1972/10/24 - 1972/10/24
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ソフィさん
1961年10月24日(火)
翌朝、約束の9時ぴったりに、グリモーさんが訪ねて来られた。
小柄で猫背の、お爺さんだった。
一見ヨボヨボに見える老人の割には、動作がきびきびしていて、顔には微笑みが住み着いて離れない様子だ。
お伽話に出てくる、仙人を思い出す。
この人がこんな田舎で、一人杭の技術開発をやり、世界に輸出しようとしておられるのだ。
「わが国ではとても考えられないことだ」と、私は感動している。
自ら名乗られて、年齢は79歳。
彼の説明では、50歳でネジ杭「グリモー杭」を自分の考案で開発し、改良を重ねながら、その普及に25年間専念してこられたそうだ。
この人が、自分で車を運転して、現場を案内してくださる。
車は、1932年の映画「パリ祭」で見たような、やや流線型で黒塗りのシトロエン。
パリならば、堂々たるクラシックカーだろう。
「大切に乗っておられますね」
と、褒めたら、
「この車が一番だよ」(C’est la meilleure)
と、得意そうだった。
その車で、田舎道を時速100キロで飛ばしながら、村落の入口に立っている聖母像には、ハンドルの片手を離し、目をつぶって十字を切る。
横に乗っている私は、とっても危なくってヒヤヒヤするばかりだった。
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