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柳川から西鉄で大牟田へ出、大牟田でJR に乗り換え、本日の宿泊地・長洲へ向かう。<br /><br />福岡県の南端が大牟田で、隣接する荒尾は熊本県の北端。<br /><br />石炭が日本最大のエネルギー源だった頃の、この一帯の炭鉱の街の活気は今はない。<br /><br />その昔は僻村とも云いてもいい荒尾の一角に、長谷川櫂さんも訪れたと云う宮崎兄弟資料館はある。<br /><br />宮崎兄弟資料館は成人した四人の宮崎兄弟の生家の跡で、最もよく知られているのが生涯を孫文の中国革命に捧げた末っ子の”寅蔵”(滔天)。<br /><br />今でも中国では”革命の父”と敬われている孫文が、僻村の宮崎家を2度も訪れた。<br /><br /><br />傘寿旅行・「海の細道」周遊旅情8,有明海東沿岸風景(目次)に戻る<br />http://4travel.jp/travelogue/11120313<br /><br />1度目は孫文が日本に亡命中、2度目は辛亥革命により、孫文が南京政府を樹立後、当時の日本の首相、桂太郎に国賓として招かれたのを機会に、僻村の荒尾まで足を延ばし、報告とお礼に宮崎家を訪れた。<br /><br />この資料館で11年間館長を務められ、中国との絆を願っておられた安田信彦氏。<br /><br />図らずも台湾の台北旅行中、”国立国父記念館”でこの安田信彦氏と知己で、荒尾も訪れたと云う、台湾の国立国父記念館研究員・劉碧蓉さんにお会いした。<br /><br />”国父”とは孫文のことであるが、その記念館のインフォーメーションデスクの背後の壁に、孫文を中央に、孫文が選んだ、孫文を助け、孫文が最も信頼する100人の写真か掲げられていた。<br /><br />「この中に日本人が3人います。その中の一人が宮崎滔天です。」と劉碧蓉さんが写真を指し示してくれた。<br /><br />2・26事件で日本軍の若い将校に暗殺された犬養毅首相の顔もある。<br /><br />孫文を犬養毅首相に紹介したのも滔天。<br /><br />台北囲碁親善旅行同行記2;台北一人歩きその3<br />”国立国父記念館”で”宮崎滔天”研究者に出会う<br />http://4travel.jp/travelogue/10884230<br /><br />孫文の故郷中国広東州・広州には、孫文の南京政府樹立を記念して”中山記念堂”が建つ。<br /><br />”中山”とは孫文が日本滞在中に、付近の日本人の邸宅の表札から執って自らの号としたもの。<br /><br />第33回”世界アマチュア囲碁選手権大会”<br />in 広州の旅10,広州散策その4中山記念堂<br />http://4travel.jp/travelogue/10761010<br /><br />列車は荒尾を過ぎた辺りから、右手の松林の隙間に有明海が覗くと長洲駅に着く。<br /><br />長洲駅の西側の駅前で大きな金魚(ジャンボシシガシラ)が出迎えてくれる。<br /><br />長洲の金魚は江戸時代の細川家の文献に顔を出し、明治になると、金魚の養殖業が生まれる。<br /><br />現在も長洲には11軒の養殖魚者が金魚を養殖しており、長洲の金魚は奈良県大和郡山市や愛知県弥富市と肩を並べる。<br /><br />昔旧長洲町から旧腹赤村の有明海沿岸一帯は塩田が広がっており、日本一干満の差が大きいといわれる有明海には海苔の養殖が行われていた。<br /><br />海苔の養殖は今はビニール製の網で行うが、当初の海苔の養殖には毎年山から伐採して来た特殊な竹(かんのんだけ(海苔竹))が使われた。<br /><br />雲仙岳を背景に、塩田と有明海に浮かぶように頭を出す海苔養殖の笹の葉に、落ちる夕日の灯影が煌く・・芭蕉に見せたかった少年時代目にした長洲沿岸の風景。<br /><br />昭和30年代の初め、阿蘇山がもたらした有明海に沈む砂鉄に八幡製鉄が目を向け、この話に乗った熊本県は長洲の沿岸一帯での有明工業地帯の開発を目論んだ。<br /><br />しかしオーストラリアから安い鉄鉱石が輸入されることになり、砂鉄工場建設計画は流れ、漁師とのやっとの思いで漁業権交渉が整って、沿岸の埋め立てを終えていた熊本県と長洲の行政は、必死で跡地利用者誘致活動を行った結果、幸い日立造船が応じてくれた。<br /><br />長洲駅からも造船所の朱色の鉄塔の林が望める。<br /><br />それに先立って、長洲港と島原半島の多比良港を約45分の航路で結ぶ有明フェリーの運航が始まっており、造船所と相まって、長洲の有明海沿岸の風景は様変わりしてしまった。<br /><br />少年時代からの友人と昔を偲んだ夜であった。

8,有明海東沿岸風景8,-4金魚の町長洲と島原半島を結ぶ有明フェリー

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2016/01/26 - 2016/01/27

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WT信

WT信さん

柳川から西鉄で大牟田へ出、大牟田でJR に乗り換え、本日の宿泊地・長洲へ向かう。

福岡県の南端が大牟田で、隣接する荒尾は熊本県の北端。

石炭が日本最大のエネルギー源だった頃の、この一帯の炭鉱の街の活気は今はない。

その昔は僻村とも云いてもいい荒尾の一角に、長谷川櫂さんも訪れたと云う宮崎兄弟資料館はある。

宮崎兄弟資料館は成人した四人の宮崎兄弟の生家の跡で、最もよく知られているのが生涯を孫文の中国革命に捧げた末っ子の”寅蔵”(滔天)。

今でも中国では”革命の父”と敬われている孫文が、僻村の宮崎家を2度も訪れた。


傘寿旅行・「海の細道」周遊旅情8,有明海東沿岸風景(目次)に戻る
http://4travel.jp/travelogue/11120313

1度目は孫文が日本に亡命中、2度目は辛亥革命により、孫文が南京政府を樹立後、当時の日本の首相、桂太郎に国賓として招かれたのを機会に、僻村の荒尾まで足を延ばし、報告とお礼に宮崎家を訪れた。

この資料館で11年間館長を務められ、中国との絆を願っておられた安田信彦氏。

図らずも台湾の台北旅行中、”国立国父記念館”でこの安田信彦氏と知己で、荒尾も訪れたと云う、台湾の国立国父記念館研究員・劉碧蓉さんにお会いした。

”国父”とは孫文のことであるが、その記念館のインフォーメーションデスクの背後の壁に、孫文を中央に、孫文が選んだ、孫文を助け、孫文が最も信頼する100人の写真か掲げられていた。

「この中に日本人が3人います。その中の一人が宮崎滔天です。」と劉碧蓉さんが写真を指し示してくれた。

2・26事件で日本軍の若い将校に暗殺された犬養毅首相の顔もある。

孫文を犬養毅首相に紹介したのも滔天。

台北囲碁親善旅行同行記2;台北一人歩きその3
”国立国父記念館”で”宮崎滔天”研究者に出会う
http://4travel.jp/travelogue/10884230

孫文の故郷中国広東州・広州には、孫文の南京政府樹立を記念して”中山記念堂”が建つ。

”中山”とは孫文が日本滞在中に、付近の日本人の邸宅の表札から執って自らの号としたもの。

第33回”世界アマチュア囲碁選手権大会”
in 広州の旅10,広州散策その4中山記念堂
http://4travel.jp/travelogue/10761010

列車は荒尾を過ぎた辺りから、右手の松林の隙間に有明海が覗くと長洲駅に着く。

長洲駅の西側の駅前で大きな金魚(ジャンボシシガシラ)が出迎えてくれる。

長洲の金魚は江戸時代の細川家の文献に顔を出し、明治になると、金魚の養殖業が生まれる。

現在も長洲には11軒の養殖魚者が金魚を養殖しており、長洲の金魚は奈良県大和郡山市や愛知県弥富市と肩を並べる。

昔旧長洲町から旧腹赤村の有明海沿岸一帯は塩田が広がっており、日本一干満の差が大きいといわれる有明海には海苔の養殖が行われていた。

海苔の養殖は今はビニール製の網で行うが、当初の海苔の養殖には毎年山から伐採して来た特殊な竹(かんのんだけ(海苔竹))が使われた。

雲仙岳を背景に、塩田と有明海に浮かぶように頭を出す海苔養殖の笹の葉に、落ちる夕日の灯影が煌く・・芭蕉に見せたかった少年時代目にした長洲沿岸の風景。

昭和30年代の初め、阿蘇山がもたらした有明海に沈む砂鉄に八幡製鉄が目を向け、この話に乗った熊本県は長洲の沿岸一帯での有明工業地帯の開発を目論んだ。

しかしオーストラリアから安い鉄鉱石が輸入されることになり、砂鉄工場建設計画は流れ、漁師とのやっとの思いで漁業権交渉が整って、沿岸の埋め立てを終えていた熊本県と長洲の行政は、必死で跡地利用者誘致活動を行った結果、幸い日立造船が応じてくれた。

長洲駅からも造船所の朱色の鉄塔の林が望める。

それに先立って、長洲港と島原半島の多比良港を約45分の航路で結ぶ有明フェリーの運航が始まっており、造船所と相まって、長洲の有明海沿岸の風景は様変わりしてしまった。

少年時代からの友人と昔を偲んだ夜であった。

同行者
一人旅
交通手段
JRローカル 私鉄 自家用車
旅行の手配内容
個別手配

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