怪力弁慶が意図したものは？～弁慶の引摺鐘～

5.0
旅行時期：2015/09（約10年前）

by たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。さん（非公開）

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元々は三上山の百足退治をした俵藤太秀郷が龍神からお礼に貰い、それを三井寺へと寄進したと伝承されるこの鐘ですが、平安時代に寺門派（三井寺）と山門派（延暦寺）の勢力争いの最中に延暦寺の僧兵であった弁慶が、三井寺を攻めた際の?証拠品?として延暦寺へと引き摺って行ったとされるものです。2tを越えるこの鐘をどうやって持って行ったかは抜きにして、延暦寺に持ち帰った弁慶がこの鐘の音色を確認しようとたたいたところ、?いの〜いの〜?と響いたそうです。関西弁で?いの〜いの〜?と言うと?帰りたい?との意味にとった弁慶は、?そんなに三井寺に帰りたいのか！?と激怒し、谷底へと投げ捨ててしまいました。その時の傷や破損が残っており今でも確認することができます。
霊鐘としての伝承も多く、三井寺に良くないことが起こる前には?鐘が汗をかき?、?鐘いても鳴らない?、また良いことが起こる前には?自然と音が鳴る?ようなこともありました。この具体例が建武の騒乱時に鐘の略奪を恐れ、地中に埋められた鐘が自ら鳴り響き、所縁の足利尊氏が勝利したという伝承も残っています。

現実的にはこの鐘の傷は、寺門派と山門派の争いの際に傷ついたものとされており、両者の戦いの凄さを伝えているものであろうとされています。そして現在では鐘かれることもなく静かに?弁慶の汁鍋?とともに?園城寺霊鐘堂?で多くの観光客の目を楽しませています。

ここでひとつ不思議なことを考えました。三井寺には?弁慶所縁の物?がいくつかあるものの、あくまで弁慶は敵対する山門派の僧兵でした。言うなれば敵と味方の関係ではあったはずですが、なにかにつけて?弁慶?の知名度にあやかる的なものがあります。?弁慶引摺鐘??弁慶の汁鍋?などと言うものはともかく、園城寺広報僧べんべんって…。おまけに頭のかぶり物は?引摺鐘?ときたら、可笑しさを通り越えて?違和感?すら覚えます。?罪を憎んで人を憎まず?の発想ならばともかく、この両者の争いは、天台密教間の二大勢力争いだった歴史の事実を踏まえると、今は考えないのかな・・・そう思えてなりません。落ち着いて考えると合点のいかないことだったので少し記述しました。