1982/05/01 - 1982/05/10
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アーマさん
5月1日(土)
昨夜はほとんど一睡もできなかった。初めての海外旅行への期待や不安のためどころではない。前日引いてしまった風邪が、夜中に悪化したのである。心臓はドドドと早鐘のように打ち、びっしょり汗まみれになりながら、どうかどうか朝までに良くなってくれと必死で祈る。
そして朝。出発は昼頃なので、ともかく近くの病院へ。「えっ、ヨーロッパ?!中止できないのー?」医者に言われたけれど、何が何でも行く覚悟。薬をどっさりもらう。
泉駅に行くと、同行のナバちゃんが、見送りのご両親と一緒にもう来ていた。お天気はすぐれない。私の体調と同じ。主人のバンザイ(?)に送られて出発。上野着。気のせいか大きなトランク姿の人ばかり目立つ。自分のトランクを引っ張るのに一苦労。出来の悪いポチを連れて散歩しているみたい。あっちへヨロヨロ、こっちへヨロヨロ、思わずグイと引くとドタッと倒れてくる。腕が痛くなってきた。
空港ターミナル。ナバちゃんとウロウロ、軽く食事をとることにする。とりあえず風邪薬を飲みたかった。やっと見つけて入ったレストランで、ナバちゃんはハヤシピラフ、私はホットケーキ。窓の外にはいろいろな飛行機が行き来する。二人で無言で眺めてた。赤いライトを点滅させて、また一機が雲の中に消えていく・・・。
午後6時、ロビーに向かい、受付にて手続きを済ませる。ツァーは40数名とか。うんざりするくらい長い行列の後、やっと飛行機に乗り込む。
20時35分、いよいよ飛行機が動き出す。滑走路に点々と赤いライトが灯って、夜の離陸はドラマチックだった。30分ほどたって、座席が離れてしまったナバちゃんが、添乗員の上田さん(メガネをかけてバサバサ髪をしたお兄さん)に案内されて移ってきた。私たちの席は非常ドアのすぐわきで、右側はトイレ、目の前はスチュワーデスの待機場所、と便利ではあったけど、非常口からの冷気には悩まされた。「寒くありませんか?」スチュワーデスがたくさん持ってきてくれた毛布を、私は腰から下を蓑虫みたいに巻いて、耐えたのだ。風除けに置いておいたバッグの布の部分が凍っていた。だいぶ咳がひどくなったみたい・・。
5月2日(日) 現地時間では1日の朝
自分の時計で3時過ぎアンカレッジ着。荒涼とした大地。初めての外国の大地への第一歩。免税店のおばさんに聞いてみる。「外は寒いですか?」「日本の早春くらいの気温ですよ。これから一番いい気候です。 1時間後再離陸。あと8時間。眠ろうと努力したけど、やっぱりだめ。機内では映画が上映され、ナバちゃんはぱっちり目を開けて音無しの画面を見つめていた。外は再び暗くなり、北極上空。青白い半月がぽっかり浮かんで、暗い地球を照らしている。まるで宇宙にいるみたい。明るい星が1つ、私たちを追っている。誰も口をきかない。疲れて目をつぶる。」
「皆さん、おはようございます、ただ今ロンドン上空です。」窓の覆いを上げて覗き込む。夜明けだった。地平線が青みを帯び、ぐんぐん明るさを増していく。下は一面真っ暗な雲の海。たった一度、明かりがチカッと見えた。やがてフランス上空。雲海は白っぽく輝いていた。飛行機の高度はぐんぐん落ち、雲海が下から盛り上がってくる。そして朝の太陽がその縁に触れたとたん、変化が起こった。雲の深いところで何かが爆発したみたいに一瞬赤い光が見え、次の瞬間我々は上層部のベールのような薄雲の中に突入、とたんにあたりは真っ赤に燃え上がった・・・朝焼けだ。私はただ窓にしがみついて、大自然の驚異に見とれていた。
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