ムーア河のほとり グラーツ 中欧３都市トラムの旅 弐

2007/04/20 - 2007/04/22

いよいよ来ましたトラム（路面電車）をこよなく愛すオッサンの「中欧３都市トラムの旅」。街巡りのはじまりです。
※ トラムに乗るのと知らない街を歩くこと、これだけの旅なので、観光ガイドに載っている名所旧跡はほぼ出て参りません。そういうの期待してたら見ない方がいいかも〜

さて、最初の訪問地は大州シュタイヤマルク州の州都、ムーア（Mur）河畔の街“GRAZ”！
ウィーン、ザルツブルク、インスブルック、ザルツカンマーグートなどなど、オーストリーに名所は無数にあるけれど、グラーツまで足を伸ばす日本人はいかほど？名所にタッチ＆写真パチリの観光おサルさんには会いたくないので、いない方がいいですが。
でも訪れてみるとホントしっとりと落ち着いててまさに「世界遺産」、そしてその街をスイスイ走るトラムたち。スマートでステキ。バスとの接続も機能的で、いやはや住みやすそうな街でした。

表紙の写真は、グラーツ市電（GVB）、１系統東の終始点MARIATROSTにある旧型市電が憩うTramway museum garz。しかもこのオールドトラムたちは、各地の旧型を集めているものだそう。中に入って触りたかったなぁ。

ちなみに、この旅行記をご覧いただく際は、このサイトを傍らに：http://www.gvb.at/home/files/Plan_neu.pdf

宿泊：04/20,21,Hotel：Ibis Graz,料金：@€62+朝飯€9=€71×2泊=€142(net予約・払い)・・・=€142×@165.246=\23,465.-

エリア グラーツ(オーストリア)

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: エミレーツ航空

朝陽に輝くGraz Hbf。
無駄のない四角いフォルムの駅舎、でっかい時計、駅前広場に青いトラムとバスたち。
これは土曜の朝の駅前を、宿泊したホテルの食堂の窓から俯瞰したもの。
Hbf駅は旧市街からMur河を挟んでかなり西側の離れたところに悠々と佇んでいました。
ibis Grazの食堂からの駅前広場の眺めは、◎

シンプル過ぎないか？Hotel ibis Graz
ibisに泊まるのは一昨年のLinz以来、二度目。
駅前にあるから移動に便利、そして部屋も明るくそこそこ広い・・・メリットがあるから泊まるんだけど、少々言いたいことがある。
せめて冷蔵庫くらい置いてよね。長期滞在するとき、スーパーで飲み物くらい購入するよね。リットルボトル、冷やせないんだよなぁ。もうちょっと気利かせろよなぁ。

ヤマサのちくわのいかボール
なんだ？ってびっくりした？
日本を発つ前、金山駅売店で購入していた“いかボール”くんが、Graz１泊目の夕食の華となりました。
いやぁ旨い。愛知県周辺の方ならわかっていただけると思いますが、ヤマサのちくわの練り物の旨さは絶品。ついでにスガキヤのラーメンがあったら・・・多くを望んではいけないぞ。
（参照：http://4travel.jp/traveler/tamakazu/album/10153728/）

Hotel ibis Grazの朝食 07-0421
ハム、ソーセージ、スクランブルエッグ、パン、そして卵立てのたまご・・・笑っちゃうくらいシンプルな朝食でしょ。
でも朝食は９€=\1,487・・・日本なら豚丼が５杯。ありえないユーロ高（自民党に組した日銀の金持ち優遇＆輸出企業寄りの金利失政ハンターイっ）が原因だけど、こうなるとお昼の分まで腹いっぱいいただかないと。もちろんこれ以外に野菜もフルーツも各種ジュースもいただきます。そこそこ旨い。

疾走する赤いトラム Haupt橋袂
このHaupt橋は、Hbf方面から旧市街に入る入口にあたる場所。葱坊主のような丸い屋根の背の高い塔がお出迎え。オーストリーの古い建物ってこんな柔らかいフォルムが多いですね。のんびりした感じでいい味出してます。
そしてMur河にかかるHaupt橋の袂を旧市街側からHbfに向ってる赤いトラム。スピードはけっこう速い。
今後もたくさん出てきますが、とにかく元気にトラムたちは走ってます。
まさにトラムは「街の水平エレベータ」。Grazに来ることがあったら一度はトラムに乗るべし。

Jakominiplatzのトラム
Grazのトラムの集積地はここJakominiplatz。
市庁舎などがあるHauptplatzからひとつ南の電停です。ここに全ての系統（1,3,4,5,6,7,12,13※）が集まり、市内各地に散って行く。バス路線も含め、まさに広場全体が乗り換え用のプラットフォーム。
扉を開けて「ほらっ乗りなよ」って誘ってるみたい。
※12,13は週末運行

Jakominiplatz の照明ﾎﾟｰﾙ
トラムの集積地Jakominiplatzの空中には、５本の腕を広げる照明ポールが立ち並んでいます。その風景はちょっと未来的です（上の写真も参照）。
写真の左に「Grazer」と書かれた時計がありますよね。これはGrazの交通を取り仕切る「GVB」のマークらしく、緑色はシュタイヤマルク州のニックネーム「緑の州」を表しているのでしょうか。
写真中央の円形の建物は、そのGVBの事務所。トラムやバスの運転士さんたちが集っていました。

Jakominiplatz の公衆トイレ
上の写真で紹介したGVBの事務所の地下にございます。
旅人には宿と同じくらい重要なのがトイレですよね。ご他聞にもれず、このトイレも欧州各地のトイレ同じく、有料でした(0.20€=\33)。Grazクン、お前もか。ザンネ〜ン。
しかしどうして欧州のトイレの多くは有料なのでしょうか？この謂れを研究した学者さんはどこかいないのかなぁ？無料だったらみんな喜ぶのになぁ、と嘆きつつ、やっぱりボクは入りませんでした。

Jakominiplatzに入って来た旧型トラム
Jakominiplatzを出てHerrengasseを冷やかしつつHauptplatzへ向おうとしたその時、かわいい旧型トラムがやってくるのに遭遇。いやはやうれしい。昔はこんなかわいい奴らが走ってたんですね。今日は観光用なのかな？それとも業務用？うれしさに思わず立ち尽くすオッサンでありました。ドーパミン、大決壊っ！

Jakominiplatzから市教区教会方面を望む
花壇の向こうに佇む市教区教会。Haupt橋の袂の塔もそうだけど、Grazの旧市街の建物は、こんな柔らかいフォルムが多く、全体に“おっとり”していて、なんだか優雅です。
そしてその足元をスキップするのがトラムたちです。

Herrengasseを走る青いトラム
市庁舎などがあるHauptplatzからトラムの集積地Jakominiplatzを結ぶのが、Herrengasse。
この通りは13番系統以外のトラムがひっきりなしに走っています。写真にもあるとおりZARAなど欧州ブランド店なども軒を連ねる繁華街。
写真はたしか土曜の朝10時頃まだ人通りは少ない時間です。

Herrengasse沿いにある書店THALIAの内部
トラム好きのオッサンのお供は各地の地図。だからどの街に行っても必ず立寄るのは本屋さん（＆スーパー）。
Herrengasse沿いに３階層の広くてきれいな本屋さんを発見、もう入らずにはいられない。この本屋さん、THALIAって云うオーストリーのチェーン店。特に地図と観光書の充実振りがスゴイ。外国語読めなくても地図は何とかなるのでもう興奮。国毎に棚が分かれてる（なぜかスイスの棚はない）。
トイレに行きたいのを我慢しながら２時間くらい異国の地図たちを堪能。
この写真は書店THALIAのとある一角。なかなかな天井でしょ。

オーストリー分州地図
トイレに行きたいのを我慢しながらどれにしようか迷った末に、大決心して購入したのがこのオーストリー分州地図セットの特価版（14.95€×@165.151=\2,469.-）。他にもたくさん買いたい地図があったけどキリがない。
日本にもマップハウスさんが欧州の地図をたくさん輸入されてて、大きな本屋さんではたいてい購入できるけど、オーストリーを各州で分けたセットは初めてご対面。いそいそ購入いたしました（ちと重い）。

Graz市教区教会 礼拝堂内部
Herrengasseを歩いて行くと当然のように到着するのがGraz市教区教会。
どんな感じかなと覗いてみたら、あれまきれいじゃありませんか。何人かお祈りしている方もいて、静かな祈りの時間が流れていました。教会ってほんときれいに作られてますなぁ。関心しちゃう。

Graz市教区教会 入口の石畳
（縦長の写真ばかりでゴメンなすって）
Graz市教区教会の入口の石畳に、なんと十字が刻まれてた。ニクイ演出！

Hauptplatzには市庁舎がデーン
土曜日の朝、Herrengasse を歩いてinfo.を通り過ぎる頃、そろそろヒトが街に出てきたなぁってところです。
Hauptplatzには堂々とした市庁舎前が立ってました。
そして画面中央には、Graz市電の主力トラムが！こっちもデーン。

Hauptplatzの公共トイレ
またトイレかよ、ってすみません。
JakominiplatzとこのHauptplatzの間は、いわば大阪で云えば梅田＆難波（名古屋でいれば笹島と栄、東京では・・・もういいや）。
そこの地下にはお約束の公共トイレがあるのでした。
もう我慢できないので・・・

Hauptplatzを走る子供機関車
土曜日のHauptplatz。ほんとどうしちゃったのってくらいひとだかり。でも窮屈じゃないとことが良いんだよね。
広場には市交通局や近郊私鉄、そしてオーストリー国鉄のテントが出てて、いろんな展示やパンフの配布なんかも。ドイツ語わかんないけどもらいます。
広場中央の噴水の隣では、子供機関車がぐるぐる。みんな楽しそうに乗ってますなぁ。

Hauptplatzの屋台でブルスト！
ホテルの朝食で昼食分までしっかり食べたんだけど・・・みんな屋台で美味しそうに食べてる様子。それでは食べてみましょと、購入したのは刻みブルストって云うのかな（勝手にそう呼んじゃう）。
パンはパサ硬くてイマイチだけど、ソーセージはイケてます。特にマスタード、それから刻みにんにく？かな、これとの相性がいい。2.3€（\380）なり。
安くはないけど、風情を楽しみました、とさ。

Hauptplatzの屋台のお坊っちゃまシート
ブルストを楽しんでいたところ、隣に坊っちゃん連れのお父ちゃん接近。すくっと抱え上げて屋台のテーブルに。その瞬間、屋台のオヤジはささっとのお坊っちゃまシートを定位置に！
写真の赤丸のものがそれ。いやぁ、これが普通の風景なんですね。
土曜の昼は、みんな楽しくショッピング＆街歩き＆ブルスト、なんですねぇ。

Hauptplatzの旧型トラム
どんどん人出が多くなってきたHauptplatzにまたまた旧型トラムがやってきた。
いろんなヒトが乗り降りしてるから、事業用ではないらしい。乗りたいなぁ、どうしたら乗れるのかなぁ、と考えてるうちに出発・・・結局乗れず終い。う〜ん、ザンネン。
昔、ニュルンベルグでも旧型トラムの走行を見たけど、欧州では旧型トラムの動態保存が盛ん。子供の頃から古いものに親しむ習慣があるんですねぇ。

市の紋章？
どこで撮ったか忘れちゃったんですが、Hauptplatzの近くの建物であることは確か。
Graz市の紋章なのかな？
ここGraz市はオーストリー・ハンガリー二重帝国時代のオスマントルコ軍から国土を守る最前線だったところらしく、中世の軍事関係の物品を展示している博物館や館が多いらしい。インフォの近くでも大砲の展示館がありました。観光のヒトは記念になるかもね。

Murgasseを走る５系統のトラム
ここはHauptplatzから北に進んだところ。
道が狭くトラムがようやくすれ違うくらいしか幅がありません。そんなところもスイスイ。
土曜日のお昼は、Grazの市民は家族総出でお買い物ですね。

Andritz電停横の屋台で一杯
ここは４と５系統の終始点になるAndritz電停。
まだ昼だってのに、電停横の屋台では、いい感じで飲んでる人たち。のんびりしてていいねぇ。

アイスクリーム舐めてちゃダメ
トラムの乗降口の横についてるのがこのマーク。
欧州のヒトは老若男女問わずアイスクリーム大好き（オッサンも）。でもさすがに乗り物はダメらしい。
その下にある赤いボタンは乗車用。ポッと押すと自分の前の扉が開きます。ヒトがいない扉は開かないので合理的。冬なんてみんな空いたら寒いからね。

郊外型ショッピングセンターMurpark
最近延長されたトラムの4と13(週末のみ)系統の終始点Liebenauの電停は、郊外型のショッピングセンターMurparkの敷地の中にあった。
Grazのトラムは片運転台なので、終点まで来ると通常ループ状の線路を廻って始発に衣替え。ここはショッピングセンター全体をぐるっと廻りこんだ形になっています。
買い物を楽しんでトラムで帰宅、なんていいじゃありませんか！

Murparkのカラフルな飲料たち
ショッピングセンターMurparkには、ファッション、シューズ、スポーツウェア、雑貨、インテリア、玩具など様々な大型店が入店していて、巨大なショッピングモールになっています。
そんな中、スーパーマーケットとして「INTERSPAR」が入ってて、これまた広い。
そんな中、飲料売り場にキレイな飲み物が並んでたので撮影してみた。
オッサン、パッケージデザインも大好きで、知らない国でビールや飲料をよく買ってます（重いのと割れ物なのが難点）。こんな買い物、楽しいね。
ちなみにMurparkの名は、Graz市内を貫流するMur河から名づけられているんでしょうね。

芝生の路面をトラムがやってきた
トラム全路線を乗りつぶしたいオッサンは、Murparkから4系統に乗ってSteyrergasse電停まで来たら、なんと車庫入れ。降ろされちゃったので次のトラムを待ってたら5系統がやってきた。
このSteyrergasse電停付近の線路は道路から分離されてて、しかも線路内にも一部芝生が植えられてた。
日本でも鹿児島辺りで試されてるけど、路面に植物を植えることで日光の反射を和らげ、気温上昇を抑え、二酸化炭素を吸収する・・・なんとエコな取り組みではないですか！偉いぞ、Graz.

アンティークトラムが走ってた！
1系統に乗り替えてMariatrostに向っていたら、なんと後ろからやってきたのはアンティークトラム！さっき走ってた緑の旧型よりも確実に古いタイプ。まさにアンティーク！いったい誰が乗っているんだろう？と思っていたら、アンティークトラムからヒトが降りてきてトラムの撮影開始。OH！これはGraz市電を訪れた欧州のトラムファンたちに違いない。
おーい、前の電車にも日本のトラムオタが乗ってるよー

アンティークバス？も走ってた！
アンティークトラム、イイなぁ、と眺めていたら、なんとその後ろを、これまた古風なかわいいバスが横切るではないか！
塗装は旧型トラムと同じお腹から下が緑のGrazカラー。ちと距離があるのでわかりにくいけど、アンティークトラムが写真右に曲がった後を追いかるように進んだので、きっとトラムに乗り切れなかった欧州トラムファンが乗ってたんじゃないかな。イイなぁ、Graz.

Mariatrostはマリアの恵み
１系統のトラムは、旧市街地の裏手を丘陵地に開けた古くからの住宅街をぬうように少しづつ高度を上げて行きます。そして小川のほとりの単線専用軌道をしばらく行くと、表紙の写真と同じところ、丘の上にマリアトロストパジリカ（会堂）そびえる終始点、Mariatrostに到着します。こんなところに住めて毎日ここから出かけることが出来たら、トラムファンとしては天国であります。
この辺りの解説は、オッサンの海外トラム詣でのバイブル「ヨーロッパ市電王国を行く（宮田親平著）」に詳しく載っているのでご参照ください。

Grazで購入した飲物たち
オッサン、飲料の瓶・缶趣味もMurparkのところで吐露してしまいましたが、Grazでもいろんなのありました。右から、BIOLIMO,BIONADEの二つがフルーツ飲料系、Gosser,一つおいてZipfer,
Grieskirchnerがビール、そして最後にStainzrがヨーグルト。GosserとZipferは、オーストリーのどの街に行っても見ることの出来るメジャービールです。
なお、一つおいたのは間違えて購入したノンアルビール。ノンはダメです、ハイ。

日曜朝 迷惑駐車に立往生
Graz３日目。前日乗れなかった路線に乗らねばと早起きの日曜の朝。Graz Hbf前から7系統に乗車して、まだ眠っている街をスイスイと走行中に突然停止。停留所でもないし長いぞこの停車。いつまで停まってるんだ？と前方を見ると、運転士のおばちゃまが車外に出てどうしたものかと思案顔。そして戻って車内放送が（何云ってるかさっぱりわからず）。と数人の乗客がしょうがないなぁってあきらめ顔で下車しだした。なんだ故障か？と思いきや、なんと線路にはみ出した迷惑駐車で、前進できない。トラムがこんなに走ってるのに・・・困ったちゃんはどの国にもいるものですな。

K&O電停広告のセンス
実はオッサン、街のデザインにも興味アリ。欧州の広告表現を探るのも街歩きの楽しみですが、Grazは停留所の広告がステキでした。
広告主のK&Oは、オーストリーのデパート。すっきりしたデザインポスターを、すっきり収めるスペースが街にちゃんと用意してある。パリの胴巻き状広告ポールもいいけれど、Grazの停留所の広告もいいでしょ。街頭広告のセンスは、その街のレベルも語るかのうよう。サイズ・カラー無秩序の東洋のお国も見習って欲しいものです。
ちなみにここは、Oper座近くの停留所でした。

TABAKのサイン
欧州の街に必ずあるのはタバコ屋＆新聞スタンド。
ここでは雑誌や飲物なんかも買えるけど、トラム乗りにはチケットを購入する重要地点。
欧州では、意外に路上でタバコスパスパ、吸殻ポイがやたらと目立つ。喫煙モラルは日本の都会の方が多少上かな？このサインは迷惑駐車により降車を余儀なくされて戻ってきたトラムの聖地JakominiplatzのTABAKです。

理想的なトラム＆バスの結節点 Puntigam
トラムの５系統に乗って、Graz市を北から南西に貫いてみた。途中までMur河に沿うように南下、旧市街地を南下し、Jakominiguurte/Messeで4系統と分れ、進路を西に折れMur河を渡ったところで南に。途中花束を持って正装した人たちが共同墓地のようなところで下車。トラムはそのまま、新設軌道を通って国鉄のPuntigam駅横に滑り込む。
写真はトラムのホームの横にずらりと並んだバス停。郊外からバスで到着した客はトラムに乗り替えて道の狭い市内に。なんとステキなシステムなんだろう！

新型トラムくん、ループに憩う
欧州の街を走るトラム（路面電車）の車輌のほとんどは片運転台。それは車輌の片方にしか運転席がなく、反対側はお尻のところまで客席ってこと。だから街眺めには最適の逆かぶりつき席になります。
では終点まで来た電車はどうやって戻るの？そう、終点がループ状になってぐるりと廻って車体を元に戻すのです。そんな場所が無駄だよ、と考えるのはきっと日本人くらい（日本だってバスはそうしてる）。だって運転台が片方だけならその分高価な計器類が要らなくて安上がり、しかも乗客の席も増やせる。結局得なのはどっち？
何当たり前の話してんだよって、新型トラムくんはオッサンに云うのであります。

Wetzelsdorf電停横のおばあちゃん
トラム7系統の終始点Wetzelsdorfは、低い生垣に囲まれた戸建が続く落ち着いた住宅街。5車体連接の新型低床トラムが発着する停留所のすぐ横に、明るい庭を抱えたかわいいお宅があった。
生垣の隙間から覗くと、おばあちゃんが物干しに一枚干してはベンチに座り、少し休んでまた洗濯物を干す・・・スローモーションのような世界が展開していた。あぁ、おばあちゃんは娘さんの頃からここで洗濯物を干して、隣の電停からトラムの乗って仕事や買い物に行ってたんでしょうね。
心に残るシーンでした。

Mariahilfer
せっかくGraz来たのに全く観光しないの？と突っ込まれそうなので、バイバイする前に街歩き。
現代芸術好きの方はご存知かもしれない“巨大なナマコ”グラーツ芸術館（写真は無いです、すみません）から“不時着宇宙船”Murinselに進む途中にあるのが、このMariahilfer教会。この辺りも世界遺産らしいです。1874年に双子の塔が出来たんだってさ。

Mur河に浮かぶMurinsel
やって来ました知る人ぞ知るムーア島（Murinsel）。
観光パンフによると'03年に行われた“文化首都プロジェクト”なるイベントで作ったものらしい。けっこう流れが早いMur河の真ん中に不時着した宇宙船のように浮かんでます。
両岸から渡れて中にはカフェと、劇場のようなせり上がったベンチがあり、普段は住民がボウッとしてました。
梅雨や台風がないからこういうの作れるんだろうと、モンスーン気候の住民は思うのでした。

Grazのランドマーク Uhrturm
Graz名物といえばSchlossbergとこのUhrturm（時計台）らしい。この写真はMur河対岸のE.-EdeggerStegから撮ったもの。大きな時計が目印ですな。
でも、すいません。オッサンは登ってません。Schlossbergbahn（ケーブルカー）で登ろうかなと思った運行が30分間隔で待てず、坂道は急らしいし・・・登ったらきっと旧市街を望むいい写真が撮れたかな。今回オッサン独り旅なので、景色の良いところは次回家族と来たときにしときます。
ところで欧州の街には素敵な旧市街地と古いお城が残してあるところが多いですよね。ワルシャワやドレスデンのように戦後緻密に作り直した街もあるでしょうが、日本ってホントないですよね。明治政府が徹底的にお城壊して県庁や大学作っちゃって、江戸城なんて皇居ですからね。残しておけば、今頃国中世界遺産じゃないですか？あぁもったいない。

さりげなく世界遺産表示板
旧市街を歩いていると建物の壁にこんな看板が掲げてあるのに気付く。おぉ世界遺産の表示だ。
トラム乗りと街歩き・・・トラムが街の住民生活の中でどう溶け込んでいるか？というのを知りたくて世界の街を巡っている。だから世界遺産なんてどうでもいい。けれど、歴史ある街を大好きなトラムが走るのはうれしい。
ただこう思う。「世界遺産巡り」を旅のテーマにするのって「日本百名山」登山や「行列の出来る店」の行列に並ぶのと同じじゃないか？そこに自分があるのかな？
やっぱ、自分にとっていい街、好きな路地を見つけことが旅の醍醐味のようにオッサンは感じるのだ。

列車表示板 Hauptplatz
“Grazの心臓”Hauptplatzの市電停留所にある列車表示板をご覧いただきたい（見にくくて御免）。上から7,5,6,1,12の各系統のトラムが10分以内に到着することがわかる。ちなみにこの日は日曜で平日・土曜よりかなり本数が少なめ（たしか12系統は週末のみ）。
同時に五つもの行き先のトラムがやってくる停留所なんて日本にいくるあるだろう？
トラムがいかに便利な乗り物になっているか、ご理解いただけただろうか？

トラム停留所サイン
Grazの停留所には、イエロー（オーストリーは黄色好き・・・マリアテレジアイエロー？）地にバスケットボールのゴールを上から見たような形にＨの字。
ここは7.12番終始点のSt.Leonhard/LKH。終点は大きな病院の前。そしてここからより郊外へバスに乗り換えられる。患者さんも見舞い客も便利ですな。

路面の線路たち
そろそろGarzの街歩きは終わり。オッサンは次の街Zagrebに向います。
この写真は、トラム天国Jakominiplatzの路面に美しく曲線を重ねる線路たち。
そう、トラムは線路の上を走るのです。そして架線から電気を取り込み化石燃料を使わずに走るのです。
皆さん、いつかGrazを訪れることがあったら、ぜひこの街で人々と一緒にトラムに乗ってみてください。Grazでは、トラムが純粋に“ヒトを運ぶ装置”として機能しています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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Graz pin badge

こんなのインフォメーションで売ってました。１€だったかな。