2015/06/28 - 2015/06/28
135位(同エリア531件中)
naoさん
大和高原や吉野山地に囲まれた丘陵地帯に広がる奈良県宇陀市松山は、南北町時代から宇陀で勢力を誇っていた秋山氏が、松山の東側にそびえる古城山一帯に築いた秋山城の城下町として形成されたのが起源だと云われています。
天正13年(1585年)、豊臣秀吉の弟、秀長の大和郡山入府に伴い豊臣家支配下の居城となって以降、秋山城の大規模改修とともに城下町の拡大整備も行われ、現在の松山の町割りの基盤が整えられました。
この様に、時代の変遷とともに形を整え、「宇陀千軒」や「松山千軒」と呼ばれてきた松山は、山間の不便な地にありながらも、京都や奈良方面から伊勢へ向かう伊勢本街道が通る交通の要衝に位置していたことから、お伊勢参りの人々の往来により活況を呈するようになります。
明治時代に入り、郡役所や裁判所が置かれ、県内初の乗り合いバスが走るようになった松山は、郡の政治・経済の中心地として、活発な経済活動が営まれます。
「前川」と呼ばれる水路が流れる現在の松山は、切妻屋根の平入り建物に、漆喰塗り込めの虫籠窓、格子、出格子などを備えた間口の大きい町家が軒を連ね、貴重な歴史と文化の香りただよう町並みが続いています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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国道166号線沿いの道の駅、「宇陀路大宇陀」に車を停めさせてもらって、宇陀松山の町並みにやって来ました。
ここから町並みの南端までそれほど距離が無いので、先ずはそちらへ移動して町歩きを始めます。 -
では、町並みの南端から伊勢本街道を北に向かって歩きます。
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1階下屋の幕板が特徴の町家です。
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こちらの和菓子屋さんは、1階の店舗部分が真新しく模様替えされています。
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こちらは創業150年になる造り酒屋さんの酒蔵です。
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二層卯建のあがるこちらの町家は、先ほどの造り酒屋さんの店舗兼住宅です。
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こちらの玄関先には、酒造りの神様である三輪明神 大神神社の神の山として崇められる、三輪山の聖なる杉で作られた「しるしの杉玉」が吊られています。
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造り酒屋さんから南側の町並みです。
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いろんな物を扱っておられる店舗です。
店名とともに屋号が掲げられています。 -
煙出しの越屋根がある町家。
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こちらの真っ白い漆喰塗が清々しい町家は、元禄15年(1702年)創業の、松山にあるもう一軒の造り酒屋さんです。
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こちらの造り酒屋さんにも三輪明神のお札が下がった杉玉が吊られています。
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この主屋は2004年に改修工事が行われたようで、白漆喰塗の壁が眩いばかりです。
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木の香もかぐわしい右側の町家は雑貨屋さんです。
では、国道166号線を挟んだ、北側の町並みへ向かいます。 -
国道166号線の北側の町並みです。
正面に見えるのは、地域のまちづくり拠点、松山地区まちづくりセンター「千軒舎」です。 -
この施設は、かつて薬屋や歯科医院として使われていた町家を改修したもので、平成15年にオープンしました。
松山がかつて「宇陀千軒」と呼ばれていたことにちなんで「千軒舎」と名づけられたそうです。 -
伝統様式を踏襲して建て替えられた町家。
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パン通の間では美味しいパン屋さんとして知られているお店です。
産休のためしばらく休業されていましたが、昨年12月に再開されたようです。 -
お店はきれいに改装されていましたが、このポップな看板は昔のままです。
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赤い看板からみて、農業用の道具を扱っておられたようです。
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屋根の上には、今風の「煙出し!」が付いています。
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建物全面にガラス戸が入っているので店舗なんでしょうね。
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北側の町並みの光景と・・・
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振り返って見た、南側の町並みの光景です。
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頑丈な持ち送りが屋根を支えています。
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2階には虫籠窓と格子窓が並んでいます。
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この妻入りの町家は医院の看板が掲げられていますが、昭和30年代までは旅館を営んでいたそうです。
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旧大宇陀町の汚水枡の蓋。
町の花、カザグルマがモチーフになっています。
ちなみに、かつての大宇陀町はカザグルマ自生地の北限だったそうです。 -
シャッターが付いている部分の梁の高さが違うので、2層の屋根が架けられています。
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外格子の付いた普通の町家かと思っていましたが・・・
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「く」の字に曲がって、その先に建物が続いていました。
珍しい建物です。 -
路地から見た、松山の町並み。
正面に見えているのは、「く」の字に曲がった町家です。 -
こちらは元和年間(17世紀前期)以来農業を営むかたわら吉野葛の製造に従事していた老舗、森野家です。
また、享保年間(1716年〜36年)には、森野藤助によって民間の薬草園が創始され、幕府の小石川薬園の補助機関として重要な役割を果たしてきました。 -
森野家の裏山一帯では、今も「森野旧薬園」として、250種もの薬草類が栽培されているそうだ。
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森野家の吉野葛の大看板。
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この辺りは昔から「宇陀の阿騎野の薬刈り」と云われるほど薬草の多いところで、最盛期には薬種問屋が十数軒あったと云われています。
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珍しい意匠の虫籠窓が付けられています。
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名栗加工の外格子がある町家は、文政11年(1830年)の棟札が残っているそうです。
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現在は陶芸の工房として活用されています。
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こちらの町家は、吉野葛の老舗、黒川本家です。
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こちらにも重厚な看板が掲げられています。
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玄関先に付けられた馬つなぎの環。
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陳列窓の下に納められた防火用水の木桶。
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吉野葛は、宇陀川の上質な水と川風により作られてきたもので、作家の谷崎潤一郎さんもこちらの吉野葛をこよなく愛した人で、度々訪れていたそうです。
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小さいながらも、何とも趣きのある町家でしょう・・・。
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いろんなデザインの格子戸のオンパレードです。
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こちらの町家も1階下屋に幕板が取り付けられています。
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左側は、築180年の町家を使ったカフェです。
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かつてこの町の町長を務めていたお宅の立派な町家です。
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こちらの玄関脇でも、頑丈な持ち送りが屋根を支えています。
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黒壁と虫籠窓の白い縁取りがコントラストの妙を漂わせています。
こちらのお宅も陶芸の工房をされているようです。 -
こちらの町家の幕板には、所々窓が開いています。
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松山の町並みでは・・・
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名栗加工の外格子がある町家をよく見かけます。
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この奈良漬け屋さんは、昭和初期まで造り酒屋さんだったそうです。
奈良漬けはいろんな野菜を酒粕に漬け込んで作るので、造り酒屋さんがされてもおかしくはありませんね。 -
こちらの和菓子屋さんには、立派な庵看板があがっています。
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こちらの町屋は、1階の町並みに面する部分を全て改修されています。
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こちらは、観光客と地域住民との交流を促進する休憩施設で、ギャラリーが併設されています。
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宇陀松山ではこの町屋以外では見ることのできない、菱形の格子が嵌められた虫籠窓がしつらえられています。
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北側の町並みの光景です。
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玄関右側には太くて堅牢な格子を、また、左側には細い千本格子がしつらえられています。
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格子の前の犬矢来の下には、「前川」の早い流れが見えています。
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この路地から見た光景の素晴らしさには感動させられました。
裏山の緑を背にしたこの光景は、松山を代表する景観の一つと云われています。 -
先ほどの路地の北側にある町家です。
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1階の下屋に卯建が見えます。
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よく見ると、左側の3枚引きの格子戸の奥にシャッターが隠されているように見受けられます。
町並みの景観に配慮されているんでしょうね。 -
浅黄色と白漆喰と云う、全く趣きの異なる町屋が並んでいますが、決して町並みの雰囲気を壊していません。
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こちらの大きな町家は、文化3年(1806年)から幕末まで薬商を営んだ旧細川家住宅です。
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現在、大宇陀町歴史文化館「薬の館」として運営されています。
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1階屋根には、「人参五臓園天壽丸」と書かれた立派な庵看板を掲げておられます。
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こちらのお宅も、「森野旧薬園」さんと同様、この辺りに十数軒あったと云われる薬種問屋の1軒ですね。
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こちらの町家は、2階には3種類の窓が開けられています。
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こちらも、先の2軒と同じ薬種問屋さんの森田家住宅です。
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薬種問屋さんだったことを示すかのように・・・
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建物角の外壁には古色蒼然とした薬の看板が掲げられています。
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北側の町並みです。
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ここにも・・・
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浅黄色と白漆喰の町屋が並んでいます。
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この町家の一部が郵便局になっています。
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3つの大きな瓜形の虫籠窓が特徴です。
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右側の道路の先には春日神社があります。
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1軒のお宅に土蔵が複数棟もある町家です。
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この町並みに相応しい、古美術や古民芸品を扱うお店がありました。
松山の各お宅は、このお店が扱う品物の潜在的な宝庫でしょうね・・・。 -
塀の上から町並みを見守る大黒様。
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周りの町家から頭一つ抜きん出た、ノッポさんが居ました。
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南側の町並みです。
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この辺りが伊勢本街道沿いの町並みの北端にあたるので、ここから、伊勢本街道の一本西側を南北に通る下町通りの町並みに向かいます。
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下町通りに差し掛かると、かつて茅葺屋根だったと思われる町家が現れました。
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のし瓦を押さえる白漆喰が、規則正しい表情を見せています。
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「伊勢辻」と呼ばれる辻の北側には、京、大坂、伊勢、大峰山などの地名が刻まれた道標が立っています。
この辻から西に延びる通りにも風情ある町屋があるので、歩いてみます。 -
かつては商売をしておられたんでしょうか、小さなショウウィンドウがしつらえられています。
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下町通りの「伊勢辻」の方向を見た光景です。
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丸い虫籠窓がかわいい表情を演出している植田家住宅です。
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植田家住宅の東側半分は、名栗加工の外格子が巡らされています。
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「伊勢辻」の角に建つ町家。
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では、下町通りに戻って南へ向かって歩きます。
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この洋館は旧福田医院だった建物で、内科と小児科の医院として、昭和2年から56年頃にかけて開院されていました。
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手前の平屋部分は居住部分になっています。
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2階に開放的な連子窓を開けた町家。
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こちらの町家群も2階の窓が今風にアレンジされています。
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この町家も、玄関先に防火用水槽が置かれています。
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こちらの町家は、丸太の外格子を設けておられます。
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かつて造り酒屋さんだった山本家住宅です。
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2階の格子にデザイン上の工夫が見られます。
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白漆喰塗の虫籠窓の中桟に、鏝絵が浮き出ています。
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大屋根ののし瓦には、二体の細工瓦が取り付けられています。
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漆黒の漆喰壁に目が釘付けになりました。
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幅の広い3連の虫籠窓のある町家。
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妻壁の小窓には、持ち送りで支える庇が付けられています。
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外壁に掛けられた看板から推測するに、この町家も陶芸のお店のようです。
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下町通りから伊勢本街道へ戻って来ました。
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町家の玄関先に植えられたアジサイが、素晴らしい町並みに彩りを添えています。
かつて「宇陀千軒」と云われたほどの規模を誇る松山の町には、国道や鉄道などの交通網が少し離れたところに整備されたことも幸いして、今も江戸時代の息吹をそのまま伝える町家が軒を連ねており、貴重な歴史と文化の香りただよう町並みが続いています。
また一つ再訪したい町が増えました。 -
では、松山の町並みを後に、道の駅で車をピックアップして、次の目的地へ向かいます。
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