古びたびた下町、石畳の路地裏から流れる民族歌謡ファドこそが、ボルトガルを代表する音風景と言えます。裏町の安酒場や売春宿で歌...
続きを読むい出されたファドは、やがて貴族達の屋敷内でも歌われるようになり、次第に劇場公演されるようになりました。ファドとは運命、宿命を意味する言葉で、その名のとおり、懐かしさや哀愁、未練、愛惜、絶望、慈しみ、郷愁、孤愁、後悔などを感じさせるメランコリックでノスタルジックな響きが特徴です。ボルトガル特有のファド用ギターの音色に合わせ、ショールを肩にかけた女性歌手や黒いマントに身を包み、片手をポケットに入れて歌う男性歌手が切々と歌い上げる光景は、実に、悲しくて、美しく、ボルトガルの真髄が、そこにあります。リスボンやコインブラ、ポルトにはファドを聴きながら食事や飲酒ができるライブハウスが数多くあります。リスボンにある、この店も、 その一つにで、登場する歌手のクオリティで定評があるライブハウスです。ショーの形式は数人の歌手が持ち歌3~4曲歌っては、休憩を挟みながら次の歌手が登場するスタイルです。この店では観光用にフォークダンスも組み込まれています。学園都市コインブラでは男子学生グループがセレナーデとして歌うコインブラファドが有名で、こちらも味わい深いものがあります。若者のファド離れが懸念されていましたが、2011年、ユネスコ無形文化遺産登録に登録されたことによって、再び日の目を浴びる存在となり、ファドが持つ奥深さが再認識されつつあるようです。
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投稿日:2015/01/14