テヘラン発ダマスカス行き中東横断特急列車　02/06　-イラン・トルコの国境

2003/12/15 - 2003/12/25

　朝、６時前だろうか、車内の騒々しさで目が覚めた。そう、イランでのイスラムの祈りの時間が近いのだ。列車は途中の小さな駅で停車し、殆どの乗客が列車を降りた。到着した時には既にアザーンが大音響で響き渡っており、下車した人は駅舎の祈りの場へと入っていった。もちろん列車も祈りが終わるまで出発はしないが、文化や宗教の違いとは言え、国際列車で夜と朝の祈りの時間に列車は停車するのにはただただ驚かされるばかりだ。因みに駅に停車しない場合、時間が来ると列車の床に敷き物を置きその上に座って祈っている人も少なくない。

翌日の昼、列車はイラン・トルコの国境に到着した。国境では全員が列車から下車し、駅舎の出入国管理センターで出国審査を受ける。パスポートをコントローラーに預け、1時間ばかり駅舎で待たされ、名前を呼ばれるごとにパスポートを返却されるわけだが、イラン人が優先される為、私が最後に返却される事になった。

　全員の出国審査が終了すると列車は再び走り始める。山間部を縫うように走り、再び列車は駅に到着した。山岳部に次の駅、トルコ国境駅があるからだ。乗客は再び列車を降り、入国手続きを行う。国境駅には近代トルコの建国の父、アタトゥルクの頭の銅像があり、イランとトルコの国旗がはためき、ここが国境駅であることを誇示しているようだ。

　一方トルコでの出入国ではイランとは逆に、日本人の手続きは迅速且つ簡素、はたしてパスポートを見ているのかと思う程だ。因みにイランからシリア間、税関検査を国境ごとに行われるのだが、日本人である私は、ほかの乗客とは異なり、税関検査での荷物チェックは行われなかった。ほかの乗客は、くまなくかばんを調べられていたものもいたが、日本のパスポートを持っているだけで私は免除となった。すべての国でそうであるとは限らないが、一般的に日本のパスポートであるか否かの差は非常に大きい。水戸黄門の印籠を所持し、国境でかざす様なものだ。故に日本のパスポートはブラックマーケットで高く売られる、というのも頷ける。海外の旅行者と話すときによく言われるのは、いわゆる他国で信頼されているパスポートはEU、日本、豪州、カナダ、世界で最も強いパスポートであるとよく言われる。これは旅をしている時多くの局面で、日本人でよかった、ということを多く経験してきたので、間違いない見解だろう。これだけ日本人や日本のパスポートが優遇されるのは、今まで日本の社会を築いてきた先輩方の努力が世界で評価をされているということではないだろうか。日本人の全ての人生における先輩に感謝である。

　列車には食堂車が連結されていたことは事前に分かっていたので、私はトルコ東部の町、ワンまでは食堂車を頻繁に利用した。メニューはさほど多くなく、ベースはナンとカバブ。後は付合わせを変えるといった具合だ。これでも飲物やヨーグルトを付けても４００円もしない。もちろん現地価格では高額だが日本の感覚でいえば、食堂車でこの値段は破格だ。食堂車で食べる食事は雰囲気だけでも美味しく感じる。

エリア ヴァン(トルコ)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス タクシー ヒッチハイク
• 航空会社: マレーシア航空

列車には食堂車が連結されていたことは事前に分かっていたので、私はトルコ東部の町、ワンまでは食堂車を頻繁に利用した。メニューはさほど多くなく、ベースはナンとカバブ。後は付合わせを変えるといった具合だ。これでも飲物やヨーグルトを付けても４００円もしない。もちろん現地価格では高額だが日本の感覚でいえば、食堂車でこの値段は破格だ。
食堂車で食べる食事は雰囲気だけでも美味しく感じる。

トルコ側の国境です。
国境とは思えぬほどのどかな雰囲気