地球漫歩 118 現地の小学校へ入学

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新しい住居に落ち着いた私は、早速子供を連れて近くの小学校を訪ねた。
小学校は男女が分かれていて、娘と息子は別の学校である。

校長先生が自ら面接し、生徒のクラスを決める。
校長先生は息子に話しかける。
「君、フランス語が話せるかい」
「ウィ ムッシュー」（はい　話せます）

息子はあまり話せもしないのに、反射的に答えている。
「それじゃ、これを読んで見ろ」
息子は、渡された教科書を、詰まりながらも何とか一ページ読み切る。
引き続き簡単な暗算。
これは日本でしっかり習っていて得意だから、問題はない。

「よしクラスは２年生。明日からやって来い」
これで無事入学が決まる。

一方息子よりフランス語のうまいはずの長女は、
「フランス語を話せるかい」
の質問に対し、慎重に「ノン」と答えたものだから、準備クラスへの入学と決まった。
準備クラスとは、学齢期に達しても知能が遅れ、一年生になれないクラス、いわば幼稚園のようなものらしい。

スキーで骨折し、東京フランス人学校に十分通えなかった長男の方が２年生で、もっとフランス語の出来る娘が2クラス下の準備クラスなのだから、いい加減なものだ。

息子より2学年下、日本より6学年も落ちた娘は、「腐りはしまいか」との親の心配を尻目に（内心は辛かったのだろうが）平気なものだった。
5つも年下の中に入り、毎日お姉さん顔で折り紙を教えてクラスの人気者となったらしく、楽しそうだった。

　この国の学制は、決められた年数さえ通学すれば、何年生であろうと義務教育終了とするらしい。
「ソテ」と称する飛び級制度があり、クラスが後れても回復ができ、あまり心配はない。

　教科書は何代も使われたお古である。
それを学校が貸してくれ、表紙が汚れないようハトロン紙でカバーしながら大切に使用する。