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ウィーン国立歌劇場 施設情報・クチコミに戻る

この3年間で21回ここでオペラ等を見る。

  • 5.0
  • 旅行時期:2015/11(約9年前)
tadさん

by tadさん(男性)

ウィーン クチコミ:58件

この3年間でウィーンに5回滞在した。今、音楽会記録をチェックしたら、その滞在中、ウィーン国立歌劇場では21回オペラやバレーを楽しんでいる。今年も行くべきか、プログラムを調べているが、出し物が重なることが増えてきたし、方針が少し変わったのか、同じ出し物を繰り返し上演しているので、10日間くらい滞在しても、2,3作しか新しいものが見れなくなった。昔の方式のほうが旅行者には有難いのだが。。。例えば、3年前の3月中旬の滞在では5日連続別のオペラが見られた。このようなレパートリー方式が今は崩れているようだ。

昨年の滞在に秋を選んだのは、10月か11月にはウィーンに来たことがなかったからだ。黄葉の季節のウィーンを見たかったので、今回のように11月上旬となった。それに音楽会プログラムが悪くなかったからだ。(豪華なのはやはりクリスマスと復活祭の頃だが。。。)

昨年11月の滞在では、ウィーン国立歌劇場には3回行ったが、オペラはプッチーニの「ボエーム」と、マスネーの「ウェルテル」だけで、もう一つはバレーだ。(ムジークフェラインの音楽会のほうを増やした。)

「ボエーム」は、私がヨーロッパで最初に見たオペラなので忘れようがない。1974年12月21日パリ・オペラ座(ガルニエ)でのこと。内容もクリスマスの時期で、舞台にはクリスマスのセットがあった。このオペラは、貧しいミミが結核で死ぬ。私も17,18歳のころ、重い結核で入院していたから、こういう筋には最初から過敏になっている。。よほどの酷い演奏でない限りは、泣いてしまう。この最初の時は、パリの舞台の豪華さ、迫力に圧倒された記憶がある。ギオーというソプラノが主演だった。ジャッキアという指揮者で(カントルーブの歌のLPで知っていた。)これが私のヨーロッパ音楽会デビューだった。

次はロンドンで、1996年にヴァドウーヴァの主演で見た。CDにもなっている歌手だから、声だけ聞くといいのだが。。。(結核で死にそうな雰囲気ではない!) それでも、感動した。3回目はやはりロンドンで2年半前に新演出で見ているが、歌手の記録も残していない。水準以上のできだったようで、4点としている。

で、今回のウィーンでの演奏は、歌手の粒が揃っていた。それにオーケストラや音響が美しいという印象が今回は目立つ。オペラ・ハウスの音響は建物が大きすぎてデッドなところが多いように思うが、パリ、ロンドンと比較すると、ウィーン国立歌劇場の音響効果はやはり秀でている!広すぎない利点が大きい。(大きいオペラハウスにはもはや行かないと決めた。)それにやはりオーケストラが抜群の美音を出しているのがよくわかる。ウィーン・フィルの母体なのだ。(パリの新しい体育館みたいなオペラハウス(バスティーユ)などは音楽をきくところではない!一階の真ん中でも痩せた音しか聞こえない。声張り上げる歌手ばかりが揃うことになるだろう。)

さらに、今回の「ボエーム」の上演で特筆すべきは、演出があのゼフィレッリ版が継承されていることであろう。近年の新演出なるものの多くは、顰蹙を買うためにつくっているのではないだろうか?と、いいたくなるほど、このゼフィレッリ演出は好ましい。ウィーンの「カルメン」の演出もゼフィレッリ版で見たが、あの演出は最高だった。というわけで、総合点は、今までのボエーム体験の中ではベストだったと言える。それでも、私の記録帳では、4点なのだが。。。ヴィデオで見たクライバーの演奏を知っているだけに、5点には届かないのだ。言っておくが、それでも、泣けた。ミミもムゼッタもチャーミングだったし歌も立派だった。ゼフィレッリ演出が活かされていたので満足した。

マスネーの「ウェルテル」は、youtubeで同じ演出でElina Galaca版を見ていたので、これもある意味楽しめた。ガランチャが飛び切り素敵な歌手であることは当然知っているが、その彼女をこの演出は適切に使いこなしていない!本当にオペラの演出家というのは、どうして、こんな変な演出を思いつくのか、理解不可能だ。彼女の歌手としての特徴やその雰囲気を知っていたら、こんな演出や衣装にはならないだろうにとつくづく思う。近年のオペラはだから、あまり、真剣に舞台を見ると、腹が立つことが多いので、適度にやり過ごさないと仕方ない。音楽を知らない演出家が起用されすぎる!

そうそうNHK大河ドラマや凡作の映画を本気で見たら、そのバカさ加減にしばしば腹が立ってくるのと似ている。あの素敵なガランチャをここまで、活かさないで、良さを押し殺すような演出で見た経験も忘れないだろう。オペラは多くの人がかかわるから、どうしても、雑な部分が見えてくるのは仕方ないのだろう。

特定の歌手がアリアで迫力あったからというだけで、ブラボーを連発するような仲間に入る気はまったくないので、そのあたりが、オペラという様式の限界だろう。オペラを楽しむには、いいところだけを見るようにし、欠点には目を瞑るという寛容性が必須なのだろう。

マスネーの音楽自体はワグナーに影響を受けたというが、なるほど、響きは似ているところがある。ただ、ゲーテの有名な原作「若きウェルテルの悩み」とどこまで、深く対応したのかを考えると、今一、、。

アリアや音楽のできだけではなく、脚本、演出もまともなものを選ぶとなると、いいオペラは、そうざらにあるものではないと思う。あのカルロス・クライバーの「薔薇の騎士」レベルのものは、史上稀だったのだとつくづく思う。

その点、ベートーヴェンやブラームスやブルックナー等の純粋な音楽作品を聞いているのとは、鑑賞マナーが異なると思う。彼らはオペラをほとんど無視していたのではなかったろうか。音楽芸術そのものはやはり純粋に器楽、声楽だけで作曲したほうが、完成度は高くなると思う。

バレーについては、特に書きたいこともない。Jerome Robinsは、ウェスト・サイド物語のバレー演出で名前を知っているから彼の作品にはある種の期待をしていたのだが、ヴェルディの舞踊音楽に結構、古典的なバレーの振り付けをしたものが中心であった。オーケストラ演奏が飛び切り巧いのが、耳には心地良かった。そうそう、最初のバレーにはPhilip Glassの曲が使用されたが、この作曲家は前にも聞いたことがあるが、相当な才能の持ち主だと思う。

というわけで、歌劇場の演出については、どうも我慢ならないことが多いが、それでも、鳴り響いている音楽に重きを置けば、やはり、楽しい時間となってしまうところが、私の音楽好きを証明しているのだろう。だから、これだけ文句をいいながらも、ウィーンにはまた行くことだろう。

施設の満足度

5.0

利用した際の同行者:
カップル・夫婦(シニア)
コストパフォーマンス:
5.0

クチコミ投稿日:2016/03/09

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