2000/07/20 - 2000/07/22
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jagamaxさん
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山岳部の友達とインターハイ予選の話をするたびに、みんな北アルプス行きたかったよなーと口々にもらす。その気持ちは確かに強かった。しかしながら自分らには受験というものすごくめんどくさい問題が壁となっていた。ところが、である。考えていてもどうるなることでもないので、行く事にした。親にはその山行前後はしっかりと勉強するといってなんとか承諾をもらえた。日時は夏休みの補習が始まる前ということで、一学期の終業式の日を出発日とした。山岳部の友達と学校の図書館で勉強をして、いよいよやってきた。今までのどの山行よりもわくわくしていた。何しろ顧問には何もいわずに非公認で行くのであるから。(高校生である以上本当はやってはいけないことであるが…)
1日目
終業式が終わるとともに買出し(主に食料)に行き、とりあえずみんな家に帰る。三時間後前橋駅に集合し上高地直行バスの出発地新宿の都庁地下駐車場を目指す。なんだか小学校一年生のときの遠足に行くときのような気分。
2日目
電車、バスと乗り継ぎ6時、上高地に到着。あの、屈辱の北アルプス山行から二年。再び上高地の地に足を下ろす。天気は良好。問題なしである。例のごとく自分が先頭となって、今日の目的地カラサワを目指す。途中、徳沢、横尾で休憩を取り、徐々に近づいてくる北アルプスの山々を眺めながら快適なトレッキングを楽しむ。少し汗ばんだ体に雪渓からの冷たい風が心地よい。最後の雪渓の登りは結構きつかったけど、予定よりも二時間ほど早くカラサワに着く。雪渓の上にテントを張り、カラサワ山荘名物のおでんを食いながら青い空を眺めながら、着てよかったな、とつくづく思う。明日はいよいよ北穂高岳を目指す。山荘のアドバイスにより四時を目安に出発することにした。明日に備えて今日は早めに八時就寝。。。
3日目
朝二時起床。人間が起きるような時間ではない。早々と朝食を済ませて、撤収。天気がよさそうなので、撤収もスムーズに終わる。三時半ころ、カラサワ小屋の従業員の人にいくらか注意を受けてまだ夜が明けきらない中、北穂高岳を目指して出発。ただ、雪渓の上を歩いていくので、暗いという感じは受けなかった。一時間くらい歩き、一回目の休憩。眼下には、カラサワカール、頭上にはいくつものピークが雄大にそびえている。早くあの頂まで登りつめたいと、ひしひしと思う。メンバーの調子は良好で、これなら予定とおり行けそうである。何本かのはしごをつたい、不安定な岩稜帯を通り過ぎ、頂上直下の北穂貴小屋との分岐点まで来た。北穂高小屋はほぼ山頂に近いところに建ててあり、小屋建設のときはさぞ、大変だったろうなーと思う。
いい天気だったので、一時間くらい日光浴でもしていたかったが、今日はオクホ山荘まで行かなければならないのですぐに出発。さっき来た分岐点まで戻り、オクホ山荘を目指す。北穂高からオクホ山荘を結ぶ稜線は三年前の地震のさい、崩壊して通れなくなってしまった稜線である。それだけ崩れやすい稜線を 20kgを超える荷物を背負っていくのである。計画時はスリルがあって中々楽しんじゃないの、と暢気なことを言っていたがいざ、この稜線を目の前にすると恐ろしい。自分たち以外にこんなに荷物を持ってこの稜線をわたっていこうとする人はいなかった。当たり前かな…
ありったけの神経を集中させて、崩れやすい稜線を慎重にわたっていく。二時間くらい歩いていただろうか、ようやくカラサワ岳に到着。展望はサイコー!!北側には槍ヶ岳、南側には明日登る奥穂高岳、なんとも素晴らしい景色だ。この危ない稜線を一緒に渡ってきた他の登山客の人たちと談笑したりして、改めて山のよさを実感する。
カラサワ岳からオクホ山荘まではすぐ。ものの三十分で到着。小屋で手続きを済ませて、早速テントを張る。時刻は11時。コースタイムよりも大分早いペースできていたことになる。まーでも、無事に到着できたからばんじよろし。就寝予定時間の19時まで各自思い思いの事をすることに。各自思い思いとは言ったものの、みんな寝た。マイナスイオンを含んだ風が気持ちよかった。充実した時間はあっという間に通り過ぎ、軽くめしを食って就寝。
4日目
朝三時起床。昨日の疲れ多少あり。奥穂高岳でご来光を見るべく、早々と撤収して四時に出発。みんな考えは一緒なのか、まだ夜も明けきらぬというのに長蛇の列。インターハイ予選を思い出した。なんかいやな感じ。登山経験の浅いオバちゃんに落石をされることも無く、無事に山頂到着。山頂にはすでに50人ほどの登山客がまだかまだかとご来光を待っていた。汗ばんだ体に容赦なく吹き付けてくる風があまりに冷たかったので、ご来光なんてどうでもいいやと思った。他のメンバーも考えは同じだったようで、歩きながらご来光を拝見することにした。15分くらい歩いていたら雲海の下から、徐々に太陽がその姿をあらわし始めた。太陽の光は高い山から順にその黄金色の光を照らしていった。下界では到底味わえない景色に、歩を止めて、太陽が完全に上がりきるまでボーっと眺めていた。素晴らしい!!
太陽が完全に上がりきると、歩を進み始め、前穂高岳を目指す。1時間ほど歩いただろうか、遭難多発の紀美子平にたどり着く。ここは前穂高岳と重太郎新道に続く道との分岐となる場所である。荷物をおろして、一路前穂高岳を目指す。頂上に続く道を歩きながら、このルートがどうして縦走ルートとして使われていないかよく分かった。一言で言えば、落ちたら死ぬからである。北穂〜オクホの稜線も確かに落ちたら死ぬのであるが、こちらのルートではさらにその感じが強かった。でも何も持っていなければ、そう危ないルートではない。頂上で写真を撮り、携帯電話で顧問の先生に今回の山行についての全貌を明らかにした。先生はさすがに驚いていた。当たり前…
紀美子平らまで戻り重太郎新道を下り、岳沢ヒュッテに着く。ここまでも順調そのものだった。少なくとも自分たちは。しかし自分たちが下山しているとき、頭上では絶えずヘリが飛び交っていた。おそらく誰かが滑落したのであろう。死んでいないことを祈るのみである。
岳沢ヒュッテから上高地まで約2時間あまり。メンバーの一人が膝に痛みを訴えたがナントカ全員無事に下山することができた。今回の山行は顧問の先生には内緒にしていたのでもし事故がおきたら、やばいことになると思っていたから、絶対に事故だけは起こしてはいけないと思っていた。だから全員無事に下山できて、ほっとしている。
群馬に帰る車中、メンバー達と話をしていると、なんとなく今度は顧問に今回の山行の話をするのが楽しみになってきた。図星ではあるが、俺たちはやったよ!みたいのことを認めてほしかったのかもしれない。
明日から、受験生の自分たちを待ち受けているのは勉強。やりたくない、では済まされない。ハァー
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