2012/09/01 - 2012/09/02
96位(同エリア195件中)
ハンクさん
インド、バンガロール滞在中にモルディヴの首都マレを訪れた。バンガロールからはエア・インディアの直行便が飛んでおり2時間で到着する。もちろん週末の2日間では、マリンスポーツの楽園でダイビングをするような時間的余裕も気力も体力もない。しかし海水温度の上昇で危機的な状況にあると言うサンゴ礁と、海水面の上昇により島自体が水没する可能性があるという報道を見たことがあり、訪れておきたい国であった。
モルディヴは、インド洋にある島国で、イギリス連邦加盟国である。26の環礁や約1,200の島々から成り、約200の島に約40万人が住んでいるが、人口のほとんどが2.5km X 1.5kmほどのマレ島に住んでいる。英語の教育が浸透しており、母国語の他、多くの国民が達者な英語を、それもブリティッシュ・イングリッシュを話している。
海抜の最高が2.4mという平坦な地形であるため、近年の海面上昇と珊瑚礁の死滅により、国土が消滅する危険にさらされている。1m海面が上昇すると国土の80%が失われると言われる。このためナシード前大統領は、モルディブの基幹産業である観光収入を使って海外の土地(インド、スリランカ、オーストラリアなど)を購入し、国民が移住できる土地を確保する意向を表明しているそうだ。
6世紀頃、セイロン島から仏教徒の人々が移住してきたらしく、博物館には仏像の展示がある。12世紀にアラブ人がイスラム教を伝え、以後イスラム教国家となり、現在も住民のほとんどがイスラム教スンニ派教徒である。16世紀にポルトガルがマレを占拠、17-18世紀にはオランダ、1887年からはイギリスの保護国となる。高級リゾート地のイメージにはそぐわないアバヤ(イスラム教徒の女性が着る黒い衣服)を来た人々が、モスクで礼拝をする光景が見られる。
1965年にスルターンを元首とする君主国として独立、1968年に国民投票で共和制に移行するが、1988年にクーデターが勃発、インド軍部隊により鎮圧された。その後も2004年には大統領政権と野党勢力の対立が発生し、政治犯釈放を求めるデモが拡大、2007年には爆弾テロにより観光客12人が負傷、2008年には大統領暗殺未遂事件画発生するなど不安定な国情である。現在の大統領は、2012年よりモハメド・ワヒード・ハサンが就任している。
2004年のスマトラ島沖地震による津波の襲来を受け、82名が死亡するなどの被害を受けた。津波を防ぐ堤防の一部は、日本のODA支援で建設されている。
さて、マレの街中を散策すると、片言の日本語や英語でしつこい客引きに辟易させられるが、これは無視すれば害はない。しかし市の中心部で夜半に騒乱の音が聞こえた。翌日何人かの人に尋ねると、独裁体制の現大統領に対する抗議行動で頻繁にデモと衝突が起こるという。リゾートホテルに滞在してマリーンスポーツを楽しんで帰るだけなら無縁であるが、マレの街中では注意が必要である。
マレ島の中心部を通り抜けて島の裏側、南海岸を散策した。人通りも少ない南側には発電所のジェネレータの音が響く。また反政府活動の設置したテントがあり、数人から話しかけられた。政府の圧政の生々しい写真の展示がされており、抗議集会が行われているという。もちろん早々に話を切り上げてその場を立ち去った。
翌日ホテルで朝食をとっていると、隣のテーブルの人が話しかけてきた。カナダ人のトロントの大学教授で、カナダ政府の支援活動として単身赴任でマレ大学で法学を教えているという。寒い国から来られてさぞや熱帯のリゾート地を楽しんでいる、と思いきや、ダイビングはおろか、全く泳げないためビーチに行くこともなく、退屈な日々を過ごしているという。私もトロント周辺で滞在経験があり、会話が弾んだ。マレではしばしば反政府活動が起きているようで、そんな時はホテルでじっとしていることが多いと言う。そんな貴重な会話を交わすことができた。
ともあれ、モルディヴの海は透き通るような青さだ。この美しいサンゴ礁が海水面の上昇により失われることのないことを切に祈りたい。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- エアインディア
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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着陸直前のエア・インディアから環礁を見下ろす
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マレ・フルレ国際空港、簡素な平屋建てのターミナルビル
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空港島の船着き場桟橋
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マレ島に渡るフェリーからの眺め
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マレ島東側の人工ビーチ
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マレ島東側の人工ビーチ、アバヤ(イスラム教徒の黒い服)が意外な組合せだ
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イチオシ
マレ島東側の人工ビーチ、アバヤ(イスラム教徒の黒い服)がなんとも意外な組合せだ
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マレ島北側のメインストリート、ウォーターフロントには中層のビルが並ぶ
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マレ島北側のボート停泊地
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港湾内でも澄み切った海中に小魚が群れを成して泳ぐ
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日本の協力で建設された津波対策の堤防
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警察署と国旗掲揚塔
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魚市場で売られている取れたての新鮮な魚
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取れたての新鮮な魚をさばく人々
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野菜、果物市場の風景、撮影に気軽に応じてくれた
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国立図書館の入り口、アメリカンセンター、チャイニーズセンター、ブリティッシュカウンシル、アリアンツフランセーズが入居する、文化交流はこの4ヵ国が重要、ということか
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モルディヴ国立博物館のファサード
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モルディヴ国立博物館の館内の展示室
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モルディヴ国立博物館の館内の骨格の展示
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モルディヴ国立博物館の館内のウミガメの展示
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フクル・ミスキーの墓地
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マレのメインストリート、インドと同じくバイクがいっぱいだ
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旧大統領官邸、ムーレ・アージェ、コロニアル建築
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新大統領官邸、ティー・ムゲ
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モルディヴ最大のモスク、イスラミックセンター、異教徒は入れなかった
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裏通りにある小ぶりなモスク
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マレ島東側の人口ビーチで眺める日の出
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マレ島の裏通りの光景
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マレ島の裏側、南側には発電所のジェネレータの音が響く
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島の裏側の通りで集まる反政府の住民
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反政府活動と政府の圧政をアピールする写真の展示
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反政府活動の設置したテント、抗議集会が行われているという
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マレ島を離れて空港に向かう、イスラミックセンターの黄金のドームが光る
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マレ島を離れて空港に向かう、マレ島が海面ぎりぎりにあることがわかる
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