2003/12/15 - 2003/12/25
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worldspanさん
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タトワンに入港すると再び荷物を持って乗換える。タトワンでの乗換えに関しては、ある程度想定していたのでテヘランから一緒だった家族達とともに要領良く席を確保できた。タトワンで我々を待っていたのはシリア国鉄の車両、テヘランからのような立派なイラン国鉄の寝台車をイメージしていたので、オンボロの車両を目の当たりにしてショックを受けた。車両は寝台車ではなく座席車両、一応リクイニングする一等車だがお世辞にも綺麗とは言えず、イランの寝台車とは比較にも値しない。車内は暖房がついていない為、車両が冷えきり、とにかく夜が明けて暫くするまでの約五時間、凍えるような寒さだった。余りの寒さにコートを着たまま寝袋に入り、座席に座って寒さをしのいだ。列車内で寒さの余りに寝袋に入るなんて今まで経験した事もなかった。
夜が明けて暫くすると暖房が利き始めようやく落ち着いた。夕方から何も食べていなかった自分は、食堂車へと足を運んだが、愕然とした。食堂車は営業しておらず、開放しているだけだった。その為勝手に厨房に入り、料理を作っている者もいる。愕然とした光景だった。私は緊急時の為にナン一食分と水1Lを持っていたが、ダマスカス到着までの28時間、これで過ごさねばならないと思うと、途方に暮れてしまった。トボトボ自分の車両に戻って行く途中、通路でガスバーナーを使い、料理を作っている人が幾人もいるのも驚きの光景だ。彼らは火事のことなんて考えていないのか?
自分の座席に戻り、チビチビとナンをチギッて食べていると、周りの人たちが不憫に思ったのか、私に食事を恵んでくれ始めた。最終的にダマスカスに到着するまでの4食全てを、周りの人たちから頂いた食事でやり過ごすことができたが、彼らとて、貴重な食料である。それを旅人たる私に分け与えてくれるというのは嬉しくないはずがない。このときイランの人たちに感謝の気持ちでいっぱいだった。
こうして仲良くなった家族からひょんな事を言われた。「息子を日本に連れて帰ってくれないか」と。予想だにしないこの言葉には戸惑った。現状の苦しい生活の中で子供だけでも何とかしてあげたいと言う両親の気持ちが伝わって来るだけに、体を稲妻に打たれたかの如くの衝撃だ。何度か旅の途中で「私を日本に連れて行って」と言われた事は何度もあるが、子供を目の前にして頼まれたのは初めての事だった。そんな時いつも思うのだが、もし自分にパワーがあって何とかしてあげることができれば、といつも自分自身にやるせなさと空しさを感じる。
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