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今まで訪れた国のなかで唯一写真を一枚も撮っていない国、ベラルーシ。ベラルーシにはリトアニアのビリニュスからウクライナのキエフへ移動の際、トランジットで立ち寄っただけなので、そもそも長居をする程の時間はなかったが、取り立てて撮影するものがミンスクにはなかったものの、一枚ぐらいは撮っておけば良かったと、顧みると後悔の残る滞在だった。<br /><br />ベラルーシといえば、ルカシェンコ大統領の独裁政権、そして最後までソ連維持を試みた保守中の保守の印象が強い。にも拘らずソ連を形成した15の共和国の中で唯一国連に独自加盟をした、不思議な国の印象が強かった。私が訪れた95年の初旬、ベラルーシもウクライナやロシアのような絶望的な暗さが漂う雰囲気がミンスクには立ち込めていた。<br /><br />当時ミンスクに立ち寄るアジア人旅行者は殆どいなかったせいか、とにかくジロジロ見られた。特にミンスク駅で列車を待っている時通りすがる人が、「君は中国人なのか?」と声をかけて来る人も少なくなく、「日本人」と答えると、大抵「へー、そりゃスゴい!」と感嘆し、そのまま去って行く人が多かった。「中国人」と答えていたら一体どう彼らは返答していたのだろうか?<br /><br /> この国での滞在で最もインパクトがあったのは、札束を小さなディーバック一袋分換金してしまった事。私はミンスク駅に到着後、駅舎横の両替所で換金した。ミンスクから越境し、ウクライナのキエフへ寝台車で12時間もかけて向かうので、チケット代は60米ドルはするだろうと勝手に予想し、80米ドル分を両替を試みた。<br /><br /> 当時のレートは1US$≒12000ベラルーシルーブル(БР)、両替商は、1000ルーブル札束が100枚になったものを10束も差し出した。まさかこんな少額な紙幣で両替されると思わなかったので、慌てて身振り手振りで数字の大きな紙幣に換えてくれと何度も言うが、残念ながらその意思が伝わることはなかった。<br /><br /> 仕方なくディーバックに札束をポンポンと放り入れると、バックもパンパンに膨らんだ。普段の私は始末家なのだが、これだけ場所をとり、重いと少しでも消費したくなってくる。しかしながらこんな時に限って出費しないものだ。ベラルーシは思った以上に遥かに列車の運賃が安かった。キエフまで12時間ハードクラス(2等寝台、日本でいうB寝台車の、今はなきカルテットのような感じ)に乗車しても日本円で僅か800円程度しかしない。<br /><br />「800円」とは言え、1束弱分に相当する。カッサ(切符購入の窓口)で金額を聞くと、私はバックの中から札束をボンッと出した。するとカッサの女性は目がテンになっていた・・・、この人本気でこの札束で払うの??と。<br /><br /> 彼女は必死に数え始めた。しかし彼女の心にフツフツと怒りが込み上げて来たのか、徐々に目つきも険しくなっていく。そして札束の半分くらい数えた所でギブアップ、数えるのを止め、「ちゃんと支払われたこと」にし、切符を発券した。そしてお釣を返金する事なくチケットを自分に渡した。この時の彼女の顔がふてくされていたのは言うまでもない。私もカッサに申し訳なく思っていたのでお釣を要求する事なく切符を受け取った。<br /><br />その後Бルーブル約8束分も出国まで消化できなかった。無理に使わなくとも、同じCIS圏のウクライナに行けば換金できるだろうという甘い考えで、ウクライナへと持ち出した。ところがこのБルーブルたるもの、国外での貨幣価値が全くないのか、滞在したキエフでベラルーシルーブルの換金を取扱う両替商が見当たらない。結局66米ドル相当の約8束分のБルーブルは、トイレットペーパーにも使えぬ紙切れと化した。それをまた諦めてウクライナで捨てれば良かったのだが、私の貧乏性が祟って捨てきれず、重い「紙切れ」としてディーパックの中から背中に圧し掛かり、私の体力を無駄に消耗させた上、後にモルドバでの税関チェックであらぬ疑いをかけられる一因の一つになってしまった

札束でバックが満杯

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1995/02/14 - 1995/02/14

59位(同エリア160件中)

3

1

worldspan

worldspanさん

今まで訪れた国のなかで唯一写真を一枚も撮っていない国、ベラルーシ。ベラルーシにはリトアニアのビリニュスからウクライナのキエフへ移動の際、トランジットで立ち寄っただけなので、そもそも長居をする程の時間はなかったが、取り立てて撮影するものがミンスクにはなかったものの、一枚ぐらいは撮っておけば良かったと、顧みると後悔の残る滞在だった。

ベラルーシといえば、ルカシェンコ大統領の独裁政権、そして最後までソ連維持を試みた保守中の保守の印象が強い。にも拘らずソ連を形成した15の共和国の中で唯一国連に独自加盟をした、不思議な国の印象が強かった。私が訪れた95年の初旬、ベラルーシもウクライナやロシアのような絶望的な暗さが漂う雰囲気がミンスクには立ち込めていた。

当時ミンスクに立ち寄るアジア人旅行者は殆どいなかったせいか、とにかくジロジロ見られた。特にミンスク駅で列車を待っている時通りすがる人が、「君は中国人なのか?」と声をかけて来る人も少なくなく、「日本人」と答えると、大抵「へー、そりゃスゴい!」と感嘆し、そのまま去って行く人が多かった。「中国人」と答えていたら一体どう彼らは返答していたのだろうか?

 この国での滞在で最もインパクトがあったのは、札束を小さなディーバック一袋分換金してしまった事。私はミンスク駅に到着後、駅舎横の両替所で換金した。ミンスクから越境し、ウクライナのキエフへ寝台車で12時間もかけて向かうので、チケット代は60米ドルはするだろうと勝手に予想し、80米ドル分を両替を試みた。

 当時のレートは1US$≒12000ベラルーシルーブル(БР)、両替商は、1000ルーブル札束が100枚になったものを10束も差し出した。まさかこんな少額な紙幣で両替されると思わなかったので、慌てて身振り手振りで数字の大きな紙幣に換えてくれと何度も言うが、残念ながらその意思が伝わることはなかった。

 仕方なくディーバックに札束をポンポンと放り入れると、バックもパンパンに膨らんだ。普段の私は始末家なのだが、これだけ場所をとり、重いと少しでも消費したくなってくる。しかしながらこんな時に限って出費しないものだ。ベラルーシは思った以上に遥かに列車の運賃が安かった。キエフまで12時間ハードクラス(2等寝台、日本でいうB寝台車の、今はなきカルテットのような感じ)に乗車しても日本円で僅か800円程度しかしない。

「800円」とは言え、1束弱分に相当する。カッサ(切符購入の窓口)で金額を聞くと、私はバックの中から札束をボンッと出した。するとカッサの女性は目がテンになっていた・・・、この人本気でこの札束で払うの??と。

 彼女は必死に数え始めた。しかし彼女の心にフツフツと怒りが込み上げて来たのか、徐々に目つきも険しくなっていく。そして札束の半分くらい数えた所でギブアップ、数えるのを止め、「ちゃんと支払われたこと」にし、切符を発券した。そしてお釣を返金する事なくチケットを自分に渡した。この時の彼女の顔がふてくされていたのは言うまでもない。私もカッサに申し訳なく思っていたのでお釣を要求する事なく切符を受け取った。

その後Бルーブル約8束分も出国まで消化できなかった。無理に使わなくとも、同じCIS圏のウクライナに行けば換金できるだろうという甘い考えで、ウクライナへと持ち出した。ところがこのБルーブルたるもの、国外での貨幣価値が全くないのか、滞在したキエフでベラルーシルーブルの換金を取扱う両替商が見当たらない。結局66米ドル相当の約8束分のБルーブルは、トイレットペーパーにも使えぬ紙切れと化した。それをまた諦めてウクライナで捨てれば良かったのだが、私の貧乏性が祟って捨てきれず、重い「紙切れ」としてディーパックの中から背中に圧し掛かり、私の体力を無駄に消耗させた上、後にモルドバでの税関チェックであらぬ疑いをかけられる一因の一つになってしまった

同行者
一人旅
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー
航空会社
アエロフロート・ロシア航空

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  • まるで子供銀行のような札束。こんなに小さな紙切れでも束になると恐ろしく重く、背中にこ泣き爺でも背負っているように足取りが重かった・・・

    まるで子供銀行のような札束。こんなに小さな紙切れでも束になると恐ろしく重く、背中にこ泣き爺でも背負っているように足取りが重かった・・・

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この旅行記へのコメント (3)

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  • shinesuniさん 2006/12/29 02:25:28
    ベラルーシ恐るべし^^;
    90年にポーランドに行った時
    やはり札束が出てきましたが、
    それでもこれ程には...
    恐ろしいですねww

    worldspan

    worldspanさん からの返信 2007/01/08 13:57:18
    RE: ベラルーシ恐るべし^^;
    お返事遅れましてすみません。年末年始は中東に旅に出ていまして・・・。
    96年にデノミが行われるまで、ポーランドでは10万ズウォチの通貨が発行されていたそうです。そのような国でも時代が変わればEUに入るのですからわからないものですよね。

    shinesuni

    shinesuniさん からの返信 2007/01/08 17:11:13
    shijoさん書き込み有難うございました
    ((^∇^ Szczęśliwego Nowego Roku!^∇^))
    ☺♡☻♡☻♡☻♡☺♡☺♡☻♡☻♡☻♡☺
    ・:*:・✿ shijoさんさん✿・:*:・✿・:*:・
    新年明けましてオメデトウございます。
    今年も ㋵㋺㋛㋗ ㋔㋧㋕゛㋑㋛㋮㋜
    .。o○【祝】.。o○2007年元旦 shinesuni
    ☺♡☻♡☻♡☻♡☺♡☺♡☻♡☻♡☻♡☺

    今後ベラルーシもEUに加盟して、あの煩わしい国境検問もはやくなくなって欲しいですね^^;

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