2007/09/22 - 2007/09/22
201位(同エリア354件中)
まゆままさん
旧乾邸の内覧会へ今回やっと訪れることができた。
神戸市東灘区にある旧乾邸は渡辺節設計により乾新兵衛氏の邸宅として1936年に建てられた昭和初期の代表的な個人邸宅の一つ。
お金に糸目をつけず贅を尽くして建てられた邸宅、細かいところまでデザインされ美しく装飾された空間に感動〜のため息が。
旧乾邸保存のために活動されているアメニティ2000協会の方から詳しく説明を受けながら館の中を見学、十分に建物を味わうことができました。
内覧会は毎月決まった日に行われている。↓
http://homepage3.nifty.com/amenity2000/newpage194.html
私が旧乾邸、白鶴美術館と見学する間、旦那と子どもたちは灘浜サイエンススクエアにて遊ぶ。
灘まで来たので最後には灘の酒蔵巡りで締めることに。
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
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神戸市東灘区の閑静な高級住宅街の中にある旧乾邸、
見学時間が11時からだったため、開館10時の白鶴美術館から訪れ、その後にやって来た。
白鶴美術館からほんの少し下ったところに旧乾邸はすぐ見つかった。
門には内覧会の看板が下がっており、開かれていたので中へ。 -
この写真は帰り際に中庭の方から撮った建物の南面。
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この旧乾邸は建築家渡辺節(大阪の綿業会館でおなじみの)の設計により乾新兵衛氏の邸宅として1936年に建てられた。
乾氏にとって建築家の渡辺節は近所に住んでいたゴルフ仲間であったという。 -
屋根の上には煙突が二つ。
この屋敷の特徴として、細やかな部分までこだわりの装飾がされているということで、よく見ると煙突にまできれいに模様が入っている。 -
そしてこの玄関アプローチの柱は円柱であったり角柱であったり、統一はされていないのだが柱と柱の幅の取り方が絶妙であるため何の不自然さも感じさせないものとなっている。
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玄関アプローチ
玄関も三つに分けられており、正面に見える真ん中に位置する玄関は家族用、左は正客用、右は執事用となってたのだそう。
更にお手伝いさん用の出入り口は裏にあるという。 -
一見洋風に見える玄関アプローチの天井は竹を編んだように装飾されており、和の雰囲気も取り入れられている。
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照明ひとつひとつをとっても設計者のこだわりがあり、全てオリジナルなのだそう。
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この穴はかつて天窓のように光が差し込むようになっていたようだが雨漏りのため現在はふさがれている。
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壁のタイルはパズルのようにいろいろな形がはめ込まれデザインされている。一見アンバランスなようでいてうまくまとめられている。
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同じく床に敷かれた石もそう。
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窓の鉄柵も美しく繊細なデザインが。
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庭にある車庫
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エントランスの縁の装飾には「アカンサスの葉」「ぶどうの蔓」「菱形」が使われており、この館の中でも繰り返し使われる装飾モチーフである。
アカンサスはヨーロッパでは建物などの意匠によく用いられているもの。
ぶどうは豊さの象徴、菱形は海運業を営んでいた乾氏から菱垣廻船(江戸と大阪を結んだ船)の船のイメージを表しているという。 -
この正客用の玄関の扉はガラスに真鍮の模様が施されており、とても美しい〜
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玄関を覆うこのタイルは光沢のあるラスタータイル。明るい緑系でまとめられている。
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この絵の描かれた陶板はスペインのマジョルカタイルだ。
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床の石もイタリアからの輸入のトラバーチェという大理石で、緑系の模様の石は蛇紋岩といられるものだそう。
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さらにホールの入り口にはもう一枚ガラスで出来たきれいな扉が
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そして圧巻なのがこのホールの階段。
重々しいチーク材を使用し、贅を尽くして造られた階段はこの空間だけで民家が3軒建つというくらいのお金がかけられている。
軽やかな緑色のラスタータイルのエントランスから一転してダークな雰囲気のホールへ。
明暗をつけるために考えられた構成だという。 -
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階段の装飾はアカンサスの葉と花の透かし彫り。
カーブの部分には木を一株使用しているという超贅沢な階段装飾。 -
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階段のステンドグラスは菱形がモチーフの淡い色合いの上品な仕上げに。
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階段の壁にかかっているのは設計者の渡辺節がこの館の新築祝いに贈ったといわれる京都の川島織物製のタペストリー。安芸の宮島のお祭りの風景が描かれている。
ヨーロッパの邸宅では当時このような大きなタペストリーを掛けるのはその家のステイタスを表すとされていたのだそう。 -
ホールに残されている台座と照明
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台座の脚には華麗な彫刻が
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ここにもアカンサスの葉
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コートや帽子を掛けるもの
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ホールの暖房のふき出し口も華麗な装飾。
部屋毎にふき出し口の装飾も違ったデザインに -
ホールの暖房の吹き出し口
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ホールからゲストルームへ入る扉もガラスに真鍮で作られている。
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ゲストルームはホールとはうって変わって明るい雰囲気がただよう。
高い天井に大きなシャンデリア(このシャンデリアは当時のものではない)、そして重厚な暖炉、大きくとられた窓。 -
大きくとられたステンドグラスの窓から明るい光が差し込む。
ソファに座るとちょうど目線の高さの部分には透明なガラスが入れられ庭の景色を楽しめるようになっている。 -
そしてゲストルームの中にも階段が。
この階段はほぼ真四角の部屋の中にデザイン的な変化をつけるために造られたのだそう。
ホールの重厚な階段とは対照的な真鍮で造られた軽やかな階段。 -
ゲストルームに掛けられたこのタペストリーも川島織物製。
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ゲストルームの窓際の暖房の吹き出し口
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暖炉にもぶどうとアカンサスの葉の模様が彫りこまれている。
暖炉の上にはフックの跡があるが以前は小磯良平の絵が掛けられていたのだそう。 -
床はナラ木の寄せ木で細やかな細工がされている。
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天井の周囲は石膏のレリーフによる装飾が
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ゲストルームに続いて造られている小部屋は書斎のように使われていたという。
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ゲストルームの隣の食堂には大きな鏡。
こちらを向いている人にも庭の風景を楽しめるようにとのこと。 -
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鏡の裏側には配膳室が設けられている。
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和室
和室の扉は二重になっていて、洋風の内装が損なわれぬよう外側は洋、内側は和風になっている。 -
和室にある暖房の吹き出し口はちゃんと和風の模様になっている。
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二階の主人の部屋
海の見える高台に住むのが夢であった乾氏の部屋は出窓が広くとられて景色もよく明るい雰囲気。 -
当時では珍しかった造り付けのクローゼットは中も使いやすいように細かく棚が分かれている。
桑の木で出来たクローゼットは70年経った今もゆがみはなく開閉はスムーズだ。 -
これは造り付けの金庫。
中は桐で出来ている。 -
何気ない場所にも細かい装飾が施されている。
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主人の部屋のこの小窓からはゲストルームを見下ろすことができる。
ここで下の様子を確認して、ゲストルームの階段を使って降りていったのだそう。 -
主人の部屋と夫人の部屋の間にある浴室
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お風呂の天井がカーブを描いているのは水滴が上から落ちてこないようにとのこと。
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緑を基調にしたタイルの模様がきれい
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排水溝のデザインまで美しい
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夫人の部屋
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夫人の部屋の扉は少し和テイスト
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造り付けのクローゼットの中は違い棚が
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細かく分かれた引き出しひとつひとつには鍵がかかるようになっている。
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夫人の衣裳部屋として使われていた和室
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吹き抜けの階段ホールの天井には太い梁が通り、豊さの象徴であるぶどうと花が。
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3階のサンルーム
船の玄をイメージして作られた。 -
ここの暖房の吹き出し口も和風
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見晴らしの良いサンルームではセルフのコーヒー&ティーサービスが。
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1階の家族用の玄関にはいい感じの色合いのタイルが張り巡らされていた。
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家族用玄関の呼び鈴
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家族用玄関扉
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執事用の玄関扉
現在国の所有となり行く末が懸念されているという旧乾邸。
数々のドラマなどのロケにも使われているというこの魅力のある建物を末永く大切に保存してもらえたら・・と願います。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ホーミンさん 2009/02/07 15:07:23
- すみずみまで見ごたえがあります
- まゆままさま
こんにちは。
お恥ずかしいことに、旧乾邸の存在は知りませんでした。
すみずみまで案内してくださってありがとうございます。
お金に糸目をつけないというだけあって、非常に豪華なつくりですね。
暖房の噴出し口もひとつずつデザインが違って、お洒落ですし、こだわりと思い入れが感じられます。
窓と扉もとても美しい。
本当にきちんと保存をしてほしい邸宅ですね。
洋と和を組み合わせたこういう邸宅は、ヨーロッパにあるものと一味違って、またいいものです。
それにしても、まゆままさんはよい建物をよくご存知でいらっしゃる。どれを見せていただいても、うっとりするばかりです。
- まゆままさん からの返信 2009/02/07 21:39:57
- RE: すみずみまで見ごたえがあります
- ホーミンさん、こんばんは!
旧乾邸の旅行記、見ていただきありがとうございます〜
乾邸、ほんとにどこをとってもすばらしく見どころの多い邸宅ですよね。
私もあらためて見入ってしまいました〜
施主の乾氏と設計された渡辺節とはご近所のゴルフ仲間だったそうなので
気心が知れてたのか?お互いに妥協せず、よいものが造れたのかなあ〜
とか想像してしました。
>洋と和を組み合わせたこういう邸宅は、ヨーロッパにあるものと一味違っ
>て、またいいものです。
ほんとに、ヨーロッパにあるものとは一味違ってますよね。
日本の洋館は又日本風の味付けが心地よく、味わい深いものがありますよね〜
ところで旧乾邸は神戸市の指定文化財として保存が決まり、
このアメニティ2000協会が続けてきた内覧会は先月で最終回だったそうです。
とりあえず保存が決まったということでよかったです〜
http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0001647652.shtml
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