2006/01/01 - 2006/01/09
82位(同エリア110件中)
極楽蝶さん
ライデンは,オランダで一番古い大学のある町,日本に近代西洋医学を伝え,ヨーロッパに日本文化を紹介したシーボルトが住んでいたい町。そして,京都とも比べられほど旅情豊かな町。この町にはこんな想像をしていたから,一度は訪れてみたかった。
ライデン中央駅から延びる太い道を行けば,旧市街までは5分程度で着く。夏場であれば,クルーズ船が発着する運河が目印となる。この運河に架かる橋を渡り,真っ直ぐ進めば町一番の繁華街ハーレム通り,右に曲がればシーボルトの家の前を流れるRapenburg運河,橋を渡らずハーレム通りと反対に進めばMars門やプット風車へと行ける。それほど大きな町ではないので,どの方向に進んでみてもが,古い街並みは町の西側に集中している。だから,ガイドブックには橋を渡った後,ハーレム通りに行くように案内をしているが,僕は右に曲がり,まずはRapenburg運河沿いに町を楽しむことを勧める。ただし,ショッピングが目的であればガイドブックに従った方が良いと思うが。
Rapenburg運河沿いを歩くと,運河沿いの古い可愛らしい家々の中に,シーボルトの家,小さく素敵な貴族の屋敷をホテルにした「デ・ドゥーレン」,国立古代博物館,ライデン大学植物園や大学歴史博物館など見学したい所がたくさんある。そして,ここから東に行けばピータース教会が,西に行けばライデン大学があるのだ。
ピータース教会の周辺はとても静かな所だ。その上,小さな家が肩を寄せ合うように建っていて,昔は町の平均的な市民が暮らしていた地区なのかと想像する。
さらに,東に進むとBree通りに出る。市庁舎をはじめ,古い立派な建物がこの通りにもいくつも並んでいる。Rapenburg運河沿いの家が比較的裕福な市民の暮らす通りだとすると,Bree通りは町の行政機構が集まる所であったのだろう。そして,これらに挟まれた地域が中産階級の市民の生活の場所だったのか。色々な想像を巡らせながら,この付近を気の向くままにあるいていると,いつの間にか時間が過ぎてしまう。
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ライデン中央駅
冬の朝日を浴びたライデン中央駅です。ライデンはオランダの京都と喩えられることがありますが,京都駅と同じようにライデンの駅は街並みと対照的にもとてもモダンです。 -
ライデン市内の名所案内板
ライデンの旧市街には,その中でも特に素敵な九つの場所を示した標識があります。この写真の標識はその中のひとつ,計量所のものです。 -
デ・ファルク風車博物館
駅から旧市街に向かう橋の上から大きな風車が見えます。デ・ファルク風車です。大きな風車だけあって,いまでは博物館として利用されています。 -
運河の風景(1)
朝の光を真正面から受けたアパートが,逆さにもう一つあると思われるぐらいにはっきりと運河に写っていました。 -
運河の風景(2)
春から秋にかけてはこの付近からは多くの運河クルーズ船が出ているはずです。冬の今はちょっと一休み。
遠くにはデ・ファルク風車が写っています。 -
計量所
この写真では分かりませんが,隣に大きなショッピングセンターがあるために運河の対岸から計量所を見ると意外なほどに小さく見えます。その上,ほぼ正方形に近い外観に質素な装飾は,ここが計量所だと,ガイドブックで知らなければ見過ごしてしまうかもしれません。しかし,ただひとつ,2階部分にある白いレリーフに,天秤に大きな麻袋を載せる労働者とそれを鉄の分銅で量る役人が描かれているために,ここが計量所だと分かります。 -
運河の風景(3)
計量所の前から見た運河の対岸の風景です。この写真でも建物が見事に水面に映えています。 -
運河の風景(4)
前の写真から少し場所を移して撮った写真です。ここに写っている教会は,HARTEBRUG教会(ローマ・カトリック教会)です。 -
花束を持つ男の像
市庁舎の東側の運河に架かる橋の上にこの像はあります。 -
市庁舎(1)
ライデン市の市庁舎は片方の顔はルネッサンス様式と別の顔はゴシック様式という,二つの様式が融合した建築物です。運河に面した方は,この写真のようにルネッサンス様式となっています。
この市庁舎を見ていて特に興味を惹かれたことは,市庁舎の塔です。この塔は低層部の四角い部分はルネッサンス様式ですが,その上の部分はゴシック様式になっています。こちら側からでは分かりにくいので,次の写真も一緒に見比べてみて貰うと,ゴシック様式を正面とする部分からはこの塔のゴシック様式の部分だけが見えるような仕掛けになっているのです。偶然か?それとも意図的にそうしているのでしょうか? それとも僕だけにそう見えたのでしょうか? 僕は設計者が意図して行った“洒落”だと思います。
なお,画面の左端に僅かに写っている屋根の付いた橋は昔のフィッシュ・マーケットです。 -
市庁舎(2)
このBree通りに面した方は,この写真のようにゴシック様式となっています。
前の写真で説明しました,どうでしょう,市役所の塔はここから見るとゴシック様式の部分しか見えませんよね! こちら側からだけ見ると市庁舎は“完全な”ゴシック様式です。 -
市庁舎(3)
どうでしょう。見事なゴシック様式の市庁舎ですね!? -
Bree通りの建物(1)
Bree通りには古く素敵な建物がいくつも残っています。この写真に写っているWAALSE教会は13世紀まで歴史を遡ることができます。 -
Bree通りの建物(2)
前の写真の道路の反対側にある建物で,旧ラインラント水路局の建物です。正面は16世紀に改修されていますが,建物は14世紀にまで遡れます。 -
ピータース教会
残念だったことにピータース教会は改修のための,ほぼ建物の全体が足場とシートに覆われていまいた。唯一西正面だけに教会の肌を見ることができました。
左側に写っている素敵な建物は,ライデン大学の国際部の建物です。 -
ジョン・ロビンソンの記念プレート【ピータース教会】
かつてライデンはプロテスタントの町として,イギリス,ベルギー,フランスのプロテスタント信者を積極的に受入れていたため,これに関係した旧跡も残されています。そのなかのひとつがピータース教会で,ここにはイギリスから逃れてきたピューリタンを指導していたジョン・ロビンソンの墓があります。彼は1625年にライデンで亡くなっています。
今回の旅行では,教会が改修工事中のため中にはいることはできませんでしたが,教会の西側の壁には大きな記念プレートがありました。 -
旧私設救貧院
この建物はかつてジョン・ロビンソンが住んでいた家です。その後,私設救貧院として利用されました。
前の写真の記念プレートは,この家の入口に向けて付けられているような感じです。 -
旧ラテン語学校
ピータース教会から北にひとつ進んだ道路にレンブラントが学んだ旧ラテン語学校があります。入口のすぐ左の窓にレンプラントの顔があるのが判るでしょうか?? -
レンブラントの生地
レンブラントの生地はピータース教会から北西の方向に徒歩で5分くらいの所にあります。“生地”ということで生まれた家などが残っているわけではなく,現代的なアパートに記念のプレートがアルだけです。ちなみに今年(2006年)は彼の生誕400年にあたります。
私たちが今ここを訪れると運河に近く,跳ね橋やプット風車を望める素敵な場所だと感じますが,おそらく彼(粉屋の子)が生まれた当時は,町の中心からちょっと外れた所得のあまり高くない人たちの暮らす地域だったのではないかと感じました。 -
プット風車と跳ね橋(1)
ライデンで最も美しい風景のひとつが,このプット風車と跳ね橋を望む景色だと思います。
ライデンの市街地(城壁の内側)には,かつては19もの風車があったようですが,今ではたったの2つだけになってしまっています。プット風車は現在残っている風車のひとつですが,これは17世紀にあった場所に再建されたものです。 -
プット風車と跳ね橋(2)
レンブラントの生地を運河に向かって歩いていくと,この写真の風景に出会います。レンブラントも子供の頃,跳ね橋と風車の風景をこのように見たのでしょうか?? -
運河の風景(5)
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MORS門
MORSPOORTはプット風車の目と鼻の先にあります。この門はライデンに10あった門のひとつで,1668年に作られました。今ではライデンに残っている二つの門のうちのひとつです。
当初は絞首刑場に向かう道にあったため GALGENPOORT(GALLOWS GATE) と呼ばれていましたが,直に近くに沼があったことから MORSPOORT と呼ばれるようになりました。 -
シーボルトの家
真ん中に写っている3階建ての立派な建物がシーボルトの家です。シーボルトがこの家を購入したのは1830年ですが,それ以前も何人ものライデンを代表する人物が住んだようです。
周りの家と比べてみて,帰国後のシーボルトがとても豊かな生活をしていたことが分かります。 -
シーボルトの胸像
シーボルトの家の裏庭にある彼の胸像です。ヨーロッパに帰り,彼の研究が広く認められた後の姿でしょうか,軍服のような服を着て,胸にはたくさんの勲章があります。
長崎のシーボルト記念館のホームページ( www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/siebold/ )にアクセスすると,この胸像の作者が参考としたであろうシーボルトの肖像画を見ることができます。 -
ライデン大学の入口
出島のような運河に囲まれた一角がライデン大学となっています。日本の大学のように高層のビルが立ち並んでいることもなく,ここが大学であることを知らなければ,アパート群のように思ってしまいます。 -
ライデン大学本部と大学歴史博物館
右側の建物がライデン大学本部で,左側の塔のある建物が大学歴史博物館です。大学歴史博物館の建物は,その姿から想像できるように,大学の所有になる以前はドミニコ修道女会の教会でした。
有名な植物園はこの二つの建物の間が入口になっています。植物園を是非見たかったのですが,この時期は午後4時で閉園。午後6時まで開いていると勘違いしていました。 -
ライデンの街並み(1)
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ライデンの街並み(2)
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ハーレム通り
ここはライデンの中で一番の繁華街,ハーレム通りです。道の両側にお店が並ぶ道が300メートルぐらい続き,一日中賑わっています。 -
夕刻のデ・ファルク風車博物館
すっかり日が沈んでからライデン駅に向かっていると,最後もデ・ファルク風車が目に入りました。ライトに照らし出された風車が,朝の風車とはまったく違う表情をしていました。
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この旅行記へのコメント (8)
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- haraboさん 2008/05/14 11:46:50
- ライデンのお勧めは?
- 極楽蝶さん、こんにちは!
素敵なライデン旅行記拝見しました。
アムステルダムとはまた違った街並みがいいですね。
ゴシックの市庁舎もオランダにしては珍しい。
今度、スキポール空港でのトランジットで3時間あります。
ラウンジでのんびりするのもいいのですが
折角なら町に出ようと計画中なんです。
アムステルダムは、何度か行っているので、
空港から20分のライデンを検討しています。
滞在時間は1時間もないのですが
極楽蝶さんのライデンでのお勧め場所はどこでしょうか?
やはり運河沿いの風車でしょうか?
駅からはどこくらいで行けますか?
よろしくお願いします。
harabo
- 極楽蝶さん からの返信 2008/05/15 22:57:42
- RE: ライデンのお勧めは?
- haraboさま
こんにちは。はじめまして。極楽蝶です。
書き込みありがとうございます。
ライデンは素敵な街ですね。haraboさんの云うとおり運河沿いは
素敵な景色が連なっています。勿論,風車も良いです。
駅から旧市街地まで,歩いて5分ぐらいだったと記憶しています。
風車はその途中ですから,駅からは2〜3分で行けます。
1時間という制約では,色々と見るのは難しいところですが,も
し僕だったとしたら,ピータース教会とその付近を見たいと思い
ます。 これは,かなり個人的な趣味ですが。
でも,1時間の中であれば,運河沿いを楽しみながら散歩するの
も良いでしょうね!!
参考になりますでしょうか?
haraboさん。ライデンを楽しんで来てください。短い時間でも,
この街の美しさは十分に堪能できると思います。
そして,帰国したら旅行記を掲載してください。
貴方の旅行記を楽しみにしています。
- haraboさん からの返信 2008/05/16 18:26:59
- RE: RE: ライデンのお勧めは?
- 極楽蝶さん、早速お返事ありがとうございます。
貧乏性なので、たった3時間のトランジットも
ラウンジにジッとしていられない性格なんです。
ラウンジにいたら、どんどん飲んじゃいますし・・・
お勧めのピータース教会周辺も地図を見ながら
歩いてきたいと思います。
といっても、乗り継ぎ便が遅れたら
計画自体が消えてしまいますが・・・・
旅行記が完成したらお知らせしますね。
これからもよろしくお願いします。
harabo
- haraboさん からの返信 2008/06/18 11:28:27
- RE: ライデン行ってきました!
- 極楽蝶さん、こんにちは!
出発前は、ライデンのお勧めをご紹介いただきありがとうございました。
予定の1時間も滞在できませんでしたが、
運河沿いをゆっくり散歩できました。
快晴というわけではありませんが
青空もちょこっとのぞき、まずまずのお天気でした。
旅行記もアップしましたので
お時間のあるときに、いらしてくださいね。
これからもよろしくお願いいたします。
harabo
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- SUR SHANGHAIさん 2006/06/28 10:39:58
- おひさしぶりです
- 以前、ライデンを拠点に周辺を回ってみた事があります。
あちこちに近いので、とても便利な場所。
懐かしいこれらの風景も健在のようでうれしい。(*^_^*)
運河沿いの風車と跳ね橋、落ち着いた町並みを見て歩くだけでも時間が過ぎる所でした。
風景とは逆に、B&Bのオバサンがちょっと口うるさかったのまで思い出す。(^^ゞ
- 極楽蝶さん からの返信 2006/07/03 23:54:10
- RE: おひさしぶりです
- SUR SHANGHAI様
書き込みありがとうございます。
ご無沙汰しています。
僕のライデンの写真からSUR SHANGHAIの思い出が思い起こされて,とても嬉しく思います。
ライデンの町は決して広くはありませんが,町全体が歴史博物館のようなところで,冬の一日は直ぐに過ぎてしまいました。少なくとももう一日はこの町を観光したかったと今でも思います。
でも,これがもう一度この町を訪れるための宿題だと思っています。
またいつかライデンに行きたいと思います。
では,また。SUR SHANGHAIの新しい旅行記も楽しみにしています。
これからもよろしくお願いします。
-
- まみさん 2006/02/09 12:30:22
- 絵画みたいですね
- 極楽蝶さん、こんにちは。
運河沿いの写真、跳ね橋などああ、オランダだな〜と思う写真がとりわけステキです。
この写真など絵画みたいですね。
市庁舎、一方からみるとほぼ全面ルネサンスでもう一方から見るとゴシックというのは面白いですね。
極楽蝶さんも行かれたポーランドをはじめとする東欧は、さまざまな様式がそのまま残っている複合体の建築が特徴的で、私もとても面白いと思ったのですが、あれはだいたいどのアングルから見ても複合体であることがわかるかんじでしたね。
あるいは、多少、写真のマジックが入ってますかしら?
- 極楽蝶さん からの返信 2006/02/10 02:07:17
- RE: 絵画みたいですね
- まみ様
こんにちは。極楽蝶です。
いつも旅行記を読んで頂きましてありがとうございます。
>運河沿いの写真、跳ね橋などああ、オランダだな〜と思う写真がとりわけステキです。
>この写真など絵画みたいですね。
喜んで頂けるととても嬉しいです。ありがとうございます。
>あるいは、多少、写真のマジックが入ってますかしら?
まったくマジックは入っていません。最初この市庁舎がルネサンスとゴシックの二面の様式を持っていることなど知りませんでした。最初は運河沿いからルネサンス様式の市庁舎を見て,ピータース教会に行こうと思い,Bree通り出たらゴシック様式の立派な建物があるので,最初はこれらが同じ市庁舎であるとは思わなかったほどです。見事に真っ二つに分かれているのです。
まみさんがオランダに行くときがあれば,是非ライデンのこの市庁舎を見てください。これほどきれいに様式が分かれている建物は,僕は知りません。面白い建物ですよ!!
では,また。
これからもよろしくお願いします。
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