2025/07/06 - 2025/07/07
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おくぅーんさん
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温泉って、やっぱりいいものだ。日常を離れた非日常のひとときを味わえるし、時間とお金さえあれば、何度でも足を運びたくなる。ただ問題は、「じゃあ、どこへ行こう?」ということ。日本は言わずと知れた温泉大国で、行き先を決めるだけでも一苦労。そのうえ、自分たちの好みに合う旅館を探そうとすると、選択肢が多すぎてさらに大変だ。
でも、そこは“ジャパネット高田方式”よろしく、「この中からお選びください」とある程度候補が絞られていれば、だいぶ楽になる。最近は、その選択肢として「日本秘湯を守る会」の会員宿をよく利用している。この会に加盟している宿は、秘湯らしい風情と落ち着きがあって、どこも魅力的だ。
さらに魅力的なのが、宿泊のたびにスタンプ帳にその宿オリジナルの印を押してくれるという制度。スタンプが10個たまると、なんと1泊分が無料になるのだ!これは俄然、やる気が出る。しかしながら、有効期限が3年というハードルがあり、「そんな短期間で10宿も泊まるなんて無理だろう」と最初は思っていた。
ところがどっこい、スタンプラリー好きの自分にとっては、それほど難しい話ではなかった。気づけば1年ちょっとで、あっさり10個達成。いざご褒美の無料宿泊を選ぶとなったとき、過去に泊まった宿の中からどこにしようか悩みに悩んだ末、“肘折温泉 丸屋”に決めたのだった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- バイク
-
【一日目】
「肘折温泉って、どこ?」と思う人もきっと多いはず。実際、私の住んでいる場所からはかなり離れていて、せいぜい「山形県の山あいにある温泉地」というイメージくらいしか持っていなかった。もちろん、近場の温泉にもそれなりの魅力はあるけれど、やっぱり遠くまで足を運ぶと、「ああ、旅行に来たんだなあ」という実感がぐっと湧いてくる。ただ、距離にしておよそ500キロともなると、正直ちょっと躊躇してしまうのも事実だ。とはいえ、1泊2日で行けない距離でもない。むしろ、ちょっと無理をしてでも行ってみたい場所のひとつだ。これだけ離れていると、「もう温泉だけに直行直帰でもいいんじゃない?」という気にもなるけれど、せっかくならどこかひとつくらい観光も入れたい。
そういえば前回肘折温泉に行ったとき、帰りに羽黒山に寄ろうとしたのだが、あいにく五重塔が修復中で断念したことを思い出した。ならば今回はリベンジ!と、事前に調べてみることに。
すると、「ちょっと寄り道」では済まないことが判明。出羽三山神社に参拝するには、なんと2,000段以上の石段を登らなければならず、全行程に少なくとも3時間はかかるらしい。これはもう、ちょっとした登山レベルの挑戦だ。
せっかくだから登ってみたい気持ちはある。だが、そうするとそのあと肘折温泉に午後3時までにチェックインするにはどうするかと計算し始め、出た結論が「自宅を朝3時出発」だったわけです。うーん、なかなかハードだけど、そこまでしてでも行きたいという思いが、今回の旅の始まりだった。
朝3時出発なんて、ほんと久しぶりの超早朝。そんなに早く起きられるのかと不安もあったけれど、なんと目が覚めたのは2時半。…どれだけ楽しみにしているんだ、自分。まるで遠足前の子どもみたい。でも、寝坊するよりはずっといい。
というわけで、予定通りに家を出発。道中の車内ではNetflixで『Dr.コトー診療所』を観て、目頭が熱くなるような感動に浸っているうちに、気づけばあっという間に最初の目的地、「羽黒山大鳥居」の前に到着していたという感じだった。
それにしても、この鳥居…とにかくデカい。目の前に立つと、その圧倒的な存在感にしばし言葉を失うほどだった。 -
出羽三山神社の大鳥居をくぐったあとは、麓にある駐車場を目指す。到着したのは午前9時すぎだったが、すでに駐車場はほぼ満車状態。あらためてこの神社の人気の高さを実感させられる。なんとか車を停めることができ、そこから少し歩いて、出羽三山神社の参道入口である“随神門(ずいしんもん)”へと向かう。この門をくぐれば、いよいよ本格的な参拝が始まるのだ。
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随神門をくぐると、目の前にはいきなり続く長〜い下り石段。思わず「長っ!」と声が出そうになるほどの距離感で、先が見えない。これは…なかなか手強そうだ。先が思いやられるけど、これもまた旅の醍醐味かも?
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坂を下りきった先には、清らかな川が流れ、その上に朱色に塗られた見事な橋が架かっていた。その美しさに思わず足を止め、カメラを手に取った瞬間――まさかのバッテリー切れ。「えっ、ここで!?」と、頭が真っ白に。絶好のシャッターチャンスが次々に目の前に広がるというのに、肝心のカメラが使えないなんて…。がっくり肩を落としつつ、悔しさがこみ上げる。「くそー…」と、思わず声が漏れてしまった。
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さあ、いよいよ長〜い石段の登りがスタートする。覚悟を決めて一歩踏み出したその先、早速目の前に現れたのが「爺杉(じじすぎ)」だった。まさにその名の通り、悠々たる風格を漂わせた一本杉。幹の太さも高さも圧倒的で、まるでこの山の歴史すべてを見守ってきた生き証人のようだ。立ち止まって見上げてみるが、どこまでが幹でどこからが枝なのかすらわからないほど巨大。試しにカメラを構えてみたけれど、フレームにはとうてい収まりきらない。自然のスケールにただただ驚かされるばかりだ。
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石段をしばらく登っていくと、目の前に現れたのは国宝・羽黒山五重塔。その姿に思わず息をのむ。平安時代に平将門によって建立されたと伝わり、1608年には出羽山形藩主・最上義光によって修復された、東北で唯一の国宝五重塔だという。
つい最近まで屋根の改修工事が行われていたが、ようやく工事も終わり、美しい姿を間近で拝観できるようになっていた。これが見たかったんだよね。そして――旅は、まだ始まったばかりだ。 -
いよいよ、待ちに待って……いや、正直あまり待ち望んではいなかった長〜い石段のスタートである。目の前にはまっすぐ伸びる石段。その先は見えず、まるで天に続いているかのように思える。これは本当に登りきれるのだろうか――そんな不安が胸をよぎる。
でも、立ち止まっても始まらない。覚悟を決めて、一歩。そしてまた一歩。重い足を前に出すたびに、心のどこかで「まだ始まったばかりじゃないか」と自分にツッコミを入れつつ、とにかく進むしかなかった。 -
今日は幸い曇り空で直射日光はなかったが、それでも汗はじわじわと噴き出し、シャツは背中までびっしょり。風もなく、まとわりつくような湿気の中を進む。これで日が照っていたらと思うと、ぞっとする。
そんな中、ひたすら石段を登っていくと、「二の坂」と刻まれた石碑が現れ、すぐ先には休憩所の「二の坂茶屋」も見えてきた。けれど、ここで座り込んだらもう立ち上がれなくなりそうで、「まだまだこんなところでへこたれていられない」と気合いを入れて通過。その意地、誰に見せているのかはわからないけれど、自分との静かな闘いが始まっていた。 -
二の坂を登り終えると、いよいよ最後の三の坂へ。どこまでも続いていくような石段の道に、「この道の先に本当に山頂はあるのだろうか」などと思いながらも、黙々と歩を進めること約1時間。
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ようやく羽黒山山頂への入口となる鳥居が姿を現した。
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鳥居をくぐって羽黒山の山頂に着くと、堂々たる社殿が静かに佇んでいた。長い石段を登り切った先に現れるその姿は、まさに荘厳で、思わず立ち止まって見上げてしまうほど。
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茅葺屋根の美しいこの社殿は「三神合祭殿」と呼ばれ、月山・羽黒山・湯殿山の神々が一つの社に祀られている。三山詣を一度に済ませられる、ありがたい場所だ。たどり着いた達成感と満ち足りた気持ちに包まれ、空気までもが清らかに感じられた。
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社殿の前には小さな池があり、どうやらそこが野鳥が訪れる場所のようだ。
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池のほとりには、立派な望遠レンズ付きのカメラを構えたカメラ愛好家たちが、椅子に腰掛けて静かにその瞬間を待ち構えていた。自慢の機材をさりげなく見せ合う姿は、まるで静かなカメラ合戦。あれほどの機材が揃うと、さすがにうらやましくなった。
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一つの社殿で三つの神社分のお参りができるという“ありがたみとお得感”を胸に抱きつつ、達成感と心地よい疲れを感じながら、再び長い石段を下り始めた。下り道は登りに比べて確かに時間はかからないが、膝や足首にかかる負担は想像以上。滑らぬよう慎重に一歩ずつ足を運びながら、「登りよりもきついかもしれない」と思わずつぶやいてしまう。それでもなんとか転ばずに歩き通し、無事ふもとの「下界」に戻ってこられたときには、思わずホッと胸をなでおろした。
ちょうどその頃、お昼どき。ちょっと休憩もかねて、羽黒山の入口近くにあった素朴な佇まいの「農家カフェ&レストラン」に立ち寄ることにした。 -
外観は質素で飾り気がなく、正直なところ事前にチェックしていたランチ候補にも入っていなかったため、あまり期待はしていなかった。ところが、運ばれてきたのは見た目にも美しい蕎麦づくしの御膳。冷たいそばに、そばの実を使った和え物、そば粉のガレット風の一品まで、どれも手間がかかっていて、しかも今まで食べたことのないような味わいばかり。素朴ながらも丁寧に作られた料理に、思わず「これは当たりだね」と笑顔がこぼれた。旅の疲れをやさしく癒してくれる、思いがけないごちそうだった。
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長い石段を登り切ったという達成感を胸に、「この疲れた体をどうしても温泉で癒さねば」という使命感に駆られ、今夜の宿泊地・肘折温泉へと向かうことにした。
とはいえ、途中でフルーツを楽しむのは忘れません。立ち寄ったのは、山形ではちょっとした名所ともいえる「フルーツショップ青森屋」。名前は“青森屋”なのに山形で大人気という、不思議なお店だ。 -
とはいえ、途中でフルーツを楽しむのは忘れません。立ち寄ったのは、山形ではちょっとした名所ともいえる「フルーツショップ青森屋」。名前は“青森屋”なのに山形で大人気という、不思議なお店だ。そこで名物のサクランボジュースをテイクアウトし、道中、少しずつ味わいながら、今度こそ旅館を目指した。
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その後、当初の予定よりも早めに肘折温泉に到着。いつもならば、チェックイン前にその旅館前の大きな駐車場に車を停めて、「少し早いですが大丈夫ですか?」なんて声をかけながら中へ入るのが定番。しかし今回の宿の前には広い駐車場がなく、しかも「チェックイン時間前の入館はご遠慮ください」との案内もあったため、少し離れた公共駐車場に車を停めることに。時間調整を兼ねて、すぐ近くの「肘折温泉 源泉公園」まで足を運び、ひとときのんびりと過ごすことにした。
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肘折温泉源泉公園に足を運ぶと、まず目に飛び込んできたのは、今もこんこんと湯を湧き出す「源泉井戸」。湯口からは白く濃い湯気がもくもくと立ちのぼり、ゆらゆらと揺れながら空へと消えていく。そのまわりにはほんのりと硫黄の香りが漂い、深呼吸するたびに温泉地に来たことを実感させてくれる。公園内には、木の温もりを感じる足湯や、腰を下ろしてのんびりできるベンチがいくつか配置されており、湯気に包まれながらひと休みするのにちょうどいい空間だった。こぢんまりとした園内には、石畳の小道や緑が点在していて、ただ歩くだけでも心がほどけていくような静けさがあった。
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そうこうしているうちにチェックインの時間となり、旅館の引き戸を開けて中へ。外観はなかなか渋く、年季を感じさせるものの、部屋や廊下は隅々まできちんと手入れされていて、古さの中にも清潔感があり、とても心地よかった。
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ドアを開けると、目の前にまっすぐ伸びる長い廊下。その突き当たりには、ゆったりとしたソファが置かれたリビングルームが広がっていた。大きな窓からやわらかな光が差し込み、どこか落ち着いた雰囲気。リビングの隣には寝室があり、そこにはベッドがきちんと並べられていて、旅の疲れを癒してくれそうな静けさに包まれていた。
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大きな窓からやわらかな光が差し込み、どこか落ち着いた雰囲気。リビングの隣には寝室があり、そこにはベッドがきちんと並べられていて、旅の疲れを癒してくれそうな静けさに包まれていた。
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本日は早朝から動きっぱなし。しかも、前人未到(※自己基準)の2000段超えの石段を往復したことで、体はすでに悲鳴を上げていた。そんな満身創痍の状態でようやくたどり着いた旅館、もはや迷うことなく、自慢の温泉へ直行するしかあるまい。湯加減はちょうどよく、全身に染みわたるようなとろみのある泉質が、疲れた体をじんわりとほぐしてくれる。気づけば時間も忘れ、心ゆくまで湯の癒しを堪能した。
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温泉にゆっくり浸かってお腹もすいてきたところで、いよいよお楽しみの夕食タイム。時間になると部屋の電話が鳴り、案内にしたがって向かった先は、落ち着いた雰囲気の食事用個室だった。テーブルは古い扉をリメイクしたようなデザインで、趣があり、なかなかおしゃれ。料理はちょうどよい量のヘルシーな品々が並び、どれも優しい味わいで嬉しかった。そして恒例の地酒の冷酒を一杯。朝からの疲れも手伝って、酔いがまわるにつれ心地よさが増し、幸せな気分に包まれつつ記憶喪失になっていくのであった。そして気が付けば、ベッドの上というワンパターン。
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【二日目】
昨夜は(自分の意思とは関係なく)早めに眠りについたこともあり、自然と目覚めも早く、朝5時過ぎにはすっかり身支度を整えて温泉街をぶらりと散歩することにした。肘折温泉の町並みはこじんまりとしていて、歩ける範囲は限られているが、それがまたちょうどいい。
そんな小さな温泉街の朝の名物といえば、やはり朝市。道沿いに地元のおばちゃんたちが並び、自家製の山菜やちょっとした郷土料理を販売している。ところが、今回は以前に来たときと比べて、明らかにその“おばちゃんたち”の数が減っているように感じられた。 -
ここ肘折にも、確実に後継者不足の波が押し寄せている。話を聞いてみると、朝市に出店している方々の多くが、すでに70代から80代半ばという高齢の方々ばかり。そのあとを継ぐ若い世代はほとんどいないのが現状だという。
朝早くから起きて準備を整え、まだ肌寒さの残る時間帯から声を張り上げて野菜や山菜を売る――そんな日々を何十年も続けてきたのだと思うと、本当に頭が下がる。けれど、年を重ねた今、「そろそろ少し楽をしたい」と感じるのも、無理のないことだ。
それでも、この朝市は肘折の暮らしに根づいた、まさに風物詩ともいえる存在。湯けむりのなか、地元の方々の笑顔と共に並ぶ素朴な品々は、旅人の心をじんわりとあたためてくれる。だからこそ、その光景が少しずつ失われていくのかと思うと、何とも言えない切なさが胸をよぎる。時の流れとはいえ、静かに消えていくものの尊さと、惜しさを改めて感じさせられるひとときだった。 -
旅先での恒例となっている早朝ウォーキングも、このあたりでひと区切り。ひんやりとした空気の中を歩いているうちに、昨日の満腹感もすっかり消え去り、次第にお腹のほうも“朝食モード”に切り替わってきた。
すると、昨晩と同じように「お食事の準備ができました」と部屋の電話が鳴る。案内に従って食事処へ向かうと、そこには湯気を立てた豆腐や温かい料理がすでに並べられていて、見た瞬間に食欲が一気に加速。お腹も待ちきれず、「ぐぅ〜」と堂々たるおたけびを上げる。さて、いよいよ朝ごはんに突入である。 -
肘折温泉といえば、日本有数の豪雪地帯として知られているだけに、訪れるならやはり冬は避けたい。そんな思いから、今回は比較的天候も穏やかな7月を選んで訪れることにした。実際、暑すぎず寒すぎず、ちょうどよい気候で、温泉客もそれほど多くなく、ゆったりとした時間を過ごすことができたのは何よりだった。
やはりこうした、どこか鄙びた雰囲気を残した温泉地は自分の好みに合っている。宿泊した旅館「丸屋」は、建物の年季こそ感じられたが、隅々まできちんと手入れがされており、廊下もピカピカ。丁寧に掃除されている様子に、宿の心遣いが感じられて好印象だった。そして何より、温泉に入っているときのあの心地よさ――あれが一番の魅力だったのだと思う。
今後、今回の旅館・丸屋に再び泊まるかどうかは分からないが、同じ肘折の地にある「日本秘湯を守る会」会員のもう一つの宿「湯宿 元河原湯」には、機会があれば泊まってみるのもいいかもしれない。そんなことを思いながら、名残惜しさを胸に、自宅に向けてチェックアウトを済ませた。 -
肘折温泉から自宅までは、なかなかの長距離。体力的にも時間的にも、どこにも寄らずに真っすぐ帰るというのは、現実的な選択肢のひとつではある。けれど、そんな理屈は私たちの旅には通用しない。
「せっかくここまで来たんだから、あと一か所くらいは…」
そんな気持ちが自然と湧いてきてしまうのが、私たちのいつもの旅の流儀。少々の遠回りや無理を承知で、もうひとつどこかに立ち寄る――それが私たちにとって、旅をより豊かにしてくれる“スパイス”のようなものなのだ。この寄り道スタイルは、もはや誰にも止められない鉄の掟である。
さて、そうと決まれば、次はどこへ向かおうか。温泉をあとにしながら考えを巡らせていたそのとき、ふと思い出したのが旅の初日。あの日は、出羽三山のひとつである羽黒山を訪れたのだった。
そうなると自然と浮かんでくるのが、そのすぐ隣にある湯殿山。「羽黒山に行ったのなら、湯殿山も」というのは、ごく自然な流れであり、むしろ行かない理由が見つからない。かくして、もうひとつの“山”へ向かう寄り道が、迷うことなく決定されたのだった。
旅行前には、どのルートでどれくらい時間がかかるかをしっかりとシミュレーションしていて、当初の計画では、初日に通った道をそのまま戻るルートを想定していた。ところが、いざ車のナビに導かれて進んでみると、なんだか少し違う方向へ。とはいえ、「ナビ様」の指示には逆らえず、そのまま進んでいくことに。
すると、なんと通りがかったのは、以前「時間があれば寄ってみたいね」と話していた、あの河北町児童動物園のすぐ近く。今回はスケジュール的に無理かもと思っていた場所だっただけに、偶然のこのルート変更にはちょっとした運命めいたものを感じて、立ち寄ることにした。
河北町児童動物園は、NHKでも取り上げられたことのある、24時間いつでも無料で訪れることができる小さな動物園。ポニーやウサギ、ヤギなど、地域に親しまれた動物たちが暮らしていて、まさに“ふらっと立ち寄れる癒しの場”といった雰囲気。こういう施設が家の近くにあれば、きっと何度でも通いたくなるだろうな、と思える場所だった。 -
NHKで紹介されていたあの動物園を実際に訪れて、動物たちの表情や空気感を肌で感じることができたのは、思っていた以上に満足度が高かった。気軽に立ち寄れる場所ながら、心がふっと和らぐような、そんな時間だった。
その余韻を抱えながら、私たちは再びナビの案内に従って、次なる目的地・湯殿山へと車を走らせることにした。しばらく進んで湯殿山の麓へとたどり着くと、まず目に飛び込んできたのは、山の懐にすっくと立つ巨大な鳥居。その迫力に一瞬たじろぎつつも、「いよいよ来たな」と旅のテンションが再び上がる。
ここから先は、参拝バスに乗って上まで行くか、それとも山道を自分の足で登っていくかの二択。正直、当初は迷わずバスに乗るつもりだった。けれど時刻表を見てみると、思いのほかバスの便数が少なく、次の発車までにかなりの時間があることが判明。これでは時間がもったいない。というわけで、覚悟を決めて徒歩ルートを選択。汗をかきつつ山道を登ることになったが、その分、この“聖なる山”にじわじわと近づいていく実感があり、旅の締めくくりにふさわしい体験になる予感がしていた。 -
道中は、緩やかな坂をゆっくりと歩きながら、まわりの景色を眺めることができたので、それはそれで悪くなかったなと、自分に言い聞かせるように思う。山の静けさや木々の揺れる音に耳を傾けながら、少しずつ目的地へと近づいていくその時間にも、旅ならではの味わいがあった。
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そして、ようやく湯殿山の入り口へ。
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そこには、「これより先、撮影禁止」の看板が掲げられていた。さらに進んでいくと、写真を撮るどころか、中の様子を言葉にして伝えることすら遠慮してほしいとの案内が――。
実際に見たこと、感じたこと、語りたいことは山ほどあるけれど、それらを公にすることはご法度。湯殿山の神聖さを守るためなのだと分かってはいても、少しばかり残念な気持ちにもなる。
けれど、それもまた“湯殿山らしさ”なのだろう。言葉にならない体験こそが、この地の魅力なのかもしれない。 -
さて、これにて東北旅行もいよいよ帰路へ。出羽三山、そして肘折温泉――どちらの地でも、日常とはかけ離れた特別な時間をたっぷりと味わうことができたのではないかと思う。
朝早くに家を出発し、夜遅くに帰宅するまでの1泊2日。決して長い旅ではなかったけれど、その分、ぎゅっと濃密な時間が詰まっていて、とても満足度の高い旅となった。
天候にも恵まれ、雨に降られることもなく、事故や体調不良といったトラブルにも一切見舞われることなく、無事に旅を終えられたことも、本当にありがたいことだった。まさに満点の旅。
こうして元気に旅を楽しめる今のうちに、行きたい場所へどんどん足を運んでおきたい――そんな思いを、改めて強くした旅でもあった。そのためにも、これからの日々、心身ともに健康に気を配って過ごしていきたいと思う。
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