2025/11/16 - 2025/11/16
5342位(同エリア13909件中)
うーたさん
3年に1度開催される「ひろしま国際建築祭」へ行ってきました。
今年が初回となる、このイベントは広島県福山市と尾道市の2都市をまたぎ、7つの会場で行われています。
エリアが広く、また交通の便もあまりいいとは言えないので会場を絞り、
神勝寺エリアにある「神勝寺 禅と庭のミュージアム」と、尾道エリアにある、1960年代のアパートをインドの建築ファームがリノベーションしてオープンしたホテル「LOG」を見に行ってきました。
神勝寺 禅と庭のミュージアムは紅葉がベストシーズンで美しく、尾道エリアはノスタルジックな坂の町をのんびり散策。
ひろしま国際建築祭自体は、それほど興味を惹かれるものではなかったけれど、気持ちのいい気候の中、たくさん歩いて秋を満喫できる旅になりました。
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ひろしま国際建築祭のスタートは「神勝寺 禅と庭のミュージアム」から。
最寄り駅は福山駅。
そこからバスで約30分、そのあと徒歩で1.3キロ(約20分)というアクセスなのでタクシーorレンタカーが便利。(タクシーだと所要時間約25分 料金5000円弱)神勝寺 禅と庭のミュージアム 美術館・博物館
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ここでは、国際建築祭にまつわる2つの展示が見れるほか、美しく広大な庭園散策や、瞑想体験、普段は非公開となっている禅道場の天井画の特別展示を見ることができます。
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門から入って最初にたどり着く三角屋根の建物が、受付&寺務所棟。
和風建築のようでもあり、海外の洞窟の家のようにも感じる不思議な建物。屋根は手延べでくねらせた銅板(高級昆布みたい)が何層にも重ねて作ってあるからかなり重厚。
建築史家である東京大学、藤森照信 名誉教授の作品とのこと。 -
神勝寺 禅と庭のミュージアムの通常の入場料は1800円ですが、ひろしま国際建築祭開催期間中は、建築祭に興味があろうとなかろうと3000円。(ふくやま美術館と尾道市立美術館にも入れる共通チケットです。)
敷地面積は7万坪というとても広い庭園なのでマップを片手に出発! -
庭園内は紅葉がベストシーズン。
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いろんな種類の葉っぱが、微妙にちがう赤色に染まっていて、コントラストがとってもきれい。
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美しい紅葉を見ながら、マップの順路に従い、まずは橋を渡った先にある「国際禅道場」へ。
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70畳もある大きな本堂。
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そこで見れるのが「雲龍図 阿吽」。
通常は一般非公開のものですが、建築祭の期間中特別公開されています。 -
70畳の天井一面に描かれた2体の龍。
あまりに大きくて普通に写真に納まらなかったので、寝そべるようにして下から写した一枚。
大迫力!! -
禅道場を出て、進んでいくと雰囲気のよい和風建築が。これは「五観堂」といううどん屋さん。
近づくと、お出汁のよい香り♪ -
店先のつくばいには紅葉が浮かんでいて、とっても風流。
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少し裏に回ってみたら、水車が回っていた!
中をの騒いで見たら杵と臼が置いてありました。
昔話の世界にきたみたい。 -
その五観堂の近くにある茶屋の前で、建築祭関連の展示がひとつ。
これは「苗木ナーサリー/コンポストベンチ」という作品。
神勝寺の庭で集められた落ち葉や雑草が堆肥となりやがて庭へ戻るという、建築が生態系に寄り添って新たなエコシステムを生むという展示。 -
とってもいい景色の中、散策を進めます。
人でごった返すこともなく、ほどよく静かで美しい庭園。 -
しばらく歩いた先にあるのが「秀路軒」と呼ばれる建物。
数寄屋建築を研究している中村昌生氏の設計で、表千家の「不審庵」を古図を基に忠実に再現してあるお茶室とのこと。
お抹茶和菓子のセット1000円で体験できますが、この日は貸し切りのため利用不可。 -
ルートは健脚な人向けの階段につながる道と、ゆるやかな坂道が続くコースにわかれていてます。
健脚コースで体力テストしてみたいところだけど、今回の旅はたくさん歩くことが想像されているので、ここでは大人しく、ゆるやかコースにて。 -
だいぶ山の上まで登り、息が荒くなってきた辺りに建物がひとつ。
これは「一来亭」。 -
こちらも中村昌生氏設計の再現茶室。
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豊臣秀吉が建てた「聚楽第」をイメージして作られたそう。
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いよいよ目的地「無明院」に到着。
30分ほどかかりました。 -
今回の建築祭の展示が行われる「無明院」は、神勝寺の最も高い丘の上に位置する本堂があるゾーン。
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もともとこちらのお寺は、海難事故で亡くなった人びとの慰霊のため造船業を営む方が1965年に創建されたものだそう。
この建物の軒には、使わなくなった船の底板を張り付けてあります。 -
美しく、広大な枯山水庭園。
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江戸中期に活躍した禅僧である白隠にまつわる作品を集めて展示してある「荘厳堂」。
作品保護のためとの事で、中に入る時は消毒とマスク着用が必要です。 -
真っ暗な中「HAKUIN COLLECTION」と題された数々の書物の展示がされています。
ちょっと、気が張り詰めるような静かで重厚な空間でした。 -
荘厳堂と同じ建物、奥側にあるのは、戦後日本の建築界をリードしてきた建築家、丹下健三氏が東京の成城に自宅として設計した住居を再現するというプロジェクト展示。
宮大工が制作したという縮尺1/3模型が展示されていました。 -
イチオシ
模型が設置されていたのは、もともとはお茶のお稽古をする大きな広間。
その奥の和室が展示より何より素晴らしかった!!
今回の建築祭には関係ないお部屋なので、A4用紙に手書きで「紅葉→」とだけ書かれていた張り紙を見て、なんとな~く行ってみたけど、これは必見!! -
では建築祭のメインの展示「NEXT ARCHITECTURE」のコーナーへ。
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5組の建築家がそれぞれ〝建築でつなぐ新しい未来〟を展示。
漫画形式になった説明なので、小難しくなくてとっつきやすい内容でした。 -
海と建築にまつわる展示。
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こちらは地面と建築。
以前から気になっていた、山口県にある地中レストラン「メゾン・アウル」が建築されていく様子も映像で見ることができました。
住宅街の真ん中にこんな洞窟を一体、どうやって作ったんだろ?の謎が解けます。 -
こちらは再生可能資源についてかな。
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内部には落ち葉がいっぱい。
展示物というよりも、読み物のボリュームがたっぷりで少し頭が疲れたな。 -
帰路は階段側から降りることに。
こちらが往路に看板があった「健脚コース」ってことね。下りなら楽々。
こちらの道も紅葉がきれいでした。 -
ぐるりと一周する形で「含空院」に到着。
こちらは築350年以上の茅葺の建物。
カフェとして利用されていて、粟餅や煎茶などが楽しめます。 -
最後のにもうひと山登って、この禅と庭のミュージアムの代表建築物といっても過言ではない「洸庭」があるゾーンへ行きます。
まず階段を上ったところにあるのは「多宝塔」。 -
多宝塔の前の桜が咲いていました。
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渡橋を通って洸庭へ。
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橋の下は道路。
上から見る紅葉もきれい。 -
橋を渡りきるところには紅葉のアーチ。
ここから異空間の始まり。 -
ドーンと現れる宙に浮かんだ宇宙船のような現代建築。
とても大きいので、だいぶ離れて引きで撮影しています。 -
真下に入って見上げてみるとこんな感じ。
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横側には入口がついていて、この空間の中に入れます。
中は瞑想空間。ここから先は撮影は禁止。撮影OKだとしても真っ暗だから何も写らないほど、とにかく真っ暗な空間。
真っ暗闇の中、光と音と水だけで成り立つ世界。〝瞑想〟といっても、内容は言葉では言い表せない特殊な雰囲気。
我が家は途中で離脱したけれど(合わない人は離脱OK)人生が変わるほどの体験だったという人もいるみたい。 -
洸庭ゾーンの庭園には山から流れる滝も。
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かわいいのか、気持ち悪いのかよくわからない、真っ黒チンアナゴみたいなオブジェもアートかな?
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イチオシ
再び階段を降り、ぐるりと一周して、スタート地点に戻ってきました。
洸庭ゾーンが独特な雰囲気だったので、日本の原風景的なこの景色にホッとします。 -
池には立派な鯉。
手入れの行き届いた庭園はすばらしく、再現された茶室やの建築もすばらしい。
独特な現代建築アートも見れて、不思議な気持ちになる場所でした。 -
次の会場に向かうため尾道駅に到着。
お次は尾道エリアにある「LOG(ログ)」という施設へ向かいます。
LOGとは、1960年代のアパートを、インドの建築ファームがリノベーションして、ホテルとして利用されている施設。このイベント中、宿泊者以外にも一部内部公開されるということなので行くことにしました。尾道駅 駅
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その前にランチタイム♪
尾道駅近くにある「尾道WHARF」は、牡蠣が有名。生牡蠣も食べることができます。尾道WHARF グルメ・レストラン
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オシャレな店内。
注文はQRコードを読み取るスタイル。 -
たくさん歩いたのでまずはビール♪
チョイスしたのは、このお店の隠れメニュー「玉手箱」、牡蠣だらけのパエリア、生牡蠣食べ比べセットなど。
玉手箱は、スモークが充填されたお重に鮮魚が閉じ込められていて、いい感じに燻されていて美味。塩で食べるのがベスト!
パエリアも生牡蠣もおいしくて、海を見ながらのお食事に満足。 -
パワーチャージして散策スタート。
尾道は坂の町。斜面を利用しておうちやお寺が建てられています。 -
LOGがあるエリアに向かうには、先ほどの山の斜面の風景を見ながら歩くルート、海側の遊歩道を歩くルート、ノスタルジックな商店街を通るルートの3種類。(東西に3本道路が通っているイメージ)
国際建築祭関連の展示がある「まちなか文化交流館」に行くには商店街を通るのがベストなので商店街を散策。 -
まちなか文化交流館に到着。築90年の元銀行だった建物をリノベして利用してあります。
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吹き抜けの広々天井、幅75センチの黒大理石のカウンターや昭和天皇が座られた椅子などをさり気に展示。
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防犯のための網入ガラスも当時のもの(上)。
ひとつづつ手作業で、ガラスの中に針金を埋めて作られているそう。とてもあたたかみを感じるガラス。
一部破損したところには、現代の網入ガラスがはめられていました(下)。
もう再現できないんだろうなー。 -
LOGは山の中腹にあります。
まずは、線路の下のトンネルをくぐって山の斜面側へ。 -
この上をすぐに電車が走っているので、ちょうどこの下を通っているときに電車が来たら爆音?
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トンネル抜けると、階段開始!!
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なだらかだけどハードな道のり。
この横道に入っていくと、いろんなお寺につながっています。 -
私たちはひたすら上がる。
途中、振り返ってみると細い道の向こうに海が見える。
きれい! -
斜面を利用しておうちがたっているので、低い側を嵩上げするために石垣があるおうちが多い。
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タイムスリップしてきたかのような小道だらけだけど、生活空間。
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ひときわ立派な石垣が見えてきました。
ここがLOGっぽい。 -
到着!
LOG 宿・ホテル
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門をくぐって中へ。
ホテルとのことだけど、案内板などないからどこへ行けばいいのかな… -
一番奥まで行くと、日本家屋。空き家状態。
ホテルはここじゃない。 -
振り返ると学校みたいなコンクリ製の建物。
ここがホテルLOG。
なんとも不思議な雰囲気。 -
建物はL字になっていて間には石が敷き詰められて苔むした中庭。
ここに来る前に、このホテルについて調べていたのだけど、1泊2食付きで7万円~9万円というなかかのお値段…。
かなりの階段を上ってきたのでスーツケースじゃ無理だし、正直ここ?? という感想。泊まってみなけりゃわからない魅力があるのかな。 -
さて建築祭の方はというと、
1階部分がホールのようになっていて、そこが建築祭の展示スペースになっていました。ここは鑑賞パスポート購入者でなくても見れる展示。 -
この建物自体の歴史や、リフォーム後の見取り図などが展示。
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窓ガラスが取り払われたスペースが額縁のようになって、先ほどの和風家屋が見えています。アートね!
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それでは鑑賞パスポートが必要なゾーンへ。
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こちらがレセプション。
やっぱり、学校にみえてしまう雰囲気。
チケットを提出し、QRコードを読み取ってもらうと、ご自由に2階へどうぞとのこと。 -
ここが2階ギャラリー。
係りの人もいない、お客さんもいない展示室を自由に見学。
室内もやっぱり、教室を思わせる雰囲気。 -
展示内容のメインは、壁の色について。
何食もの色粉を混ぜて、何か月もかけて検討に検討を重ねて作り上げた色らしい。
「白って200色あんねん」を思い出す… -
模型。
そのほかには、インドの建築ファーム「ムンバイ」が作業しているスナップ写真など。
以上が展示物。 -
1960年代のアパートメントのリノベーションって、すっごい事なのかもしれないけれど、建築知識がない人からすると、ふぅ~んで終わってしまうと思う。
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時間があまったので、さらに坂道や階段を上がり「千光寺」まで行ってみます。
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途中「放浪記」の石碑があるちょっとした広場には猫の餌がたくさん。近くの民家の軒先には猫の保護のために(今は野良猫じゃなくて地域猫というらしい)募金箱も。
猫好きにはたまらないだろうスポット。 -
その先過ぎたところに、行きかうロープーウェイと三重塔が見渡せるスポットが。
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そこからの景色がとてもよくて。
三重の塔の向こうに住宅が広がっていて、その間を上下1車線ずつの線路が、すうーっと向こうま続いていて。
時々通る電車(便数少な目)のガタンゴトンっていう音が遠くまで響いていて。
なんともゆったりする気持ちになれる場所。 -
平山郁夫画伯もここからの風景をスケッチしたみたい。
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同じ画角で1枚撮影。
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ここを過ぎると千光寺まではあと少し。
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やっと到着。
千光寺 寺・神社・教会
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赤い本堂が見えた時には、もう足がわなわな。
私のような人のために、この本堂を見渡せる場所にベンチが置いてあったのがありがたい。 -
見晴らしのいいと話題のカフェは満員だったから利用せず。
カフェの名前は、話題そのままに「みはらしカフェ」。
下りは楽かと、来た道を再び歩いて下山。(下りはもっと足がわなわなになりました) -
往路は線路の下のトンネルをくぐったけれど、復路は線路の上を歩いて渡る道へ。
同じ道を通って降りたつもりが、途中から違う道に進んでしまったようで。踏切が現れた時にはびっくり。遮断機もないレトロな踏切です。
疲労感はすごいけど、満足感もたっぷりな坂の町。 -
最後に尾道といえば…という渡船を見に行きました。
目の前に見えている向かいの島は、地名もその言葉通り向島(むかいしま)。
渡船には、制服姿で自転車に乗る学生さんや郵便配達のバイクなんかも。まさに生活の足というかんじ。
みんなヘルメットも被ったままだし。信号長めの横断歩道を渡るような感覚なのかなー。
いろんな所にほんのり懐かしさを感じる街でした。いい旅になりました。
おしまい
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