クライストチャーチ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 去年のスイス旅行は、夫婦一緒ではなかった。夫婦で海外に出掛けたのはHawaiiとGuamだけ。<br /> いつかきっとスイスの美しい風景を見せてあげようと思っていたが、金と時間が揃うことはめったにない。たまたま、時間が取れたので旅行を計画したのが 8月初め。でも、この時はカナダに行くつもりだったのだが・・・。<br /><br />1998年 9月18日(土)曇。<br />New Zealandへ出発の日。今年は夏から晴天の日が少なく、昨日まで天気が悪かったが、今日は晴れ。しかも暑い。午後 2時40分、重いスーツケースを引いて家を出てロマンスカーで新宿に向かう。新宿で成田エキスプレス37号に乗換え成田に向かう。今日は夜 9時の飛行機なので遅い出発だった。そもそも1週間前まではカナダに行くつもりだったのに、何故ニュージーランドになったかと言うと、全てはノースウェスト航空のスト騒ぎにある。ノースウェスト航空はだいぶ前からストをやっていたらしいが、新聞やテレビで報道しなかったせいもあって全然知らなかった。クリントン大統領の調停でストが解決したのが14日。しかし、国際線のダイヤが解決するのが21日過ぎ、ということで行き先を変更するか中止にするか選択を迫られたのが丁度1週間前の11日。しかも、出発直前とあって行きたい国や行きたいコースはなかなか取れない。JTBの鳥海さんの勧めに従って結局ニュージーランドに行くことにしたが、いつもの旅の出発の時に感じるようなときめきが少ないのも事実。でも、会社の休みを変更するのも大変だし、国内旅行の北海道に変更しても費用は変わらないのでニュージーランドへ行くことにした。旅行の準備からガイドブックに至るまで、心はすべてカナダに向いていたのに、急に知らない国に変更されてもなかなか心がついて行けない。そんな訳で、今回の旅行は日程表さえ手元にない。空港のカウンターで貰うことになっている。成田到着は18時25分。着いた所の売店で変圧器とコンセントを買う。これもカナダなら要らなかったのだ。日本航空Iカウンターで搭乗手続き。出発まで時間があるので空港の食堂で軽く食事。出国検査は女子高校生の団体で一杯だったため時間が掛かったが、幸い彼女たちは別の飛行機だった。<br />ニュージーランド航空34便は20時55分の出発。今回の席はジャンボの真ん中の席だった。でも、ふみこの隣が空いていただけマシだった。なにしろ11時間もかかる空の旅だ。少しでも寝て行かないと疲れがたまってしまう。機内では11時頃に夕食がサービスされてから暗くなる。しばらく本を読んでいたがいつの間にか寝てしまった。スイスに行くにも10時間以上飛行機に乗っていたけれど、地球を東西には行ったことがあったが南北に行くのは今回が最初である。季節は日本と逆だが時差は 3時間と少ない。機内で上映した映画の 2本目がSF物だったのでつい見てしまい結局寝不足気味。<br /><br />1998年 9月19日(日)晴。<br />クライストチャーチ到着は10時50分。入国審査も税関もほとんど無審査で通り抜けクライストチャーチに第一歩を記す。そこには日本よりも明るい空が広がっていた。ガイドさんと一緒にバスに乗り市内へ向かう。先ずはお決まりの市内観光。クライストチャーチは小さな街だが周辺に見所が沢山ある。最初はモナベール邸へ。これはイギリス統治時代の邸宅の名残だが、エイボン川という綺麗な水をたたえた川が静かに流れていてとっても洒落ている。庭がとっても広く芝生と川がマッチしている。川には鴨がいて、人を恐れず寄ってくる。この庭に桜の花が咲いていて感激。<br />次に訪れたのは郊外の高台にあるサイン・オブ・ザ・タカヘという古城のようなレストラン。この敷地内にある展望台からクライストチャーチの街が一望できる。レストランの庭は芝生が綺麗に手入れされ、古城のような外観にマッチしていた。<br />市内に入り、モールや追憶の橋とかをバスの中から見たあと大聖堂へ。この大聖堂はヨーロッパの雰囲気をそのまま感じさせるゴシック様式で、高さは63?あるという鐘楼が聳えている。クライストチャーチの街はこの大聖堂を中心に考えると判りやすい。お土産屋もすべてこの周辺に揃っている。今夜のホテルはパークロイヤル。大聖堂から遠くないビクトリア広場に面した市内唯一の高級ホテル。このロビーでガイドさんから市内のこととかミールクーポンのこととか注意があったあと部屋の鍵を渡される。僕たちの部屋は 9階 924号室。部屋の窓からビクトリア広場を見下ろすことができる眺めの良い部屋。<br />家を出てから漸く落ち着くことができた。とはいえ、まだ午後 4時過ぎ(日本時間では 1時過ぎ)。夕食の時間まで街を散策することにして外に出る。ホテルのレストランに面したドアを出ると、そこはビクトリア広場。少年とは思えないほど大きな少年がスケートボードなどで遊んでいる。このビクトリア広場には大きな花時計があるが、早春のことであまり綺麗ではない。それでもエイボン川沿いの花壇にはパンジーが色とりどりに咲いている。オックスフォードテラスと呼ばれるエイボン川沿いの小道を歩く。最初の大きな道路を横切る手前でアイスクリーム売りを見つけて 2つ買う。ニュージーランドでの最初の買い物はアイスクリームだった。<br />この街は僕が今まで行ったことのあるヨーロッパのどの都市とも違った印象を与える。人の少なさと治安の良さが落ち着いた雰囲気を感じさせるのかもしれない。帰国した今考えると、ニュージーランドで一番落ち着いた良い街だった。二人で歩いていても危険を感じるような所はない。追憶の橋へ向かう街の中心部では、パリと同じように道路に椅子とテーブルを出してティーを楽しんでいる人もいる。大聖堂の所まで戻ってデューティフリーやアオテアという土産物店を覗く。今夜の夕食はル・ボンボリというヨーロピアンレストラン。場所をちゃんと聞いておいたのに、暗くなってから歩くととても寂しい人通り。間違っているのではないか不安になってJTBに聞きに戻ってしまった。ふみこのメインはラム、僕はビーフにして飲み物はビールにしておいた。この店は 1階がカフェで 2階がレストランになっている。僕たちが最初の客だったが、帰り頃にはほとんど満席。それも地元の人が着飾って来ている。肉は柔らかかったし、デザートもチョコレートムースとアップルタルトが山ほど出る。満腹でホテルまで歩いて帰るには丁度良い。<br />ニュージーランドは 1日のうちに春夏秋冬がある、と言われてきたけれど夜になるとジャンパーがなければ寒いほど。ホテルの窓から見下ろす夜の街もとても綺麗だった。<br /><br />1998年 9月21日(月)晴<br />今日はフリータイムの日。長時間の飛行機で疲れるのが判っていたから、今日のオプショナルツアーは申し込まなかった。オプショナルに行かないのは僕たちだけらしくJTBの人が心配していたけど、今までの経験からこんな日がないと疲れてしまう。<br />ホテルの朝食はバイキング。ニュージーランドはイギリス連邦の一員だから朝食もコンチネンタルスタイルかと思ったら卵も付くアメリカ風だった。卵はスクランブルしかなかったのでフライドエッグを注文する。フルーツを沢山とりフレッシュオレンジジュースとコーヒー。ホテルがマウンテンバイクを無料で貸してくれるのでフロントに申し込む。身体のデカイ英語しか通じないオジサンが申込書を出して書けと言う。終わると倉庫のような所に連れて行く。ニュージーランドはヘルメットを被らないと乗ってはいけないことになっているらしい。そのあとバイクの所に連れて行き、鍵の掛け方を教えてくれる。英語の早口でペラペラやるものだから判らないでいると実際にやって見せてくれる。体つきはデカイけど親切だった。ニュージーランドでは自転車は車道を走る。先ずはハグレー公園に向かう。車道を走っていると多少方向が迷ったが、無事到着。この公園の中は車を気にせず走ったり降りたりすることができる。クライストチャーチの街に隣接するこの公園は、街全体がスッポリ入ってしまうほどの大きな公園。公園の中をエイボン川が春の小川のようにゆったりと流れている。桜並木もあるしゴルフカートを引いてゴルフをしているお年寄りもいる。途中にはアスレチックもあるし公衆トイレは掃除が行き届いていて綺麗。ジョギングしている人もいたが、この公園を一周するにはバイクが丁度良い。芝生の上に寝たりしていると、ふみこと二人の世界が広がり外国に居るとは思えない。公園に自転車を置いて道路の向こう側にある洒落た家々を見に行く。みんな平屋で庭には花々が綺麗。でも、スイスの田舎の家と違ってフェンスをしている家もある。街の美観を大切にするのはここも同じ。<br />ニュージーランドは日本の2/3 の広さがあるのに人口は 480万人しかいない。だから学校も都会にしかなく、高校生になると何人かで一緒に家を借りて住むのが普通だそうだ。この国はイギリスの影響で道路は日本と同じ左側通行。しかも走っている車はほとんど日本車ばかり。こんな所も外国らしさ、を感じない原因なのかもしれない。日本と違うのは道路がきちんと整理されていること。歩道が広くて圧迫感がないことなど。でも、道路を横断する歩行者用の信号は変わるのが早くて、半分位渡った所で赤の点滅になってしまう。すべての面でおおらかにできているのに、どうして歩行者用信号だけが早いのだろう?<br />ハグレー公園の向こう側は、エイボン川が公園の中を流れている。このエイボン川も、動揺「春の小川」みたいに土手が残り、川底も土のまま。それだからこそ川の生き物が沢山いて、自然のサイクルによって綺麗な環境が保たれている。途中で鴨の親子に出会うが、人を恐れる様子もない。エイボン川を平底船で下るパンティングの船に出会う。のんびりして楽しそう。水仙やバラ園を抜け病院の脇から市内に戻る。公園の一角にあるカンタベリー博物館に寄る。キウイなどニュージーランド特有の鳥の写真や恐竜の化石などを見ることができる。中でも南極に最も近い都会ということで、南極に関係した装備や施設も見ることができる。この博物館前からクライストチャーチ市内の風景がイギリス風でとても良かった。今日のお昼はストロベリーフェアという甘味所で食べることにした。店の前にはテーブルが置いてあるが、昼の時間は過ぎたというのに女性がいっぱい。でも、混んでいたのは外だけで店の中は空いていた。僕はニューヨークニューヨークというチーズケーキ、ふみこは英語のメニューで判り難かったけどアップル何とか、というのがあったのでそれにする。どちらもとっても大きくて十分お昼代わりになる。ケーキの上には鼈甲飴細工も乗っている。アップル何とか、というのはリンゴの他にレーズンも入ったブランデーケーキ。アイスクリームや生クリームもついてとても美味しかった。会計の時に、とっても美味しかったけどこの店は入り難い店だ。店の前は女性ばかりで男には難しい、と言うと笑っていた。<br />ホテルはこの店から近いので、一旦ホテルに戻って汗を落とす。マウント カベンディッシュのゴンドラに乗ってみることにしてもう一度ホテルを出たのは 3時半頃。タクシーで行こうかとも思ったがJTBに聞くとインフォメーションセンター 前から 4時にシャトルバスが出るというのでそれを待つ。バスに乗ったのは 7? 8人しかいなかった。日本人は僕たちともう一組。市街地を抜けても山手の方に高級住宅らしい建物が沢山建っている。ニュージーランドでは北側斜面が高級地。南半球ではすべてが日本と逆で、日本の秋はこちらの春。太陽の陽射しも北側から当たるのだ。ゴンドラ乗り場までは20分位。ゴンドラは草津と同じタイプの小型のものが沢山運転されている。でも、お客さまがいない時は止めているようだ。ゴンドラに乗り合わせたのは日本人と思われるような女性一人。ゴンドラが高度を上げるに従ってクライストチャーチ市街が見えてくる。右手の方にはサムナビーチから太平洋の海。くっきりとした晴天ではないが、霞んでいる訳でもない。ゴンドラの下の岩場には羊やウサギが歩いている。<br />ゴンドラの頂上駅には展望台があり、四周をぐるっと廻れるようになっている。景色が良かったのは、ゴンドラ側の反対側。太平洋から大きくくびれたリトルトン湾が入り組んだ海岸線を綺麗に見せている。湾内に浮かぶクエイル島や海岸の港町が夕陽に映えて美しい。この展望台で、さっきゴンドラで一緒だった一人旅の女性に、写真を撮ってほしい、と頼まれる。さっき話しかけなくて良かった。日本人そっくりなのに英語しか話さない人だった。<br />展望台から周囲を見てしまうと他には何もない所。しかも風があって寒い。他の人は早々にゴンドラで下って行ってしまったが、僕はこの建物の外に出てみたい。ゴンドラの運転室の側に外へ出る小さな道があるので外へ出てみる。そこは荒れた台地に枯れた草が繁っていた。でも、階段もついていて歩いて下る人もいるのかもしれない。ゴンドラで下ってシャトルバスで市内に戻る。<br />今日の夕食は日本料理「さらさら」が予約してある。まだ 2日目だから日本料理じゃなくても良いのだが、この店の案内に伊勢海老づくしが出る、と書いてあったのに魅かれたのだ。日本と同様、海に囲まれた国で、しかも日本よりも自然が豊かに残っているから食材も豊富。サーモンもあるし伊勢海老は安い。この店の伊勢海老は刺し身と鬼殻焼きと味噌汁と出たが、どれも美味しかった。中でも鬼殻焼きはボリュームもあって満足。洋食でロブスターが出ると、隅々まで食べることができないが日本食だとつっついて食べることができる。お寿司もついて大満足。帰りには大聖堂前のお土産屋に寄ってベルトとテンガロンハット、それにふみこのセーターを買ってしまった。<br />いよいよ明日はマウントクックへの旅。朝が早いので荷造りも夜のうちに済ます。今日の夜もビクトリア広場の街灯が美しく輝いていた。<br /><br />1998年 9月22日(火)晴天。マウントクックも晴天<br />今朝は 5時45分にモーニングコール。すぐに荷物を整理し廊下に出す。それから朝食。僕の好きなフルーツに卵の朝食は、どんなに忙しい朝でも欠かす訳にはいかない。ホテルを出発したのは7時10分。他にも 2軒ほどのホテルに寄ってマウントクックへ向けて出発。今日のガイドは斉藤ももちゃんという若い女の子。JTB専用のマウントクックバスはボディにマウントクックの絵が書いてある。ダニーデンへ向かう 1号線を走り、ラカイア、アッシュバートンと通りジェラルディーンという町に入る。途中の車窓からは人口の10倍も多いと言われる羊の牧場を見る。ジェラルディーンの街までも結構長く走ったのだが、説明を聞いたりマウントクックで飛行機に乗ろうか乗るまいか考えているうちに到着してしまった。ここで30分の休憩。トイレに行き売店でコーヒーとスコーンを食べる。スコーンはフランスでも食べたことがある。ジャムを沢山つけて食べるドーナツのようなもの。<br />ここの休憩所がマウントクックの飛行機の申込み期限だったが、結局乗ることにした。飛行機に乗ると折角のマウントクックの高原を散策している時間がなくなるのが惜しかったのだ。<br />再びバスの旅。道はどこまでも真っ直ぐに良い道が続いている。そして何よりも通行量が格段に少ない。バスでも 100?くらいのスピードは軽く出る。この道の両側には牧場が広がり、国立公園に入ると牧柵さえもなくなって放し飼いになっている。そんな所で羊を飼うには牧羊犬は必需品。この道の道路際にいくつもの雑草のような草むらが生えているが、これはルピナスの花だそうだ。ルピナスは夏の花。バスの運転手の話だと12月の第 2週から 1月にかけて満開になるそうだ。羊の牧場や鹿の牧場をいくつも見ているうちに、だんだん平原の向こうにサザンアルプスの山並みが白く見えてくる。単調なバスの旅の中で、突然視界が開けて美しい山や湖が現れるのは、その風景以上に美しく見せてくれる。<br />テカポ湖の現れ方は正にそんな感じだった。道路の右側に湖が太陽の光を浴びてコバルト色に染まっている。遠景にはサザンアルプスの山並み。そして、湖の岸辺には「良き羊飼いの教会」がひっそりと建っている。テカポ湖のどの方向を向いても絵になる風景がいっぱいに広がっている。僕たちだけでなくバスに乗っていた他の人達もみんな写真を撮っている。この岸辺はスイスのレマン湖などよりよほど美しい。でも、これに似た風景には何度か出会っている。北海道の美幌峠越しに見る屈斜路湖だの、釜トンネルを抜けたあと出会う大正池がそうだ。でも、遠くに見えるサザンアルプスや良き羊飼いの教会とかが、ここがニュージーランドであることを教えてくれる。写真休憩のあと湖の反対側にある売店で休憩。みんながトイレに行っている間にも僕は湖の写真を撮っていた。ここから道は山道になって行く。時々サザンアルプスの中に一際白く高い山が見える。あれがマウントクック。狭い道をマウントクックの村目指してバスは走る。でも、走る車の量が圧倒的に少ない。右手に小さな飛行場を見てバスはハミテージホテルへと向かって行く。ここで今日の昼食。お昼もバイキングだったが、ローストビーフだのサーモンだの沢山ある。ケーキとフルーツも我々だけでは食べきれないほどある。でも、僕たちは早めに切り上げてホテルの外に出る。散策はできなくてもせめて沢山写真を撮っておきたい。でも、本当に良い所はホテルから少し歩かなければ行かれないのだ。お昼を食べてから飛行場への出発まで20分ほどしかないのではホテルの庭からの景色を撮るのが精一杯。乗ってきたバスで飛行場までは 5分位。マウントクックの飛行場にはクィーンズタウンに向かうジェット機も着いていたが氷河まで行く観光飛行機は小型のプロペラ機。飛行場のカウンターで飛行機代の支払い。カードで 426$なり。高いとは思ったが折角来たのだから乗ることにしたのだ。ふみことの思い出をたくさん作っておきたいから。セスナと同じような小さな飛行機に6人も乗り込む。と思ったら最後にもう一人ニュージーランドの人が乗ってきて 7人。セスナは管制塔との交信もなく、すぐに滑走に入る。操縦士の人が“We are GO,Now“とか言ってテイクオフ。小型機からの眺めはジェット機よりも良く見える。しばらくはタスマン川沿いに飛び、MalteBrunという切り立った山沿いにタスマン氷河に向かう。飛行機はどんどん高度を上げて行くが、それとともに山も近づいてきて地表からの高さは変わらないように見える。でも、山は岩を剥き出しにして怖さを感じる。岩肌が見えなくなると一面の銀世界が広がっている。マウントクックの大きな山容が迫って来ると操縦士の人が我々の写真機を取り上げて操縦席から写真を撮ってくれる。タスマン氷河が近づくと、他にも着陸している飛行機が見える。我々の飛行機は平らな所ではなく、やや上り坂気味の斜面に着陸する。この飛行機は脚にソリが付いていて氷河の雪の上に着陸できるようになっているのだ。氷河の上も晴天。飛行機を降りると、誰の足跡もない綺麗な氷と雪の世界が広がっている。ふみこを操縦士の人と一緒に写真に納め、二人で雪の上を歩く。スイスのユングフラウにあるアレッチ氷河は青白かったけれど、ニュージーランドの氷河は真っ白で綺麗な感じがする。氷河の上は寒いと思ってジャンパーを着てきたけれど天気が良いせいか暖かいくらいだ。氷河の観光は20分位でお終い。でも、沢山の写真と足跡を残してきた。<br />氷河から飛び立つ時は、飛行場から飛び立つ時よりも早く簡単に飛び立ってしまった感じがする。帰りは山と山の間を飛んだり、岩壁のすぐ側まで近づいたり、結構楽しませてくれる。飛行場に近づくと川や牧場やブカキ湖という湖などが見える。天気が良いので自分が乗った飛行機の影がくっきりと見える。飛行場に着くと直ぐに小型のジェット機に乗換え。僕たちはここから飛行機でクィーンズタウンに向かう組。他にはバスでクィーンズタウンへ行く組とワナカという街へ行く組とがある。飛行機組は我々のほかに 8人いただけで小型ジェット機は日本人の貸切りだった。この小型ジェット機も、そう高い高度を飛ぶ訳でもなく、飛行機の影が大地に写っている様子や、雪の残った山々に道路が続いている様子が良く見える。僕とふみこは並んだ席だったが、あまり空いているので僕も後ろの席の窓側からずっと外を見ていた。<br />クィーンズタウン到着は15時。バスで来ると19時になってしまう。簡単な市内の案内のあとJTBの人に着いてオフィスに行く。明日のミルフォードサウンドの代金を支払うのだ。この街はクライストチャーチより更に小さいので、歩いても直ぐに街の全体が判ってしまう。今日のホテルもパークロイヤル。部屋は 504号室。ベランダが付いていて、目の前は道路を挟んでワカティプ湖。湖の貴婦人と呼ばれる南半球で唯一の蒸気船、アーンスロー号が湖を行く姿が見える、とても良い部屋だった。<br />まだ陽が照っているうちに、と思って外へ出る。ここはスキー場も近いだけにクライストチャーチよりも寒い。湖畔を歩いて湖の向こう岸を目指す。湖の岸が白い砂で綺麗だった。湖畔では砂に座ってのんびりしている人や貸別荘風の家の庭で飲んでいる人などリゾート地らしい感じがする。湖の向こう側はガバメント・ツーリスト・ガーデンという広大な公園になっている。大きな木が自然のまま残されている。あまりの広さに全部回り切ることはできない。途中から湖畔の道に出て街に戻る。街はインターラーケンよりも小さい。歩いて全部回れてしまう。あっちこっちのお店を覗いてみたけれど結局何も買わなかった。<br />今日の夕食はブリタニアというモールの途中の 2階にある店。この店はクレイフィッシュという伊勢海老とベニソンと呼ばれる鹿肉のステーキ。ふみこは伊勢海老、僕はベニソンにして少しづつ分け合って食べた。鹿肉のステーキは初めてだったが、臭みもなく柔らかくて美味しかった。店の中は海賊船風に作ってあってお店の人も海賊風の横縞のシャツを着ていた。<br />湖畔を歩いてホテルに帰る。夜になるとぐっと冷え込んでくるが湖畔のベンチには二人連れが座ったりしている。街の灯も適当に明るくて淋しい感じはしない。クライストチャーチのパークロイヤルもそうだったが、このホテルはコーヒー、紅茶、日本茶は無料。湯沸器がうまく作動しないので日本から持ってきた旅行用の携帯湯沸器を使う。ティーバックは少し頂いてきてしまった。<br />シャワーを浴びてできるだけ早く寝ることにする。今朝早かったのに、明日も早いのだ。<br /><br />1998年 9月23日(水)晴天。<br />今朝も 5時45分にモーニングコール。今日はミルフォードサウンド観光に行くのだ。ニュージーランドへ行くことにした時、マウントクックとミルフォードサウンドだけは絶対行きたいと思ったところ。人口の少ないニュージーランドでも、特に自然がそのまま残っていて、何日もかけて歩くミルフォードトラックのトレッキングなどは年間の入山人数が規制されているほどだ。このホテルの朝食もバイキング。早々に済ませてホテルの玄関でバスを待つ。今日のバスは赤と青に塗られたかっこ良いバス。ボルボ社製で前の方が低く後ろに行くに従って高くなっている。<br />この観光はフィヨルドランドトラベル社の主催なので日本人だけではなかった。でも、この車両に日本人を集めているらしく、日本人ガイドが添乗している。バスは 7時過ぎに出発し、ワカティプ湖を半周する形でフィヨルドランド国立公園の入口であるテ・アナウという町に向かう。この町までは 2時間半くらいかかるのだが、湖の景色と山と牧場が現れるだけで特に印象に残るようなものもない。道は昨日のマウントクックよりも狭いのに、人も車も少ないのでバスは 100キロ以上のスピードで走っている。テ・アナウの町はクィーンズタウン以上に静かでのんびりしていて、すっかり気に入ってしまった。この町もテ・アナウ湖という湖に面していて、その湖も静かで対岸の山の姿を水辺に映している。道路沿いには大きな木が生い茂り、人の数もとても少ない。ここで30分の休憩があったが、湖畔に行って写真を撮っているうちに直ぐ過ぎてしまった。再びバスに乗りミルフォードサウンドへ向かうが、ここからは今までと違い、バスのスピードもやや控えめ。日本の上高地と同じで、だんだん景色の良い所が多くなり写真休憩なども取ってくれる。サザンアルプスの山の中で小さな小川を横切る。ここは河原が大きく開けて眺めの良いところ。モンキークリークという所だそうだ。この川の水は飲めます、と案内があったが、川の水は雪解けで冷たかった。ニュージーランドの水は綺麗で、大体どこの水でも飲むことができる。この川の水は甘い感じがした。ニュージーランドの中でもフィヨルドランドは雨が多い地域で年間降雨量が2000ミリという。マウントクックやフィヨルドランドには水力発電所が多い。ニュージーランドの電気は水力発電が多く風力発電もあるという。そして、湯沸かしも電気で沸かしてタンクに溜めておき、タンクを使い切ると暫く待たないと沸かないそうだ。<br />バスはディバイト峠という峠を越えて行く。この峠の周辺は雪崩の巣で、今頃の季節は雪崩が多い。ある年などはこの峠が雪崩で塞がれてしまい、この向こう側にいた人達が帰ることができなかったそうだ。今年は雪が少なく雪崩も少ないとのこと。でも、周辺には雪崩の跡が見える。峠を囲む山々が急峻で、どこの斜面から雪崩が起きても不思議ではない地形。峠にはトンネルがあって釜トンネルと同じように手掘りの跡が見える。そして、トンネルを越えると風景も変わってくる。林の中を走るようになり、北八ヶ岳と同じように苔むした倒木などが目立つようになる。山を見渡す展望台で写真停車した時、展望台の直ぐ下に野鳥が来る。バスに乗っていた人間が沢山展望台にいるのに逃げもしない。人間達の方もただ見ているだけで手も出さないし、餌になるものを上げたりもしない。こういう所は欧米の人は良く躾けられていると思う。次の停車は20分くらいで往復できるキャズムクレドウと言う渓谷沿いの小さなトラック。バスを止めるとここにもニュージーランド特有の飛べない鳥が近づいてきて逃げもしないで人間たちの方を見ている。トラックは狭い道が深い樹林の中に続いているが、人が歩く部分だけはきちんと整備されている。雨が多い地域らしく、道は湿っていて崖の所々からは小さく水がしみ出している。一番奥の所はクレドウ川が深く切れ落ち、岩を浸食している様子を橋の上から見ることができる。この渓谷は水量が多く流れも急俊。この渓谷自体は日本の八ヶ岳や上高地と変わらない。でもトラック沿いには背丈が 3?にもなる大きなシダ植物などがあり日本とは違うことを教えてくれる。この駐車場からミルフォードサウンドの船着場までは近い。桟橋が 5つ位あり、我々の乗る船は一番右側。さっきの渓谷へ行った時もそうだったが、僕がふみこを引っ張って一番先に乗るようにする。船は自由席なので早く乗った方が良い席が取れる。船に乗ってから昼食。お昼は簡単なサンドイッチ程度のものと和食のお弁当まで値段が違っていたがJTBの人の勧めに従って和食弁当にしておいた。これが結構ボリュームもあって美味しい幕の内だった。船はミルフォードサウンドの湾内からタスマン海に出て港まで戻って来る 1時間半のコース。港を出るとサザンアルプスの山並みがそのまま海に切れ落ちて、断崖絶壁になっている所を落差のある滝が何本も落ちている。知床半島の遊覧船の規模を大きくしたものだと思えば良い。フィヨルドランドの入口であるディバイト峠を越えてから、曇りがちの天気だったが、この船に乗っている間に細かい雨が降ってきた。湾内の波は静かだが、雨と風でジャンパーを着ないと寒いくらい。船室の窓から見ている方が暖かい。バスに乗っていた日本人ガイドが船にも同乗して日本語の案内をしてくれる。晴れていれば雪を頂いた白い山が海に反射して綺麗なのだろうが今日は残念ながら雨。それでもカメラを抱えた大勢の人でデッキは一杯。タスマン海の近くではシール・ロックという岩があり、その上で昼寝しているアザラシを見ることができる。今日は 2匹いただけだった。船の前の方でイルカだという声がしたが、僕たちは見ることができなかった。タスマン海に出ると波が荒く、船は大きく揺れる。でも、そう長い時間ではない。帰りは反対側の岸辺を進み、スターリング滝という落差のある大きな滝では飛沫を浴びるほど近くまで船が近づく。雨が降った時だけ流れる細い滝でも高さは1000?もの高さから流れている。港に近づくと最後にボーエン滝の大きな流れを見て 1時間半の船の旅も終わり。<br />バスでクィーンズタウンまで 4時間もかかると思うと嫌になるが距離にすれば 300キロもあるのだ。帰りは同じ道を帰るので案内もなし。テ・アナウ湖では湖畔の草地に座って対岸の山を映す静かな湖面を見ていた。この休憩が終わってからは一路クィーンズタウンへ向かう。通行量が少ないとはいえバスとは思えないほどのスピード。でも、その道のりの半分位は僕も寝ていた。ワカティプ湖が見える頃にはすっかり陽も暮れて、対岸にクィーンズタウンの灯が見えて美しい。でも、その距離はなかなか縮まらない。<br />結局クィーンズタウンに帰り着いたのは 7時過ぎ。今日の帰りは遅くなると思って今日の夕食は 8時に予約しておいた。鉄板焼きの店「大黒」。今日も日本料理にしなくても良かったのだが、この店は伊勢海老のステーキとビーフステーキと両方付いているのに魅かれたのだ。ホテルから街のモールを冷やかしながら散策。結局、ウールの手織りセーターを 2枚、ふみこと僕の分と買ってしまった。ここまでほぼ予算どおりだったのに、このセーターは予定外だった。「大黒」の鉄板焼は日本人のシェフがテーブルに付いて目の前で焼いてくれる。伊勢海老はとても大きく、ビーフステーキも結構なボリューム。ご飯に味噌汁、その上デザートまで付いて70$(日本円で約5000円)。ニュージーランドも日本と同じ海に囲まれた国なので海産物は豊富。伊勢海老は安くて大きいが、帆立貝は日本からの輸入だそうだ。すっかり満足してホテルへ。明日はオークランドへ出発の日。また荷物詰めに追われてしまった。<br /><br />1998年 9月24日(木)晴天。<br />今日の起床は 6時30分。すぐに荷物を出してから食堂へ。卵とフルーツたっぷりの朝食。 7時40分にバスが迎えに来る。何となく去り難い感じ。ニュージーランドは南島の方が魅力的で北島にはあまり魅力を感じない。南島には自然が多く残っているのに、北島は首都ウェリントンやオークランドなど都会のイメージがあるからかもしれない。クィーンズタウンの空港を出発したのは8時40分。クライストチャーチには 1時間で着いてしまう。ここで 2時間もオークランドへ行く飛行機を待たなければならない。ほかの人達はティールームや空港内の売店に行ったが、僕たちは羊を探しに空港の外へ行くことにした。折角ニュージーランドに来ていながら、まだ羊と会っていない。空港のインフォメーションで牧場が近くにあるかどうか聞いたら、とても 2時間では無理とのこと。でも、さっき飛行機が降りる時、羊の姿が見えたので周辺へ行ってみることにした。空港を出て20分も歩かないうちに羊が沢山いて、その姿を写真に納めることができた。羊は臆病で一匹が逃げ出すと皆が一斉に逃げ出してしまう、とどこかのガイドさんが言っていたが、ふみこが近づくと一斉に逃げ出してしまう。観光用の農場は近くになくても、僕たちにはこれで十分。<br />道路に沿ってもう少し先まで行くと今度は馬がいる。これは人なつこくて、ふみこが近づくと側へ寄って来る。 2頭しかいなかったが、ニュージーランドの農場らしい風景を写真に撮ることができた。空港に戻って来ると出発までには少し時間がある。コークを飲んで一休み。オークランドへ向かう飛行機は12時10分出発。この飛行機は混んでいて、僕たちの隣はニュージーランドの老人だった。 1時間30分の飛行なのに機内で食事が出る。チーズも出たが隣のニュージーランドの人の食べ方は参考になった。あの小さなテーブルの上で上手にナイフやフォークを使うのは、我々日本人が箸の使い方が上手なのと同じこと。<br />オークランド到着は13時30分。またお決まりの市内観光。今日のガイドさんは中野さんという綺麗な人。ちょっと中山美穂系だった。最初に行ったのはマウント・イーデン。市内を見下ろせる高台でオークランドのシンボル、スカイタワーが遠くに見える。中野さんに明日のオプショナルを申し込まなかったものだから、明日のことを心配される。市内をフリーで見て回ると言ったら、その後の案内では明日の見所などを教えてくれた。<br />ケリータールトンアンダーウォーターワールドは道路の下に作られた水族館だが、南極探検の母港であることから南極関連のものも展示してある。ペンギンの生態を見るのには雪上車を模した車で一周する。降りた所がシーパラダイスのような水族館で、道路の下にこのような施設を作ったのには感心する。外に出ると道路のすぐ隣はミッション湾の海が広がっている。パーネル通りを通ってデューティーフリーに寄り、ホテルへ。今日のホテルはシェラトンオークランド。高級ホテルだが市内の中心部からちょっと離れた高台にある。でも部屋は 247号室で眺めは良くなかった。<br />市内へは下って行けば良いので、明るいうちに街に出る。市内の中心街クィーン通りはすぐ側だが、フェリーターミナルのある中心部までは20分位歩かなければならない。早速、デューティーフリーやアオテアなどを見て回る。買いたいものの目星を付けただけで買い物は明日にする。フェリーターミナルで海を見ているうちに夕食の時間。今日の夕食はカーマデックというレストラン。店は 2階に見えているのに入口が分からず探してしまった。この店は海辺に面したシーフードの店で、店内も綺麗。ふみこはサーモン、僕はステーキを食べる。十分満足してホテルへ。帰りはタクシーを使ったが 6$ほどだった。<br /><br />1998年 9月25日(金)晴天。<br />もう来てしまった旅の最終日。この日を大事に使うためにフリータイムにしておいた。ゆっくり起きて朝食。今日もバイキングだが、品数が多い。朝はのんびりしているので歩いて市内へ。クィーンズ通りにはスーパーもあるしルイヴィトンなどの有名店もある。まずはフェリーターミナルからフェリーに乗って対岸のデボンポートへ向かう。往復キップをReturnと言う。フェリーの売店でデボンポートの地図を貰おうと英語を操っていると、売店の女の人が日本人だった。親切に街の見所などを教えてくれたので助かった。フェリーは割りと大きな綺麗な船。港を出るとオークランドのスカイタワーやハーバーブリッジが良く見えてくる。20分ほどの船の旅で、日本人は誰も乗っていない。こういう方が外国旅行という感じがする。フェリーのデッキで遠去かるオークランドを見ていると、ショートカットでザックを背負った若い女の子が一人でデッキに座っていた。この女の子とは帰りのフェリーまで一緒だった。デボンポートの街は、ノースショアと呼ばれた昔の面影を残す静かな街。何となく南島の街に似ている。特にオークランドの雑踏から来たから余計そう思うのかもしれない。<br />街の商店街を歩いてマウントビクトアと呼ばれる小高い丘を目指す。ここが街や海を見渡せるとても良い場所だと、売店の日本人の女の人が教えてくれたのだ。途中の商店でセブンアップのペットボトルを買い、持って行く。住宅街を抜けるとすぐに急な坂道になりどんどん高度を上げて行く。ちょっと登っただけでフェリー乗り場が見えて来る。山は全体が緑の芝生のような背丈の低い草に覆われ気持ち良い。草地の所々には子供たちが段ボールを滑り台にして遊んだらしい跡がある。道は山をぐるりと回るようにして山頂に続いている。山頂は大きな広場になっていて、ここも草に覆われている。ここからは対岸のオークランドは勿論、ランギトト島が海にぽっかりと浮いているのが良く見える。目を下に転じれば、デボンポートの静かな住宅街が並んでいる。この山頂で一休みしていると、さっきフェリーに乗っていた女の子が、やっぱりここに来ている。しばらくここで休んでから下山。帰りの街の中では不動産屋がいくつか目に入る。写真付きで展示してあるので良く判るが、結構洒落た住宅でも 1,000万円も出せば手に入る。と言っても、永住権を取るのが大変だが。帰りのフェリーは来る時よりも更に空いていた。このフェリーでも、あの女の子と一緒だった。<br />オークランドに着くと、直ぐデューティフリーで買い物。いろいろ見て回ったあげく、ネクタイ、ハンドバック、時計など 700$以上も買い物をしてしまった。今回は僕たち二人だけのものを買うように心掛けた。ハワイの時は荷物が多すぎて大変だったから。買い物が終わると 1時過ぎ。向かいのビルにマクドナルドの看板があるので今日のお昼はマックにする。広いマックだったが、結構混んでいる。カウンターで下のフェリーターミナルを見ながら食事。お年寄りや家族連れなど、日本のスーパーと同じ光景だった。ここからタクシーでミュージアムへ。パーネル通りを通ってオークランド大学の前を歩きホテルに帰って来たのは 4時近かった。ホテルでシャワーを浴びて一休みした後、再び街へ出る。<br />今度はシェラトンホテルの無料送迎バス。バスと言っても 8人乗れば一杯になってしまう。やはり乗れない人がいたが僕たちは早めに行って大正解だった。今日の夕食は、ニュージーランドの美味しい海産物の食べ納めということで生物を食べることにした。生物なら日本のお寿司に勝るものはない。寿司バー有明は、デューティフリーの前にあるJTBのトラベルデスクの女の子が教えてくれた店。ビールでお刺し身を食べてから握りを注文。皆新鮮で美味しかったが、値段はミールクーポンで食べるよりも高くついてしまった。食後の散歩にスカイタワーへ。もう 8時を回っているのに結構混んでいる。スカイタワーの展望台まではエレベーターで30$。この展望台には無線のガイドがあって、小さな受信機を耳に当てて回廊を回ることができる。この案内は各国語で流れていて日本語の案内もあった。回廊の途中の床には何箇所かガラス張りの所があって、真下の街を見下ろすことができる。安全とはいえ、この上に立つのは怖い。でも展望台からの夜景は美しかった。帰りにデカというスーパーマーケットに寄ってクッキーの買い物。もう閉店間際だったが結構人がいた。ダウンタウンからホテルまではホテルの送迎バス。これを待つのがデューティフリー前だが、ヨーロッパの街角と違って誰かに襲われるような心配はない。ニュージーランドはそういう治安の良い所だ。<br />ニュージーランド最後の夜は荷物整理に追われる。シャワーを浴びてゆったりしたのは11時過ぎ。でも、旅の終わりの感傷に浸りながらニュージーランドの夜は更けていった。<br /><br />1998年 9月26日(土)晴天。<br />帰国の日の朝も晴天だった。すぐに荷物を整理して廊下に出す。手荷物だけ残して朝食へ。豪華な朝食も今日でしばらくの間、お別れ。毎日こんな朝食を取っていたら太ってしまう。バスは 9時にホテルを出発。ホテルの清算をしたらニュージーランドドルで残ったのは硬貨で 6$程度だった。空港で荷物の確認をして出国手続き。空港の免税店でロブスターの大きいのを1尾買う。ここは日本円で買うことができた。NZ99便は11時30分にテイクオフ。帰りの席は窓側だった。<br /><br />来る前はカナダよりも気乗りしなかったのに、帰りはもっとこの国に留まりたい気分。勝手な考えだと思うけれど、それだけニュージーランドが良かったのも事実。特に南島のクライストチャーチが気に入ってしまった。クライストチャーチ空港の周りを歩いた時、キャンピングカーのレンタカーが沢山あった。もし、今度来ることがあったら、一番安いツアーにして現地であれを借りよう。そして、マウントクックやテ・アナウ湖、ミルフォードサウンドへ出掛けたらもっともっと楽しい旅が出来るに違いない。見てきた所でももっと長く居たかった所が沢山ある。見ていない所にも、もっともっと良い所が沢山あるに違いない。でも、僕ももう50才。お金が溜まって、もう一度海外に出掛ける時に、まだ行ったことのない国とニュージーランドとどちらを選ぶだろうか。<br /><br />成田到着は19時丁度。スーツケースは成田から宅急便で送ることにして、帰りの電車は手荷物だけ。成田エキスプレスは20時45分の新宿行きに乗ることができた。新宿乗換え22時31分。自宅に帰り着いたのは深夜になっていたけれど、ツアー疲れを取るには成田周辺のホテルよりも自宅の方が良い。特にふみこは久しぶりの海外で疲れがたまったようだ。<br />また行きたい海外旅行。今度行く時こそカナダへ行って、ニュージーランドの自然と比べてみたい。<br /><br />

ニュージーランド紀行

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1998/09/18 - 1998/09/28

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秘湯マニア

秘湯マニアさん

 去年のスイス旅行は、夫婦一緒ではなかった。夫婦で海外に出掛けたのはHawaiiとGuamだけ。
 いつかきっとスイスの美しい風景を見せてあげようと思っていたが、金と時間が揃うことはめったにない。たまたま、時間が取れたので旅行を計画したのが 8月初め。でも、この時はカナダに行くつもりだったのだが・・・。

1998年 9月18日(土)曇。
New Zealandへ出発の日。今年は夏から晴天の日が少なく、昨日まで天気が悪かったが、今日は晴れ。しかも暑い。午後 2時40分、重いスーツケースを引いて家を出てロマンスカーで新宿に向かう。新宿で成田エキスプレス37号に乗換え成田に向かう。今日は夜 9時の飛行機なので遅い出発だった。そもそも1週間前まではカナダに行くつもりだったのに、何故ニュージーランドになったかと言うと、全てはノースウェスト航空のスト騒ぎにある。ノースウェスト航空はだいぶ前からストをやっていたらしいが、新聞やテレビで報道しなかったせいもあって全然知らなかった。クリントン大統領の調停でストが解決したのが14日。しかし、国際線のダイヤが解決するのが21日過ぎ、ということで行き先を変更するか中止にするか選択を迫られたのが丁度1週間前の11日。しかも、出発直前とあって行きたい国や行きたいコースはなかなか取れない。JTBの鳥海さんの勧めに従って結局ニュージーランドに行くことにしたが、いつもの旅の出発の時に感じるようなときめきが少ないのも事実。でも、会社の休みを変更するのも大変だし、国内旅行の北海道に変更しても費用は変わらないのでニュージーランドへ行くことにした。旅行の準備からガイドブックに至るまで、心はすべてカナダに向いていたのに、急に知らない国に変更されてもなかなか心がついて行けない。そんな訳で、今回の旅行は日程表さえ手元にない。空港のカウンターで貰うことになっている。成田到着は18時25分。着いた所の売店で変圧器とコンセントを買う。これもカナダなら要らなかったのだ。日本航空Iカウンターで搭乗手続き。出発まで時間があるので空港の食堂で軽く食事。出国検査は女子高校生の団体で一杯だったため時間が掛かったが、幸い彼女たちは別の飛行機だった。
ニュージーランド航空34便は20時55分の出発。今回の席はジャンボの真ん中の席だった。でも、ふみこの隣が空いていただけマシだった。なにしろ11時間もかかる空の旅だ。少しでも寝て行かないと疲れがたまってしまう。機内では11時頃に夕食がサービスされてから暗くなる。しばらく本を読んでいたがいつの間にか寝てしまった。スイスに行くにも10時間以上飛行機に乗っていたけれど、地球を東西には行ったことがあったが南北に行くのは今回が最初である。季節は日本と逆だが時差は 3時間と少ない。機内で上映した映画の 2本目がSF物だったのでつい見てしまい結局寝不足気味。

1998年 9月19日(日)晴。
クライストチャーチ到着は10時50分。入国審査も税関もほとんど無審査で通り抜けクライストチャーチに第一歩を記す。そこには日本よりも明るい空が広がっていた。ガイドさんと一緒にバスに乗り市内へ向かう。先ずはお決まりの市内観光。クライストチャーチは小さな街だが周辺に見所が沢山ある。最初はモナベール邸へ。これはイギリス統治時代の邸宅の名残だが、エイボン川という綺麗な水をたたえた川が静かに流れていてとっても洒落ている。庭がとっても広く芝生と川がマッチしている。川には鴨がいて、人を恐れず寄ってくる。この庭に桜の花が咲いていて感激。
次に訪れたのは郊外の高台にあるサイン・オブ・ザ・タカヘという古城のようなレストラン。この敷地内にある展望台からクライストチャーチの街が一望できる。レストランの庭は芝生が綺麗に手入れされ、古城のような外観にマッチしていた。
市内に入り、モールや追憶の橋とかをバスの中から見たあと大聖堂へ。この大聖堂はヨーロッパの雰囲気をそのまま感じさせるゴシック様式で、高さは63?あるという鐘楼が聳えている。クライストチャーチの街はこの大聖堂を中心に考えると判りやすい。お土産屋もすべてこの周辺に揃っている。今夜のホテルはパークロイヤル。大聖堂から遠くないビクトリア広場に面した市内唯一の高級ホテル。このロビーでガイドさんから市内のこととかミールクーポンのこととか注意があったあと部屋の鍵を渡される。僕たちの部屋は 9階 924号室。部屋の窓からビクトリア広場を見下ろすことができる眺めの良い部屋。
家を出てから漸く落ち着くことができた。とはいえ、まだ午後 4時過ぎ(日本時間では 1時過ぎ)。夕食の時間まで街を散策することにして外に出る。ホテルのレストランに面したドアを出ると、そこはビクトリア広場。少年とは思えないほど大きな少年がスケートボードなどで遊んでいる。このビクトリア広場には大きな花時計があるが、早春のことであまり綺麗ではない。それでもエイボン川沿いの花壇にはパンジーが色とりどりに咲いている。オックスフォードテラスと呼ばれるエイボン川沿いの小道を歩く。最初の大きな道路を横切る手前でアイスクリーム売りを見つけて 2つ買う。ニュージーランドでの最初の買い物はアイスクリームだった。
この街は僕が今まで行ったことのあるヨーロッパのどの都市とも違った印象を与える。人の少なさと治安の良さが落ち着いた雰囲気を感じさせるのかもしれない。帰国した今考えると、ニュージーランドで一番落ち着いた良い街だった。二人で歩いていても危険を感じるような所はない。追憶の橋へ向かう街の中心部では、パリと同じように道路に椅子とテーブルを出してティーを楽しんでいる人もいる。大聖堂の所まで戻ってデューティフリーやアオテアという土産物店を覗く。今夜の夕食はル・ボンボリというヨーロピアンレストラン。場所をちゃんと聞いておいたのに、暗くなってから歩くととても寂しい人通り。間違っているのではないか不安になってJTBに聞きに戻ってしまった。ふみこのメインはラム、僕はビーフにして飲み物はビールにしておいた。この店は 1階がカフェで 2階がレストランになっている。僕たちが最初の客だったが、帰り頃にはほとんど満席。それも地元の人が着飾って来ている。肉は柔らかかったし、デザートもチョコレートムースとアップルタルトが山ほど出る。満腹でホテルまで歩いて帰るには丁度良い。
ニュージーランドは 1日のうちに春夏秋冬がある、と言われてきたけれど夜になるとジャンパーがなければ寒いほど。ホテルの窓から見下ろす夜の街もとても綺麗だった。

1998年 9月21日(月)晴
今日はフリータイムの日。長時間の飛行機で疲れるのが判っていたから、今日のオプショナルツアーは申し込まなかった。オプショナルに行かないのは僕たちだけらしくJTBの人が心配していたけど、今までの経験からこんな日がないと疲れてしまう。
ホテルの朝食はバイキング。ニュージーランドはイギリス連邦の一員だから朝食もコンチネンタルスタイルかと思ったら卵も付くアメリカ風だった。卵はスクランブルしかなかったのでフライドエッグを注文する。フルーツを沢山とりフレッシュオレンジジュースとコーヒー。ホテルがマウンテンバイクを無料で貸してくれるのでフロントに申し込む。身体のデカイ英語しか通じないオジサンが申込書を出して書けと言う。終わると倉庫のような所に連れて行く。ニュージーランドはヘルメットを被らないと乗ってはいけないことになっているらしい。そのあとバイクの所に連れて行き、鍵の掛け方を教えてくれる。英語の早口でペラペラやるものだから判らないでいると実際にやって見せてくれる。体つきはデカイけど親切だった。ニュージーランドでは自転車は車道を走る。先ずはハグレー公園に向かう。車道を走っていると多少方向が迷ったが、無事到着。この公園の中は車を気にせず走ったり降りたりすることができる。クライストチャーチの街に隣接するこの公園は、街全体がスッポリ入ってしまうほどの大きな公園。公園の中をエイボン川が春の小川のようにゆったりと流れている。桜並木もあるしゴルフカートを引いてゴルフをしているお年寄りもいる。途中にはアスレチックもあるし公衆トイレは掃除が行き届いていて綺麗。ジョギングしている人もいたが、この公園を一周するにはバイクが丁度良い。芝生の上に寝たりしていると、ふみこと二人の世界が広がり外国に居るとは思えない。公園に自転車を置いて道路の向こう側にある洒落た家々を見に行く。みんな平屋で庭には花々が綺麗。でも、スイスの田舎の家と違ってフェンスをしている家もある。街の美観を大切にするのはここも同じ。
ニュージーランドは日本の2/3 の広さがあるのに人口は 480万人しかいない。だから学校も都会にしかなく、高校生になると何人かで一緒に家を借りて住むのが普通だそうだ。この国はイギリスの影響で道路は日本と同じ左側通行。しかも走っている車はほとんど日本車ばかり。こんな所も外国らしさ、を感じない原因なのかもしれない。日本と違うのは道路がきちんと整理されていること。歩道が広くて圧迫感がないことなど。でも、道路を横断する歩行者用の信号は変わるのが早くて、半分位渡った所で赤の点滅になってしまう。すべての面でおおらかにできているのに、どうして歩行者用信号だけが早いのだろう?
ハグレー公園の向こう側は、エイボン川が公園の中を流れている。このエイボン川も、動揺「春の小川」みたいに土手が残り、川底も土のまま。それだからこそ川の生き物が沢山いて、自然のサイクルによって綺麗な環境が保たれている。途中で鴨の親子に出会うが、人を恐れる様子もない。エイボン川を平底船で下るパンティングの船に出会う。のんびりして楽しそう。水仙やバラ園を抜け病院の脇から市内に戻る。公園の一角にあるカンタベリー博物館に寄る。キウイなどニュージーランド特有の鳥の写真や恐竜の化石などを見ることができる。中でも南極に最も近い都会ということで、南極に関係した装備や施設も見ることができる。この博物館前からクライストチャーチ市内の風景がイギリス風でとても良かった。今日のお昼はストロベリーフェアという甘味所で食べることにした。店の前にはテーブルが置いてあるが、昼の時間は過ぎたというのに女性がいっぱい。でも、混んでいたのは外だけで店の中は空いていた。僕はニューヨークニューヨークというチーズケーキ、ふみこは英語のメニューで判り難かったけどアップル何とか、というのがあったのでそれにする。どちらもとっても大きくて十分お昼代わりになる。ケーキの上には鼈甲飴細工も乗っている。アップル何とか、というのはリンゴの他にレーズンも入ったブランデーケーキ。アイスクリームや生クリームもついてとても美味しかった。会計の時に、とっても美味しかったけどこの店は入り難い店だ。店の前は女性ばかりで男には難しい、と言うと笑っていた。
ホテルはこの店から近いので、一旦ホテルに戻って汗を落とす。マウント カベンディッシュのゴンドラに乗ってみることにしてもう一度ホテルを出たのは 3時半頃。タクシーで行こうかとも思ったがJTBに聞くとインフォメーションセンター 前から 4時にシャトルバスが出るというのでそれを待つ。バスに乗ったのは 7? 8人しかいなかった。日本人は僕たちともう一組。市街地を抜けても山手の方に高級住宅らしい建物が沢山建っている。ニュージーランドでは北側斜面が高級地。南半球ではすべてが日本と逆で、日本の秋はこちらの春。太陽の陽射しも北側から当たるのだ。ゴンドラ乗り場までは20分位。ゴンドラは草津と同じタイプの小型のものが沢山運転されている。でも、お客さまがいない時は止めているようだ。ゴンドラに乗り合わせたのは日本人と思われるような女性一人。ゴンドラが高度を上げるに従ってクライストチャーチ市街が見えてくる。右手の方にはサムナビーチから太平洋の海。くっきりとした晴天ではないが、霞んでいる訳でもない。ゴンドラの下の岩場には羊やウサギが歩いている。
ゴンドラの頂上駅には展望台があり、四周をぐるっと廻れるようになっている。景色が良かったのは、ゴンドラ側の反対側。太平洋から大きくくびれたリトルトン湾が入り組んだ海岸線を綺麗に見せている。湾内に浮かぶクエイル島や海岸の港町が夕陽に映えて美しい。この展望台で、さっきゴンドラで一緒だった一人旅の女性に、写真を撮ってほしい、と頼まれる。さっき話しかけなくて良かった。日本人そっくりなのに英語しか話さない人だった。
展望台から周囲を見てしまうと他には何もない所。しかも風があって寒い。他の人は早々にゴンドラで下って行ってしまったが、僕はこの建物の外に出てみたい。ゴンドラの運転室の側に外へ出る小さな道があるので外へ出てみる。そこは荒れた台地に枯れた草が繁っていた。でも、階段もついていて歩いて下る人もいるのかもしれない。ゴンドラで下ってシャトルバスで市内に戻る。
今日の夕食は日本料理「さらさら」が予約してある。まだ 2日目だから日本料理じゃなくても良いのだが、この店の案内に伊勢海老づくしが出る、と書いてあったのに魅かれたのだ。日本と同様、海に囲まれた国で、しかも日本よりも自然が豊かに残っているから食材も豊富。サーモンもあるし伊勢海老は安い。この店の伊勢海老は刺し身と鬼殻焼きと味噌汁と出たが、どれも美味しかった。中でも鬼殻焼きはボリュームもあって満足。洋食でロブスターが出ると、隅々まで食べることができないが日本食だとつっついて食べることができる。お寿司もついて大満足。帰りには大聖堂前のお土産屋に寄ってベルトとテンガロンハット、それにふみこのセーターを買ってしまった。
いよいよ明日はマウントクックへの旅。朝が早いので荷造りも夜のうちに済ます。今日の夜もビクトリア広場の街灯が美しく輝いていた。

1998年 9月22日(火)晴天。マウントクックも晴天
今朝は 5時45分にモーニングコール。すぐに荷物を整理し廊下に出す。それから朝食。僕の好きなフルーツに卵の朝食は、どんなに忙しい朝でも欠かす訳にはいかない。ホテルを出発したのは7時10分。他にも 2軒ほどのホテルに寄ってマウントクックへ向けて出発。今日のガイドは斉藤ももちゃんという若い女の子。JTB専用のマウントクックバスはボディにマウントクックの絵が書いてある。ダニーデンへ向かう 1号線を走り、ラカイア、アッシュバートンと通りジェラルディーンという町に入る。途中の車窓からは人口の10倍も多いと言われる羊の牧場を見る。ジェラルディーンの街までも結構長く走ったのだが、説明を聞いたりマウントクックで飛行機に乗ろうか乗るまいか考えているうちに到着してしまった。ここで30分の休憩。トイレに行き売店でコーヒーとスコーンを食べる。スコーンはフランスでも食べたことがある。ジャムを沢山つけて食べるドーナツのようなもの。
ここの休憩所がマウントクックの飛行機の申込み期限だったが、結局乗ることにした。飛行機に乗ると折角のマウントクックの高原を散策している時間がなくなるのが惜しかったのだ。
再びバスの旅。道はどこまでも真っ直ぐに良い道が続いている。そして何よりも通行量が格段に少ない。バスでも 100?くらいのスピードは軽く出る。この道の両側には牧場が広がり、国立公園に入ると牧柵さえもなくなって放し飼いになっている。そんな所で羊を飼うには牧羊犬は必需品。この道の道路際にいくつもの雑草のような草むらが生えているが、これはルピナスの花だそうだ。ルピナスは夏の花。バスの運転手の話だと12月の第 2週から 1月にかけて満開になるそうだ。羊の牧場や鹿の牧場をいくつも見ているうちに、だんだん平原の向こうにサザンアルプスの山並みが白く見えてくる。単調なバスの旅の中で、突然視界が開けて美しい山や湖が現れるのは、その風景以上に美しく見せてくれる。
テカポ湖の現れ方は正にそんな感じだった。道路の右側に湖が太陽の光を浴びてコバルト色に染まっている。遠景にはサザンアルプスの山並み。そして、湖の岸辺には「良き羊飼いの教会」がひっそりと建っている。テカポ湖のどの方向を向いても絵になる風景がいっぱいに広がっている。僕たちだけでなくバスに乗っていた他の人達もみんな写真を撮っている。この岸辺はスイスのレマン湖などよりよほど美しい。でも、これに似た風景には何度か出会っている。北海道の美幌峠越しに見る屈斜路湖だの、釜トンネルを抜けたあと出会う大正池がそうだ。でも、遠くに見えるサザンアルプスや良き羊飼いの教会とかが、ここがニュージーランドであることを教えてくれる。写真休憩のあと湖の反対側にある売店で休憩。みんながトイレに行っている間にも僕は湖の写真を撮っていた。ここから道は山道になって行く。時々サザンアルプスの中に一際白く高い山が見える。あれがマウントクック。狭い道をマウントクックの村目指してバスは走る。でも、走る車の量が圧倒的に少ない。右手に小さな飛行場を見てバスはハミテージホテルへと向かって行く。ここで今日の昼食。お昼もバイキングだったが、ローストビーフだのサーモンだの沢山ある。ケーキとフルーツも我々だけでは食べきれないほどある。でも、僕たちは早めに切り上げてホテルの外に出る。散策はできなくてもせめて沢山写真を撮っておきたい。でも、本当に良い所はホテルから少し歩かなければ行かれないのだ。お昼を食べてから飛行場への出発まで20分ほどしかないのではホテルの庭からの景色を撮るのが精一杯。乗ってきたバスで飛行場までは 5分位。マウントクックの飛行場にはクィーンズタウンに向かうジェット機も着いていたが氷河まで行く観光飛行機は小型のプロペラ機。飛行場のカウンターで飛行機代の支払い。カードで 426$なり。高いとは思ったが折角来たのだから乗ることにしたのだ。ふみことの思い出をたくさん作っておきたいから。セスナと同じような小さな飛行機に6人も乗り込む。と思ったら最後にもう一人ニュージーランドの人が乗ってきて 7人。セスナは管制塔との交信もなく、すぐに滑走に入る。操縦士の人が“We are GO,Now“とか言ってテイクオフ。小型機からの眺めはジェット機よりも良く見える。しばらくはタスマン川沿いに飛び、MalteBrunという切り立った山沿いにタスマン氷河に向かう。飛行機はどんどん高度を上げて行くが、それとともに山も近づいてきて地表からの高さは変わらないように見える。でも、山は岩を剥き出しにして怖さを感じる。岩肌が見えなくなると一面の銀世界が広がっている。マウントクックの大きな山容が迫って来ると操縦士の人が我々の写真機を取り上げて操縦席から写真を撮ってくれる。タスマン氷河が近づくと、他にも着陸している飛行機が見える。我々の飛行機は平らな所ではなく、やや上り坂気味の斜面に着陸する。この飛行機は脚にソリが付いていて氷河の雪の上に着陸できるようになっているのだ。氷河の上も晴天。飛行機を降りると、誰の足跡もない綺麗な氷と雪の世界が広がっている。ふみこを操縦士の人と一緒に写真に納め、二人で雪の上を歩く。スイスのユングフラウにあるアレッチ氷河は青白かったけれど、ニュージーランドの氷河は真っ白で綺麗な感じがする。氷河の上は寒いと思ってジャンパーを着てきたけれど天気が良いせいか暖かいくらいだ。氷河の観光は20分位でお終い。でも、沢山の写真と足跡を残してきた。
氷河から飛び立つ時は、飛行場から飛び立つ時よりも早く簡単に飛び立ってしまった感じがする。帰りは山と山の間を飛んだり、岩壁のすぐ側まで近づいたり、結構楽しませてくれる。飛行場に近づくと川や牧場やブカキ湖という湖などが見える。天気が良いので自分が乗った飛行機の影がくっきりと見える。飛行場に着くと直ぐに小型のジェット機に乗換え。僕たちはここから飛行機でクィーンズタウンに向かう組。他にはバスでクィーンズタウンへ行く組とワナカという街へ行く組とがある。飛行機組は我々のほかに 8人いただけで小型ジェット機は日本人の貸切りだった。この小型ジェット機も、そう高い高度を飛ぶ訳でもなく、飛行機の影が大地に写っている様子や、雪の残った山々に道路が続いている様子が良く見える。僕とふみこは並んだ席だったが、あまり空いているので僕も後ろの席の窓側からずっと外を見ていた。
クィーンズタウン到着は15時。バスで来ると19時になってしまう。簡単な市内の案内のあとJTBの人に着いてオフィスに行く。明日のミルフォードサウンドの代金を支払うのだ。この街はクライストチャーチより更に小さいので、歩いても直ぐに街の全体が判ってしまう。今日のホテルもパークロイヤル。部屋は 504号室。ベランダが付いていて、目の前は道路を挟んでワカティプ湖。湖の貴婦人と呼ばれる南半球で唯一の蒸気船、アーンスロー号が湖を行く姿が見える、とても良い部屋だった。
まだ陽が照っているうちに、と思って外へ出る。ここはスキー場も近いだけにクライストチャーチよりも寒い。湖畔を歩いて湖の向こう岸を目指す。湖の岸が白い砂で綺麗だった。湖畔では砂に座ってのんびりしている人や貸別荘風の家の庭で飲んでいる人などリゾート地らしい感じがする。湖の向こう側はガバメント・ツーリスト・ガーデンという広大な公園になっている。大きな木が自然のまま残されている。あまりの広さに全部回り切ることはできない。途中から湖畔の道に出て街に戻る。街はインターラーケンよりも小さい。歩いて全部回れてしまう。あっちこっちのお店を覗いてみたけれど結局何も買わなかった。
今日の夕食はブリタニアというモールの途中の 2階にある店。この店はクレイフィッシュという伊勢海老とベニソンと呼ばれる鹿肉のステーキ。ふみこは伊勢海老、僕はベニソンにして少しづつ分け合って食べた。鹿肉のステーキは初めてだったが、臭みもなく柔らかくて美味しかった。店の中は海賊船風に作ってあってお店の人も海賊風の横縞のシャツを着ていた。
湖畔を歩いてホテルに帰る。夜になるとぐっと冷え込んでくるが湖畔のベンチには二人連れが座ったりしている。街の灯も適当に明るくて淋しい感じはしない。クライストチャーチのパークロイヤルもそうだったが、このホテルはコーヒー、紅茶、日本茶は無料。湯沸器がうまく作動しないので日本から持ってきた旅行用の携帯湯沸器を使う。ティーバックは少し頂いてきてしまった。
シャワーを浴びてできるだけ早く寝ることにする。今朝早かったのに、明日も早いのだ。

1998年 9月23日(水)晴天。
今朝も 5時45分にモーニングコール。今日はミルフォードサウンド観光に行くのだ。ニュージーランドへ行くことにした時、マウントクックとミルフォードサウンドだけは絶対行きたいと思ったところ。人口の少ないニュージーランドでも、特に自然がそのまま残っていて、何日もかけて歩くミルフォードトラックのトレッキングなどは年間の入山人数が規制されているほどだ。このホテルの朝食もバイキング。早々に済ませてホテルの玄関でバスを待つ。今日のバスは赤と青に塗られたかっこ良いバス。ボルボ社製で前の方が低く後ろに行くに従って高くなっている。
この観光はフィヨルドランドトラベル社の主催なので日本人だけではなかった。でも、この車両に日本人を集めているらしく、日本人ガイドが添乗している。バスは 7時過ぎに出発し、ワカティプ湖を半周する形でフィヨルドランド国立公園の入口であるテ・アナウという町に向かう。この町までは 2時間半くらいかかるのだが、湖の景色と山と牧場が現れるだけで特に印象に残るようなものもない。道は昨日のマウントクックよりも狭いのに、人も車も少ないのでバスは 100キロ以上のスピードで走っている。テ・アナウの町はクィーンズタウン以上に静かでのんびりしていて、すっかり気に入ってしまった。この町もテ・アナウ湖という湖に面していて、その湖も静かで対岸の山の姿を水辺に映している。道路沿いには大きな木が生い茂り、人の数もとても少ない。ここで30分の休憩があったが、湖畔に行って写真を撮っているうちに直ぐ過ぎてしまった。再びバスに乗りミルフォードサウンドへ向かうが、ここからは今までと違い、バスのスピードもやや控えめ。日本の上高地と同じで、だんだん景色の良い所が多くなり写真休憩なども取ってくれる。サザンアルプスの山の中で小さな小川を横切る。ここは河原が大きく開けて眺めの良いところ。モンキークリークという所だそうだ。この川の水は飲めます、と案内があったが、川の水は雪解けで冷たかった。ニュージーランドの水は綺麗で、大体どこの水でも飲むことができる。この川の水は甘い感じがした。ニュージーランドの中でもフィヨルドランドは雨が多い地域で年間降雨量が2000ミリという。マウントクックやフィヨルドランドには水力発電所が多い。ニュージーランドの電気は水力発電が多く風力発電もあるという。そして、湯沸かしも電気で沸かしてタンクに溜めておき、タンクを使い切ると暫く待たないと沸かないそうだ。
バスはディバイト峠という峠を越えて行く。この峠の周辺は雪崩の巣で、今頃の季節は雪崩が多い。ある年などはこの峠が雪崩で塞がれてしまい、この向こう側にいた人達が帰ることができなかったそうだ。今年は雪が少なく雪崩も少ないとのこと。でも、周辺には雪崩の跡が見える。峠を囲む山々が急峻で、どこの斜面から雪崩が起きても不思議ではない地形。峠にはトンネルがあって釜トンネルと同じように手掘りの跡が見える。そして、トンネルを越えると風景も変わってくる。林の中を走るようになり、北八ヶ岳と同じように苔むした倒木などが目立つようになる。山を見渡す展望台で写真停車した時、展望台の直ぐ下に野鳥が来る。バスに乗っていた人間が沢山展望台にいるのに逃げもしない。人間達の方もただ見ているだけで手も出さないし、餌になるものを上げたりもしない。こういう所は欧米の人は良く躾けられていると思う。次の停車は20分くらいで往復できるキャズムクレドウと言う渓谷沿いの小さなトラック。バスを止めるとここにもニュージーランド特有の飛べない鳥が近づいてきて逃げもしないで人間たちの方を見ている。トラックは狭い道が深い樹林の中に続いているが、人が歩く部分だけはきちんと整備されている。雨が多い地域らしく、道は湿っていて崖の所々からは小さく水がしみ出している。一番奥の所はクレドウ川が深く切れ落ち、岩を浸食している様子を橋の上から見ることができる。この渓谷は水量が多く流れも急俊。この渓谷自体は日本の八ヶ岳や上高地と変わらない。でもトラック沿いには背丈が 3?にもなる大きなシダ植物などがあり日本とは違うことを教えてくれる。この駐車場からミルフォードサウンドの船着場までは近い。桟橋が 5つ位あり、我々の乗る船は一番右側。さっきの渓谷へ行った時もそうだったが、僕がふみこを引っ張って一番先に乗るようにする。船は自由席なので早く乗った方が良い席が取れる。船に乗ってから昼食。お昼は簡単なサンドイッチ程度のものと和食のお弁当まで値段が違っていたがJTBの人の勧めに従って和食弁当にしておいた。これが結構ボリュームもあって美味しい幕の内だった。船はミルフォードサウンドの湾内からタスマン海に出て港まで戻って来る 1時間半のコース。港を出るとサザンアルプスの山並みがそのまま海に切れ落ちて、断崖絶壁になっている所を落差のある滝が何本も落ちている。知床半島の遊覧船の規模を大きくしたものだと思えば良い。フィヨルドランドの入口であるディバイト峠を越えてから、曇りがちの天気だったが、この船に乗っている間に細かい雨が降ってきた。湾内の波は静かだが、雨と風でジャンパーを着ないと寒いくらい。船室の窓から見ている方が暖かい。バスに乗っていた日本人ガイドが船にも同乗して日本語の案内をしてくれる。晴れていれば雪を頂いた白い山が海に反射して綺麗なのだろうが今日は残念ながら雨。それでもカメラを抱えた大勢の人でデッキは一杯。タスマン海の近くではシール・ロックという岩があり、その上で昼寝しているアザラシを見ることができる。今日は 2匹いただけだった。船の前の方でイルカだという声がしたが、僕たちは見ることができなかった。タスマン海に出ると波が荒く、船は大きく揺れる。でも、そう長い時間ではない。帰りは反対側の岸辺を進み、スターリング滝という落差のある大きな滝では飛沫を浴びるほど近くまで船が近づく。雨が降った時だけ流れる細い滝でも高さは1000?もの高さから流れている。港に近づくと最後にボーエン滝の大きな流れを見て 1時間半の船の旅も終わり。
バスでクィーンズタウンまで 4時間もかかると思うと嫌になるが距離にすれば 300キロもあるのだ。帰りは同じ道を帰るので案内もなし。テ・アナウ湖では湖畔の草地に座って対岸の山を映す静かな湖面を見ていた。この休憩が終わってからは一路クィーンズタウンへ向かう。通行量が少ないとはいえバスとは思えないほどのスピード。でも、その道のりの半分位は僕も寝ていた。ワカティプ湖が見える頃にはすっかり陽も暮れて、対岸にクィーンズタウンの灯が見えて美しい。でも、その距離はなかなか縮まらない。
結局クィーンズタウンに帰り着いたのは 7時過ぎ。今日の帰りは遅くなると思って今日の夕食は 8時に予約しておいた。鉄板焼きの店「大黒」。今日も日本料理にしなくても良かったのだが、この店は伊勢海老のステーキとビーフステーキと両方付いているのに魅かれたのだ。ホテルから街のモールを冷やかしながら散策。結局、ウールの手織りセーターを 2枚、ふみこと僕の分と買ってしまった。ここまでほぼ予算どおりだったのに、このセーターは予定外だった。「大黒」の鉄板焼は日本人のシェフがテーブルに付いて目の前で焼いてくれる。伊勢海老はとても大きく、ビーフステーキも結構なボリューム。ご飯に味噌汁、その上デザートまで付いて70$(日本円で約5000円)。ニュージーランドも日本と同じ海に囲まれた国なので海産物は豊富。伊勢海老は安くて大きいが、帆立貝は日本からの輸入だそうだ。すっかり満足してホテルへ。明日はオークランドへ出発の日。また荷物詰めに追われてしまった。

1998年 9月24日(木)晴天。
今日の起床は 6時30分。すぐに荷物を出してから食堂へ。卵とフルーツたっぷりの朝食。 7時40分にバスが迎えに来る。何となく去り難い感じ。ニュージーランドは南島の方が魅力的で北島にはあまり魅力を感じない。南島には自然が多く残っているのに、北島は首都ウェリントンやオークランドなど都会のイメージがあるからかもしれない。クィーンズタウンの空港を出発したのは8時40分。クライストチャーチには 1時間で着いてしまう。ここで 2時間もオークランドへ行く飛行機を待たなければならない。ほかの人達はティールームや空港内の売店に行ったが、僕たちは羊を探しに空港の外へ行くことにした。折角ニュージーランドに来ていながら、まだ羊と会っていない。空港のインフォメーションで牧場が近くにあるかどうか聞いたら、とても 2時間では無理とのこと。でも、さっき飛行機が降りる時、羊の姿が見えたので周辺へ行ってみることにした。空港を出て20分も歩かないうちに羊が沢山いて、その姿を写真に納めることができた。羊は臆病で一匹が逃げ出すと皆が一斉に逃げ出してしまう、とどこかのガイドさんが言っていたが、ふみこが近づくと一斉に逃げ出してしまう。観光用の農場は近くになくても、僕たちにはこれで十分。
道路に沿ってもう少し先まで行くと今度は馬がいる。これは人なつこくて、ふみこが近づくと側へ寄って来る。 2頭しかいなかったが、ニュージーランドの農場らしい風景を写真に撮ることができた。空港に戻って来ると出発までには少し時間がある。コークを飲んで一休み。オークランドへ向かう飛行機は12時10分出発。この飛行機は混んでいて、僕たちの隣はニュージーランドの老人だった。 1時間30分の飛行なのに機内で食事が出る。チーズも出たが隣のニュージーランドの人の食べ方は参考になった。あの小さなテーブルの上で上手にナイフやフォークを使うのは、我々日本人が箸の使い方が上手なのと同じこと。
オークランド到着は13時30分。またお決まりの市内観光。今日のガイドさんは中野さんという綺麗な人。ちょっと中山美穂系だった。最初に行ったのはマウント・イーデン。市内を見下ろせる高台でオークランドのシンボル、スカイタワーが遠くに見える。中野さんに明日のオプショナルを申し込まなかったものだから、明日のことを心配される。市内をフリーで見て回ると言ったら、その後の案内では明日の見所などを教えてくれた。
ケリータールトンアンダーウォーターワールドは道路の下に作られた水族館だが、南極探検の母港であることから南極関連のものも展示してある。ペンギンの生態を見るのには雪上車を模した車で一周する。降りた所がシーパラダイスのような水族館で、道路の下にこのような施設を作ったのには感心する。外に出ると道路のすぐ隣はミッション湾の海が広がっている。パーネル通りを通ってデューティーフリーに寄り、ホテルへ。今日のホテルはシェラトンオークランド。高級ホテルだが市内の中心部からちょっと離れた高台にある。でも部屋は 247号室で眺めは良くなかった。
市内へは下って行けば良いので、明るいうちに街に出る。市内の中心街クィーン通りはすぐ側だが、フェリーターミナルのある中心部までは20分位歩かなければならない。早速、デューティーフリーやアオテアなどを見て回る。買いたいものの目星を付けただけで買い物は明日にする。フェリーターミナルで海を見ているうちに夕食の時間。今日の夕食はカーマデックというレストラン。店は 2階に見えているのに入口が分からず探してしまった。この店は海辺に面したシーフードの店で、店内も綺麗。ふみこはサーモン、僕はステーキを食べる。十分満足してホテルへ。帰りはタクシーを使ったが 6$ほどだった。

1998年 9月25日(金)晴天。
もう来てしまった旅の最終日。この日を大事に使うためにフリータイムにしておいた。ゆっくり起きて朝食。今日もバイキングだが、品数が多い。朝はのんびりしているので歩いて市内へ。クィーンズ通りにはスーパーもあるしルイヴィトンなどの有名店もある。まずはフェリーターミナルからフェリーに乗って対岸のデボンポートへ向かう。往復キップをReturnと言う。フェリーの売店でデボンポートの地図を貰おうと英語を操っていると、売店の女の人が日本人だった。親切に街の見所などを教えてくれたので助かった。フェリーは割りと大きな綺麗な船。港を出るとオークランドのスカイタワーやハーバーブリッジが良く見えてくる。20分ほどの船の旅で、日本人は誰も乗っていない。こういう方が外国旅行という感じがする。フェリーのデッキで遠去かるオークランドを見ていると、ショートカットでザックを背負った若い女の子が一人でデッキに座っていた。この女の子とは帰りのフェリーまで一緒だった。デボンポートの街は、ノースショアと呼ばれた昔の面影を残す静かな街。何となく南島の街に似ている。特にオークランドの雑踏から来たから余計そう思うのかもしれない。
街の商店街を歩いてマウントビクトアと呼ばれる小高い丘を目指す。ここが街や海を見渡せるとても良い場所だと、売店の日本人の女の人が教えてくれたのだ。途中の商店でセブンアップのペットボトルを買い、持って行く。住宅街を抜けるとすぐに急な坂道になりどんどん高度を上げて行く。ちょっと登っただけでフェリー乗り場が見えて来る。山は全体が緑の芝生のような背丈の低い草に覆われ気持ち良い。草地の所々には子供たちが段ボールを滑り台にして遊んだらしい跡がある。道は山をぐるりと回るようにして山頂に続いている。山頂は大きな広場になっていて、ここも草に覆われている。ここからは対岸のオークランドは勿論、ランギトト島が海にぽっかりと浮いているのが良く見える。目を下に転じれば、デボンポートの静かな住宅街が並んでいる。この山頂で一休みしていると、さっきフェリーに乗っていた女の子が、やっぱりここに来ている。しばらくここで休んでから下山。帰りの街の中では不動産屋がいくつか目に入る。写真付きで展示してあるので良く判るが、結構洒落た住宅でも 1,000万円も出せば手に入る。と言っても、永住権を取るのが大変だが。帰りのフェリーは来る時よりも更に空いていた。このフェリーでも、あの女の子と一緒だった。
オークランドに着くと、直ぐデューティフリーで買い物。いろいろ見て回ったあげく、ネクタイ、ハンドバック、時計など 700$以上も買い物をしてしまった。今回は僕たち二人だけのものを買うように心掛けた。ハワイの時は荷物が多すぎて大変だったから。買い物が終わると 1時過ぎ。向かいのビルにマクドナルドの看板があるので今日のお昼はマックにする。広いマックだったが、結構混んでいる。カウンターで下のフェリーターミナルを見ながら食事。お年寄りや家族連れなど、日本のスーパーと同じ光景だった。ここからタクシーでミュージアムへ。パーネル通りを通ってオークランド大学の前を歩きホテルに帰って来たのは 4時近かった。ホテルでシャワーを浴びて一休みした後、再び街へ出る。
今度はシェラトンホテルの無料送迎バス。バスと言っても 8人乗れば一杯になってしまう。やはり乗れない人がいたが僕たちは早めに行って大正解だった。今日の夕食は、ニュージーランドの美味しい海産物の食べ納めということで生物を食べることにした。生物なら日本のお寿司に勝るものはない。寿司バー有明は、デューティフリーの前にあるJTBのトラベルデスクの女の子が教えてくれた店。ビールでお刺し身を食べてから握りを注文。皆新鮮で美味しかったが、値段はミールクーポンで食べるよりも高くついてしまった。食後の散歩にスカイタワーへ。もう 8時を回っているのに結構混んでいる。スカイタワーの展望台まではエレベーターで30$。この展望台には無線のガイドがあって、小さな受信機を耳に当てて回廊を回ることができる。この案内は各国語で流れていて日本語の案内もあった。回廊の途中の床には何箇所かガラス張りの所があって、真下の街を見下ろすことができる。安全とはいえ、この上に立つのは怖い。でも展望台からの夜景は美しかった。帰りにデカというスーパーマーケットに寄ってクッキーの買い物。もう閉店間際だったが結構人がいた。ダウンタウンからホテルまではホテルの送迎バス。これを待つのがデューティフリー前だが、ヨーロッパの街角と違って誰かに襲われるような心配はない。ニュージーランドはそういう治安の良い所だ。
ニュージーランド最後の夜は荷物整理に追われる。シャワーを浴びてゆったりしたのは11時過ぎ。でも、旅の終わりの感傷に浸りながらニュージーランドの夜は更けていった。

1998年 9月26日(土)晴天。
帰国の日の朝も晴天だった。すぐに荷物を整理して廊下に出す。手荷物だけ残して朝食へ。豪華な朝食も今日でしばらくの間、お別れ。毎日こんな朝食を取っていたら太ってしまう。バスは 9時にホテルを出発。ホテルの清算をしたらニュージーランドドルで残ったのは硬貨で 6$程度だった。空港で荷物の確認をして出国手続き。空港の免税店でロブスターの大きいのを1尾買う。ここは日本円で買うことができた。NZ99便は11時30分にテイクオフ。帰りの席は窓側だった。

来る前はカナダよりも気乗りしなかったのに、帰りはもっとこの国に留まりたい気分。勝手な考えだと思うけれど、それだけニュージーランドが良かったのも事実。特に南島のクライストチャーチが気に入ってしまった。クライストチャーチ空港の周りを歩いた時、キャンピングカーのレンタカーが沢山あった。もし、今度来ることがあったら、一番安いツアーにして現地であれを借りよう。そして、マウントクックやテ・アナウ湖、ミルフォードサウンドへ出掛けたらもっともっと楽しい旅が出来るに違いない。見てきた所でももっと長く居たかった所が沢山ある。見ていない所にも、もっともっと良い所が沢山あるに違いない。でも、僕ももう50才。お金が溜まって、もう一度海外に出掛ける時に、まだ行ったことのない国とニュージーランドとどちらを選ぶだろうか。

成田到着は19時丁度。スーツケースは成田から宅急便で送ることにして、帰りの電車は手荷物だけ。成田エキスプレスは20時45分の新宿行きに乗ることができた。新宿乗換え22時31分。自宅に帰り着いたのは深夜になっていたけれど、ツアー疲れを取るには成田周辺のホテルよりも自宅の方が良い。特にふみこは久しぶりの海外で疲れがたまったようだ。
また行きたい海外旅行。今度行く時こそカナダへ行って、ニュージーランドの自然と比べてみたい。

同行者
カップル・夫婦
一人あたり費用
20万円 - 25万円
交通手段
観光バス 自転車
航空会社
ニュージーランド航空

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  • サイン・オフ・ザ・タカヘというレストランだが、高台にあるため市内を見下ろすことができる。庭も広くて美しい。

    サイン・オフ・ザ・タカヘというレストランだが、高台にあるため市内を見下ろすことができる。庭も広くて美しい。

  • クライストチャーチの大聖堂。ゴシック様式で街の中心。

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  • テカポ湖からサザンアルプスの遠望

    テカポ湖からサザンアルプスの遠望

  • 良き羊飼いの教会。テカポ湖の湖畔に建つ小さな教会だが、こうした風景に良く似合う。<br />教会の内部に入ると、そこの窓から湖とサザンアルプスが美しく見える。

    良き羊飼いの教会。テカポ湖の湖畔に建つ小さな教会だが、こうした風景に良く似合う。
    教会の内部に入ると、そこの窓から湖とサザンアルプスが美しく見える。

  • マウントクックから小型機に乗って氷河観光。飛行機はこうして氷河の上に降り立つ。

    マウントクックから小型機に乗って氷河観光。飛行機はこうして氷河の上に降り立つ。

  • たそがれのワカティプ湖。<br />クイーンズタウンに面した美しい湖。

    たそがれのワカティプ湖。
    クイーンズタウンに面した美しい湖。

  • 蒸気船アローン号。<br />ホテルの窓から美しい風景が見える。

    蒸気船アローン号。
    ホテルの窓から美しい風景が見える。

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