2016/10/14 - 2016/10/16
19位(同エリア46件中)
naoさん
JR秋の乗り放題パスを使って広島と岡山を訪れました。
旅の行程
10月14日 山陽道 神辺宿、鞆の浦
10月15日 備中高梁、備前福岡
10月16日 津山、美作勝山
刀剣の生産に必要な条件として、『良質な砂鉄や鉄鉱石が産出すること。』と、『優良な木炭の原料となる赤松が多いこと。』が挙げられますが、古来、吉井川上流域で産出される砂鉄や鉄鉱石の入手が容易で、また、優良な木炭の原料となる赤松が広く分布していた備前国南東部は刀剣作りに最適な土地で、幾多の名工を輩出した備前鍛冶の里として知られています。
日本屈指の名刀と言われる「備前刀」を数多く産出した備前鍛冶の里の中で、鎌倉時代に備前福岡と呼ばれていた岡山県瀬戸内市長船町福岡に、鎌倉時代初期の刀工「則宗」を祖とする「福岡一文字派」が現れます。
「則宗」は、王政復古を目指した後鳥羽上皇が、各地の名工を招集して太刀を製作させた、御番鍛冶の一人で、「一」の銘を中心(なかご)に切ったので「福岡一文字」と呼ばれるようになり、現存する作品の多くは国宝や重要文化財に指定されています。
しかし、大永年間(1521年頃)に起きた吉井川の大洪水で備前鍛冶は壊滅的な打撃を受け、生き残った多くの刀工達が各地へ離散してしまいます。
さらに、江戸時代の宇喜多直家による岡山城築城にともない、福岡の商人たちが城下町へ移住させられると、後に岡山藩により振興策が講じられるものの、かつて刀剣の産地として栄えた福岡の町の斜陽が始まり、明治時代には農村集落へと変化してしまいます。
そんな歴史を有する備前福岡の町並みは、吉井川堤防にそって広がる周辺の景観とは明らかに一線を画す素晴らしいもので、田園地帯の中に突如出現した蜃気楼といった感じで目に飛び込んできます。
本瓦葺の屋根にナマコ壁、虫籠窓に出格子といった重厚な町家が建ち並ぶ町並みは、およそ農村集落に似つかわしくない、風情ある佇まいを見せています。
なお、備前福岡は黒田官兵衛の曾祖父、黒田高政が住んでいた土地で、黒田官兵衛、長政親子が筑前に移った際、「福岡」と地名を改めたのは備前福岡に由来していると言われています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
高梁駅からJR伯備線、JR山陽本線、JR赤穂線と乗り継いで、長船駅に到着しました。
備前福岡は、長船駅から西へ徒歩20分ほどの距離にあります。 -
備前福岡の集落が見えてきました。
-
集落の入口にある常夜燈。
-
では、集落を歩きます。
-
かつての茅葺屋根が、燦然と銀色に輝く屋根に変身しています。
-
備前福岡の町並みです。
-
本瓦葺にナマコ壁の伝統的な町家です。
でも、家のど真ん中に電柱を建てなくてもいいのにね・・・。 -
改装された中にも、建築当初の出格子が見事に馴染んでいる町家には・・・
-
妻側のナマコ壁が残されています。
-
ウサギのように見える自然石が置かれた町家。
-
格子ではなく、大きなガラス戸が入れられた町家。
-
備前福岡の中でも、ひと際大きなお屋敷が見えてきました。
-
こちらは、明治時代後期から大正時代初期にかけて建てられた、格調高い風格を備える仲崎邸です。
-
建築後約100年が経過する仲崎邸の土蔵の防火扉。
-
近年、地域住民が中心となって再生された仲崎邸には、備前福岡と黒田官兵衛の関係などを示す歴史資料や美術品などが展示され・・・
-
地域活性化の拠点として一般に公開されています。
なお、写真右端に僅かに写っているのは、江戸時代中ごろには既に使われていたといわれる「七つ井戸」の一つです。 -
こちらは応永10年(1403年)に創建された妙興寺です。
境内には黒田官兵衛の曾祖父高政の墓と、祖父重隆の供養塔が建立されています。 -
妙興寺での一景。
-
こちらの町家の外壁には瓦が使われています。
この瓦を白漆喰で縁取りするとナマコ壁になります。 -
こちらは、集落の守り神と崇められている摩利支天をお祀りするお堂です。
摩利支天は、陽炎(カゲロウ)を神格化したインドの神様で、わが国では武士の守護神として崇められてきました。 -
こちらの町家の外壁には、白い目地の入ったナマコ壁が使われています。
では、次に吉井川側の町並みへ向かいます。 -
見事なナマコ壁の土蔵の手前に・・・
-
「七つ井戸」と刻まれた石標が立っています。
『備前福岡名所町、七口、七つ井戸、七小路』と言う言い伝えが残る備前福岡には、七つの小路に一つずつ生活用水や防水用水として使われてきた、「七つ井戸」がありました。 -
江戸時代中ごろには既に使われていたといわれる七つ井戸も、水道の普及などで次第に使われなくなり、現在、七つの内四つの井戸が昔の姿のまま残っています。
-
見事なナマコ壁の土蔵のあるお屋敷は、本瓦葺の門と立派な土塀がめぐらされています。
-
本瓦葺の町家。
-
こちらの土蔵は、白漆喰塗と焼杉板の壁が使い分けられています。
-
白漆喰塗と焼杉板の壁を使い分けている町家の主屋です。
-
備前福岡の町並み。
-
付け庇を廻した土蔵。
-
吉井川に平行する町並みにやって来ました。
角に建っているのは、毎年10月の第2土日に行われる「福岡だんじり」の収蔵庫です。
ここを訪れた時、家々に御神燈が吊られていたので、お祭りかなと思ったんですが、案内板に10月の第2土日と書かれていました。
この日は第3土曜日だったのでお祭りを見ることができませんでしたが、大きなだんじりが巡行されるようです。
では、ここから吉井川に平行する町並みを歩きます。 -
2階の外壁の一部にナマコ壁を使った町家をあちこちで見かけますが、備前福岡の特徴のようですね。
-
かつての茅葺屋根を鉄板で覆った町家。
ちなみに、後ろに見えているのは吉井川の堤防です。 -
大きなお屋敷の土塀の景色に興味を覚えました。
-
土塀を造る際に、瓦を塗り込んであります。
-
塗り込んだ瓦の高さが規則正しく揃えてあるので、補強の意味があるんでしょうか・・・。
-
この土蔵のナマコ壁には、瓦ではなく、石のような素材が使われています。
-
備前福岡の町並み。
-
黒漆喰や、黒い焼杉の壁に・・・
-
木の香も匂い立つような出格子が溶け込んでいます。
-
本瓦葺入母屋の大屋根の下に、下屋を廻した町家。
下屋の部分は後で増築したんでしょうか・・・。 -
本瓦葺屋根に瓜型の虫籠窓、ナマコ壁に格子と、伝統的様式のお手本とも言うべき町家です。
-
伝統的な町家にコスモスが秋の風情を添えています。
-
そんな威厳のある町家に従うように・・・
-
窓のデザインがかわいい附属屋が付いています。
-
こちらの町家は、大きなガラス窓の全面に付けるのではなく、低い位置に手摺のように格子が付けられています。
-
備前福岡の町並み。
-
綺麗な鉄板葺屋根や玄関のある町家は、最近改装されたようです。
-
改装された妻側の飾り窓では・・・
-
4人の達磨さんが遊んでいます。
-
吉井川の堤防に立つ常夜燈。
では、ここから最初に歩いた町並みへ戻ります。 -
家々に吊られた御神燈。
-
現在四つしか残っていない「七つ井戸」の一つ。
-
この井戸もその内の一つです。
-
この町並みで最初に見た、家のど真ん中に電柱が建っている町家が見えてきました。
ここまで備前福岡の外周部を歩いたので、ここからは、吉井川と直交する何本かの脇道を歩きます。 -
仲崎邸の前の脇道です。
-
ここにも備前福岡の特徴的な町家があります。
-
先ほどの、瓦を塗り込んだ土塀のあるお屋敷です。
では、ここでUターンして仲崎邸に戻ります。 -
かつての茅葺屋根を鉄板で覆った町家。
-
仲崎邸が見えてきました。
-
ここから見ても仲崎邸は大きいですね~。
では、そろそろ駅へ戻ることにします。 -
町並みの入り口が見えてきました。
-
入口の角にある地蔵堂。
子供の守護神であるお地蔵さまに、子供たちの成長を願って、毎年7月に夏祭りが行われています。 -
旧長船町のデザインに瀬戸内市の市章が入った汚水枡の蓋。
旧長船町の花「菊」と「刀鍛冶」がモチーフになっています。 -
長船駅に戻って来ました。
今宵の宿は津山に取ってあるので、ここからJR赤穂線、JR山陽本線、JR津山線と乗り継いで、津山駅まで移動します。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
naoさんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
65