2006/02/23 - 2006/03/02
48位(同エリア93件中)
木場三郎さん
我々夫婦は2月23日夜に東京を発って24日早朝にシドニーに到着しその足で国内便に乗り換えてサンシャインコーストへ向かいました。
サンシャインコーストの空港では約束どおりD君が出迎えてくれました。D君とはおよそ10年ぶりの再会です。彼は私が1980年代後半にシドニーに駐在していた時代の盟友です。
当時は毎日夜遅くまで二人で仕事に没頭しておりました。当時の我々の商売環境は良好で面白いように大型契約が続々と成立しました。二人は興奮状態で数年を共に過ごしたのです。お互いにとりあの時代は忘れられない強烈な日々でした。
D君は当時30歳台前半で貧乏暮らしでした。ドックフードを食べていました。その後ニューヨークで財をなして5年前に豪州へ帰国、サンシャインコースト近くのヌーサというところに豪邸を構え当地で株の取引員をやりながら半ば引退生活をしているのです。現在48歳でまだ独身です。今回我々夫婦は彼の家に一週間滞在しました。
まず隣家のパーティに招かれました。集まっていたのは近所の引退夫婦連中で約10名ほど。簡単なバーベキュウとワインとお菓子のパーティでした。
当然我々夫婦はだれとも初対面でしばらくは皆に珍しがられましたが英語がなかなか通じないし我々の英語が彼らにとり聞き取り難いので皆さんは早々に興味をなくした様子でした。これいつものパターンなんです。パーティでうまく立ち回り皆様を喜ばせるには相当の語学力と話題構成力が必要ですよね。日本語でもできないし。
豪州の人々は本当にパーティ好きです。しょっちゅう友達を呼んで気軽にやります。たわいも無いことをだらだらしゃべるか後は冗談ばっかり言ってます。そして彼らはなかなか切りあげません。終わり無く延々とやってます。多分、他にやることがあまりないのだろうと思います。でもいずれにせよ友との語らいは我々人間の大きな楽しみの一つでしょう。
私の印象なんですが、豪州では人間関係が如何にも気軽です。老若男女間のこだわりが見れません。みんなその場でファーストネームですぐ打ち解けて話し出します。人見知りということを知らないのではないかと思います。我々日本人よりも付き合う相手の数は圧倒的に多いと思います。
添付の水彩画はD君宅の玄関の階段手すりです。前に見える急な坂道を下ってきて右に見える白い屋根の車庫で車を降りてこの玄関へ来ます。
高い木々はユーカリです。ヌーサではまだ野生のコアラが生息しているそうです。かれらはユーカリの葉っぱが食料です。
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添付水彩画はD君のヌーサの住居です。こんな大きな家に一人で住んでいます。犬のみが
毎日の話し相手です。
分かりにくいと思いますが家の前にフェンスが見えます。その内側がプールです。写生した立地点はまだD宅の敷地内です。かなり広大。回れ右をするとゴルフ場が広がっていました。
ヌーサの町はブリスベンから北に車で約1時間半のところにあります。人口5万人程度の静かなリゾート町です。大きな湖が複数あり、それらから浅く静かな川を経てビーチへ水が流れています。山も近く穏やかな川と湖とビーチに恵まれた景勝の地です。豪州人が引退後住む場所として人気の地域だそうです。
D君によるとヌーサの友達の殆どが65歳以上。若い女性と知り合うことは絶望的と言っておりました。ここでは日本人は全く見かけませんでした。
街中をくねくね走る運河沿い、海岸を見下ろす高台、ゴルフ場を囲む住宅地等に高級家屋が並んでいます。それぞれデザインが素敵で見てるとため息が出てきます。それぞれの敷地が広く、お互いの家が2百メートルほど離れて建っていました。ここでは犯罪は皆無だそうです。家の鍵は一応かけるがかけなくても何も盗まれないそうです。
D君のお隣の家も二百メートルほど歩かないと辿り着きません。そこにも独身男性が住んでいます。毎日午後になると3匹の犬を連れて散歩しているのを見かけました。
金持ちだそうですが、服装はぼろぼろ。髪もぼさぼさ。髭もめったに剃らない様子。
D君によると、このような人の様子を英語ではShaggyと言うそうです。
彼は奥さんに逃げられて一人暮らし。D君によると豪州でもこの年代の男は家事をやったことがないのが普通だそうです。だから掃除も洗濯もできない。服は着たっきり。パンツもめったに替えないだろうと言ってました。時々娘さんが来て掃除をしているとのこと。
この年代の人の妻は子供の教育を含め家をしっかり守る。男は外に出て仕事に精を出す。
日本と全く同じパターンであったことを知りました。D君自身も父親は仕事が忙しくて
子供の頃遊んでくれた記憶があまりないと言っていました。
D君宅は土地も入れて価値は1億円位だそうです。部屋は大きな食堂と居間
に加えて応接室、書斎、寝室3部屋、トイレ兼風呂場が3部屋、洗濯場、物置等
内部は広大でした。だから我々が泊まっても家の中に息苦しさは生じません。
豪州でも一般の人々が裕福になったのは戦後の話だそうです。そしてまず人々が夢を描くのはこのような豪邸と高級車と高級ヨットを持つことのようです。それから食事は一流レストランでそして旅行は一流ホテルでと。そしてそれを多くの人が実現しています。
それが幸福をもたらしているかは疑問です。なんにでも終いには飽きて精々退屈なバーベキュウパーティしかやることがなくなってるのですから。
翻って我々日本人の場合どうでしょう。豪邸とか高級車とか高級ヨットを持つことが人々の夢になっているでしょうか。そんな夢を具体的に持っている日本人はあまりいないと思います。むしろそんなことを求めてもそこには幸福はないとの禁欲的な社会常識のようなものがあると思います。言い換えれば日本人はそんな世俗的で分かりやすい夢にもまだ目覚めていない。と僕は思います。
日本にも格差社会が到来しつつあると言われています。私はそれは当然な話と思います。
豪邸とか高級車とか高級ヨットを持ちたい人は、とくに持ちたいと思わない人に比べ格段に働かなければなりません。そしてそんな意欲を持っている人々が報われなければいけないし、そんな人々がいないと社会は経済的に沈滞化するのは明白でしょう。そんな意欲を持っていない人は贅沢はできません。そして努力しない人々に格差社会を非難する資格は当然ありません。 -
又D君の話をしましょう。彼は私が日本に帰った後米国へ移動し成果主義の米国企業で高所得を得て蓄財し5年前に豪州へ帰ってきました。ビジネスマンとして先端の経験を持ち豪州でも高収入で迎えられると思ったそうですが、それは大きな間違いでした。
「出る杭は打たれる」といいます。英語の表現では「背の高いポピーは切られる」ということで豪州会社はそんな突出した人材を嫌うそうなのです。結局5年間ほとんど無職状態で暮らしているのです。事実米国帰りのビジネスマンで定職が無い人が多々いるそうです。
一見合理的に見える豪州社会もそんな保守的体質が根強くあるらしい。若干意外ですね。
そのほか面白かった話をここで列記しましょう。
・ 結局D君は現在ヌーサの金持ちを相手に株の取引員をしてるのですが、会社のボスか
ら口をすっぱくして言われるそうです。週末は必ずゴルフをせよと。なぜならゴルフ場で金持ち顧客を捕まえることができるから。D君は週末まで会社の仕事をしたくないと抵抗してるそうです。これどこかで聞いた話しですよね。
・ ゴルフ場で金持ちと知り合うことは日常起こるそうです。でも決してD君が株の仕事
をしてることを言わないそうです。聞かれたら職業は言うけど決して自分から株の話はもちかけないそうです。じっと待ってると相手は必ず聞いてくるのでそのときおもむろに答えるそうです。これもどこかで聞いた話しですね。
・ 大口顧客を捕まえたら、もうその顧客に尽くすのみ。株以外のことも何でも。召し使い
のように。従僕のように。例えば旅行の手配とか買い物とか時には家の掃除とか。
こうなると日本では考えにくい話になってきますね。ちょっと大げさだと思いますが。
でもそんな話はよく聞くんですよ。日本人の場合よりもずっと深く相手の家庭に入り込む。そして関係を磐石にする。そういえば私もシドニー駐在時代、商売獲得のために自宅接待を積極展開してました。それに応じてくれたら契約ができることをほぼ意味していました。
家族関係に触れてみましょう。
・ 嫁姑問題は豪州にはないようです。私は過去2−3の人に聞いたことありますが
皆さん何のことかポカンとしてました。嫁だからこうあらねばならないとかの社会的制約がないと思います。自由な人間関係があると思います。
・ 結婚するとき相手の親に許可を求めるか。それは50年前までの話だそうです。日本
では形式としてまだ残っていると思いますが、豪州では形式も一切ないそうです。でも豪州でも過去そうだったのは面白いですね。
・ 農家の嫁になり手がないのは社会問題だそうです。独身で一人で農家を経営している
人が増えているそうです。それも隣家まで車一時間の距離があるのは普通。可愛そうな沢山の独身男が牛羊を相手に一人で生活しているのです。祖先の土地を守って。
・ 農家の娘は一旦都会で暮らしたらもう帰らないそうです。だって隣家まで1時間も
ある辺境に地にだれが住みたがりますか。都会で結婚相手を見つけることができるのに。
とのことでした。
添付はヌーサの川風景です。右手はビーチに繋がっています。この日は曇天で暗い絵になってしまいました。本来常夏の青い空と青い川なんです。
D君は我々が居たいだけ居てよいと言ってくれましたがやはり他人の家に泊まるのは一週間が限度。その後シドニーへ移動することとしました。
別れるとき、又来月来るよといったらD君頭を抱えていました。やはり食事のことととかベッドのこととか色々気を使わせたから。じっさい滞在中ほとんどびったりとお世話になりました。ゴルフとかハイキングとかドライブとか。
ヌーサの市場が週末開いているのに出かけたことがありました。そこでは主に手作りの
美術品、工芸品が売られていました。そこに週末人々が集まってくるのです。
そこで展示されていた絵のことなんですけど、どうやら私の絵のほうが売れそうだと
いうのがD君と私と女房の一致した意見でした。そこで将来日本では売れないけどヌーサに私の絵を売りに来ることになりました。
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この旅行記へのコメント (3)
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- ウサギさん 2006/03/23 16:27:57
- おかえりなさいませ♪
- 木場三郎さん、お帰りなさい!
お待ちしておりました(*^^*)
さっそく拝見させていただきました。
1枚目の絵がいちばん好きです。
私もDさん宅の白い階段を下りて、外に散歩に出るような優雅な気分になります。
そうかそうか、Dさんは出会いがないのですね。
じゃあウチにはそこそこ若めの女子が余っているから・・・って言ってもオーストラリアじゃなかなか合コンもできないですね。
私は来月5日から祖母とニュージーランドに行くことになりました♪
祖母は80歳、珍道中が今から想像できますが、バスに乗ってるだけのツアーにしたので、あとは健康管理だけシッカリして出かけたいと思います。
- 木場三郎さん からの返信 2006/03/23 21:52:55
- えっ。合コン
- うさぎさん。お久しぶりです。読んでくれてありがとう。一枚目の写真はこのたびD君の豪邸に嫁入りすることになったんですよ。彼もこれが一番良いって言いました。
えっ。合コンですか。妻帯者だけど僕も出ても良いんですか。良いなら独身男沢山集めますよ。嬉しい展開だ。
NZへおばあさんと。もう随分寒くなってると思いますよ。でも世界で一番美しい国。昔の日本もそうだったけど。
またお便り下さいね。
- ウサギさん からの返信 2006/03/23 22:03:21
- 祝♪ご成婚
- >えっ。合コンですか。妻帯者だけど僕も出ても良いんですか。良いなら独身男沢山集めますよ。嬉しい展開だ。
パソコンの画面見てて吹き出しちゃったの、久しぶりです(^0^)
木場さんは幹事だから、むしろ欠席は許されませんよ(笑)。
1枚目の絵がDさんのおうちに!
素敵です。
世界のどこよりも、あるべきところに巣立ったのですね。
NZは寒いですか、今いちばんの悩みは服装です。
重ね着ができるようにしていこうと思ってはいるのですが。
祖母には「寒かったらセーター買おうね♪」とそそのかしています、腹黒い孫です。
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