お札にせよ、切手にせよ、その芸術性や制作技術の高さが改めて認識できました。
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- 旅行時期:2023/05(約3年前)
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by Lily-junjunさん(男性)
王子・十条 クチコミ:19件
北区王子1丁目にある「お札と切手の博物館」についての情報を発信していきます。「お札と切手の博物館」を訪れたのは2023年5月31日です。「お札と切手の博物館」へのアクセスは、JR京浜東北線「王子駅」の中央口を出て、そのまま右方向に道なりに220mほど進むと「お札と切手の博物館」が右手にあります。
「お札と切手の博物館」では、1Fと2Fが展示室になっています。まず、入口を入ると左手に「新日本銀行券の紹介」、「スタンホープ印刷機(重要文化財)」、「偽造防止技術の歴史―印刷・製紙技術」の順に展示コーナーがあります。そして1F中央には「Q&Aコーナー・フォトスポット」があります。階段を上り2Fの展示室に進むと、「お札の移り変わり」、「世界のめずらしいお札」、「世界のお札」、「切手の移り変わり」、「世界の切手」、「旅券・官報・諸証券」、「国立印刷局の歴史」、「お札の芸術」の順で展示コーナーが設置されています。
最初の「新日本銀行券の紹介」コーナーは、令和6年(2024年)7月に発行予定の新日本銀行券について、デザインや偽造防止技術などを紹介するコーナーです。「渋沢栄一肖像」の日本銀行券F10000円見本券(表・裏)、「津田梅子肖像」の日本銀行券F5000円見本券(表・裏) 、「北里柴三郎肖像」の日本銀行券F1000円見本券(表・裏)が展示されていました。
次の「スタンホープ印刷機」は、江戸時代末期の嘉永3年(1850年)に、長崎の「オランダ商館長」から将軍「徳川家慶」に献上されたものです。当初は、「蕃書調所」で洋書の印刷に使用されていたそうで、近代印刷技術の伝来を象徴する遺物です。「スタンホープ印刷機」は、活版印刷に使用され、1時間に200~300枚の印刷が可能だったそうです。「スタンホープ印刷機」は、平成10年(1998年)6月30日に国の重要文化財に指定されました。
三番目の「偽造防止技術の歴史~印刷・製紙技術~」のコーナーでは、お札が作られた頃から偽造防止のために紙の製造や印刷をするうえで特殊な方法が使われていました。特に、お札を製造する過程で、原版彫刻技術として現在も使われているのが、「直刻凹版」という製法で、1ミリメートルの間に10本以上の線を彫刻できるほどの精密な技法だそうです。また、偽造防止のためにすかしが施されていますが、明治期に開発された「白黒すかし」は、光にすかすと明暗のグラデーションで絵柄を再現するそうです。これは、現在でもお札の偽造防止技術として用いられ、その精巧さは日本のお札の特徴となっています。ちなみに、この「白黒すかし」が最初に用いられたのは、明治22年(1889年) 発行の「日本銀行兌換銀券1円」です。
1F最後の「Q&Aコーナー」コーナーでは、お札にまつわる豆知識をクイズ形式で楽しみながら学習できる展示スペースです。 「フォトスポット」は、新一万円券の肖像になった「渋沢栄一」がモデルとなっている東京都北区のキャラクター「しぶさわくん」の画像が撮影画像に現れるARフォトスポットとなっています。一人では、ちょっと撮影するのが恥ずかしい感じがしますね。
次に、2Fに上がるとまずは、「お札の移り変わり」コーナーです。「お札の移り変わり」コーナーでは、初期の世界のお札、江戸時代の日本のお札、そして近代から現代の日本のお札が展示されています。また、日本のお札が、明治・大正・昭和・平成と時系列順に展示されているのをみると、印刷技術の高度化や社会変化による図柄の変遷を理解することができます。ちなみに、お札が世界で初めて使われたのは中国で10世紀末のことだそうです。遅れること600年して、日本やヨーロッパでもお札が使われるようになったそうです。
次が、「世界のめずらしいお札」コーナーでは、製のお札、切手大のお札、ハイパーインフレーション時に発行された超高額面のお札など、めずらしいものが展示されています。特に、目を引いた珍しいお札は、お土産用の金箔製のお札ですね。このコーナーを見ると世界はつくづく広く、多種多様ですね。
そして、「世界のお札」コーナーでは、世界各国の全158種のお札が展示してありました。日本、アメリカ、イギリス、中国、欧州連合の通貨同盟の「主要5か国のお札」とそれ以外に大別して展示してありました。
そして、次の「切手の移り変わり」コーナーでは、歴代の日本切手と世界の珍しい切手が展示されていました。やはり、面積の小さな面に、精巧なデザインを美しく印刷するという技術には感服しました。私が子供の頃は、気ってブームが真っ盛りでした。学校に行く前に郵便局や切手を販売しているタバコ屋さんに並んで記念切手を買ったものです。それを考えるとSNSの発達により、手紙文化も衰退し、切手を買うために並んでいる列が見られないのは、寂しい気もします。そして、このコーナーで驚いたのは、常識では考えられないようなはがきよりも大きい世界最大の切手、におい付きの切手、紙以外で作られた切手があることでした。
続いても切手に関するコーナーです。「世界の切手」コーナーでは、世界の各地域や国で発行された切手が展示されています。このコーナーでは、世界地図の上に世界の国々で発行された280点もの切手が展示されています。各国の切手は、それぞれの特徴を表しているので、まるで世界一周の旅に出た気分ですね。
次が、「旅券・官報・諸証券」コーナーです。「旅券・官報・諸証券」コーナーでは、「国立印刷局」が製造してきた「旅券」(パスポート)、「官報」、「収入印紙」、「国債」の歴史が描かれていました。このコーナーで初めて知ったのですが、「国の公報紙」である「官報」は、土・日・祝日をのぞき毎日発行されているということです。そして、特に感激したことですが、大正12年(1923年)の関東大震災で印刷局の工場設備は全焼したのにもかかわらず、ロウソクの灯りの下で作成した手書きの官報が展示されていたことです。そのほか歴代のパスポートや今ではペーパーレス化された国債証書などが展示されていました。
次の「国立印刷局の歴史」コーナーでは、国立印刷局の歴史がパネルしてあります。ちなみに、「国立印刷局」は、明治4年(1871年) 7月27日に、「大蔵省紙幣司」として設立され、同年8月に「紙幣寮」と改称されました。主な業務は、紙幣の発行、交換、国立銀行(民間銀行)の認可などだったそうです。
そして、最後の「お札の芸術」コーナーです。「お札の芸術」コーナーは、お札の図柄の芸術的側面に焦点を当てています。近代的紙幣の製造技術を日本に伝えた「キヨッソーネ」による明治の元勲「木戸孝允」の肖像版画がありました。素晴らしい芸術性を感じました。
01_【「お札と切手の博物館」の一口メモ】
⑴ 所在地…〒114-0002 東京都北区王子1丁目6-1 国立印刷局博物館(お札と切手の博物館)
⑵ 電話…03-5390-5194
⑶ 開館時間…9:00~17:00
⑷ 休館日…月曜日 ※祝日の場合は開館し、翌平日休館となります。
⑸ 入場料…無料
02_【「お札と切手の博物館」へのアクセス】
⑴ JR京浜東北線「王子駅」中央口から徒歩3分220m
⑵ 東京メトロ南北線「王子駅」1番出口から徒歩2分140m
⑶ 東京さくらトラム(都電荒川線)「王子駅前」出口から徒歩3分220m
03_【「お札と切手の博物館」の見どころ】
⑴ 「新日本銀行券の紹介」
「新日本銀行券の紹介」コーナーは、令和6年(2024年)7月に発行予定の新日本銀行券について、デザインや偽造防止技術などを紹介するコーナーです。「渋沢栄一肖像」の日本銀行券F10000円見本券(表・裏)、「津田梅子肖像」の日本銀行券F5000円見本券(表・裏) 、「北里柴三郎肖像」の日本銀行券F1000円見本券(表・裏)が展示されていました。
⑵ 「スタンホープ印刷機」(重要文化財)
「スタンホープ印刷機」は、江戸時代末期の嘉永3年(1850年)に、長崎の「オランダ商館長」から将軍「徳川家慶」に献上されたものです。当初は、「蕃書調所」で洋書の印刷に使用されていたそうで、近代印刷技術の伝来を象徴する遺物です。「スタンホープ印刷機」は、活版印刷に使用され、1時間に200~300枚の印刷が可能だったそうです。「スタンホープ印刷機」は、平成10年(1998年)6月30日に国の重要文化財に指定されました。
⑶ 「偽造防止技術の歴史~印刷・製紙技術~」
「偽造防止技術の歴史~印刷・製紙技術~」のコーナーでは、お札が作られた頃から偽造防止のために紙の製造や印刷をするうえで特殊な方法が使われていました。特に、お札を製造する過程で、原版彫刻技術として現在も使われているのが、「直刻凹版」という製法で、1ミリメートルの間に10本以上の線を彫刻できるほどの精密な技法だそうです。また、偽造防止のためにすかしが施されていますが、明治期に開発された「白黒すかし」は、光にすかすと明暗のグラデーションで絵柄を再現するそうです。これは、現在でもお札の偽造防止技術として用いられ、その精巧さは日本のお札の特徴となっています。ちなみに、この「白黒すかし」が最初に用いられたのは、明治22年(1889年) 発行の「日本銀行兌換銀券1円」です。
⑷ 「Q&Aコーナー・フォトスポット」
「Q&Aコーナー」コーナーでは、お札にまつわる豆知識をクイズ形式で楽しみながら学習できる展示スペースです。 「フォトスポット」は、新一万円券の肖像になった「渋沢栄一」がモデルとなっている東京都北区のキャラクター「しぶさわくん」の画像が撮影画像に現れるARフォトスポットとなっています。一人では、ちょっと撮影するのが恥ずかしい感じがしますね。
⑸ 「お札の移り変わり」
「お札の移り変わり」コーナーでは、初期の世界のお札、江戸時代の日本のお札、そして近代から現代の日本のお札が展示されています。また、日本のお札が、明治・大正・昭和・平成と時系列順に展示されているのをみると、印刷技術の高度化や社会変化による図柄の変遷を理解することができます。ちなみに、お札が世界で初めて使われたのは中国で10世紀末のことだそうです。遅れること600年して、日本やヨーロッパでもお札が使われるようになったそうです。
⑹ 「世界のめずらしいお札」
「世界のめずらしいお札」コーナーでは、製のお札、切手大のお札、ハイパーインフレーション時に発行された超高額面のお札など、めずらしいものが展示されています。特に、目を引いた珍しいお札は、お土産用の金箔製のお札ですね。このコーナーを見ると世界はつくづく広く、多種多様ですね。
⑺ 「世界のお札」
「世界のお札」コーナーでは、世界各国の全158種のお札が展示してありました。日本、アメリカ、イギリス、中国、欧州連合の通貨同盟の「主要5か国のお札」とそれ以外に大別して展示してありました。
⑻ 「切手の移り変わり」
「切手の移り変わり」コーナーでは、歴代の日本切手と世界の珍しい切手が展示されていました。やはり、面積の小さな面に、精巧なデザインを美しく印刷するという技術には感服しました。私が子供の頃は、気ってブームが真っ盛りでした。学校に行く前に郵便局や切手を販売しているタバコ屋さんに並んで記念切手を買ったものです。それを考えるとSNSの発達により、手紙文化も衰退し、切手を買うために並んでいる列が見られないのは、寂しい気もします。そして、このコーナーで驚いたのは、常識では考えられないようなはがきよりも大きい世界最大の切手、におい付きの切手、紙以外で作られた切手があることでした。
⑼ 「世界の切手」
「世界の切手」コーナーでは、世界の各地域や国で発行された切手が展示されています。このコーナーでは、世界地図の上に世界の国々で発行された280点もの切手が展示されています。各国の切手は、それぞれの特徴を表しているので、まるで世界一周の旅に出た気分ですね。
⑽ 「旅券・官報・諸証券」
「旅券・官報・諸証券」コーナーでは、「国立印刷局」が製造してきた「旅券」(パスポート)、「官報」、「収入印紙」、「国債」の歴史が描かれていました。このコーナーで初めて知ったのですが、「国の公報紙」である「官報」は、土・日・祝日をのぞき毎日発行されているということです。そして、特に感激したことですが、大正12年(1923年)の関東大震災で印刷局の工場設備は全焼したのにもかかわらず、ロウソクの灯りの下で作成した手書きの官報が展示されていたことです。そのほか歴代のパスポートや今ではペーパーレス化された国債証書などが展示されていました。
⑾ 「国立印刷局の歴史」
「国立印刷局の歴史」コーナーでは、国立印刷局の歴史がパネルしてあります。ちなみに、「国立印刷局」は、明治4年(1871年) 7月27日に、「大蔵省紙幣司」として設立され、同年8月に「紙幣寮」と改称されました。主な業務は、紙幣の発行、交換、国立銀行(民間銀行)の認可などだったそうです。
⑿ 「お札の芸術」
「お札の芸術」コーナーは、お札の図柄の芸術的側面に焦点を当てています。近代的紙幣の製造技術を日本に伝えた「キヨッソーネ」による明治の元勲「木戸孝允」の肖像版画がありました。素晴らしい芸術性を感じました。
- 施設の満足度
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4.5
- アクセス:
- 4.0
- JR京浜東北線「王子駅」中央口から徒歩3分220m
- コストパフォーマンス:
- 5.0
- 入場料は無料です。タダでこんなに素晴らしいものが見れるとは思っていませんでした。
- 人混みの少なさ:
- 2.5
- 平日にもかかわらず、混んでいました。やはり新札発行の影響でしょうか?
- 展示内容:
- 4.5
- 展示はコンパクトでしたが、新日本銀行券の紹介、スタンホープ印刷機、、世界のめずらしいお札など興味をそそるものばかりでした。
クチコミ投稿日:2024/07/10
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