Pakistan ラルカナ

2008/03 - 2008/03

2007年6月末、パキスタン南部を襲ったパキスタン史上最大のサイクロン「イエミン」と
その後の大雨により、暗殺されたブット元首相のおひざもとラルカナ市の郊外に広がる農地は大洪水にみまわれたそうです。

しかし、不運なことにイスラマバードでの「赤いモスクたてこもり事件」と同時発生だったので
被災者たちは政府からもマスコミからも置き去りにされてしまっているとか。

洪水避難民の支援活動をしている日本女性Ｙさんから唐辛子婆にコンタクトがありました。

最近、国際的に活躍してる若い日本女性ってどんどん増えてる。
大使館・領事館でも現地との細かいやりとりを民間が請け負ってるんですけど20代の女性がたくさん活躍していらっしゃる。
みなさんシッカリしててテキパキしてて、しかも豪快に現地を楽しんで。

Ｙさんも素晴らしい女性でした。
外国人女性がひとりでパキスタンの地方都市に住み、保守的であろう男性を雇って
活動を遂行し国連にプロポーザルやレポートを書きＨＰを更新し。
それってめちゃめちゃ大変なことなんですよー！
いやはやほんとにたくましい！

「いえいえ、はじめっからカラチに一人ってわけじゃなかったですから。
一番はじめはアフガンに派遣されるために10人ぐらいで来てたので。
今までカシミールとかいろんなところで仕事してきましたが、（パキスタンの中で）今のラルカナが一番気に入ってますね。
星がほんっとうにきれいだし。」

話がはずんで田舎への興味がますますひろがる唐辛子婆。
「ぜひ取材に来てください」と言われなくても行きたくてしょうがない。
でもちょうど選挙の前後で治安が不安定な上、本帰国も迫っていたので諦めました。

それでＹさんが提供してくださった画像をもとにラルカナ編をつくりました。鍵括弧内がＹさんの書いてくださったコメントです。

ＹさんのＮＧＯ活動はこちらでどうぞ。

JADE　（Japanese Agency for Development and Emergency
特定非営利活動法人　　緊急開発支援機構
http://www.jade.or.jp/

ラルカナ地方での活動の様子はこちらです。
http://jade.or.jp/photo/photo.html

水の中を歩むドクターが転んじゃったとか
一世帯一個のシェルターしか配布されないとわかって目の前で離婚を宣言し
2個のシェルターをせしめようとした老夫婦の話とか
困難な活動をなさってるのに、なぜか面白いＨＰです。
（イスラムでは夫が「妻を離婚する」と3回宣言すると離婚が成立する）

コピーボーイの話にもふきだしてしまったので、ちょっと抜粋させていただきますね。

「ある配布日のこと
JADEが登録した人数よりもはるかに多くの人が配布センターに押し寄せてきました。
その人たちが持っているのは確かにJADEのクーポンですが、通し番号もなければJADEのスタンプも
ありません。
JADEはこのような事態を避けるために、クーポンを渡す際にかならずスタンプを押し
通し番号をふるようにしています。

最初は押し黙っていた人々ですが、このクーポンではシェルターがもらえないと分かると、口々に
「コピー屋に騙された！」といい始めました。
聞いてみると、コピーボーイが1枚50Rs（100円）で大量に販売しているとのことです。
なんと3000枚も売れたとか。
すぐに警察がコピー屋に走り、コピーボーイは逮捕されました。
警察が到着した瞬間も、コピーボーイがクーポンを量産している最中だったそうです。
通し番号とスタンプの重要さを改めて実感した偽造クーポン事件でした。」

被災者に配るシェルターを納入してる業者の工場がカラチのコランギ（工業団地）にあるそうなのでせめてもと、そこを見学させていただきました。


★Pakistan 179編＆ジャンル別サイトマップ7編　あわせてぜ?んぶのサイトマップ
http://4travel.jp/traveler/tougarashibaba/album/10406139/

?　Pakistan 観光名所　サイトマップ（カラチ＆その他）
http://4travel.jp/traveler/tougarashibaba/album/10266091/

エリア その他の都市(パキスタン)

コランギの工場のオーナーはとても親切で感じのいい方でした。
丁寧に説明してくださって。

これは布地の上に置いて丸く切りぬく機械。

切り抜いた布の重さを計る。

国連から依頼された難民用のテントを組み立てて
見せてくれました。
世界中の難民キャンプ用に作っているのだそうです。

テントは二重になっていて撥水加工がほどこされています。

テント用の杭

束ねて

麻布のようなもので梱包します。

竹の支柱

「ラルカナで配るのは
布のテントでなく椰子の葉で編んだシェルター。
洪水が引いて自分の土地に戻ってからそれを使って家を造れるのです。
柱もスチールじゃなく竹でできてる。自由に切って自分達の便利なように家を建てられるから。
そういうシェルターの業者を選ぶのも一苦労。
作業場が不潔だったり、保存場所が湿気てたりするとカビの生えたのを配ることになるので。」

これはチャド向けの生理用品。

ロープ

バングラディシュ向けのなにか。

これはヨーロッパの支援団体向けのようです。

オーナーの方の言葉が印象に残りました。
「紛争や難民がなくなって私達の出番がなくなることが一番いいことなんですけどね。」

ほんとうに・・・。

ここからはラルカナの様子です。

「ラルカナ市から車を２時間走らせると砂漠地帯に入る。
視界に入るのは切り立った山々と少しのグリーン
あとは砂、砂、砂。」

ちなみにラルカナ市に借りてる事務所兼住宅は高台にあるが良質な井戸水がでるので飲料水には苦労しないそうです。なんと生で飲めるんですって（！）

「アラビアのローレンスの世界さながらの光景が続く。
私が行ったのは冬だけど、夏は５５度超の灼熱地獄になるとか・・・・。」

ひょえ〜カラチの真夏より暑いんだー\(◎o◎)／

「オープンエアのサファリカー（部族の所有）で
オフロードを走る。
視界には電線も水道管もない。
見渡す限り、砂の茶と空の青と少しのグリーン。」

「しばらくすると小さな小川にさしかかった。
このあたりに住むラクダや野生の鹿、マウンテンシープ（シープという名前だけど、羊というより鹿に近い）が水を飲みにくる。」

「砂漠の向こうの山奥の村

この村にはウィッチドクターも住んでいる。
近くの山々から病に悩む人が降りてきて、ウィッチドクターから親しい大切な故人を呼んでもらうそう。人々は夜通し、泣きながら歌い続けて、邪気をはらう。」

「とっても可愛い女の子を発見したので思わずパチリ。」

「今回の旅の案内人、部族のチーフ。
ハンティングが趣味の堂々たるジェントルマンですが
片手に持つのはピーチアイスティー。
あら、かわいい？
いえいえ、娘達と客人のために持ってきてくれたのです。」

ほおお、このお方が部族長。と感慨深い唐辛子婆。
なにせね
「部族長にあうと車道のまんなかでも農民が土下座して挨拶するのよー！」
とＥさんから聞いてたから。
Ｙさんも
「（それを聞いたときは）信じられなかったけど、私も見ました。」

水戸黄門の世界だー\(◎o◎)／

「今回案内してくれたかわいい部族のチーフ一族の
姉妹。
会計士（左）とデザイナー（右）志望で大学とカレッジで勉強中。
昔はチーフ一族が働くなんて許されなかったそうだけど
時代は少しづつ変り始めてる。」

バロチスタン系の人も多いと聞いて思い出したのは
クエッタにいらっしゃるＷさんの話。
女性隔離の習慣が厳しくて
街で女性を見かけることがないと言う話。

「それほどでもないですよ。街でも女性をよく見かけるし私達のプロジェクトにも女医さんがいますよ。

もともとイスラムの教えよりも地域部族の慣習が先行する土地柄みたいで、ラマザンもいい加減で。
ラマザン中にランチに招待されたことありますよ。
カラチから連れて行ったスタッフは断食してるので気の毒でしたねえ。」

へ???！\(◎o◎)／
パキスタンでもそういうところがあるんだ?！！

「地域の女の子は土地の男性となんか結婚したくないって言ってますねえ。
勉強して力つけていい仕事について自立したいって。
男の子はね、英語なんて習わなくてもいい、この土地で農家やってりゃ食べるに困らないから高校なんか行きたくない、っていう調子ですからねえ。」

「切り立った山々。
近くで見ると薄い層が重なる地層であることがわかる。」

「山奥のオアシス。
水がある地帯の周りに村が広がる。」

山の斜面にはこのような先住民？の絵が残っているそうです。

「騎乗で戦う人たち。
他の絵に比べると大きいけど、ちょっとタッチが荒いか？」

「左上と右上に人らしき絵が。
それから手裏剣のような記号もたくさん描かれています・・・。
どんな意味があったのでしょうか？」

「真ん中あたりを拡大してみてくださいね。
この絵はとってもお上手。
弓を引く人、騎乗で戦う人たちがたくさん。
戦場の絵ですね。」

「剣を持って戦ってる人や馬の壁画。
10年前にＮＹから考古学者たちがやってきて
この壁画をはがして持ち帰って博物館に展示したいというオファーがあったそう。
でも自然のままに残したいからと部族長が断ったとか。」

「青空も素晴らしいけど、星空はもっと素晴らしい。
視力0.6の私の目でもこぼれんばかりの星々と
たくさんの流れ星がみえる。（写真がなくてすみません）」

これはこの土地に伝わる「骨を強くする薬」を作るための水です。
いえ、こういうペットボトル入りってわけじゃなくてね

「この不思議な水は、ここからさらに車で一日、駱駝に乗り換えてさらに２日かかる遠くて高い山の火口に湧き出している水だそう。
この水が骨を強くする秘訣らしい。」

カルシウムがいっぱい溶け込んだお水なんでしょうね。

「材料　アーモンド、ココナツ、花、よく見る花だけど名前がわからなーい。
それから不思議な水。」

「材料をすりつぶして、真っ黒になるまで煮詰める。
食べさせてもらったけど、苦味のある不思議な味。
次の旅のターゲットはこの不思議な水のでる山だー！」

Ｙさん、いらしたらぜひレポートを♪

「秘薬のアップ。
最後に砂糖を加えて口当たりをよくする。」

「部族のチーフの健康を祈り、
彼女の夫が片道３日かけて山を登り水を手に入れてくる。
それらを彼女が調合して秘薬をつくる。」

「どこに行ってもロバとラクダﾞばかり。
田舎のほうでは車なんてめったにみられない。」

「菜の花畑。
カンバルーシャハダコット県の中心部は穀倉地帯。
今はマスタードの花の季節。見渡す限りの黄色。
とてもきれい。

唐辛子婆さーん、たまには思い出してくださいねー。
またどこかでお会いできること楽しみにしてますー。」

私もで～す、元気でね?(^.^)/~~~

この旅行記へのコメント （3）

• miremoさん 2008/07/13 02:41:59

  ありがとうございました！

  唐辛子さん、こんにちはー。
  こんなに素敵に書いてくださってありがとうございますー。
  ようやくページの全容を最後までみることができました。ラルカナでは写真のダウンロードがなかなかできなかったので…。
  
  この間、イスラマバードから援助仕事仲間が4人遊びにきてくれました。モヘンジョダロを観光し、ハンティングに行って、山の部族のゲストハウスに泊まって…、という行程で、「これまでに訪れたパキスタンのどこよりも面白かった！」と言ってました。
  
  唐辛子さん、そのうち気が向いたらふらりと遊びに来てくださいね、って、日本からは遠すぎるか。。。

  唐辛子婆さん からの返信 2008/07/14 01:36:19

  RE: ありがとうございました！

  miremoさん
  
  こんばんは、お久しぶりです。
  今日はマンションの委員会で午前も午後も会議があって
  クタクタになりました。
  
  > こんなに素敵に書いてくださってありがとうございますー。
  
  見てくださってありがとう！
  その後の様子も今度教えてくださいね。
  
  > この間、イスラマバードから援助仕事仲間が4人遊びにきてくれました。
  モヘンジョダロを観光し、ハンティングに行って
  
  ハンティングって何をどう狩るの？
  
  >山の部族のゲストハウスに泊まって…、という行程
  >「これまでに訪れたパキスタンのどこよりも面白かった！」
  
  わ〜！羨ましい！
  本当に、田舎に行く機会がほとんどなくて残念でした。
  夫が完全にリタイヤしたら遊びにいけるかも知れないから
  miremoさん、それまでそこにいてね♪
  
  

  miremoさん からの返信 2008/07/17 16:12:15

  RE: ありがとうございました！

  > 今日はマンションの委員会で午前も午後も会議があって
  クタクタになりました。
  
  日本での生活順調そうですが、大変なこともありますね。でもそれがあるから日本のマンションは公用スペースもきれいなんですよね。こっちのアパートメントはどこも公用スペースは本当に汚いですもんねえ。
  
  > ハンティングって何をどう狩るの？
  
  鳥とか、鹿とか、マウンテンシープという大きな野生の羊とか。いっぱいいますよ。散弾銃やカラシニコフ等、使う銃は様々で、部族の長ともなると相当のコレクションです。
  …こっちの人って発想がマッチョなので、銃とか車（大きい車がお好み、アメ車みたいなの）とか大好きなんですよね。。。彼らの銃と車への情熱にはちょっとついていけません。
  
  >山の部族のゲストハウスに泊まって…、という行程
  >「これまでに訪れたパキスタンのどこよりも面白かった！」
  
  ぜひー。いつかかならず遊びにきてくださいねー！！！