2012/09/13 - 2012/09/14
494位(同エリア1722件中)
ハンクさん
往路と同じく、インドからの帰途もタイ航空の乗り継ぎのためバンコクに滞在、ユネスコ世界遺産のアユタヤ遺跡を訪れることができた。蒸し暑い日ではあったが、知人が車で案内してくれたため楽な旅ができた。アユタヤの遺跡で一緒になった数人にどこから来たのか尋ねたところ、オランダ、ベルギー、フランスからの旅行者が多かった。彼らは列車でやってきて、駅前で自転車を借りて、汗だくになって広いアユタヤの遺跡を巡っていた。比較的平坦な土地とは言え、若くて体力のある方でないとこの旅は難しい。
昨年のバンコクを初めアユタヤなど広い範囲で大被害の出た洪水は記憶に新しい。日本企業にも大きな影響を与えたこの洪水は、統計的には70年確率で発生するそうだ。地球規模の温暖化が原因かどうか定かではないが、明らかにこの発生頻度は高くなっている。昨年の洪水の爪あとが至る所で見られ、またいつ同様の被害が発生するか予測できない状態であると言う。
さて、アユタヤ遺跡はチャオプラヤー川とその支流であるパーサック川、ロップリー川に囲まれた中州に立地している。1351年にウートン王によって建都されてから、1767年にビルマ(現ミャンマー)軍の攻撃で破壊されるまでの417年間、アユタヤ王朝の都として栄え、一時期は現在のラオス、カンボジア、ミャンマーの一部を領有するほどの勢力を持っていた。中心都市であるアユタヤは、流れの穏やかなチャオプラヤー川に位置し、仏教を信仰していた王は、水運貿易で得られた利益を元に数々の寺院(ワット)を建設した。
しかし、1767年にビルマの攻撃を受けてアユタヤ王朝は消滅した。同時にアユタヤ市内の建造物や石像は徹底的に破壊され、ほとんどの寺院は廃寺となり、王宮も基礎を残すのみとなった。タイ人の同僚は、同じ仏教徒であるはずのビルマ人が、なぜ大切な仏教寺院や仏像を破壊するような行為を行うことができるのか理解できない、と怒りをあらわにしていた。250年ほど前の比較的新しい遺跡なのであるが、ほとんどの赤レンガで築かれた建物は瓦礫の山と化している。度重なる洪水のためなのか、建築の基礎は至る所で不等沈下を起し、無残な姿をさらしている。一部で復元工事が始まっているが、破壊前の姿まで復元すべきなのか、破壊後の現状を維持すべきなのか、結論は出ていないと言う。
アユタヤの象徴ともいえる仏頭のあるワット・マハータート、仏塔(チェーディ)を持つワット・プラ・シー・サンペット、草原に悠然と横たわる涅槃像のあるワット・ローカヤスターラーム、セイロン風の仏塔を持つワット・ヤイ・チャイ・モンコンなどの寺院跡、完全に廃墟となった王宮跡を巡った。多くの仏像は頭部を破壊されたままであり、また王宮跡は基礎を残すのみである。その都市計画や中央集権制度、国際貿易振興といった近代国家の基盤は、その後のバンコク王朝に受け継がれているというが、アユタヤ遺跡の適切な整備を望みたい。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- タイ国際航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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アユタヤ遺跡はチャオプラヤー川とその支流であるパーサック川、ロップリー川に囲まれた中州に立地している
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観光客用の象に乗って遺跡を巡ることができる
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イチオシ
ワット・マハータートにある仏頭
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昨年の洪水で半分水没したワット・マハータートにある仏頭、絵葉書の写真を撮影
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ワット・マハータートの寺院跡、激しく破壊されたまま
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ワット・マハータートの寺院跡、瓦礫の山の状態である
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ワット・マハータートの仏塔
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イチオシ
ワット・マハータートの仏塔と仏像
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ワット・マハータートの仏塔1767年にビルマに破壊された首のない石像
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洪水の爪痕の残るワット・マハータート
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傾きかけたワット・マハータートの仏塔
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ワット・プラ・シー・サンペットの仏塔(チェーディ)
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ワット・プラ・ラームのクメール様式の寺院
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改修工事中の高床式建築、洪水のリスクを避けるにはこのスタイルがベストだろう
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ウィハーン・プラ・モンコン・ポピット大仏寺
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ウィハーン・プラ・モンコン・ポピット仏、高さ15mの仏像
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ビルマ軍の攻撃で破壊されたウィハーン・プラ・モンコン・ポピット大仏寺の写真、ビルマの寄付も受け1956年に再建された
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王宮跡、完全な廃墟であり基礎を残すのみである
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洪水の被害の爪痕が残る王宮跡
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ワット・プラ・ラームの仏塔
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ワット・プラ・ラームの仏塔
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ワット・プラ・ラームの仏塔と仏像
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仏塔や仏像に上ってはいけない、などの禁止事項、首のない仏像から首を出して写真を撮るなどもっての外だ
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草原に悠然と横たわるワット・ローカヤースッターの涅槃像
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インドではオートリキシャ、タイではトクトクと呼ばれる
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ワット・ラーチャプーラナのクメール式仏塔
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ワット・ラーチャプーラナの建物の遺構
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ワット・ラーチャプーラナの地下室への階段、1958年に宝物が発見された
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ワット・ラーチャプーラナの地下室の壁画
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オートバイに乗って遊ぶ子供たち
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アユタヤ中央駅の駅舎
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アユタヤ中央駅の1000mm軌道
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パーサック川を渡る渡し船、駅前から自転車を積んで遺跡へ向かう
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院、セイロン風の仏塔
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院に並ぶ坐仏像
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院、セイロン風の仏塔
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院、セイロン風の仏塔
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院の仏塔
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ワット・ヤイ・チャイ・モンコン寺院の仏像
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