滅びの美に切なさが湧いて来ました
- 4.0
- 旅行時期:2021/04(約3年前)
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by Ronさん(男性)
佐渡島 クチコミ:11件
天皇の勅により 808 年に開基された歴史を持つ寺だ。
前面道路から数段上がった所に杉の木に囲まれて屋根に沢山の杉の枯れ葉が積もった仁王門があり、両脇を杉の並木に挟まれるように杉の落ち葉が散乱する参道の階段が一直線に山門まで続く。
山門の屋根にも杉の落ち葉が沢山有り、雨が瓦の裏側を伝って下地を腐らせないか心配になる。
山門を抜けると正面の高台に 1730 年に建立された救世殿があり、その手前にある舞台を支える京都の清水寺の様に組まれた足場が印象的だ。
山門と舞台の間は広い前庭になっており、排水が悪いためか昨日からの雨が溜っていて泥濘む。
山門の左手に鐘楼はあるが鐘はない。
救世殿と前庭の間に池があり、池の両側に救世殿への石の階段があるので登って行くと、舞台を支える足場組は近年に改築された様に見えるが、外壁の塗装は剥げて痛々しい救世殿があり、奥側は仏像や僧が仏事を行う場所で内部は暗くてよく見えない。
格子戸で仕切られた手前側は吹き曝しになった参拝客がお参りをする場所となっており、更にその前は露天の舞台になっている。
床は掃除をされた形跡もなく、落ち葉や塵がこの本堂の凄惨な現状を映し出している。
本堂の右手奥にある地蔵堂の全面には葉が枯れ落ちた蔦が絡み付いて、まるで建物内に何かを閉じ込めている様にも見える。
また、その脇にある太子堂の入口の階段が朽ちてしまったのか見当たらず、参拝もできない。
内門を通って内庭に行くと、正面に閉め切った本堂が、更にその左側に新座敷や庫裡があるが、長期間に渡って無住の様であちこちに壁板の欠落や破損、傷みが散見される。
ホームページを見ると住職の名前が書いてあるが、長期不在と言うことなのだろう。
建立当時、これに携わった人々が信仰心に基づく多くの費用と情熱を傾注したであろうこの建物群が、戦後の農地解放で寺領を奪われたことで維持する財源を失ってから70年、手を入れて貰えずに朽ち果てて行く姿は見るに忍びないとしか言いようがない。
せめて建物の湿気対策として、周囲の樹木を整理して風通しの改善が望まれる。
島の貴重な観光資源とも言える歴史的な建築物が・・・などと考え込んでしまい、気が滅入ってしまった。
また、由緒ある寺の住職不在の解消を願うばかりだ。
- 施設の満足度
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4.0
- 利用した際の同行者:
- カップル・夫婦(シニア)
- アクセス:
- 3.0
- 車が便利(根本寺前バス停から2.8km)
- 人混みの少なさ:
- 4.5
- バリアフリー:
- 3.0
- 見ごたえ:
- 4.5
クチコミ投稿日:2021/04/25
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