妖精の住む町―タリン

1995/02 - 2000/12

エストニアの首都タリンは町の美しさでは欧州でも群を抜き、何日でも滞在し甲斐のある街だ。まるでおとぎの国に迷い込んだかのような、可愛らしい町並みは訪れる人を虜にさせる。特に夜のタリンはすばらしい。旧市街に照らされたオイルランプのような暖かみのある街灯は、町の趣きを見事なまでに演出し、こじんまりとしたタリンの町並みは一層引き出される。そして路地には隠れ家のようにバーが営まれ、一人で飲むのも良い。

　旧市街はプラハのように細い路地が迷路のように入り組み、こうした路地角の街灯に妖精たちが集まり、道の行き先案内人としてさまよう旅行者を案内してくれそうな錯覚に陥る。これほどタリンの夜は幻想的で、童話の中に迷い込んだような気分になる。冬に旧市街に訪れ、旧市庁舎を夜に目の当たりにすると一層自分が物語の中にいるのではないかと感じてしまう。旧市庁舎は旧市街の中心、ラエコヤ広場に位置し、夜になるとライトアップされる。チョコレート菓子で作れれたような旧市庁舎にパウダーシュガーの雪が旧市庁舎の屋根に積もったその夜景は感動的だ。きっとこのラエコヤ広場には灯の妖精が住んでいて、彼らがこの街を魅せているのだろう・・・、と思わずにいられない。

1995年2月にタリンへ初回訪れて以来、私は街の魅惑に取り付かれ三度も訪れているが、美しい街は何度訪れても私の心を飽きさせない。訪れれば訪れるほど、この街のこと、歴史がわかり、ますます好きになる。それがタリンである。

エリア タリン(エストニア)

• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 船 タクシー
• 航空会社: KLMオランダ航空

1995年1月
モスクワからタリンまでの車窓。1月にこんなに晴れているのはとても珍しいです。

1995年1月

余りの寒さに路面に積もった雪が凍り、デコボコになっていますが、その下は綺麗に石畳が敷かれています。

タリンには95年、99年、2000年の三回訪れていますが、いずれもここから見る景色は変わりません。恐らく100年前も
200年前も、ひょっとすると300年前も看板以外は変わらないのかもしれませんね。。。

99年　3月
トーンペア城の丘の上よりタリン市内を見渡す。タリンはエストニアの首都で人口は約45万人です。美しい町並みとは裏腹に帝政ロシアの占領後苦難の歴史です。第一次世界大戦後バルト三国はそろって独立を達成しますが、その後ソ連に併合され、1991年の独立は三国にとり、悲願の独立となりました。エストニア歌で、｢巣箱のほうへ飛んでいく｣という有名なものがあります。、国民をミツバチに現し、巣箱をエストニアになぞった歌があります。

何千ものミツバチが行き倒れても、
何千ものミツバチが家に帰り着く、
努力と愛の結晶とともに巣箱の方へ飛んでいく

魂よ　困難なときにも、ため息をついて祖国を思え　祖国にいても　祖国を離れても　祖国を強く思え

お前に死の風が吹き付けても　
お前の死の弾丸が飛んできても　
死も煩いも忘れて　祖国への道を急ぐのだ

この曲を聞き、後でこの詩の意味を知り、独立への苦難の歴史を思い浮かべると、胸を打たれました。

タリンの旧市街には今も尚町を守る城壁が残り、中世面影を残す雰囲気抜群の町です。

2000年12月
城壁を利用してこうしたお土産店も出展しています。

1999年3月

旧市街の町並み。細く曲がりくねった道は敵が侵入し、城までの進行を阻むもので、城塞都市典型の作りです。タリンは中世の町並みをそのまま残した町として知られています。

1995年1月

ドイツや北欧から多くの観光客が訪れています。タリンは1285年にハンザ同盟に加入後飛躍的に発展しました。

レトロなロシア製のトラック。強烈な黒煙を上げて走ります。

2000年12月

この三軒並びの家、よく見ると人の顔に見えませんか？15世紀に建てられた建物で三人の姉妹が並んでいるように見える事から名づけられました。

三人姉妹 史跡・遺跡

2000年12月

町のケーキ屋さん

旧市街の中心、ラエコヤ広場に位置する旧市庁舎1404年に現在の姿に作られました。尖塔は65メートルの高さを誇り
ます。

タリン旧市庁舎 史跡・遺跡

クリスマスシーズンともあり、警察がサンタに扮し大活躍！

2000年12月

丸焼きの子豚ちゃん。クリスマスシーズンのラエコヤ広場では多くの出店が並んでいます。

2000年12月
夜パブでビールとつまんだ酒の肴。ビールはタリンでお馴染みのSAKUビールです

1999年3月

ラエコヤ広場です。チョコレート菓子でできたような旧市庁舎にパウダーシュガーが被せられたようで、まるでお菓子の町の国に来たかと錯覚してしまいそうなほど、幻想的で美しい夜景です。タリンの治安は非常に良く、夜はパブに良く出向いてました。パブから見る夜景だけでも十分酒の肴になりますよ。

一方こちらは2000年12月に訪れた際の夜景。訪れるなら本当であれば暖かい夏のほうが良いと思います。しかしこの温かみのある電灯と夜景で冬は冬で良さもあります。但し、冬の寒さは非常に厳しいです。タリンはとても小さな町ですが、このように旧市街は大変魅力的で、本当に妖精が住んでいるように感じました。タリンは自分のお気に入りの町の
一つです。

2000年

新市街から旧市街へ通じるヴィル通りには今もなお城門が残されています。因みにタリンは11世紀頃に作られた町で、幽霊がよく現れる事でも知られています

1999年3月

旧市街からトーンペア城のある丘に上がる通り。冬は雪が凍り、登るのに苦労する上、この通りを降りるときには滑ってそのまま下に落ちてしまいそうなほど途中急な坂道です。垂れ下がったロープを持って絶対に下りましょう。

2000年12月

タリンの子供

1999年3月

4年後再訪し、同じ角度から撮影。4年前と殆ど変わっていません。看板が変わったくらい・・・

この旅行記へのコメント （3）

• Weiwojingさん 2016/08/29 09:27:12

  冬のタリンも素晴らしいですね。

  worldspan さん、こんにちは。
  
  冬のタリンの街は幻想的で、妖精が住んでいる街みたいですね。
  
  私も３年前タリンを訪ねました。７月の旅行するにはちょうど良い時期で１か月間バルト3国を回ってきました。３か国はどこも気に入りましたが、エストニアのタリンは特に大好きです。また行きたいくらいです。
  
  訪ねた折は、ちょうど「歌の祭典」が行われている時期で、正にその祭典に参加することが出来、人々の独立への思いや彼らの強靭な心の強さを知ることが出来ました。そのよりどころとなった国歌やもう一つの素晴らしい歌（タイトルは失念）を聞き、大いに感動したことを覚えています。
  
  またこの祭典に参加できればいいなと思っています。私のバルト３国旅行記もありますので、よろしければご覧ください。
  
  失礼します。
  
  Tamegai

  worldspanさん からの返信 2016/08/29 21:33:16

  RE: 冬のタリンも素晴らしいですね。

  Tamegaiさん
  こんばんは。コメントありがとうございます。
  エストニアに訪れたのは1995年のことで、その時の冬の幻想的な様子はとても印象的でした。特にモスクワから陸路で赴いたので、当時のモスクワの廃れようが酷かっ
  く、同じ旧ソ連でもここまで違うのか！衝撃をうけました。
  エストニアには結局3度訪れていますが17年もご無沙汰をしており、当時のエストニアと随分雰囲気も変わったナーって写真でも感じます。
  
  歌の祭典・・・・、是非行ってみたい祭典です。とくにミツバチをエストニア人に例えた、巣箱へ飛んでいく(だったかな？？)という、エストニアの第２国歌を聴いてみたいです。
  
  worldspan
  

  Weiwojingさん からの返信 2016/08/29 22:40:56

  RE: RE: 冬のタリンも素晴らしいですね。

  worldspan さん、こんばんは。
  
  ご返事ありがとうございます。
  
  エストニアを訪ねてもう17年も経たれたのですか。恐らくタリンの街のたたずまいはほとんど変わっていないのではないでしょうか。
  
  「歌の祭典」で最後に歌われた２つの曲は、国歌ともう一つは第二国歌と言われているものですね。思い出しました。３時間にも及ぶ祭典で、最後に参加者が全員で（何万人という程の）この２つの歌を歌う様子は感動的でした。涙を出しながら歌う人々の姿をたくさん見かけました。私は大統領ご夫妻のすぐそばで見ていましたので、彼らの一挙一動をつぶさに見ることが出来ました。
  
  この祭典ではプログラムが発売されていて、国歌を始め参加団体が歌うすべての歌がの載っていて、私は購入することが出来ました。また、祭典のビデオも（今回のではないですが）販売していましたが、こちらは購入しませんでした。今から思うと、購入せず残念でした。
  
  とりとめもなく書いていますが、その時の感動が蘇ってきました。
  
  では、これで失礼します。
  
  Tamegai
  
  
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