2011/09/09 - 2011/09/13
106位(同エリア150件中)
銀の匙さん
モスクワから日帰りで「黄金の環」のウラジミル、スズダリを見物しようという無謀な計画も、何とかスズダリまでは順調に消化し、まだ時間は午後の1時過ぎ。
とはいえ、メインストリートであるレーニン通りを歩いていると常に野犬につけ回されるのに困り果て(少なくとも6匹は見た…)、田園風景を楽しむのもそこそこに、早くウラジミルに帰ろう!と言い出すヘタレな私。
せっかく来たのに、とムッとする連れを横目に、帰りのバス停を探してウロウロ…。
そうなんですよ!私たちは、帰りのバス停の場所を知らないのです…。
前後の旅行記はこちらをご覧下さい
旅の準備-モスクワ編
(https://ssl.4travel.jp/tcs/t/editalbum/edit/10602778/)
モスクワ-ウラジミールへの特急サプサン号編
(http://4travel.jp/traveler/silverspoons/album/10604667/)
ウラジミール~スズダリ編
(https://ssl.4travel.jp/tcs/t/editalbum/edit/10605205/)
ペトロザヴォーツク~キジ島編
(http://4travel.jp/traveler/silverspoons/album/10606123/)
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
朝来るときにバス停で見た時刻表だと、ウラジミール−スズダリは1時間に2本くらいにしかバスがありませんでした。つまり、一回逃すとあと30分は来ない。
手元の便図には当然バス停の表示などはないばかりか、非常に曖昧な位置に「→バスターミナルへ」と書いてあるだけ。全然当てになりません。
次を逃したら大変です。「来たとき、この通りを通ったよ…!」という私の主張に基づき、レーニン通りでバスを待ってみることに。
しかし、バスの絵の看板が出ているベンチの周りには、時刻表らしきものはありません。
あっ、前から白いバスが!…と思ったら市内バスだったし。もういいや、歩こう…と、バス停から離れた途端に脇をバスが通過。窓の下にはキリル文字で「ウラジミール−スーズダリ」と書いてありました。ああ…
きっと市内を巡回して戻ってくるよ、ここで待とう、と連れが言うので、座ってはみたものの、10分経っても20分経ってもバスは来ません。
通りの、私たちの座ってる側には人っ子ひとり通りません。向かいには時折、かばんを下げた通学帰りの小学生が通りかかります。モンゴル人っぽく見える、お下げ髪のアジア系の子もいました。
でも、人は少ないのに車は多い道なので、道を渡ってすぐ戻れるとはとても思えず、声は掛けられずじまい。
だんだん無口に、そして不機嫌になる私たち。
とうとう40分が経過し、私は決意しました。次に来るバスが市内バスでも、とにかく止まってもらって運転士さんに聞こう!
と、何となく窓辺に「ウラジミール」と書いてあるっぽいバスが通りかかりました。連れが止めるのも聞かず飛び乗ります。連れもしょうがなく、乗り込んできました。 -
バスの中を見ると、全体がホコリっぽく、シートはベンチ式だし野菜カゴを持って載ってるおばさんがいるし、どうみても長距離バスではありません。しまった…と思いつつも、運転士さんに聞いてみます。
「ウラジミール?」
まだ2,30代とおぼしき運転士さんは、一瞬えっ?という顔をしたものの、まあ乗れ、という感じで手招きしました。50ルーブル札を差し出すと、首をふります。持ってた小銭をありったけ手の平に乗せて出すと、ちょいちょいと選んで取って、バスは発車しました。
しばらく行くと並木道を抜け、平原の中に入っていきます。不安になったころ、バスはプレハブ小屋の前の広場に止まりました。朝、通りかかったところです。
ウラジミルは、バスを乗り換えるんだよ、あの小屋で切符を買いなさい、と運転士さんは手振りを交えつつ教えてくれ、私たちは感謝してバスを降りました。
以前、大阪で、おばちゃんが外人さんから英語で話し掛けられたにも関わらず、ゆっくりしゃべれば分かるとばかり、「ほんでな、ここをな、まーっすぐ行ってな…」という調子で、大阪弁で返事しているのを見たことがあります。
そのときは、通じる訳ないのに、大阪のおばちゃんはやっぱり面白いな、としか思っていませんでした。でも、今は知っています。
あのおばちゃんの態度こそ、最適解だということを。
プレハブの中は臨時の切符売り場になっていて、ぎゅうぎゅう詰めです。時刻表を見ると2時にウラジミール行きがありましたが、到底間に合いません。と、順番が来て切符をもらったら、2時20分発になっていました。2時台は本数が多いようです。
簡易施設とはいえ、トイレもキオスクもあったので助かりました。
行きと同じ運転士さんのバスで、ウラジミールに戻ります。車窓には、どこまでも続く平原、そしていくつもの教会の屋根が過ぎていきます。
ピサの斜塔のように斜めに傾いたビルが次々と目に入るようになると、ウラジミールへ到着です。時間はまだ3時を少し回ったところ。ほっとしました。
長距離バス停を出て建物を振り返ると、朝は気づかなかった看板が目にとまりました。お昼食べたすいとんと似ています。
文字はアルファベットの「P」にあたる、「π」から始まっています。読んでみると、PELIMENI…ペリメニです。 -
こんなにギリギリになっても、まだ何とかして、ウラジミール郊外のポクロヴァ・ナ・ネルリ教会に行きたい…という野望が捨て切れませんでしたが、バス乗り場もバスの時刻も全然分からない現状では無謀過ぎると気が付いて、さすがに諦めました。
手元には、スズダリ以上に簡単なウラジミールの便図しかありません。鉄道駅さえ地図にないので、適当にバスで来た道を戻ってみようか…と思っていたら、頭の上の方から教会の鐘の音が聞こえてきました。
見ると、はるか上の方に、教会の金色の屋根が見えます。行き方は分かりませんが…取りあえず、見える通りに行ってみましょう。 -
長距離バス停の建物に向かって左側に、舗装されていない坂道が見えました。どうやら上まで通じているようです。途中から道なき道を行くような感じでしたが、10分もせずに、丘を回っているらしい舗装された道路に出ました。
しかし、目指す教会は丘のかなり上で、教会を巡る歩道にはパノラマを楽しんでいるらしい人影が見えます。連れはいきなり、丘の斜面をこのまま登ろう、と言いだしました。確かに上れなくはないですが、かなり、急なんですけど…
最後はほとんどロッククライミング状態で何とか歩道の場所まで来ると、下を見ていた人たちが呆れたように笑っていました。舗装道路を指さして、回ってくればいいのに…といった身振りです。
たどりついた教会は修道院の中の建物だったらしく、中庭に入れてはもらえましたが、建物は閉まっていました。
中庭にはウラジミール近辺の教会、修道院の修復の様子などを示した写真を貼り付けた展示があり、プーチン首相が訪問したときのものらしい写真も麗々しく掲げられていました。
尾根づたいに歩いていくと、綺麗に整備された公園の脇に出ました。視界が開けると、前方に美しい建物が見えてきました。 -
後から調べたところによれば、これはドミートリエフスキー聖堂のファサード。近づいてみると、具象のレリーフが施されていることがわかります。
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イタリアやフランスに残る、ロマネスク様式の意匠に似ています。
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と、上ばかり眺めて歩いていると、
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足元をネコが通り過ぎました。イヌの次はネコに付きまとわれる私たち。ストーカーを呼ぶ体質なのでしょうか。
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このにゃんこ、近くまでよっても全然怖がりません。よく人に慣れています。この、丘の上の公園は、観光客や結婚の記念写真を撮る人が多く、中にはエサを上げるひともいるのかも知れません。
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ついてこい、という風情なので、おとなしく従います。
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ネコにひかれてウラジミール参り。
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建物の後ろに、別の教会が見えてきました。
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近づくと、なかなか立派な教会です。ウスペンスキー大聖堂だそうです。
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青空の下の教会も綺麗なのですが、曇り空の下では、黄金の屋根がいっそう神秘的に映える気がします。
長い冬の間も美しくみえるようにとの配慮なのでしょうか。 -
さて、ネコが止まった場所からは、眼下の鉄道から、さらに遠くまで見渡せる、大パノラマが広がっていました。ゴミゴミした駅前の喧噪を離れ、風が吹き抜ける心地の良い場所です。
ここでピクニックなどしたら、さぞかし気持ちが良いことでしょう。 -
上から見ると、駅までかなり距離がありそうだったので、少し余裕を見て、駅へ戻ることにしました。先ほどクライミングしてきた場所は、今回は道路を回って行きましたが、それほど遠くはなく、途中からバス停の脇に降りる道を使って、駅まで15分かかりませんでした。
降りるときに分かったのですが、長距離バス停の建物の2階に上がり、バスが止まっている脇を抜けて坂を上がっていくのが一番近く、かつ、上がりやすいようです。
帰りの列車には余裕で間に合い、定刻通りにウラジミール駅を後にしました。終点のモスクワ・クールスカヤ駅で行った駅ビルのことは、前の旅行記にまとめて記しました(http://4travel.jp/traveler/silverspoons/album/10602778/)ので、よろしければそちらもどうぞ。
モスクワで慌ただしく過ごした後は、いよいよ今回のメインイベント、寝台列車とキジ島の旅になります。そちらはまた、ペトロザヴォーツク〜キジ島の旅行記にて!
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