2007/07/01 - 2007/07/01
782位(同エリア928件中)
まゆままさん
吹田市にある旧西尾家住宅(吹田文化創造交流館)へ見学に。
一昨年前くらいから内部見学することができるようになり、ボランティアガイドさんが案内してくれるという。(無料)
近場でもあるので行ってみました~
旧西尾家は江戸時代初めから皇室に米を納める仙洞御料庄屋を代々務めてきた。
風格のある主屋、武田五一設計による和洋折衷の離れや茶の湯の意匠・茶庭が一体となった住宅で建築や文化に対する新しい考え方を取り入れた住宅。
吹田では他にも江戸時代の旧庄屋屋敷を再生した吹田歴史文化まちづくりセンター(浜屋敷)を中心にこの界隈には歴史的な文化資源がたくさんあるようです。
吹田のまち歩きの案内を引き受けてくれるという「吹田まち案内人」という組織もあり
伝統的な街並み、歴史ある庄屋屋敷、由緒ある神社・寺院、ため池、緑地、工場見学などを絡めたいくつかのコースを説明付で案内してもらえる。(案内人一人につき交通費相当の1000円要)
http://www.sutv.zaq.ne.jp/ckbni208/poster81.html
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
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吹田市内本町の西尾邸の門構え。
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主屋。
門を入っていくとボランティアガイドさんが待ち構えていてお屋敷の中に招き入れられる。
私たち家族の他は誰もおらずガイドさんもつききりで約1時間ほどかけて案内していただけた。 -
こちらは旧西尾家の模型。
千四百坪の敷地の中に長屋門、主屋、離れ、茶室、献上蔵、露地、温室、プールなどがあり、いずれの建物も明治から昭和初期にかけて建てられた。 -
入り口を入ってすぐ右手案内された部屋は計り部屋。
献上米の計りや検査などが行われた部屋。
ここから天井裏へ荷物を運び入れた。
江戸時代からの古い梁がそのまま残っている。 -
計り部屋の床は珍しい煉瓦貼り。
当時岸和田で作られていた煉瓦を使用し、矢筈貼りという貼り方で貼られたのだそう。 -
勘定の間
当主の執務室や書斎として設けられた部屋。
上層農民の格式を伝える象徴的部屋と言える。
棚に描かれた絵は江戸時代のもの。 -
電気がまだ通ってなかった頃に使われていた明かりをつるす所。
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玄関の間
武士など、身分的上位者や賓客を迎えるための部屋。 -
玄関の間の入り口。玄関の間へは一段低くなった式台と呼ばれる板敷から入室した。
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主屋の大座敷のある部屋を外から。
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明治の画家、上田耕甫が描いた富士山の襖絵。
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来客にお茶を入れるために炉が切ってある部屋。
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富士山を描いた上田耕甫の父、耕沖が描いた花の絵。
はっきりとした色彩のまま残っている。 -
水屋
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主屋の主客室の廊下。
武田五一により元あった廊下が更に外へ出された。 -
大正時代の面取りカットガラス。
手づくりなのでガラスを通して外の景色を見るとかすかなゆがみがあったりで趣深いガラス。
もう今では作ることができないのだそう。 -
ガラスを守る為に木の枠だけ取り替えられた窓。
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この廊下の天井には13mの杉の木の1本柱が使われている。
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この花の金具は釘隠しといって釘を隠す為のもの。
桂離宮と同じものが使われている。 -
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床の間に飾ってあった鐘のようなもの。
日時計とのこと。 -
欅の一枚板の床の間。
この板一枚だけで相当価値のあるものらしい・・ -
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牡蠣の貝殻をつぶして粉にし、ニカワを混ぜて描いた菊の花の描かれた欄間。
なるほど立体感と光沢がある・・ -
12代西尾興右衛門と深い親交があった植物分類学者、牧野富太郎直筆の掛け軸。
当家にも度々訪れていた。 -
同じ欄間でも部屋によって趣向が色々凝らされている。
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12代の奥様が持ってきた長持ち。
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北側にある家族の部屋。
夭折の天才音楽家、貴志康一が誕生した部屋でもある。 -
明治時代からの蔵。
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電話室
西尾家は吹田で一番最初に電話が敷設された。
(ちなみに二番はアサヒビール)
当初物入れとして使用されていた部屋を電話室に改装。
建物は明治28年に建築されていることから電話の敷設はそれ以降ということで吹田の電話の普及時期を考証する上で重要な資料となっている。 -
建設された当時のこの屋敷の見取り図。
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西尾家ゆかりの調度品
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向こう側からも開けれる両開きの棚になっていて料理など配膳してきたものを向こう側から取り出せるようになっている。
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調理室
武田五一がデザインしたという3台の調理台が。 -
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吹田で電気が初めて通されたのもこの西尾家。
大理石でできている配電盤。
これほど大きな配電盤が民家に残されている例は稀で近代文化遺産として貴重なものだそう。 -
西尾家の家紋、三階菱が入れられた物入れ。
中にはちょうちんが仕舞われている。 -
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奈良の般若寺の石灯篭を模したもの。
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宇治の平等院の石灯篭を模したもの。
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鞍馬から持ってきた石をくりぬいて作った。
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お茶室へと続く露地。
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お茶室の待合は桂離宮にある卍亭の写しと言われ、四腰掛と宝形屋根、卍型に配された腰掛などはほぼ同じだが
桟瓦葺にしてガラス窓をはめているなど工夫がみられる。
卍型に配された腰掛は知らない者同士が相席になっても視線がぶつからないようにという工夫だそう。 -
お茶室は京都薮内流の茶室、燕庵の写し積翠庵、雲脚の写し、の二つがあるが
離れて造られているのを当家は水屋を介して巧みに結合させ一棟としている。 -
西尾家にゆかりのあった植物学者、牧野富太郎がすえこ夫人の冥福を祈って新種の笹に命名したというスエコザサ。
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植物学者、牧野富太郎により命名された「吹田クワイ」はかつて大坂の名物とされ京都御所に献上されていた。
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防火水槽として造られたもの。
プールとして地域に開放されていた時期もあった。 -
こちらは温室の土台部分。
地下にボイラーを備え、鉄管を巡らし温水を循環させる本格的な温室だった。
第二次世界大戦時にガラスの反射が爆撃の標的になるということで屋根が撤去された。
当家に親交のあった牧野富太郎の指導があった温室と言われる。 -
西尾邸の離れへ、
離れは武田五一の設計で和洋折衷の造りとなっている。
ここは洋風棟の北にあるビリヤード室。
ビリヤード台は当時のものではない。 -
ビリヤード室の天井はベニヤ板の格間の広い格天井。
周りの壁は白漆喰壁に腰板を張った簡素な造り。 -
床は寄木造りで造られ、各部屋とも寄木の模様が違っている。
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こちらは南にある応接室。
サンルームが設けられている。 -
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天気が曇りだったのでステンドグラスがきれいに写ってないが武田五一デザインの花鳥をモチーフとしたアールヌーヴォー風の出窓のステンドグラス。
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サンルームへ出る扉上部のステンドグラス。
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サンルームは数奇屋風の和の造り。
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武田五一のデザインした家具。
コーナーにぴったりとおさまるように三角形の形になっている。 -
応接室の照明はセセッション風だそう。
武田五一はヨーロッパ留学中に当時流行していたアールヌーヴォーをはじめとする西欧の建築デザインを吸収しこのように日本で本格的に展開していた。 -
西尾家11代の肖像画。
この11代の孫が天才音楽家、貴志康一。 -
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応接室には暖炉が設けられている。
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サンルームのある応接室の外観。
内装は洋風だが西尾家の主屋などと全体的な調和を保つ為に外観は和風の造りとなっている。 -
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離れの洋風棟と和風棟を結ぶ廊下は船底天井といって船底のようにカーブしている。
廊下の先の見通しをよくするためだそう。
小雨がパラつく中、千四百坪のお屋敷をくまなく案内していただけとても満足のゆく見学でした。
この後、歩いて10分ほどのところにある浜屋敷へ寄って帰る。
浜屋敷では時々子供向けのイベントもやってるようなので又チェックして行ってみたいです。
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この旅行記へのコメント (3)
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- wiz さん 2007/07/16 22:24:02
- セセッション
- セセッションも同じ新芸術アール・ヌーヴォーの意だけれど、
植物模様や流れるような曲線のパリやベルギーのアール・ヌーヴォーと
ウィーンのセセッションを見比べると
ウィーンのは角ばってるなって思いますよね〜。
そこがはじめはおもしろいなーと思ってました。
ウィーンのは・・・ドイツ語圏だから
ユーゲントシュティルとか云われたり本によっていろいろですよねー。
バルセロナのモデルニスモも同じ意だけれど、曲線なところはパリ寄り?
ちょうどガウディの活躍しようという時代、
バルセロナで新しい街づくりをしようとしたとき
南のパリを・・・とバルセロナ新市街をつくった、と本で見ました♪
当時、グエル公園のあたりは今の新市街をはさんで
田舎〜山(丘)〜、みたいなとこだったらしいですよね・・・
っと、なんだか話がずれたような・・・(笑)
この照明は、セセッション風と和の融合?って感じでしょうか・・・!
P.S.TVで見ると「行きたい症候群」にかかりますね・・・困るわぁ〜.。o○
- まゆままさん からの返信 2007/07/16 22:40:32
- RE: セセッション
- そうそう、私は下でガウディのアールヌーヴォー建築、とつい言ってましたけどモデルニスモとアールヌーヴォーは正確に言えば違ってましたよね・・
カタルーニャの民族的なものがモデルニスモには含まれてるんですよね。
ウィーンのセセッションはアールデコに近いんでしょうかねえ??
この照明、案内の人に言われなければ私には純和風に見えたんですが・・(
苦笑)
>南のパリを・・・とバルセロナ新市街をつくった、と本で見ました♪
voodooさんが回られたこの辺りはほんとに笑いが止まらなくなるほど楽しそうですね〜〜
- wiz さん からの返信 2007/07/16 23:02:06
- RE: セセッション
- 私も・・・(笑)
木の感じが・・・和!って思っちゃいますよねぇ〜
まゆままさんが書かれていた『武田五一はヨーロッパ留学中に
当時流行していたアールヌーヴォーをはじめとする
西欧の建築デザインを吸収しこのように日本で本格的に
展開していた。』っていうのがあるから、
そういう解釈(セセッション)もあるのかなぁ〜と見てました^^;
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