トルコでの入国を全員終えると列車はトルコの山岳地帯をゆっくり走り始める。そして夜に移りかわり、ワンに到着したのが19時頃、二日目の夜の祈りはワンで行われた。ワンはトルコ最大の湖、ワン湖がある事で知られている。駅の側には広場があり。僅かに照らされた電灯の下でサッカーに勤しむ子供達がいた。停車中ボーッと見ていると、子供が私が見ている事に気付き「ナカタ、ナカタ」叫び始めた。イランやトルコはフットボールが大変盛んで、旅をしていて日本人だとわかると頻繁に「ナカタ」「オノ」と叫んで来る。別に私が「中田」に似ているからでなく、日本人だからそう言って来るのだ。そんな時私も「ハカン・シュキュル！、ベシクタシュ！」とトルコのフットボールに関する言葉を叫ぶと子供達も喜んでいた。<br /><br />ワンを出発し22時頃、車内はざわめき始め、荷物を皆まとめ始め列車が停車すると全員降り始めた。チケットはダマスカスまでなので、列車も終着まで行く筈だと固定観念があった為、私はどうして良いのか分からず戸惑っていたが、知り合ったイラン人に急かされるように理由も分からず下車した。小雨の降る中、どこに行くのかも分からず、皆についていったが、皆早足で歩いている。雨が降っているからかと最初は思っていたが、真意は他にあった。<br /><br />　小雨が雪に変わり、５分程歩くとホームの先が桟橋になっており船が着いていた。私は時刻表もチケットも通しでダマスカスまで書いていたので一本の列車で行くのかと思いきや、何とワン湖を渡るために船に乗換え、ワン湖を渡り、向こう岸のタトワンで我々を待つ列車に乗換えるのだ。<br /><br />　船はフェリー形式で、かつて国鉄が運営した青函連絡船や宇高連絡船のように、車の変わりに列車を運べるよう線路が敷かれている。船の客室は広いがイスの数が乗客に対し圧倒的に少ない。そう、イス取りのために皆急いでいたのだ。状況の分かっていない自分は完全に遅れをとり、イスのない状態だったが、知り合った人達が私の分まで席を確保してくれていた。回りではイスの取り合いで、大喧嘩が至る所で勃発している中、イスがあるのはとても有り難く、知り合った人達に本当に感謝した。停泊時間も含めると船内にゆうに四時間以上も閉じ込められる上、生憎の天気で床が濡れていたので床にも暫く座ることもできず、席を確保できないのは深刻な問題だ。雨や雪にうたれ、体も冷えた上、暖房もままならぬ客室では、誰も普通の精神でいられるはずもない。船が出航し、タトワンに到着したのは夜中の２時頃、再び乗換えるが、イスのプラスチックの固さと、寒さや空腹のため、私は殆ど眠る事ができなかった。<br />

テヘラン発ダマスカス行き中東横断特急列車　03/06　-トルコの車窓

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2003/12/15 - 2003/12/25

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worldspanさん

　トルコでの入国を全員終えると列車はトルコの山岳地帯をゆっくり走り始める。そして夜に移りかわり、ワンに到着したのが19時頃、二日目の夜の祈りはワンで行われた。ワンはトルコ最大の湖、ワン湖がある事で知られている。駅の側には広場があり。僅かに照らされた電灯の下でサッカーに勤しむ子供達がいた。停車中ボーッと見ていると、子供が私が見ている事に気付き「ナカタ、ナカタ」叫び始めた。イランやトルコはフットボールが大変盛んで、旅をしていて日本人だとわかると頻繁に「ナカタ」「オノ」と叫んで来る。別に私が「中田」に似ているからでなく、日本人だからそう言って来るのだ。そんな時私も「ハカン・シュキュル！、ベシクタシュ！」とトルコのフットボールに関する言葉を叫ぶと子供達も喜んでいた。

ワンを出発し22時頃、車内はざわめき始め、荷物を皆まとめ始め列車が停車すると全員降り始めた。チケットはダマスカスまでなので、列車も終着まで行く筈だと固定観念があった為、私はどうして良いのか分からず戸惑っていたが、知り合ったイラン人に急かされるように理由も分からず下車した。小雨の降る中、どこに行くのかも分からず、皆についていったが、皆早足で歩いている。雨が降っているからかと最初は思っていたが、真意は他にあった。

　小雨が雪に変わり、５分程歩くとホームの先が桟橋になっており船が着いていた。私は時刻表もチケットも通しでダマスカスまで書いていたので一本の列車で行くのかと思いきや、何とワン湖を渡るために船に乗換え、ワン湖を渡り、向こう岸のタトワンで我々を待つ列車に乗換えるのだ。

　船はフェリー形式で、かつて国鉄が運営した青函連絡船や宇高連絡船のように、車の変わりに列車を運べるよう線路が敷かれている。船の客室は広いがイスの数が乗客に対し圧倒的に少ない。そう、イス取りのために皆急いでいたのだ。状況の分かっていない自分は完全に遅れをとり、イスのない状態だったが、知り合った人達が私の分まで席を確保してくれていた。回りではイスの取り合いで、大喧嘩が至る所で勃発している中、イスがあるのはとても有り難く、知り合った人達に本当に感謝した。停泊時間も含めると船内にゆうに四時間以上も閉じ込められる上、生憎の天気で床が濡れていたので床にも暫く座ることもできず、席を確保できないのは深刻な問題だ。雨や雪にうたれ、体も冷えた上、暖房もままならぬ客室では、誰も普通の精神でいられるはずもない。船が出航し、タトワンに到着したのは夜中の２時頃、再び乗換えるが、イスのプラスチックの固さと、寒さや空腹のため、私は殆ど眠る事ができなかった。

エリア

アンタクヤ(トルコ)

同行者: 一人旅

交通手段: 鉄道高速・路線バス観光バスタクシーヒッチハイク

航空会社: マレーシア航空

シリア・ヨルダンへと周り、イスタンブールへと戻っる際、ダマスカスでイスタンブール行きのチケットを購入しましたが、バスはアンタクヤで一度乗り換えます。アンタクヤで約7時間待ち、イスタンブール行きのバスに乗りかえます。バスは清潔でいいですが、座席が固く、日本のレガースシートのバスとは全く比較になりません。
100万リラショップ。日本から100円ショップがやってくるみたいなことが書いてあるんですかね？？因みに当時１ＵＳ＄≒140万リラでした。トルコの通貨は桁が多くて大変です。
アンタクヤバスターミナルの食堂で食べた朝食。唐辛子に添えてあるのは柑橘と大根です。スープは大変辛いですが美味しかったです。
アンタクヤからバスが出発し、イスタンブールを目指します。写真はアンタクヤを出発し30分くらいの場所

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この旅行記へのコメント（2）

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sallyさん 2012/10/23 18:38:44

連載小説を読むように。

ふたたび、ストーキングです、ウソです。「旅行記の年代の古い順」に
並べてゆっくり楽しんで読んでいます。連載モノみたいに。

ワン湖を船で越えて向うに待つ鉄道で移動なんですね。驚きました。
というか、みんなに流されるままに降車したWorldspanさんの姿が
思い浮かびます。だって席を取っておいてくれるくらい、いい出会いの
あった人達を信用していたからなのかなと。

よい出会いがいっぱいですね。

worldspanさんからの返信 2012/10/24 07:38:39

RE: 連載小説を読むように。

Sallyさん

こんにちは。
この時は仕事やめて旅行してて、時間があったので三泊四日の列車の旅ができたんですけど通常はなかなかできないですよね。

当時歩き方には「テヘラン発ダマスカス行きの列車がある」ことぐらいしかかいてなくて、てっきり直通列車なのかと思ってました。ところがワンに着いたらみんな降りるし、いったいどうなってるのかとても不安でしたよ(笑)。まさかワン湖を船で渡り、タトワンまでいくとは思ってもいませんでした。
食堂車が連結された列車でずっと行けるものだと思ってたので、食糧をほとんど持ち合わせてませんでしたし。やっぱ事前の情報収集は大事です(-_-;)

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