1972/09/11 - 1972/09/12
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片瀬貴文さん
1961年9月11日(月)
フランス国鉄計画課で、工事の予定価格決定と、業者決定についいて討議する。
フランスのやり方は非常に合理的で、わが意を得たりと感じる。
日本も早く、このようにならないものだろうか。
工事の予定価格は、公刊の「積算基準」を使って算出し、入札に先立って公表される。
入札は金額でなく、予定価格の何%かで行われる。
その時工事業者がより良い設計を提案することも出来る。
これならば、「価格漏洩」問題は起こりえない。
業者の技術力向上のモチベーションも、生まれる。
また入札に参加する業者指名は、基準を満たすもの全社が選ばれる。
私の伺った例では、43社だった。
こうすれば、談合は出来ない。
フランス国鉄の方々は非常に親切で、親身になっていろいろ教えてくれ、感心させられることが多い。
私の質問に答えられないことがあれば、後日タイプにして送ってくれる。
日本に外国からやって来た人に対して、我々はこれほど熱心かどうか、反省させられる。
しかし例外もあって、苦労することもある。
先日ローマのすりについて話し合った心理学者のMさんが、ローマで同じ手口に会ったとのこと。
心理学の専門家でも、掏りの心は見抜けないらしい。
領事館に駆け込んで、200ドル貸してもらい、当面凌いだとのことだ。
1961年9月12日(火)
午前中は、設計協議と用地買収について。
昨日と今日の日程は、私が無理に頼んで入れてもらったものだが、期待通り面白かった。
恐らく日本人で、この辺りの情報を得た人は、今までにいなかっただろう。
工事の設計を決めるに当たっては、地元との公開協議が繰り返され、異議は公開される。
決まった設計に対しては、その時点で用地価格が凍結され、「ごね得」は避けられ、用地買収は促進される。
彼等の社会は、個人の権利を尊重する一方、それが社会全体にマイナスならばお互いに認めないという、厳しい一面を持っている。
日本の「ごね得」社会を、切に反省する。
午後は英仏トンネルについて。
この問題は、技術課題と言うよりも、政治問題らしい。
一日、目いっぱい議論するとすっかり疲れ、帰っても寝るだけとは情けない。
読みたい資料が、日に日に山積してゆく。
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