ﾊﾟﾘ滞在記-ﾊﾟﾘの悪口

2005/07/22 - 2005/08/03

表紙はﾘｭｸｻﾝﾌﾞ-ﾙ公園をｽｹｯﾁしたものです。格調高くしかも洒落てて美しい公園でした。
夏の暑い日、ﾊﾟﾘ大学周辺をうろついていた時この公園に行きつき休憩しました。
正門から入り鬱蒼とした並木道の先に光を浴びて宮殿が鎮座しているのです。別世界でした。ところで画面右手に白いﾗｲｵﾝ像が立ってますが分りますか？公園のｼﾝﾎﾞﾙの一つです。

ｽｲｽ、ﾄﾞｲﾂでのｻｲｸﾘﾝｸﾞ旅行を終え、我々夫婦は2005年7月22日いよいよ憧れのﾊﾟﾘへ移動し、ここで約2週間滞在しました。そしてその滞在の感想をここで述べたいと思うのですが、今回は趣向を変えてわざとﾊﾟﾘの悪口を並べてみたいと思います。我々日本人はﾊﾟﾘとなるとなんだか観察が甘くなり何でも賞賛したくなる傾向があるのではないかと思うのですが今回は意地悪く書いてみました。

エリア パリ(フランス)

宿泊はﾊﾟﾘの16区。ﾌﾞﾛ-ﾆｭの森に近い高級住宅街といわれている所のｱﾊﾟﾙﾄﾏﾝを予約していたのですが、まず入るのに不便なのです。鍵の数を言うと、道路側入り口、ﾎ-ﾙへの扉、中庭を経て奥の建物の入口、ﾎ-ﾙへの扉、部屋の鍵2個と合計６個の関門がありました。それほど泥棒が多い町なのでしょう。そんなに警戒を要すると言うことは住むには最悪の環境だと言えます。旅のｶﾞｲﾄﾞﾌﾞｯｸにはｽﾘ、ひったくり、詐欺の類には細心の注意をと強調され、特に地下鉄、ﾓﾝﾏﾙﾄﾙ地区、ｵﾍﾟﾗ通り地区は危ないと書かれています。考えてみればなんでそんな物騒な所にわざわざ飛行機に乗って来たのでしょうか。それも安心して住める東京から。

ｱﾊﾟﾙﾄﾏﾝに入るとこんな注意事項が書かれていました。ｼｬﾜ-、洗濯機は夜10時から朝7時まで使用禁止。洗濯機は全自動だが脱水まで2時間かかる。排水の管が細いので水を流す時溢れないように気を付けてくれ。水洗ﾄｲﾚもつまり易いから、流す紙は最小限にすることだそうです。清潔好きの文明人が住みにくいところですね。

それからすぐ気が付いたのは上階の歩く音がもろに下の階へ聞こえる。即ち部屋内で移動する際には抜き足差し足で動かないと下に響くのです。多分、我々が選んだｱﾊﾟﾙﾄﾏﾝが例外的に劣悪だったのでしょう。しかし一般的に言えることはﾊﾟﾘでは全ての建物が大変に古いですからどこに住んでも似たような問題がありそうです。景観を保つ為に古い建物を大切にすることは素晴らしい政策だと思います。木場三郎もこの考えに大賛成です。しかし生活の不便さとの対比で過度な旧守主義も問題があるような気がしました。

添付のｽｹｯﾁは滞在したｱﾊﾟﾙﾄﾏﾝの窓です。洒落た鉄ﾌｪﾝｽがﾊﾟﾘの雰囲気を醸し出していると感じました。それが表現できているでしょうか？しばらく住んでいると住めば都で気が付けば結構気に入ってた我々でした。

2週間地下鉄ならびに徒歩でﾊﾟﾘ市街を動き回りました。そこで次の悪口。ﾊﾟﾘ市内にﾄｲﾚが少ないのです。我々夫婦はﾄｲﾚの回数が多いのでこれには参りました。要するにｶﾌｪに入らなければﾄｲﾚに辿りつかないのです。そのたびに飲みたくない飲み物をなんか注文しなければなりません。ﾄｲﾚだけ使う人も多いそうですが我々外国人はそんなずうずうしいことをする勇気はありません。世界を代表する観光都市になぜﾄｲﾚが少ないのか。この点日本の都市はあちこちに清潔なﾄｲﾚがたくさんあり最高です。何が悲しくてﾊﾟﾘくんだりまで来たのかと思った瞬間でした。我々は花のﾊﾟﾘで毎日ﾄｲﾚを求めて徘徊したのです。

観光地はどうでしょう。凱旋門、ｴﾌｴﾙ塔、ｺﾝｺﾙﾄﾞ広場、ｸﾞﾗﾝﾊﾟﾚ、ｱﾝｳﾞｧﾘｯﾄﾞ、ｼｬｲﾖ-宮、ｵﾍﾟﾗ座など大時代的建造物が並んでいます。なんらかの権威を示す為に建設されたのでしょう。21世紀の現代、それがどうしたと思うことがありました。しばらく見てると食傷気味になるのです。
でも本当を言うと木場三郎も感銘を受けた建造物も幾つかありました。添付はｶﾙﾁｪﾗﾀﾝ地区のﾊﾟﾝﾃｵﾝ隣に位置するｻﾝﾃﾃｲｴﾝﾇ・ﾃﾞｭ・ﾓﾝ教会をｽｹｯﾁしたものです。際立った美しさが目をひきました。全面ﾃﾞｻﾞｲﾝがとても不思議で魅力的なのです。解説書によると遠い昔５世紀蛮族のﾊﾟﾘ侵入に際しﾊﾟﾘを守った聖女ｼﾞｭﾇｳﾞｨｴ-ｳﾞという人をを祭った教会だそうです。修理増設を経て現在の形になったのは17世紀だそうですが、相当謂れがありそうです。それから我々も名前は知っている思想家ﾊﾟｽｶﾙとか劇作家ﾗｯｼ-ﾇの墓もこの教会にあるそうです。

それから腹が減ったというのでﾌﾞﾗｯｽﾘ-に入ります。でも嫌なのはｷﾞｬﾙｿﾝと呼ばれる男の給仕連中のｻ-ﾋﾞｽの悪さです。態度が横柄で、要領の分らない外国人に対する配慮が無い。東京の優しいｳｪｲﾄﾚｽ、ｳｪｲﾀ-の人々を見習って欲しい。私には彼らは非洗練と思えました。職業意識が無く自分のことしか考えない連中。
ﾊﾟﾘにはあちこちに多くのｶﾌｪとかﾚｽﾄﾗﾝがあり人々はその文化を褒め称えますが、木場三郎が見る限り、数は多いが質において金太郎飴的で多様性に乏しいと思いました。東京の料理、建物、ｲﾝﾃﾘｱの多様性はもっと魅力があるのではないでしょうか。

それからﾊﾟﾘの地下鉄も問題です。音がうるさいのです。まずﾌﾟﾗｯﾄﾎ-ﾑへの入口・出口のあの騒々しいﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾄﾞｱ。それから車両のﾄﾞｱの開閉時騒音。ﾌﾗﾝｽ人は音にうるさいから音のｴﾁｹｯﾄをまもらねばとか何かに書いてありましたが、あの地下鉄の騒音はどうなってるのでしょう。
でも地下鉄で気に入ったことがあります。それは街頭音楽家達の存在です。地下道とか地下鉄車両の中で小銭稼ぎの演奏をしてました。なかなか聞かせます。ああいうのは東京地下鉄も許して欲しい。

今回は称賛すべき事項は省き、わざと細々した欠点を見付けて悪口を書いてみました。でも誤解しないで下さいね。本当を言うと我々はﾊﾟﾘの重層的な歴史と文化の迫力に圧倒されたんですよ。今宇宙人の使節団が地球を１週間表敬訪問するとしたら、受け入れる都市としてﾊﾟﾘは最有力候補だと思います。人類のなんたるかをｱﾋﾟ-ﾙする上で地球を代表する都市と思います。

この旅行記へのコメント （12）

• パルファンさん 2007/08/17 15:56:11

  ｻﾝﾃﾃｲｴﾝﾇ・ﾃﾞｭ・ﾓﾝ教会

  はじめまして！
  
  ４トラに旅行記を作り始め一年少々・・なのに、他の方の旅行記は余り訪問していない
  のですが、今回偶然、木場三郎さんの旅行記に出会いました。
  
  スケッチ画を始めたところで・・・いつか、感動したものを、もっともっと描きたいと
  思いながら遅々として進まずといったこの１，２年なのですが。
  
  絵を旅行記に用いていらっしゃること、更に付けられた文がとっても
  シニカル・軽妙で・・これらの点に魅かれ、ついカキコミです。
  
  これからも、絵の大先輩として、多いに学ばせ、楽しませてください♪
  
  （この、ｻﾝﾃﾃｲｴﾝﾇ・ﾃﾞｭ・ﾓﾝ教会の美しさ、パルファンも絵にしました。最近まで
  プロフィールに使っていたんですよ・・でも、木場さんのを見る前に変えて
  おいて、よかった〜）
  

  木場三郎さん からの返信 2007/08/18 06:08:25

  RE: ｻﾝﾃﾃｲｴﾝﾇ・ﾃﾞｭ・ﾓﾝ教会

  バルファンさん。初めまして。メッセージありがとうございます。それから私のつまんない旅行記を読んで戴いて感謝です。私は若干旅行から遠のいていますが、そろそろ次の旅行記を書こうかと思っています。私は絵を始めてまだ二年半。技量習得中です。下手なりにこの旅行記を成長の記録にしたいと思ってます。

• ウサギさん 2005/11/02 23:16:18

  こんばんは。

  パリ旅行記、拝見しました。
  悪口、とのことですが、木場三郎さんの描かれた場所には必ず行ってみよう！と思いました(^^)
  
  パリに関しては急に決まったので、まだ旅行ガイドすら入手してないのです。
  モーパッサン、ですね♪
  行きの飛行機のお供にいたします。
  
  寒くなってきました。お風邪など召しませんように。
  またお邪魔させていただきます。
  

  木場三郎さん からの返信 2005/11/03 10:10:01

  おはよう

  ウサギさんへ
  
  読んだことありませんがベルバラあたりが参考になるかと思います。
  フランス革命からナポレオンへいたるあたりをおさらいしておくと
  見る目がぜんぜん違ってくると思います。
  
  中心部のコンコルド広場って凄い所なんです。多くの人がギロチンで処刑された場所です。悪いことしてないのに反革命と言われて。うさぎさんはもうご存知でしょうけど。おせっかいですみません。
  
  では行ってらっしゃい。
  
  

  ウサギさん からの返信 2005/11/10 09:42:02

  パリ旅行

  おはようございます、ウサギです。
  
  パリに行く、と言っていましたが、暴動が心配で延期しました。
  神経質になりすぎかなとも思ったけれど、いろいろ考えて、何かあったときに自分ひとりでは対処できない、と結論が出たので。
  ２月に休みが取れれば行くつもりです。
  
  おかげさまでゆっり下調べができます♪
  
  モーパッサンの「女の一生」
  サン＝デグジュペリ「星の王子さま」
  サガン「悲しみよこんにちは」
  
  とりあえず、本屋の「フランス文学」の棚で目に付いたこの３冊を読むことにしました。
  他にも何かお勧めがありましたら教えてくださいね。
  「ベルバラ」も、マンガ文庫にまとめられて出版されているようなので、出発までに徐々に集めようかと思っています。
  
  木場さんは近々旅行のご予定はおありですか？
  木場さんの絵、楽しみにしております♪
  
  
  

  木場三郎さん からの返信 2005/11/13 09:08:31

  RE: パリ旅行

  うさぎさん
  
  そうですよね。パリは今行かないほうが賢明ですよね。
  
  下準備は大切ですね。胸をできるだけ膨らませて出発
  して下さい。
  
  うさぎさんの姿勢は大好きです。旅を深めることができる方。
  

• さすらいおじさんさん 2005/10/16 04:37:51

  素晴しい絵と情報をありがとうございました。

  木場三郎さん
  
  パリに２週間滞在されたのですね。私が憧れている街ですが、住むと階下へのきしみ音、水使用制限など不便があるのですね。
  ヨーロッパにトイレが少ないのはツアーでは良く話題になります。日本人は世界で一番トイレが近いと言っていた現地ガイドもいましたし、１日に２回しかトイレに行かないというドイツ人のバス運転手にも会ったことがあります。西洋人は東洋人より臓器が大きいのでは---と思っています。レストランはじめサービス業の教育、スピード、質は日本が世界一ではないでしょうか。競争社会の中で付加価値で勝負する国だから細心のサービスが普通になってきたのだと思います。
  
  表紙の絵を拡大して拝見しました。ライオンだけでなく、花壇、建物の窓枠、外壁の模様、時計の文字、観光客、写真を撮っているような人など細かいところまで丁寧に描いておられるのに感心しました。
  素晴しい絵と情報をありがとうございました。

  木場三郎さん からの返信 2005/10/16 21:11:29

  RE: 素晴しい絵と情報をありがとうございました。

  さすらいおじさんへ
  
  おかえりなさい。早速ご訪問頂いた上に一票頂戴し恐縮です。
  それから私の絵を仔細に見て頂き赤面です。でも大変な励みになり
  いつも感謝しております。最近は毎日二時間は絵描きになっております。
  
  あの臓器の大きさは同じ東洋人でも中国人の方が数倍大きいそうです。
  これは中国人向け中国国内バスツアに参加した日本人の友人から聞いたのですがバスのトイレ休憩がないのだそうです。その友人は我慢できずたびたび
  運転手に頼みバスを止めてもらったそうです。一人だけで野原に用を足す
  ことになりその間バスの中国人達が窓から見物していたそうです。
  
  昨日と本日とで友人と東京都最高峰の雲取山登りをしてきました。日帰りはちょっと難しいので途中の山小屋に一泊でした。雨の中の登山でした。でも合計10時間ほどの早歩きでしたから達成感と快い疲労感があります。年をとって睡眠時間は通常５−６時間ですが昨日は山小屋で11時間寝ました。7時から6時までです。70歳過ぎのお客が二人同じ部屋におられましたが彼らも11時間でした。このまま永久に寝たかったとおっしゃってました。
  
  さすらいおじさんのレバノン、シリア旅行記を拝見しました。7月のイラン
  に続き中近東にさらにお詳しくなられるのが羨ましいと思います。
  私の場合まだ欧州の歴史勉強が緒についたばかりですので。
  
  サロメ、ヨハネそれから十字軍とか興味を引きますがなにせ大作旅行記で
  すから私のPCでは閲覧にかなりの時間を要します。徐々に鑑賞させていただきます。ただし次の旅行にたたれる前までに。多分間もなくでしょうが。
  

  さすらいおじさんさん からの返信 2005/10/16 23:33:20

  RE: RE: 素晴しい絵と情報をありがとうございました。

  木場三郎さん
  
  絵の勉強をされながら、登山もされお忙しい毎日ですね。私も睡眠時間は５-６時間でなかなか熟睡ができませんが、登山だと達成感と快い疲労感で熟睡されるのですね。先日ペトラで９００段の階段を登るとくたくたになり、運動不足を実感しました。もっと歩かねばと思っているのですが---
  
  臓器の大きさは同じ東洋人でも中国人の方が数倍大きいとは知りませんでした。中国は比較的トイレが多い（きたないですが）と思っていました。日本はどこでも無料でトイレが使えるのですぐにトイレに行く習慣がついてしまっているのもトイレが近くなった原因だろうか、と考えたりします。
  
  次回は１０／２２−２８オマーン、ドバイですのでそれまでに中東をＵＰしたいと思っています。またご覧いただければ嬉しいです。
  
  

  木場三郎さん からの返信 2005/10/17 09:41:19

  急ぎ旅行記を

  さすらいおじさん
  
  えっ　ええー
  もう今週末にご出発。また中近東。急ぎ旅行記を拝見します。
  
  

• チビケイさん 2005/10/09 19:43:03

  パリ滞在記、絵もさることながらコメントに思わず頷いていました(笑)

  木場さん(* ^-^)ﾉこんばんわぁ♪
  
  今日は木場さんのパリ滞在記を夫婦で読ませて頂きましたm(__)m
  実は主人も随分昔にパリの下町に1年ほど住んでいた事が
  ある為、興味シンシンだったようです(^。^)y-.。o○
  
  もっとも主人がパリに住んでいたのは今から３０年以上前
  まだ主人が学生の頃ですが(笑)
  でも読ませて頂きながら妙に納得していました。
  「パリのアパルトマンって階段の電気も省エネになってて
  駆け上がらなくちゃ上に着くまでに電気が消えるし、シャワーは１０分位で
  止まるから慌てて洗ったよ」と。最も主人の場合はかなり安い
  アパルトマンを借りていたようですが(^^ゞ
  総称してフランス人は経済観念が凄いという印象のようです。
  その点スペインに住んでいる時はとても住み心地が良かったと(笑)
  
  最初の絵にあるライオン像、写真を大きくして見ました(^_-)-☆
  ちゃんと左側にあるのがわかりました(=^・^=)
  本当に木場さんの絵には何時も心が安らぎます。
  パリは見える部分は本当に綺麗ですが裏に回ると
  結構汚れた部分も多いですよね。
  それでもこの絵を見せて頂いてるとパリの長い歴史の
  深さや色合いの美しさを感じます。
  やはり華の都なのかな（*^_^*）
  
  どの絵も木場さんの鋭い観察力と暖かさを感じられて
  見せて頂けた事に感謝していますm(__)m
  
  心に残った風景を優しいタッチで描かれた木場さんの絵♪
  ファンとしてこれからもまた素敵なシーンを見せて下さいねm(__)m
  
  

  木場三郎さん からの返信 2005/10/10 11:02:15

  又唖然としました

  ﾁﾋﾞｹｲさんへ
  
  
  ﾒｯｾ-ｼﾞと清き一票ありがとうございます。
  絵を誉めてもらうと大変嬉しい。
  どんどんやる気が出ます。
  
  覚えていただいているかな。ﾄﾞｲﾂの鉄格子の窓の絵
  あれ入選しましたよ。初めての賞です。
  次は特選を狙いますよ。
  
  ﾊﾞﾘのﾃﾛですがぼくは彼等は何が不満か分りません。
  何をしたいのか意図を言って欲しい。
  
  ところでﾁﾋﾞｹｲさんのﾊﾞﾘﾘｯﾂﾋﾞﾗ旅行記に一票入れました。
  又唖然としました。