1989/11/23 - 1989/12/03
22894位(同エリア23871件中)
アーマさん
12月2日
爽やかな青空!朝日が眩しく周囲の建物を照らしている。今日のガイドの日本女性が、お勧めのレストランのカードを渡してくれた。「いつも混みますから、予約なさっておいたほうが・・」えっ、予約・・。まだスペイン語で電話する自信はない。「日本人の従業員がいますから、大丈夫です」よかった。
ツァーのみんなは市内観光に出て行った。私は部屋でのんびり、そうだ、そろそろ9時半、予約の電話をしてみようか。番号を確かめながら、ダイヤルする。でも、誰も出ない。何度目かで、やっと男の人が出た。「もしもし!」ところが、相手はスペイン人らしい。慌てて、知っている単語を並べ立てて、予約を取りたいと言ったけれど、どうも様子がおかしい。はっとして、「レストランテ○○?」すると、ぶっきらぼうに「No」の返事。びっくりして、失礼と呟いて、電話を切ってしまった。番号を間違えているはずないのに・・。まあ、そこでなくてもいいやと、町に出かけることにした。
青空がすがすがしい。きっとツァー仲間も、グエル公園やサグラダ・ファミリア教会で楽しんでいるだろう。足取りも軽く、グラシア通りを歩く。バルセロナはほんとにお洒落な町。でも、添乗員さんは、みんなにくどいほど注意を与えていた。「バルセロナは治安が非常に悪いので、くれぐれも一人歩きはしないように・・」私は、旅行者っぽく見えないように、万全の対策をしてきたし、体調もすっかり良くなって、こうして気楽に歩けるのが楽しくってしかたがなかった。今日は土曜日、もしかしてまた民族舞踊のサルダナをどこかで見られるかもしれない。
いくつか交差点を渡ってしばらく行くと、前方に大きなデパートの建物が立ちはだかっていて、その手前の噴水のある公園で、グラシア通りは終わる。デパートの入り口に人だかりがしていて、楽しそうな音楽が流れている。覗いてみると、仕掛け人形たちが動いていた。7人の小人たちが(それぞれ身長1メートル近くある)コーラス壇に乗って歌っている。指揮棒を振るのもいて、周りの小鳥たちも、体を揺すりながら時々コーラスに加わる。すべての動きが音楽とコーラスにぴったり合っていて、実に見事。流れている歌は、カタラン語らしく、耳慣れない言葉。子供も大人も、みんな楽しそうに見ていた。
再び歩き出した。手芸洋品店など覗いたり、すっかりこの町の住人気取りで、足取りも軽い。細い路地を行くと、いきなり見覚えのある所に出た。カテドラルの出口付近らしい。中に入ってみよう。アヒルが遊んでいる中庭の周りの回廊を通って、建物の中へ。礼拝堂の真ん中で、ガイドの説明を聞いている観光客の一団、あら、仲間たちだわ!なかの一人の背中をポン。「あれ~っ!?」「えー、歩いてきたの?」「そうよ、ホテルからそんなに遠くないわよ」答えながら、みんなと一緒のベンチに腰掛ける。ここは、あまり見た記憶がない。あ、そうだ、前回はミサの最中で、入れなかった・・。
サグラダ・ファミリアに行く仲間たちのバスに手を振って、また歩き出した。カテドラルの周りの細い路地を辿っていくと、いろんな音が待っていた。ラッパ、ギターなど、道端の音楽家たちの奏でる音楽が響く。どこからか、オルゴールのような音が聞こえてくる。歩くにつれて、はっきりしてきたそれは、チャイムのような、澄んだ音。でも、確かに誰かが「弾いて」いる・・。これはカリヨンではないだろうか、たくさんの鐘が、鍵盤を押すと鳴るという。建物の下にたたずんで、上を見上げた。
大通りに戻った。いくつかお店を覗きながら歩いていくと、賑やかなブラスの音楽が聞こえてくる。「あっ、サルダナ!」輪になって踊る人々が見えて、私は夢中で駆け出し、群がる人々の中に飛び込んだ。大きなデパートの前で、楽団は、これは本物。いつかのは市民音楽隊だってけど、こちらはプロらしく、息のあった見事なカタロニアの民謡を奏でてくれて、その素晴らしさに引き込まれてしまった。
ふと我に返って周りを見回す。スリとかには気をつけなくっちゃ・・。でも、探るような私の視線は無意味だった。どの人も楽しそうに踊りを見ている。音楽はワルツに替わった。踊りの輪が崩れて、人々はカップルになってくるくる回り出した。テンポはだんだん速くなり、遅れまいと必死でついていく人々、やがて全員の掛け声とともに音楽は止んだ。いっせいに沸き起こる拍手と口笛、歓声!団員たちは楽器を片付けながら、感激して握手を求める人たちに答えたり手を振ったり・・。ああ楽しかったね、素晴らしかったねと、お年寄りも若者も笑いながら散っていく。
もう2時近かった。さっきガイドさんに聞いていたお勧めレストランは、寿司レストラン。「いらっしゃい!」テーブルについて注文したのは散らし寿司。これがすごく美味しかった。さすが港町バルセロナ。ネタはとても新鮮で、カウンターの向こうでシコシコと握っている店主に声をかけた。「とっても美味しいです!」「有難うございます」バルセロナに来て7,8年とか。無口そうなマスター。彼の子供らしい可愛いハーフの女の子が入ってきた。ドキリとするほど可愛い。大きくなったらすごい美人になること間違いなし。
店を出ると、通りはますます活気に溢れていた。デパートに入り、お土産を物色。「あらー!」ツァーの仲間たちに会った。みんなそれぞれお買い物に必死、挨拶もそこそこに散っていった。そろそろホテルに戻ろう。
最後の晩の食事は、少し寂しくなった。半数ほどが、ほかのレストランへ行ったから。私とMさんはホテルでゆっくりしたいので、行かなかった。肉料理が運ばれる。でも、添乗員さんが、「彼女はお腹の具合が良くないので、ミックス・サラダにしてね」と言っておいてくれたので、私はまたサラダ。さすがに飽きてきたけど。続いて魚のフライ。ウェイターが、食べてみるかと尋ねたので、「そうね・・、小さいの」頷いて、一番小さい切り身をお皿に取ってくれた。
「いよいよ明日からお一人ですね」Mさんに声をかけた。彼女は、明日の早朝発ってマラガに飛び、そこからロンダの知り合いの家で1週間ほど過ごすという。羨ましいな、私も彼女のように自由な旅をしてみたいと、本気で思った。
12月3日
荷物をまとめて、ロビー集合、ところが出発の8時を過ぎても、迎えのバスが姿を現さない。添乗員さんが、電話をしたり、様子を見に行ったりしている。途中事故に遭ったか、間違って空港へ行っちゃったか・・。3,40分たって、ついにタクシーに分乗して行く事になった。みんなのスーツケースがトランクに押し込まれ、屋根の上にも乗せられ紐でくくりつけられる。慌しく乗り込んで、ふと隣を見れば、松本さん。前をいくタクシーの屋根の上を指差して、「私のスーツケース!」危なっかしく荷物を乗っけたタクシーは空港へぶっ飛ばしていった。
この旅で知り合った松本さん、数年後に、思いがけなくも再会することが出来て、そして、彼女のおかげでスペインの奥地への夢のような旅が実現することとなるのです。その旅の後、松本さんは病気のため亡くなられました。私たちの素晴らしい出会いに乾杯!二人で作り上げた、その旅の日々を、また後日ご紹介したいと思います。
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