2025/12/29 - 2025/12/29
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norijiroさん
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香港だけでは間がもたない……というわけではないのだが、1日くらいはどこか別の場所へ遠出してみたくなった。さあ、陸路で国境を越えよう。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
行き先についてはマカオか中国・深圳の二択ということで、子どもらにどちらに行きたいか聞いたところ、意外にも深圳が満票の支持を得た。この当時は、今現在も尾を引く例のわが国首相の存立危機事態発言からまだひと月半。日中関係が急速冷凍されていた時期である。そんなときにノコノコと出かけていって大丈夫なのだろうか。
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そういう心理的な抵抗はともかく、物理的に香港から深圳に行くのはとても簡単である。香港島の金鐘駅から地下鉄東鉄線に乗り、終点の羅湖駅まで乗り通せば、そこが自動的に中国とのボーダーとなっている。距離にして37.5km、たった45分ほどで着いてしまうのだ。
ビジネス街の中心に位置する金鐘駅は、朝のラッシュアワーまっただ中。お勤めご苦労様です。アジアNo1の金融センターとして知られる香港の一流ビジネスマンたちは、こんな長大なエスカレーターで職場へと吸い上げられていく。金鐘駅 駅
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はるばるやってきた羅湖駅は川っぺりの崖を削って無理矢理に建てられたような駅なので、越境用の専用駅といって差しつかえない。周辺は「香港辺境禁区」とかいうSFマンガのタイトルにでもなりそうな特別制限ゾーンに指定されているため、住民以外が勝手に駅から出ると罰金らしい。
羅湖駅 駅
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国境(でいいのか?)となっている川を越えれば、そこは中国。香港の人は特別なパスでもあるのか、自動改札のように国境をすり抜けていくが、われわれ外国人はそうはいかない。入国審査のための長蛇の列に延々と並ばされる。
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指紋を丹念に採取された以外、審査自体はとても簡単で、審査官から首相発言に対する所感を訊ねられることもなかった。どうせ日帰りだから適当なのだろうか。私、学生時代の専攻が台湾史という、結構な危険人物だと思うのだが。
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最近の中国といえば、「現金使えない問題」がある。2019年に成都に行った時はいつもニコニコ現金払いでなんの問題もなく、なんなら現金しか使えない窓口すらあったりしたが、あれからすでに7年が経過した。しかもここは深圳、お掃除ロボみたいのが平然と街を行く中国最先端IT都市である。「中国のシリコンバレー」と称され、現金など数年ぶりに見た、などと山奥の仙人みたいなことを言う人民が普通らしいではないか。一応、外国人旅行者でも簡単に登録できるというアリペイのアプリをスマホに入れていった。
羅湖駅 (深セン市) 駅
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まずは地下鉄の乗り場へ。券売機では現金も使えそうだったものの、まずは機械相手にアリペイを試用してみることにした。いきなり対人はおっかないではないか。日本でもQR決済を使ったことがないのに、よりによって中国デビューはハードルが高すぎる。私がどんな失態を演じようと難じることのない心優しき券売機相手にQR決済を試みると……意外とあっさりとコイン型のプラスチック製切符を手にすることができた。簡単ではないか。
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地下鉄を乗り継ぎ、市内一の超高層ビルとして知られる平安国際金融中心(「○○中心」は、「○○センター」と認識するとわかりやすい)へとやってきた。地上115階、高さ600メートルで、2026年時点での超高層ビル高さランキングでは、国内第2位、世界第5位にランクインしている。計画当初では高さ660メートルで国内トップに躍り出る予定だったところ、航空運航の妨げになるとかいうよくわからない理由で現在の高さになったという。同様の理由で武漢のビルも高さを切り下げられており、現在1位の上海中心を超えてはいけないという暗黙の了解でもあるのか?と勘ぐってしまう。
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展望台入り口に設置されていたよくわからんオブジェ。漢詩でも流れていけばそれなりに風流だが、ここのビルの名前などが点滅するのみ。これいります?
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展望台への入場料は1人あたり約180元、つまり3800円(当時)ほどかかった。世界5位というプレミアを勘案すれば、意外と安いのかもしれない。東京タワーやスカイツリーとあまり変わらない。秒速10メートルの高速エレベーターに乗って、地上550メートルに設置された展望台「FREESKY展望台」へ。
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上空から深圳の街を眺める。かつては小さな漁村で、眼下のビルが林立する一帯も、元は渺茫たる荒蕪地だったかと思えば感慨深い。「むかし思えばとま屋の煙 ちらりほらりと立てりしところ」ってわけで、さすがに中国のエネルギーを感じる。
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東京タワーやスカイツリーにもあったような透け透け床。高さもあって一段とおっかない。メイド・イン・チャイナという点を勘案すると、さらにおっかない。傘の先で突っついて割れたとかいうガラス床があったのは中国だったか。
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下界に戻り、改めてビルを見上げる。カメラに収まりきらない。遠くから見るとさらに高さを実感できるだろう。
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周辺は外資系ホテルや巨大ショッピングセンター、コンベンションセンターが建ち並び、世界五の超高層ビルに花を添える。
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ちょうどお昼時だったためか、ビルのまわりには阪神タイガースファンのような黒・黄の制服を着たフードデリバリーの配達員が多数待機し、携帯とにらめっこしていた。一定のタイミングで一斉にどこかへ散っていく様は、タンポポの綿毛が飛んでいくようで壮観である。このような人力の配達はもちろん、最近では無人ドローンによる配達も行われているとか。
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続いて、その原形は明代の市場にあるという老街へとやってきた。2000年ごろからの再開発によって、全面的に最新型の老街?へと生まれ変わっている。
老街 (東門街) 散歩・街歩き
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先ほどの平安国際金融中心の周辺とは違い、さすがにグッと生活感のある雰囲気となった。デパートや卸売りっぽい衣料品店、食べ物の屋台などが建ち並ぶ。
東門歩行街 散歩・街歩き
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ザ・中国といった感じの真っ赤な一帯。
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適当に選んだ食堂に入り昼食。香港や深圳では、米は細長いインディカ米が広く使われいるようで、炒飯はかなりパラッと仕上がっている。
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さすがに物価は香港より安いので、割と気軽に注文できる。ボリュームも常識の範囲内で、ともに日本と大差ない。香港では躊躇した魚料理なども遠慮なく頼める。もう少し円が強ければねえ。
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ここにもあった背徳の香港式フレンチトースト。揚げ油+バターのダブルオイル製法で、夜までお腹が空くこともないだろう。
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腹ごなしにふたたびぶらぶらと散歩。この看板の盛り具合、香港に負けていない。
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そろそろ駅に戻ろうかと思っていたところ、怪しげな「檸檬街」なる看板を発見した。この地下街から駅に行けるらしい。入ってみるか。
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階段を降りると、確実に20年は時間が逆流した。AIもキャッシュレスもドローンも、この地下空間ではまるで別世界の話。古式ゆかしいローカル色100%の衣料品や化粧品などのテナントが軒を連ねている。一部はほとんどつぶれたショッピングセンターのようなオーラを醸し出していた。
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10元の激安バーゲンセール。このチープ感がたまらない。
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思ったよりもはるかに大きな地下街で、全体的に昭和の商店街のようであった。この街が国内有数の大都市として発展したのは1980年に国の経済特区に指定されたことによるが、それ以前も香港の隣地として商工業が発展しており、元々の繁華街である老街あたりには店もそこそこあったはずだ。この古びた地下街に、かつての深圳の姿が垣間見られたのであった。
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ふたたび現代に戻り、華強北の電気街へ。秋葉原の30倍の規模で知られる中国最大の電気街だ。
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道路の両脇に巨大なデパート風の建物がいくつもあり、そのなかはすべて電気屋。内部は小さなブース状に区切られて別々の店が出店しており、その多くでスマホおよび関連商品を販売している。子どもの手帳型スマホカバーが大破していたので、とあるブースで「同じようなものはあるか?」と尋ねたところ、約20分、1,000円ほどでオーダーメードの新しいものを製作してくれた。この世のすべての注文に即時対応できそうな頼もしさがある。
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最後は国境手前にある大型ショッピングセンターで中国茶やどうしようもない雑貨などを買って日帰り旅行の仕上げとしたい。ビルは同じような中国土産を買う香港人でごった返していた。
羅湖商業城 ショッピングセンター
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夕方ということもあり、帰りの羅湖駅からの地下鉄はラッシュ級の大混雑であった。途中で降りる人もあまりいないだろうから、終点近くまで立ちっぱなしになるとつらい。始発なので1本待てば確実に座れるものの、30分近く待たないといけないようなので、それも面倒くさい。空いている席はないかとホームを進んでいくと、「ファーストクラス」の文字が目に入った。JRのグリーン車のように、ホームに設置された機械で乗車券を買って、カードなどに購入データを記録するシステムらしい(後で車掌が確認に来る)。
車内は割とシンプルなボックスシートで、いわゆる飛行機のファーストクラスとはかなり違う。新幹線のグリーン車みたいなのを想像してもガッカリする。ただそのぶん料金は控えめで、乗車区間の通常運賃と同額の追加で乗れるようだ。1人あたま1,000円強の追加で乗れるなら乗りたい。意地汚く座りたい。というわけで、最後はゴージャスにファーストクラスの住人となり、香港へと無事に帰還した。 -
相変わらず中国は面白い。香港はあくまでも想像の範疇の「すごい」だが、中国は常に想定の斜め上である(その分緊張感はあるが)。またぜひゆっくりと中国を旅してみたいものだ。
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