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ペルーの観光地クスコには20人ほどの日本人が暮らしているらしい。そのうち、噂で聞いた二人の若い日本人の物語はなんとも興味深かった。<br /><br /><br />?A君の場合<br /><br /> A君は何ヶ月もクスコに滞在してアパートを借り本格的に暮らしていた。ちょうど某日系の旅行会社は日本人スタッフを探しており、A君に白羽の矢を立てた。A君も仕事をしておらず暇だったため、すぐに採用となった。しかし、働いてみるとA君は仕事に遅れるわミスは多いわで使い物にならなかったらしい。ある日、まったく仕事を覚えないA君に堪忍袋の尾が切れた上司が激怒した。「あんた、やる気あんの?いい加減にしなさい!」と。次の日A君は会社に来なかった。アパートに電話しても出ない。心配になり出向くとドアは開いている。意識が朦朧としたA君が見つかり、近くには睡眠薬のビンが倒れていた。<br /><br /> 幸い少量の睡眠薬だったため命に別状はなかった。A君になぜそんなことをしたのか問い詰めると「あんなに怒られて、僕の存在価値なんてないような気がして・・・」<br /><br /> それ以来、A君は「死にたい。僕なんて生きていてもしょうがない」と毎日のように呟くようになった。このままクスコにいては本人にとって良くないと思った上司は日本に住むA君の母親に電話をした。事情を説明し向かい来てもらうよう依頼をしたのだ。しかし電話を受けたA君の母親は忙しくなかなかペルーまで来れないという。<br /><br /> それでもしばらく経って母親がやって来た。世話をした旅行会社の上司には一切お詫びをせず、A君がいかによい息子であるかを延々語ったらしい。しかもA君を連れて帰らず、一人で日本に戻るというので上司がA君の航空券を立て替えて無理やり帰らせた。その運賃代は未だに戻ってきていないという。<br /><br /> 後から聞くとA君は28歳。日本でずっと引きこもりで一度も仕事をしたことがないらしい。A君の母親は小学校の校長先生。世間体があるため、A君にお金を渡して海外へ旅行するように促したのかもしれない。<br /><br /><br />?Bさんの場合<br /><br /> Bさんは旅先のクスコで電撃的に恋に落ちた。相手はクスコに住むインディヘナ(原住民)の男性。すぐに結婚して彼と一緒にクスコに住みたいという。とにかく日本の親にも説明しないといけないということで、クスコへ来てもらうことになった。<br /><br /> クスコの一流ホテルを予約する際、インディヘナの名前を告げるとホテル側は突然渋りだした。何でも名前で原地人の階級がわかるらしく、彼は最下層の出身らしい。日本人が宿代を必ず払うからという約束で何とか宿泊可能となった。<br /><br /> 日本からやって来た両親は猛反対。仕事のしっかりしていないインディヘナの夫でこれからの生活はどうするんだ。しかし娘のBさんは頑として譲らない。とにかく彼と一緒にいたい。彼といると本当の自分でいられるのだという。説得を諦めた両親は日本に帰国し、Bさんはクスコでアパートを借りて彼と住み始めた。<br /><br /> クスコでの狭い日本人コミュニティの中でBさんの噂はすぐに広まる。中傷を恐れたBさんは日本人とは誰とも接せずひっそりと暮らしているらしい。インディヘナの彼は仕事をせず、Bさんの両親からの仕送りだけで今も暮らしているという噂だ。<br /><br /><br /> 日本から遠く離れたペルーで突然暮らし始めた子供に対する親の態度。僕が親だったらどうするか、子供だったらどうするか。親に問題があるのか、子供に問題があるのか僕もわからない。<br /><br /> ただ僕も親に迷惑をかけているという点だけは共通している。なーんて親と子の関係について考えながら、クスコの日本食レストラン「金太郎」で親子丼を食べる。日本と代わらずペルーの親子丼も親と子が絶妙なバランスで混ざり合い、とっても美味く味わえたのだが。<br />

親と子@クスコ

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2007/02/14 - 2007/02/14

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フーテンの若さん

フーテンの若さんさん

ペルーの観光地クスコには20人ほどの日本人が暮らしているらしい。そのうち、噂で聞いた二人の若い日本人の物語はなんとも興味深かった。


?A君の場合

 A君は何ヶ月もクスコに滞在してアパートを借り本格的に暮らしていた。ちょうど某日系の旅行会社は日本人スタッフを探しており、A君に白羽の矢を立てた。A君も仕事をしておらず暇だったため、すぐに採用となった。しかし、働いてみるとA君は仕事に遅れるわミスは多いわで使い物にならなかったらしい。ある日、まったく仕事を覚えないA君に堪忍袋の尾が切れた上司が激怒した。「あんた、やる気あんの?いい加減にしなさい!」と。次の日A君は会社に来なかった。アパートに電話しても出ない。心配になり出向くとドアは開いている。意識が朦朧としたA君が見つかり、近くには睡眠薬のビンが倒れていた。

 幸い少量の睡眠薬だったため命に別状はなかった。A君になぜそんなことをしたのか問い詰めると「あんなに怒られて、僕の存在価値なんてないような気がして・・・」

 それ以来、A君は「死にたい。僕なんて生きていてもしょうがない」と毎日のように呟くようになった。このままクスコにいては本人にとって良くないと思った上司は日本に住むA君の母親に電話をした。事情を説明し向かい来てもらうよう依頼をしたのだ。しかし電話を受けたA君の母親は忙しくなかなかペルーまで来れないという。

 それでもしばらく経って母親がやって来た。世話をした旅行会社の上司には一切お詫びをせず、A君がいかによい息子であるかを延々語ったらしい。しかもA君を連れて帰らず、一人で日本に戻るというので上司がA君の航空券を立て替えて無理やり帰らせた。その運賃代は未だに戻ってきていないという。

 後から聞くとA君は28歳。日本でずっと引きこもりで一度も仕事をしたことがないらしい。A君の母親は小学校の校長先生。世間体があるため、A君にお金を渡して海外へ旅行するように促したのかもしれない。


?Bさんの場合

 Bさんは旅先のクスコで電撃的に恋に落ちた。相手はクスコに住むインディヘナ(原住民)の男性。すぐに結婚して彼と一緒にクスコに住みたいという。とにかく日本の親にも説明しないといけないということで、クスコへ来てもらうことになった。

 クスコの一流ホテルを予約する際、インディヘナの名前を告げるとホテル側は突然渋りだした。何でも名前で原地人の階級がわかるらしく、彼は最下層の出身らしい。日本人が宿代を必ず払うからという約束で何とか宿泊可能となった。

 日本からやって来た両親は猛反対。仕事のしっかりしていないインディヘナの夫でこれからの生活はどうするんだ。しかし娘のBさんは頑として譲らない。とにかく彼と一緒にいたい。彼といると本当の自分でいられるのだという。説得を諦めた両親は日本に帰国し、Bさんはクスコでアパートを借りて彼と住み始めた。

 クスコでの狭い日本人コミュニティの中でBさんの噂はすぐに広まる。中傷を恐れたBさんは日本人とは誰とも接せずひっそりと暮らしているらしい。インディヘナの彼は仕事をせず、Bさんの両親からの仕送りだけで今も暮らしているという噂だ。


 日本から遠く離れたペルーで突然暮らし始めた子供に対する親の態度。僕が親だったらどうするか、子供だったらどうするか。親に問題があるのか、子供に問題があるのか僕もわからない。

 ただ僕も親に迷惑をかけているという点だけは共通している。なーんて親と子の関係について考えながら、クスコの日本食レストラン「金太郎」で親子丼を食べる。日本と代わらずペルーの親子丼も親と子が絶妙なバランスで混ざり合い、とっても美味く味わえたのだが。

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