2025/05/15 - 2025/05/16
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tomo_miichiさん
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*この旅行記は、ドイツ観光局の提供により投稿しています*
フランクフルトからローカル線で約1時間。距離にすると60km。
人口約5万3000人の町ヴェッツラーが、ゲーテ街道の2つ目の町です。
ゲーテが生まれ育ったフランクフルトと比べると、だれもが名前を知っているわけではない小さな町で、ゲーテもここに4カ月しか滞在しませんでした。
しかしヴェッツラーは1689~1806年まで神聖ローマ帝国の最高裁判所が置かれた、エリート志向の司法研修生が集う特別な町だったのです。
さてゲーテはどうだったかというと、法律で身を立てなくても困らない裕福な家庭の出身で、法律家としての出世や野心とも無縁にこの町にやってきたといいます。
ゲーテは1722年5月10日にヴェッツラーにやってきました。
22歳の青年ゲーテが過ごした青春の日々をたどってみたいと思います。
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「Mißverständnisse und Trägheit machen vielleicht mehr Irrungen in der Welt als List und Bosheit」
(この世の中の諍いは、悪巧みや悪意よりも、誤解や怠慢に起因するのが大半だとつくづく思い知らされた:酒寄進一訳)
現代を生きる私たちが聞いても心に刺さるこの一文は、18世紀の大ベストセラーとなったゲーテの『若きウェルテルの悩み』(以下『ウェルテル』)の最初の方に出てくる文章です。
この本が出版されたのは1774年、ゲーテは25歳。
書簡形式で綴られる『ウェルテル』は、当時手紙が重要なコミュニケーション手段だった時代における、代表的な手紙文学とも言われています。
そしてこのウェルテルの舞台になった場所が、ここヴェッツラーなのです。
ちなみにですが、日本語では「ウェルテル」として定着していますが、ドイツ語では「Werther」で、「ヴェアター」に近い発音になります。 -
ヴェッツラーの町を案内してくださったのは、なんとゲーテ御大ご本人!
写真は、ロッテの家の前で愛を語るゲーテ氏です。
ヴェッツラー観光局には2人のゲーテ氏が待機しており、予約制でガイドをお願いすることができます。
ちなみに、ロッテさんのガイドもあるそうなので、ご興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。
Tourist-Information Wetzlar
Telefon:+49 6441 99-7755
Telefax:+49 6441 99-7759
E?Mail:tourist-infowetzlarde
https://www.wetzlar.de/tourismus/index.php -
父親の意向を受けて、司法研修のためにしぶしぶヴェッツラーへ赴いた若き日のヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ。
そこには思わぬ出会いが待っていました。
『ウェルテル』のヒロインのモデルになったとされるロッテことシャルロッテ・ブッフとの出会いです。
彼女はゲーテの同僚であり友人であったヨハン・クリスチャン・ケストナーの婚約者でした。
ゲーテとシャルロッテ、ケストナーの3人は、微妙なバランスの中でもよき友人関係を築いたとされていますが、ゲーテはシャルロッテから「友情以上のものを望めない」と知ったときにヴェッツラーを後にしました。
なんでみんな、18世紀の他人様のプライバシーにこんなに詳しいの?
と言いたくもなりますが、それはすべて当時の手紙が残っているからなのです。
スマートフォンの通信記録が残るように、当時は手紙を通してドラマ人間模様の記録が残っていたんですね。
戦後に修復された「ロッテの家」は、実際にゲーテが足繁く訪れたシャルロッテの家を往時の状態に再現しているものです。ロッテの家 博物館・美術館・ギャラリー
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ロッテの家に展示されている、シャルロッテの手紙入れ。
今でいえば、スマホケースみたいなものですね。 -
親しい人に自分の髪の毛を入れたペンダントを送るのも当時の習慣だったとのことで、シャルロッテがゲーテに送ったものも残っています。
肖像画は晩年のシャルロッテ。
晩年、シャルロッテはワイマールにゲーテを訪ねています。 -
『ウェルテル』は、婚約者のいる女性にかなわぬ恋をし、さらに社会に絶望して自殺する若者の物語ですが、主人公の「内面の感情」を描いた作品として当時としては画期的なものでした。
さらに当時タブーだった自殺を描いたことから、教会から非難を受けます。
しかし『ウェルテル』が出版されると一躍欧州中で大ベストセラーとなり、ウェルテルを真似て自殺しようとする若者が増える「ウェルテル現象」が起こったほどでした。
社会のタブーに挑戦したゲーテの作品は、欧州の政治社会体制が大きく変わろうとしていた時代に多くの若者の心をとらえ、解放する意味を持っていたのです。
ロッテの家を案内してくれたダグマー・トゥームさんは
「ウェルテルはあくまでもゲーテ個人の経験をベースにしたフィクションです。ウェルテルの人物像には、同時期にヴェッツラーにいて自殺した別の友人イェルーザレムが投影されていると言われています」
と解説してくれました。
ヴェッツラーの街中には、『ウェルテル』の作品世界と、実際のゲーテとシャルロッテの姿が描かれた壁アートがあります。 -
ヴェッツラーを訪れたら、もう一つ、絶対に立ち寄りたい場所があります。
それは、ゲーテの史跡が残る旧市街からバスで10分ほど移動したところにあるライカ・ワールド。
世界で初めて小型カメラを製造したことで知られるエルンスト・ライツ社。
「ライツのカメラ」を短縮した名前が「ライカ」としてカメラの名前になり、その後社名にもなったという歴史を持つ同社本社のあるライツ・パークは、写真家たちの聖地とも言える場所です。
そのライツ・パーク内にあるライカ・ワールド。
今年はおりしも、最初の市販モデル「Leica I」が1925年に発売されて100周年になるという記念の年です。 -
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実はヴェッツラー旧市街には、ライカの歴史にとって非常に重要なスポットがあります。
アイゼンマルクト(Eisenmarkt)のこの光景は、ライカを発明したライツ社の技術者オスカー・バルナックが1914年、試作のカメラで初めて撮影したもの。 -
この場所にはそのことを記念するマンホールがあり、「ここからライカの最初の写真が撮影された」と記されています。
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というわけで、ワクワクな気持ちで訪れたライカ・ワールド。
ライカのカメラ同様にバウハウスデザインのシンプルでスタイリッシュな建物は、まさに「ライカの世界」そのものです。
エルンスト・ライツ・ミュージアムでは、小型カメラが誕生したライツ社の歴史や、さまざまな視覚的遊びを取り入れたカメラの世界を紹介しています。エルンスト ライツ ミュージアム 博物館・美術館・ギャラリー
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「細菌学の父」とされるロベルト・コッホが活躍した19世紀後半から20世紀初頭は、結核菌が発見されるなどの画期的偉業が顕微鏡によってなされた時代。
当時のライツ社の事業の主軸も顕微鏡の開発でした。
そこへツァイス社から引き抜かれてきた天才技術者オスカー・バルナックが、小型カメラの開発に成功したのが1914年。
しかし同年の第一次世界大戦の勃発によって、この画期的発明が市場に出るまで、1925年まで11年の時を待たなければなりませんでした。 -
ミュージアムには、小型カメラを開発していたバルナックの日記が残されており、第一次世界大戦勃発の翌月に「戦争(Krieg)」と書かれた一文で日記は終わっています。
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ミュージアムの展示スペースには、写真を撮る時の光の明るさの調整や色味の調整が実体験できるコーナーや、名作が撮影された場面を再現したコーナーなど、写真好きならば1日中ここで時間を過ごせそうな趣向が満載です。
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歴代ライカのシャッター音を聞き分けるアトラクションや、フィルムカメラで撮影した写真の現像工程をデジタルで体験できるものなど、マニアックなコーナーも。
このミュージアムを出るときは、完全にライカの魅力にやられてしまっています。 -
ミュージアムの隣には、なんとエルンスト・ライツ・ホテルもあり、ライカ・ワールドに泊まって、腰を据えて楽しむこともできるわけです。
車道を挟んでミュージアムの反対側にあるのがライカ本社。
上から見ると、カメラのレンズの形をしているという設計のおしゃれビルです。
ここには生産工場も入っており、歴代ライカモデルの展示や写真展などが行われており、ライカの修理を請け負っているカスターサービスコーナーもあります。 -
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本社ビル前のすてきなカフェで、ライカ・マークのチョコレートも購入できます。
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18世紀のゲーテの作品世界とライカ・ワールドを行き来できるという、不思議な体験ができる町ヴェッツラー。
色彩学の研究を残したゲーテは「視覚の人」だったとも言われています。
ゲーテの時代には存在しなかったカメラという機器によって、私たちは自分が体験しなかった過去の出来事を目にすることができます。
小型カメラによって写真報道という分野が生まれてから100年。
ヴェッツラーでの滞在は、「見ること」によって何かを知覚できる恩恵を感じた時間でした。
(協賛:ドイツ観光局)
前回のフランクフルトの旅はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11981619
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