世界の大切な宝物・法隆寺
- 4.5
- 旅行時期:2009/10(約16年前)
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by さすらいおじさんさん(男性)
斑鳩・法隆寺周辺 クチコミ:7件
法隆寺は聖徳太子(しょうとくたいし574−622年)ゆかりの寺院で創建は大阪の四天王寺建造の約20年後の607年とされている。金堂、五重塔などがある西院伽藍と、夢殿などがある東院伽藍に分かれるが西院伽藍は現存する世界最古の木造建築物群だ。法隆寺の建築物群は法起寺と共に、1993年に「法隆寺地域の仏教建造物」としてユネスコの世界遺産に登録されており日本だけでなく、世界の大切な宝物のひとつといえるだろう。
法隆寺の建築様式は薬師寺・唐招提寺などが唐の建築の影響を受けているのに対し、朝鮮半島三国時代や、隋の建築の影響を受けているといわれている。
以前韓国慶州市にあるユネスコの世界遺産、仏国寺(ぶっこくじ)を訪問したときに伽藍の配置、回廊の造りなどが法隆寺に似ているなあ、と感じたことがある。仏国寺は751年創建とされているので法隆寺より約150年近くあとに建造されたことになるが飛鳥時代以前は大陸や朝鮮半島から文化、技術が伝来し、その後は日本と大陸、朝鮮半島との文化交流、技術交流が頻繁に行われ相互に高めあっていたのだろうと想像している。
法隆寺の中門は金堂、五重塔などがある西院伽藍の出入り口だが現在は閉められている。入母屋造の二重門で左右に日本最古、8世紀初頭に造られた仁王像・塑造金剛力士立像を安置している。東大門、南大門などは現在も出入り口として利用されているがいずれも貴重な文化遺産だ。
法隆寺といえば西院伽藍の金堂、五重塔、回廊などが代表的な建造物だが西院伽藍周辺にも奈良時代の建築で僧坊建築の遺構として貴重な東室(ひがしむろ)、聖徳太子を祀る聖霊院(しょうりょういん)、西院伽藍の西北の丘の上に建つ八角円堂の西円堂などの文化遺産が並んでいる。
法隆寺の東院伽藍の中心は夢殿だ。聖徳太子(しょうとくたいし574−622年)の住居といわれる斑鳩宮跡に行信僧都(ぎょうしんそうず)が聖徳太子の遺徳を偲んで739年に建てた伽藍を上宮王院(東院伽藍)といい、その中心の夢殿は八角円堂で中央の厨子には聖徳太子等身と伝わる秘仏救世観音像(飛鳥時代)を安置し、その周囲には聖観音菩薩像(平安時代)、乾漆の行信僧都像(奈良時代)、平安時代に夢殿の修理をした道詮律師の塑像(平安時代)などが安置されている。夢殿は中門を改造した礼堂(鎌倉時代)、舎利殿(鎌倉時代)、絵殿(鎌倉時代)などに囲まれ、観音の化身といわれる聖徳太子を静かに供養している。
「今昔物語」や「三宝絵詞」などの仏教説話集の記載では、聖徳太子は斑鳩の宮の寝殿の側に家屋を造って夢を見るための聖所として夢殿と名づけたという。一日のうち三度も沐浴して夢殿に入り瞑想したり、多くの経典を写本したり、夢殿の円形の廊下を周回しながら国事を考えたりしたといわれる。だが聖徳太子が瞑想したといわれる夢殿は643年に蘇我入鹿(そが の いるか・生年不明−645年)によって焼かれてしまっているので初期の夢殿が739年に建てられた東院伽藍の夢殿と同じような形だったかは不明だ。それでも聖徳太子が円形の夢殿の廊下を歩きながら憲法十七条を考えたのだろうと想像するのは楽しい。
10月1日は遠足で訪問した小中学生たちが熱心に夢殿を見学していた。
法隆寺---http://www.horyuji.or.jp/
日本の旅 関西を歩く 奈良、法隆寺の西院伽藍周辺:http://4travel.jp/traveler/sasuraiojisan/album/10387013/
日本の旅 関西を歩く 奈良、法隆寺の中門周辺:http://4travel.jp/traveler/sasuraiojisan/album/10387940/
日本の旅 関西を歩く 奈良、法隆寺の夢殿周辺:http://4travel.jp/traveler/sasuraiojisan/album/10388451/
(写真は法隆寺の西院伽藍の金堂)
- 施設の満足度
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4.5
- 利用した際の同行者:
- 家族旅行
- アクセス:
- 2.0
- JR法隆寺駅より 徒歩約20分、バス「法隆寺門前」行き、法隆寺門前下車
- 人混みの少なさ:
- 2.0
- バリアフリー:
- 2.5
- 見ごたえ:
- 5.0
クチコミ投稿日:2010/11/09
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