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ブータンのガイドブックの表紙を飾るくらい代表的なお寺。パロの北に位置し、断崖に立っています。8世紀グル・リンポチェは寅に乗って断崖に降り立ったと言われており、聖地とされました。馬で途中まで登れるのですが、自分の足で登りたいと断って4人で急な坂道を登り始めました。ウゲンおじさんにお弁当を持たせてもらい、タシとリンツエンはお弁当とサンドイッチ、水、果物好きの私のためにマンゴーを、イシェは供物のバターランプ4kgとドマ(僧がたしなむ噛みタバコ、苦い。赤い汁とつばを一緒に吐き出す)を背負って登る。今日は私もリュックは自分で背負います。<br /> <br />谷を挟んでお堂が間近に見えるところに、バターランプで願掛けをするところがありました。年老いた僧が護っています。何百という小さな素焼きのお皿にバターが入っています。タシが、「何かお祈りしながら5つのバターランプに火をともしてね」と言ったので、順に火をともしましたが、心落ち着くひと時でした。イシェが背負ってきたバターランプはここに納めました。ドマもこの老僧に渡しました。<br />迷路のような複合的なお寺に、多くのブータンの人たちがお参りに来ていました。タシとリンツエンはお堂に入る前にキラに着替えました。お寺には正装で入るものなのでした。私には山登りでも、彼らには信仰の行為なのです。<br /><br />生後1ヶ月の赤ちゃんが両親に抱かれて登ってきていました。丸々太った赤ちゃんで、私たちに順繰りにだっこされてもにこにこしています。「まあ、この歳でここに来れるなんてラッキーな子ね」と、私はその時の彼らの会話を想像できました。<br /><br />参道は多文化多言語で国際色豊かでした。オーストラリア、シンガポール、タイ、韓国、その他欧米系。ネパール、インド、バングラデシュの人たちは私には区別がつきませんが、どの国の人もいたと思います。ブータンはインド、バングラデシュにはビザなしの観光旅行を認めており、陸路で車持込OKでガイド、ドライバーも雇わずに来れますので、この時期酷暑のインドから避暑感覚でブータン旅行を楽しむインド系の人たちには多く出会いました。<br /><br />参拝は朝!とは、仏教系の人には共通なのでしょうか? 午後下山中にはもうブータンの人たちは殆どいませんでした。出会ったのは、インド系の人たちが多かったように思います。2時間半もかかるとは知らないのでしょう、ふうふう言いながら登ってくる人たちが多かったです。「あとどれくらいかかる?」と聞かれるので、タシやリンツエンは「1時間くらいよ。がんばって」、「20分くらいよ、あと少しよ」と勇気付けました。出会う人に向かってそれぞれ伝える所要時間がちがうなあと思っていたら、2人がゾンカ語でくすくす笑いながら話すのです。私まで笑い出したので、「励ましの言葉が一番よ。あと5分も登ればお寺が見えるからね」とタシ。1週間もブータンにいると彼らが話すゾンカの中に少しでも英単語が入ると、何となく会話を想像できるようになったのが嬉しかったです。フィリピンの人たちがタガログで話していても、ちょっとした単語で内容の想像がつく楽しさと同じです。<br /><br />インドから来たあるグループには、幼稚園くらいの子どもと小学校低学年くらいの子どもがいました。下の子はもう1歩も歩けない様子でへばっていて、家族がなだめても難しそうです。食べ物も飲み物も持たず軽装で上がってきたようです。タシとリンツエンは、すぐさまお弁当の残りのサンドイッチとケーキをすべて彼らに振舞いました。その子はチーズサンドをほおばり、親から促されてはにかみながら「Thank you」といいました。<br /><br />普段の友だちの会話から、ブータンは大国インドから経済的に援助を受けており、立場的にはちょっと弱い感じ。しかしプライドがあるのでしょう、大挙して押しかけてくる彼らにネガティヴなイメージを持っていることを察知していました。そんなことには関係なく今困っている人たちに必要なものを分け与える彼らの自然な態度に尊敬しました。果たして自分にできるのだろうかと。<br /><br />「あなたたちは神が使わした人たちだと言ってたよ。神様だって。」とくすっとあとで笑っていました。<br /><br />どのお寺でもブータンの人はお参りがすむとさっさと席を立つのですが、私は何かを祈らないものの、ご本尊と対面してお顔をよくみたいのと、表情を読みとりたいと思うので、しばらく座っていたい気持ちでした。お寺の中は薄暗くバターランプの香りが染み付いていますが、とても平和でいつでももう少し見ていたい、座っていたいという気持ちになりました。<br /><br />●つづきは<br />http://4travel.jp/traveler/scomitcheese/album/10767723/

ブータン⑥~タクツアン

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2009/05/24 - 2009/05/24

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scomitcheese

scomitcheeseさん

ブータンのガイドブックの表紙を飾るくらい代表的なお寺。パロの北に位置し、断崖に立っています。8世紀グル・リンポチェは寅に乗って断崖に降り立ったと言われており、聖地とされました。馬で途中まで登れるのですが、自分の足で登りたいと断って4人で急な坂道を登り始めました。ウゲンおじさんにお弁当を持たせてもらい、タシとリンツエンはお弁当とサンドイッチ、水、果物好きの私のためにマンゴーを、イシェは供物のバターランプ4kgとドマ(僧がたしなむ噛みタバコ、苦い。赤い汁とつばを一緒に吐き出す)を背負って登る。今日は私もリュックは自分で背負います。
 
谷を挟んでお堂が間近に見えるところに、バターランプで願掛けをするところがありました。年老いた僧が護っています。何百という小さな素焼きのお皿にバターが入っています。タシが、「何かお祈りしながら5つのバターランプに火をともしてね」と言ったので、順に火をともしましたが、心落ち着くひと時でした。イシェが背負ってきたバターランプはここに納めました。ドマもこの老僧に渡しました。
迷路のような複合的なお寺に、多くのブータンの人たちがお参りに来ていました。タシとリンツエンはお堂に入る前にキラに着替えました。お寺には正装で入るものなのでした。私には山登りでも、彼らには信仰の行為なのです。

生後1ヶ月の赤ちゃんが両親に抱かれて登ってきていました。丸々太った赤ちゃんで、私たちに順繰りにだっこされてもにこにこしています。「まあ、この歳でここに来れるなんてラッキーな子ね」と、私はその時の彼らの会話を想像できました。

参道は多文化多言語で国際色豊かでした。オーストラリア、シンガポール、タイ、韓国、その他欧米系。ネパール、インド、バングラデシュの人たちは私には区別がつきませんが、どの国の人もいたと思います。ブータンはインド、バングラデシュにはビザなしの観光旅行を認めており、陸路で車持込OKでガイド、ドライバーも雇わずに来れますので、この時期酷暑のインドから避暑感覚でブータン旅行を楽しむインド系の人たちには多く出会いました。

参拝は朝!とは、仏教系の人には共通なのでしょうか? 午後下山中にはもうブータンの人たちは殆どいませんでした。出会ったのは、インド系の人たちが多かったように思います。2時間半もかかるとは知らないのでしょう、ふうふう言いながら登ってくる人たちが多かったです。「あとどれくらいかかる?」と聞かれるので、タシやリンツエンは「1時間くらいよ。がんばって」、「20分くらいよ、あと少しよ」と勇気付けました。出会う人に向かってそれぞれ伝える所要時間がちがうなあと思っていたら、2人がゾンカ語でくすくす笑いながら話すのです。私まで笑い出したので、「励ましの言葉が一番よ。あと5分も登ればお寺が見えるからね」とタシ。1週間もブータンにいると彼らが話すゾンカの中に少しでも英単語が入ると、何となく会話を想像できるようになったのが嬉しかったです。フィリピンの人たちがタガログで話していても、ちょっとした単語で内容の想像がつく楽しさと同じです。

インドから来たあるグループには、幼稚園くらいの子どもと小学校低学年くらいの子どもがいました。下の子はもう1歩も歩けない様子でへばっていて、家族がなだめても難しそうです。食べ物も飲み物も持たず軽装で上がってきたようです。タシとリンツエンは、すぐさまお弁当の残りのサンドイッチとケーキをすべて彼らに振舞いました。その子はチーズサンドをほおばり、親から促されてはにかみながら「Thank you」といいました。

普段の友だちの会話から、ブータンは大国インドから経済的に援助を受けており、立場的にはちょっと弱い感じ。しかしプライドがあるのでしょう、大挙して押しかけてくる彼らにネガティヴなイメージを持っていることを察知していました。そんなことには関係なく今困っている人たちに必要なものを分け与える彼らの自然な態度に尊敬しました。果たして自分にできるのだろうかと。

「あなたたちは神が使わした人たちだと言ってたよ。神様だって。」とくすっとあとで笑っていました。

どのお寺でもブータンの人はお参りがすむとさっさと席を立つのですが、私は何かを祈らないものの、ご本尊と対面してお顔をよくみたいのと、表情を読みとりたいと思うので、しばらく座っていたい気持ちでした。お寺の中は薄暗くバターランプの香りが染み付いていますが、とても平和でいつでももう少し見ていたい、座っていたいという気持ちになりました。

●つづきは
http://4travel.jp/traveler/scomitcheese/album/10767723/

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通
4.0
同行者
一人旅
交通手段
タクシー
旅行の手配内容
個別手配
  • え〜〜あそこまで登るの?<br />立ちはだかる断崖とお寺

    え〜〜あそこまで登るの?
    立ちはだかる断崖とお寺

  • まるで宝満山の100段ガンギを登るくらいの急な坂ですが、林の間から垣間見えるタクツアンがだんだん大きくなっていくので、嬉しいばかり。

    まるで宝満山の100段ガンギを登るくらいの急な坂ですが、林の間から垣間見えるタクツアンがだんだん大きくなっていくので、嬉しいばかり。

  • 休むと息切れがするので、3人にはマイペースで登ることを了解してもらい、ひたすら登りました。すぐにクライマーズハイになりましたから、快調でした。

    休むと息切れがするので、3人にはマイペースで登ることを了解してもらい、ひたすら登りました。すぐにクライマーズハイになりましたから、快調でした。

  • 稜線にでたところで後の人を待つくらい余裕がありました。1時間40分で到着したのは、驚異的だそうです。

    稜線にでたところで後の人を待つくらい余裕がありました。1時間40分で到着したのは、驚異的だそうです。

  • 切り立った断崖に目がくらみます

    切り立った断崖に目がくらみます

  • これから先は、カメラもだめ。

    これから先は、カメラもだめ。

  • 旅行から4年もたっていますが、いまだビビッドな思い出です。

    旅行から4年もたっていますが、いまだビビッドな思い出です。

  • 登山口にある、男性器をかたどった水の蛇口。<br />繁栄を示し、いろんなところに書いてあるので、ぎょっとします。<br /><br />●旅の行程はこちら<br />http://4travel.jp/traveler/scomitcheese/album/10767723/

    登山口にある、男性器をかたどった水の蛇口。
    繁栄を示し、いろんなところに書いてあるので、ぎょっとします。

    ●旅の行程はこちら
    http://4travel.jp/traveler/scomitcheese/album/10767723/

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