やはり最高の音響!
- 5.0
- 旅行時期:2015/11(約10年前)
-
-
by tadさん(男性)
ウィーン クチコミ:58件
この2年半で5回目のウィーン訪問だったが、今回(2015年11月)は、ウィーン楽友教会の黄金のホール、ムジークフェラインに行く回数を増やすことにした。で、結局3回、ここで聞けた。なにしろ、音響のよさが世界でも抜きん出ていることを、ここ数年で再認識したからだ。この1700余席のホールの音響効果を知ってしまうと、大きすぎる最近の多くのホールで聞くのが虚しくなってくる。NHKホールや東京文化会館などは、そういった大きすぎて音楽が体に浸み込んでこない例だ。勿論、他の国の大きいホールも知る限りは似たような欠陥を持っている。オペラハウスでも、ウィーン国立歌劇場は大きすぎず、音響が素晴らしい。最悪なのはボックス席のように上に低い屋根が付いている席の2列目以降だ。バルコンやギャラリのほうが、いいことが多い。
ムジークフェラインの場合、席の場所による音響の差も知りたくて、あちこち、この数年で試したが、多分、一階の後ろの立ち見席以外は、ほとんど文句がないだろうと思う。上に天井からの反響を遮る上階席があると、よくない。これはどのホールやオペラハウスでも当てはまる話だが、このムジークフェラインは1階席、2階席、3階席のどれも多分、どこも素晴らしい音質になりそうだと思う。前のほうのサイドの2階席は、高音がやや減少するが、それでも、反響音が素晴らしいので、至福の音が響く。一階席の真ん中の真ん中は、普通はチケットがゲットできないが、今回、現代音楽の初演のコンサートは、自由席のチケットだったので、前半は一階席の真ん中で、後半は2階席の前の中央で聞けた。オーストリー放送交響楽団の演奏は反応がシャープで前半は楽しめた。後半はつまらない曲だったが。。音響的には、どちらも、素晴らしい!高音から低音まで、満遍なくくっきりと、しかも豊かな残響音を伴うというのは、本当にその音に埋まるだけで幸せになってしまう。
後、ウィーン交響楽団とシャルル・デュトワ指揮で「展覧会の絵」、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」で、これは3階の真ん中6列目で素晴らしい音響であった。展覧会の絵は、デュトワのお得意でもあり、流石の名演だった!音の洪水に飲み込まれた快感は、とても表現できない!ロミオとジュリエットのティボルトの死の場面でフォルテッシモの断続音が続くところなど、直接音の明晰さと残響音の美しさが両立するホールであることを確信した。音響工学的に理由が議論されてきていると思うが、表面上は似ていても、実質はそう簡単に真似ができないのであろう。
もう一日は、なんと「オーケストラ一列一番」のチケットで、家内は2番で、聞いた。これはステージの上の席だ。ニナ・ステメという現在、ワーグナー・ソプラノのトップに君臨する歌手のリサイタルになんとダニエル・バレンボイムがピアノ伴奏をするという豪華版。全24曲をバレンボイムがどれも完璧に引き分けるのには絶叫したくなった。このステージ上の席は、バレンボイムの背中を見ながら、ほんの5,6mのところにいるので、楽譜が汚れていないのまで、みんなわかる。勿論、楽譜のどのあたりをやっているかもある程度わかる席で、興奮しっぱなしだった!Brahms,Wagner,Boulinger,Sibeliusの曲、それにアンコール3曲も完璧に歌いわけ、弾きわけた。歌もピアノもすぐそばで聞く感じだが、それにホールの残響も美しく続くという夢のような音に浸った。過去最大級の感激した音楽会の一夜となった。私の音楽会記録には5+と記したことは言うまでもない。
なお、ウィーン・フィルを聞いた演奏会の旅行記は、次を参照のこと:
「クリスマスのウィーン1(ムジークフェラインのウィーン・フィル)」
(2014年12月30日投稿)
http://4travel.jp/travelogue/10965758
- 施設の満足度
-
5.0
- 利用した際の同行者:
- カップル・夫婦(シニア)
クチコミ投稿日:2016/02/27
いいね!:11票
利用規約に違反している投稿は、報告することができます。 問題のある投稿を連絡する