくことくらいは何とかなるがな。」
そんな、先輩の声が聞こえてくるような気がする。これからも息災で活躍してほしいと思っているのは僕だけではないはずだ。
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